印鑑登録
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印鑑登録(いんかんとうろく)とは、印影により個人及び法人を証明する制度である。印鑑登録をしたことを証するもの(多くはカード型)を印鑑登録証、印影と登録者の住所・氏名・生年月日・性別(性同一性障害に配慮して記載しない自治体も増えている)を記載したものを印鑑登録証明書(印鑑証明)という。
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[編集] 個人の印鑑登録
個人の印鑑登録は市町村の自治事務であり、その取り扱いは各自治体の印鑑条例によるため、一般的な市町村における例を以下に記述する。なお、個人の印鑑登録の事務取扱いに関しては1974年に自治省から各都道府県あてに通知が出され[1]、以後各市町村ではこの通知にならって取り扱っている。
[編集] 印鑑登録の方法
- 回答書による方法
- 本人が来庁する場合
- 代理人が来庁する場合
- 本人自書の委任状と登録する印鑑を持って、申請書に記入して提出する。
- 役所から本人あてに照会書及び回答書が郵送されるので、回答書に記入する。
- 回答書、本人自書の委任状、登録する印鑑と代理人の印鑑(受領印として)を持参する。
- 官公署発行の写真付証明書(運転免許証、パスポートなど)による方法(本人来庁のみ)
- 保証書による方法(本人来庁のみ)
- 自治体内で印鑑登録している人に保証書を書いてもらう。
- 保証書と登録する印鑑を持って、申請書に記入して提出する。
- 本人確認のための質問に答え、正しければ登録できる。
[編集] 登録できない印鑑
- 既に他人に登録されているもの
- 「氏名」「氏または名」「氏と名の一部の組み合わせ」以外の物
- 氏名以外に職業その他の事項を表わしているもの
- 印影が不鮮明なもの
- 印影が過剰に小さいまたは大きい(8mm四方を下回る、または25mm四方に収まらない)もの
- 変形・破損しやすい印鑑(浸透ゴム印等)。
- 大量生産されて、同一の印影が多数存在されると思われる物(三文判)
- 世帯内の者と同じ、又は印影のよく似た印鑑
- 外枠が4分の1以上欠けているもの
- 逆さ彫り(文字が白抜きとなる彫り方。陰刻印章。漢委奴国王印がこれである)
1人につき1個の印鑑しか登録できない。変更したい場合は然るべき手続きが必要。
[編集] 法人の印鑑登録
商業登記法20条の規定により、会社の設立等に当たって登記を申請する際には登記所に印鑑を提出しなければならない。印鑑証明書は、その提出した印鑑について、同法12条の規定により発行される。
会社以外の法人の登記についても、それぞれ根拠法に商業登記法の当該部分を準用する旨の規定があるため(例: 一般社団・財団法人法330条、生協法92条)、会社と同様に登記所が印鑑証明書を発行する。
国・地方公共団体などについては印鑑登録の制度は存在しない。
[編集] 不動産登記における印鑑証明書
[編集] 添付
[編集] 概要
不動産登記を書面申請(不動産登記規則1条4号参照。以下同じ。)でする場合、申請人又はその代表者(申請人が法人等の場合。以下同じ。)が登記申請書又は委任状に記名押印したときは、印鑑登録証明書(以下、登記実務に合わせて印鑑証明書という[2])が添付情報となりうる。不動産登記令16条・18条、不動産登記規則48条・49条に規定があり、これらの規定と先例をまとめると、以下のようになる。
なお、申請書又は委任状に押した印鑑に関する証明書を添付する場合、作成後3か月以内のものでなければならない(不動産登記令16条3項・18条3項)
[編集] 添付必要の場合
以下の者が登記申請人となる場合で書面申請のときは、原則としてその者又はその代表者の印鑑証明書を、申請情報を記載した書面に添付しなければならない。
- 所有権の登記名義人(所有権に関する仮登記の登記名義人を含む)が登記義務者となって、権利に関する登記(後述の例外あり)の申請をする場合における、当該所有権の(仮)登記名義人
- 共有物分割禁止の定めに係る所有権の変更登記を申請する場合における、当該所有権に係る不動産の持分の(仮)登記名義人
- 所有権移転登記がされていないときに所有権保存登記の抹消登記を申請する場合における、所有権の(仮)登記名義人[3]
- 信託法3条3号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記を申請する場合における、所有権の(仮)登記名義人
- 所有権に関する仮登記の抹消登記を、仮登記の名義人が不動産登記法110条前段の規定に基づいて単独で申請する場合における、当該仮登記の名義人
- 合筆の登記・合体による登記等・建物の合併の登記を申請する場合における、当該合筆・合体・合併に係る不動産の所有権の登記名義人
- 所有権の登記名義人が登記義務者となって、担保物権(根抵当権及び根質権を除く)の債務者の変更登記又は更正登記を申請するときであって、登記識別情報又は登記済証を提供又は添付しない場合における、当該所有権の登記名義人
- 所有権以外の権利の登記名義人が登記義務者となって権利に関する登記の申請するときであって、登記識別情報又は登記済証を提供又は添付しない場合における、当該登記名義人
- 所有権以外の権利の登記名義人が登記義務者となって、信託法3条3号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記を申請するときであって、登記識別情報又は登記済証を提供又は添付しない場合における、当該登記名義人
- 所有権を目的とする買戻権の登記名義人が登記義務者となって登記の申請をする場合における、当該登記名義人(1959年(昭和34年)6月20日民甲1131号回答)
[編集] 添付不要の場合
書面申請のときでも以下の場合には、条文において印鑑証明書の添付は不要とされている。
- 官公署が登記権利者又は登記義務者となって登記の嘱託を行う場合
- 所有権の登記名義人が登記義務者となって、登記識別情報又は登記済証を提供又は添付して担保物権(根抵当権及び根質権を除く)の債務者の変更登記又は更正登記を申請する場合
- 申請を受ける登記所が、添付すべき印鑑証明書を作成する登記所と同一であって、法務大臣が指定した登記所[4]以外のものである場合
- 申請人又はその代表者もしくは代理人が記名押印した申請書又は委任状について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合
- 裁判所によって選任された者がその職務上行う申請についての申請書又は委任状に記名押印したときに、裁判所書記官が最高裁判所規則(破産規則23条4項[5]、民事再生規則27条2項[6]など)で定めるところにより作成したものが添付されている場合
- 申請人が不動産登記法22条の規定により登記識別情報の通知を受けることとなるときで、#添付必要の場合の6に該当する場合以外の場合
- 申請人が#添付必要の場合の1ないし9のいずれにも該当しないときで、上記6に該当しない場合。
- 復代理人によって登記を申請するときに、委任による代理人が復代理人の権限を証する書面に記名押印した場合(当該代理人の印鑑証明書について)
このほか、添付必要の場合の反対解釈などから、以下の場合には印鑑証明書の添付は不要である。
- 確定判決により登記申請を行う場合(書式解説1-499頁)
- 所有権を目的とする買戻権の設定をする登記申請を行う場合
- 所有権以外の権利を目的とする買戻権の登記名義人が登記義務者となって登記の申請をする場合
- 不動産売買の先取特権保存(民法340条)又は主である建物新築の不動産工事の先取特権保存(民法338条)の登記申請を行う場合(登記研究433-133頁)
[編集] 他の書面の一部となる場合
[編集] 概要
書面申請の場合において、不動産登記令7条1項5号ハもしくは6号の規定又はその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならない同意又は承諾を証する情報を記載した書面(以下同意書又は承諾書という)に作成者が記名押印したときは、印鑑証明書が当該書面の一部となりうる。不動産登記令19条及び不動産登記規則50条に規定があり、これらの規定と実例をまとめると、以下のようになる。
なお、同意書又は承諾書に押した印鑑に関する証明書を添付する場合、作成後3か月以内のものでなければならないという制限はない。また、この印鑑証明書は同意書又は承諾書の真正を担保するものであるから、申請情報を記載した書面の添付情報欄に「印鑑証明書」と別途記載する必要はない。ただし、「承諾書(印鑑証明書付)」とするのが望ましいとされている。
[編集] 添付必要の場合
以下の者の印鑑証明書を、同意書又は承諾書等の一部として添付しなければならない。
- 登記原因についての第三者の同意書又は承諾書(民法374条1項ただし書・398条の14第2項・612条1項など、不動産登記令7条1項5号ハ・同令別表39項添付情報ロなど)を申請情報に添付する場合における、当該書面の作成者
- 登記上の利害関係人の承諾書(不動産登記法66条・68条など、同令別表25項添付情報ロ・26項添付情報ヘなど)を申請情報に添付する場合における、当該利害関係人(1956年(昭和31年)11月2日民甲2530号通達)
- 仮登記の登記義務者の承諾書を申請情報に添付して、仮登記の登記権利者が単独で当該仮登記を申請する場合(同法107条1項、同令別表68項添付情報ロ)における、当該仮登記の登記義務者(1954年(昭和29年)10月5日民甲2022号通達)
- 仮登記の登記名義人の承諾書を申請情報に添付して、仮登記の利害関係人が単独で当該仮登記の抹消登記を申請する場合(同法110条後段、同令別表70項添付情報ロ)における、当該仮登記の登記名義人
- 区分建物につき、所有権取得証明情報を申請情報に添付して所有権保存登記を申請する場合(同法74条2項、同令別表29項添付情報イ・ロ)における、表題部所有者(1983年(昭和58年)11月10日民三6400号通達第12-1-2)
- 遺産分割協議書を申請情報に添付して、相続を原因とする所有権移転登記の申請をする場合における、不動産を取得しかつ申請人となる者以外の者(1955年(昭和30年)4月23日民甲742号通達)
- 特別受益証明書を申請情報に添付して、相続を原因とする所有権移転登記の申請をする場合における、特別受益者(1955年(昭和30年)4月23日民甲742号通達)
[編集] 添付不要の場合
以下の場合には、条文等により印鑑証明書の添付は不要とされている。
- 同意書又は承諾書が官公署の作成に係る場合
- 申請を受ける登記所が、添付すべき印鑑証明書を作成する登記所と同一であって、法務大臣が指定した登記所[4]以外のものである場合
- 同意書又は承諾書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合
- 裁判所によって選任された者がその職務上行う同意又は承諾についての同意書又は承諾書に記名押印したときに、裁判所書記官が最高裁判所規則(破産規則23条4項[5]、民事再生規則27条2項[6]など)で定めるところにより作成したものが添付されている場合
- 承諾書等が公正証書として作成された場合(登記研究146-42頁参照)
[編集] 具体例
添付すべき印鑑証明書は、住所地の市町村長(特別区の区長を含み、政令指定都市にあっては市長又は区長。以下「市区町村長」という。)又は登記官が作成するものに限られている(不動産登記令16条2項)。この他、先例等をまとめると、以下のようになる。
| 印鑑証明書を提出すべき者 | 印鑑証明書の名義人 | 作成権者 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 以下にあてはまらない自然人 | 当該自然人 | 住所地の市区町村長 | 不動産登記令16条2項 |
| 印鑑証明書を添付できない外国在住の日本人 | 当該日本人 | 当該居住国の公証人(署名証明書を添付) | 1958年(昭和33年)8月27日民甲1738号心得回答・通達 |
| 印鑑登録をしていない外国人 | 当該外国人 | 当該外国官憲(署名証明書を添付) | 1959年(昭和34年)11月24日民甲2542号通達 |
| 登記所に印鑑を提出した者(会社等の法人を除く) | 当該提出者 | 印鑑を提出した登記所の登記官 | 不動産登記令16条2項、商業登記規則9条1項1号・3号・5号[7] |
| 以下にあてはまらない会社等の法人 | 当該法人の代表者 | 印鑑を提出した登記所の登記官 | 不動産登記令16条2項、商業登記規則9条1項4号及び当該条文を準用する他の法令 |
| 代表者が法人である以下にあてはまらない会社又は法人 | その職務を行うべき者等 | 印鑑を提出した登記所の登記官 | 不動産登記令16条2項、商業登記規則9条1項2号・4号・5号及び当該条文を準用する他の法令 |
| 代表者が法人である持分会社 | その職務を行うべき者 | 印鑑を提出した登記所の登記官 | 2006年(平成18年)3月29日民二755号通達4、商業登記規則9条1項4号 |
| 清算結了登記をした解散会社 | 旧(代表)清算人 | 住所地の市区町村長 | 1955年(昭和30年)4月14日民甲708号電報回答 |
| 登記のない官公署の組合 | 組合の代表者 | 監督官庁の長[8] | 1963年(昭和38年)8月13日民三708号電報回答、1965年(昭和40年)7月13日民甲1737号通達 |
| 認可地縁団体 | 団体の代表者 | 住所地の市区町村長 | 1992年(平成4年)5月20日民三2430号通知 |
[編集] 原本還付
申請書・委任状に押印した印鑑に関する証明書(既述の裁判所書記官が作成したものを含む)及び同意書・承諾書に押印した印鑑に関する証明書(既述の裁判所書記官が作成したものを含む)については、原本の還付を請求することができない(不動産登記規則55条1項)。また、当該印鑑証明書に代わる外国人の署名証明書も原本の還付を受けることができない(登記研究692-211頁)。
上記以外のものについては、原本の還付を請求できる。相続による登記を申請する際の遺産分割協議書や特別受益証明書に添付した印鑑証明書(一発即答86頁・88頁)、資格者代理人による本人確認制度を利用する場合の資格者代理人の印鑑証明書(一発即答93頁)などが具体例である。
[編集] 日本以外の印鑑登録制度
[編集] 韓国
朝鮮半島では、日韓併合後の1914年に導入を開始。第二次世界大戦終結後の大韓民国でも、制度として用いられてきた。大韓民国では、2009年7月29日、国家競争力強化委員会が2009年内に印鑑登録を要する事務のうち6割について身分証明書等で代用させる方針を打ち出し、5年以内に電子認証を拡充させて廃止することを表明している。
[編集] 脚注及び参照
- ^ 印鑑登録証明事務処理要領、総務省ウェブサイト所載、2008年8月31日閲覧。
- ^ 法務局 「不動産を売買した場合の申請書の書式(オンライン庁)」 法務省 (PDFファイル)、注8及び別紙1参照
- ^ 所有権保存登記の仮登記は、所有権の登記のない不動産の所有権を承継取得した者が、仮登記を命ずる処分の決定書の正本(不動産登記令7条1項5号ロ(2))を添付した場合のみ可能である(書式解説2-1174頁)。
- ^ い ろ 東京法務局、横浜地方法務局、名古屋法務局、大阪法務局、京都地方法務局、神戸地方法務局、福岡法務局である(2005年(平成17年)法務省告示第123号、不動産登記規則第36条第1項第1号等の規定に基づき登記所を指定する件)
- ^ い ろ 破産規則(裁判所ウェブサイト)
- ^ い ろ 民事再生規則(裁判所ウェブサイト)
- ^ 商業登記規則(総務省法令データ提供システム)
- ^ 例えば、国家公務員共済組合法による共済組合であれば主務大臣であり(1963年(昭和38年)8月13日民三708号電報回答)、裁判所共済組合であれば最高裁判所長官である(1965年(昭和40年)7月13日民甲1737号通達)。
[編集] 参考文献
- 香川保一編著 『新不動産登記書式解説(一)』 テイハン、2006年、ISBN 978-4860960230
- 香川保一編著 『新不動産登記書式解説(二)』 テイハン、2006年、ISBN 978-4860960315
- 河合芳光 『逐条不動産登記令』 金融財政事情研究会、2005年、ISBN 4-322-10712-5
- 「質疑・応答-3132 公正証書による遺産分割協議書と印鑑証明書提出の要否」『登記研究』146号、帝国判例法規出版社(後のテイハン)、1960年、42頁
- 「質疑応答-6366 建物新築工事の先取特権保存の添付書類」『登記研究』433号、テイハン、1984年、133頁
- 「質疑応答-7814 登記義務者である外国人の署名証明書の原本還付の可否について」『登記研究』692号、テイハン、2005年、211頁
- 藤谷定勝監修 山田一雄編 『新不動産登記法一発即答800問』 日本加除出版、2007年、ISBN 978-4-8178-3758-5
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年7月31日 (金) 14:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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