厚生年金

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厚生年金(こうせいねんきん、Employees' pension for the aged)とは、正式には「厚生年金保険」といい、主として日本の民間企業の労働者が加入する公的年金制度である。加入者やその遺族のために、老齢年金障害年金遺族年金社会保険庁から支払われる。厚生年金保険法によって定められている。

目次

[編集] 概要

一般の被保険者(労働者)は収入の15.704%(2009年9月現在の利率。2004年10月以降、毎年9月に0.354%ずつ引き上げられる)を保険料として負担する。そのうちの半分は企業(雇用主)が負担するという形にして、被保険者が支払う保険料を少なく見せかけている(収入の約7.8%)。厚生年金は国民年金に相当する固定部分と報酬比例部分に分けられるが、保険料がどのような割合で振り分けられているかは明らかでない。厚生年金保険は、法人事業所は従業員の人数に拘わらず、必ず加入することが求められる。個人事業形態においても、常時使用する労働者が5人に達すれば強制加入となる。5人未満でも、労働者の要求や事業主の同意があれば、加入することができる。このことを「任意単独被保険者」という。ただし、いずれの場合も個人事業主本人は厚生年金保険に加入できない。

一般の労働者に対する厚生年金の起源は第二次世界大戦下の1942年に施行された民間企業の現業男子を対象とした「労働者年金保険」であり、戦時下における労働力の増強確保と強制貯蓄的機能を期待する目的があったとされているが、手っ取り早い戦費調達手段として導入されたとする見方もある。
1944年に、現行の名称と制度になった。

[編集] 2004年年金制度改正

自由民主党公明党による与党年金制度改革協議会は、2004年2月4日に厚生年金保険料の引き上げについて合意文書を交わした。

厚生年金保険料は、2004年9月までは年収(総報酬)の13.58%(労使折半)であるが、2004年10月から毎年0.354%(労使折半)ずつ引き上げ、2017年度には年収の18.30%(労使折半)まで引き上げられ13年間で段階的に4.72%引き上げられることになる。ボーナスを含めた平均年収が570万円である場合、2017年度の保険料は年額52万1550円となり、2004年度よりも13万4520円の負担増額となる(ただし、これらの保険料率は2004年度価格で表示されたものなので、インフレ率の上昇があれば保険料率も上昇する)。

厚生年金の支給額については、現役世代(働いている時)の平均収入の50%以上の水準を確保するという。 しかし、これに該当するのは40年間保険料を払い続けるモデル世帯だけである。

[編集] 年齢別の保険料負担と年金給付額についての推計

厚生労働省は、2004年に国会で成立した年金改革案関連法案に基いた世代別の給付と負担の関係、給付と負担の見通しについての推計を公表した。

この推計は毎月払う保険料に65歳までの金利をつけて計算したものと、平均寿命まで生きたと仮定した年金受給額を金利で割り戻したものを比較するもの。金利を高く設定すれば65歳の時点の保険料は大きくなり、逆に年金額は小さくなる。なお、

  • 年金の財政見通しは運用利回りを3.2%と置いているが、この計算では金利に賃金上昇率の2.1%を使っている。運用利回りを使えば1.6倍になる。すなわち、「倍率」が高く見えるように低い金利を使った推計である。
  • 会社負担の保険料はのぞいて計算してある。これを計算に入れれば、受け取る年金額は納付した保険料の0.8倍。
  • さらに、厚生年金給付には国庫負担の形で補助がなされているが、これは租税に由来する。

したがってこの財政再計算は実態より、負担を過小に、給付を過大に見積もったものである。実際の負担に対する給付比率は1倍を大きく下回る。厚労省の計算

世代ごとの保険料負担額と年金給付額
2005年時の年齢 保険料(万円) 給付額(万円) 倍率
70歳(1935年生) 670 5,500 8.3
60歳(1945年生) 1,100 5,100 4.6
50歳(1955年生) 1,600 5,100 3.2
40歳(1965年生) 2,200 5,900 2.7
30歳(1975年生) 2,800 6,700 2.4
20歳(1985年生) 3,300 7,600 2.3
10歳(1995年生) 3,700 8,500 2.3
0歳(2005年生) 4,100 9,500 2.3

(厚生労働省推計)

※モデル世帯の夫婦(ただし妻は1986年度以降のみ国民年金に加入)がそれぞれの平均余命まで年金を受給した場合。
※保険料は本人負担分。
※金額は物価上昇率で2004年度時点の価値に換算。
※端数処理のため倍率が異なることがある。

世帯タイプ別の年金額と給付水準の試算
  現在の受給者 2025年度からの受給者
現役時の
平均手取り収入
世帯の年金額と
給付水準
現役時の
平均手取り収入
世帯の年金額と
給付水準
(1) 夫は40年間就労
妻は専業主婦
39.3万円 23.3万円
(59.3%)
47.2万円 23.7万円
(50.2%)
(2) 40年間夫婦で共働き 63.8万円 29.6万円
(46.4%)
76.6万円 30.1万円
(39.3%)
(3) 夫は40年間就労
妻は子育て後に再就職
55.3万円 27.4万円
(49.6%)
66.4万円 27.9万円
(42.0%)
(4) 夫は40年間就労
妻は出産後に専業主婦
43.4万円 24.4万円
(56.1%)
52.1万円 24.8万円
(47.5%)
(5) 男性独身者が40年間就労 39.3万円 16.7万円
(42.5%)
47.2万円 17万円
(36.0%)
(6) 女性独身者が40年間就労 24.5万円 12.9万円
(52.7%)
29.4万円 13.1万円
(44.7%)

※手取り収入は、世帯の合計で、ボーナスを含めた月額換算。
2025年の金額は現在の価値に換算。()内は給付水準。

[編集] 厚生年金保険法の改正

2004年2月10日に閣議決定された厚生年金保険法の主要な条項は次の通りである。

三十四条の改正
政府は政令で年金給付額を調整する期間を定める。調整期間の年金額再評価改定は、原則として名目手取り賃金変動率に調整率をかけた率を基準とする。
四十三条の改正
年金の受給権者が六十五歳に達した以降の年金額再評価率は、原則として物価変動率を基準とする。
八十一条の改正
厚生年金保険料率は2004年から毎年、0.354%ずつ引き上げ、2017年9月以降、18.30%とする。
二十六条、八十一条の改正
三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の月額賃金が、子育て以前の月額賃金を下回った場合は、以前の賃金を年金額計算の基礎とする。三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の育児休業期間について保険料を免除する。2005年4月1日から実施する。
四十六条の改正
七十歳以上で在籍者への厚生年金支給額について、賃金に応じて全部又は一部を支給停止する。2007年4月から実施する。
六十三条の改正
三十歳未満で遺族厚生年金の受給権を得た妻は、五年を経過すると受給権が無くなる。中高齢寡婦加算支給要件を見直す。2007年から実施する。
附則十一条などの改正
六十五歳未満で在職者への厚生年金支給額について、二割停止する現行方式を改める。
三章の改正
離婚した場合、厚生年金の分割割合で合意しているか、裁判所の決定があれば、厚生年金の分割を請求することができる制度を創設する。2007年4月から導入する。

[編集] 年金種類・年金積立金等

老齢厚生年金
65歳以上の者で保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であることを条件に支給
男性は1953年4月1日以前、女性は1958年4月1日以前に生まれた者で厚生年金の加入期間が1年以上の者に対しては60歳から特別支給の厚生年金が支給される。その後支給年齢は徐々に繰り上げられ、男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた者で厚生年金の加入期間が1年以上の者に対しては65歳より前に経過措置として特別支給の厚生年金が支給されることとなっている。したがって、現在60歳以上で厚生年金加入期間が1年以上の者には、必ず特別支給の厚生年金が支給される(繰下げても多くもらえるわけではなく、5年で時効になる制度なので注意)
障害厚生年金及び障害手当金
障害の原因となった傷病ではじめて医師または歯科医師の診察を受けた日(初診日)が被保険者であった場合で、その日から1年6月(あるいはそれより早く障害が固定した場合はその日)に所定の障害にある場合、その障害の程度に応じ年金または一時金が支給される。(所定の保険料納付要件を満たしていることも必要)
遺族厚生年金
被保険者が死亡したとき、被保険者であった者が被保険者期間中に初診日のある傷病により傷病の日から5年以内に死亡または障害等級が1級若しくは2級の障害厚生年金受給者が死亡したとき、あるいは老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格要件を満たした者が死亡したときで以下の生計維持関係のあった遺族に支給される(所定の保険料納付要件を満たしていることも必要)
妻については年齢に関わらず
夫、父母、祖父母については死亡当時55歳以上であった場合60歳から支給
子、孫については18歳の誕生日の年度末まで(障害等級1級、2級に該当するときは19歳まで)
支給順位は、1位配偶者または子、2位父母、3位孫、4位祖父母
年金の種類
               厚生年金基金 共済年金(職域加算)
             国民年金基金 厚生年金(受給時の正式呼称は老齢厚生年金 共済年金
国民年金(基礎年金、受給時の正式呼称は「老齢基礎年金」)

※従来から「保険料は安く、受け取りが高い」と官民格差の批判のあった共済年金だが「職域加算」に関しては2010年に制度上廃止される予定である。 また、公務員も民間サラリーマンと同じ厚生年金に加入させる被用者年金一元化法案により、厚生年金・共済年金ともに2018年度までに18.3%の保険料率で一元化される予定である。

厚生年金の加入者数・受給者数・積立金等
加入者数 受給者数 年度
3265万1000人 1191万1000人 1993年度末
積立金 約91兆1134億円 1992年度まで

[編集] 厚生年金の平均受給額

厚生年金は所定の年齢に達して受給する段階では「老齢厚生年金」(2階部分)と呼ばれ、国民年金の受給分である老齢基礎年金(1階部分)を含めて老齢厚生年金と呼ばれる。 2004年3月末現在、男女共通の平均月額は約16万9000円、男子だけでは平均約19万6000円、女子だけでは平均約11万円となっていると社会保険庁は発表している。[1]

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ 厚生年金の受給額、実際は?2005年8月17日読売新聞

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月4日 (水) 05:17 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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