古神道

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古神道(こしんとう)とは6世紀以前の古道かんながらのみちと呼称された神道の源流である日本古来の信仰のこと。

原始神道・縄文神道・復古神道ともいい、密教仏教道教などの外来宗教の影響を受ける以前の神道のことでもあるが、神社神道に対峙しての古神道という使われ方などもする。現在の神道や神社神道も古神道を内包していて不可分でもある。

目次

[編集] 概要

古神道は原始宗教ともいわれ、世界各地で人が社会を持った太古の昔から自然発生的に生まれ、その様相はおしなべて同様である。その要素は、自然崇拝精霊崇拝アニミズム)、またはその延長線上にある先祖崇拝としての・御魂・などの不可知な物質ではない生命の本質としてのものの概念や、常世(とこよ・神の国や天国や地獄)と現世(うつしよ・人の国や現実世界)からなる世界観と、禁足地や神域の存在と、それぞれを隔てる端境とその往来を妨げる結界や、祈祷占いシャーマニズム)による祈願祈念とその結果による(まつりごと)の指針、の創世との創世の神話の発生があげられる。

また、原始宗教がそのまま封建社会や中世を経て、近代化された後も現在まで排斥されず、引き継がれる例はほとんどなく、日本独特ともなっているが、根本は原始宗教の体を成していても、数千年の中で日本文化に根ざし、昇華してきため、明治以前からの多くの生業(職業)は、祝詞にもあるように、勤しみ(いそしみ)が神聖視され、神社神道の神事とは別に、民間の中に息づくさまざまな職業儀式としての神事がある。

[編集] 世界観

古来からの古神道は後から意味付けされたものも多く、その対象も森羅万象におよぶので、必ずしも定常に当てはめることはできないが、古神道に始まり、現在への神道までの流れとして時系列や、漢字日本語としての古語の意味などを考え、記述する。

神世(かみよ)現世と常世のすべて。

  • とこよ(常世・常夜)
    • 常世
    • 常夜
  • うつしよ(現世

  • (みこと) - 日本神話にある人格神(人と同じ姿形、人と同じ心を持つ神)
  • 御霊(みたま) - 尊以外の神
  • (たましい)・御魂(みたま) - 人の命や人の心の態様。神の心の態様。
    • 荒御魂(あらみたま) - 荒ぶる神のこと。
    • 和御魂(にぎみたま) - 神和ぎ(かんなぎ)といわれる安寧なる神のこと。

神代上代(かみよ・かみしろ) - 現世における神の存在する場所を指す。日本神話神武天皇までの、現世にも神が君臨した時代を指すときは上代もしくは神世(かみよ)である。

  • 神奈備(かんなび・かむなび・かみなび) - 神名備・神南備・神名火・甘南備とも表記し、神が鎮座する山や神が隠れ住まう森を意味する。
    • 磐座(いわくら) - 神が鎮座する岩や山または、特に磐境としたときは神域や常世との端境である岩や山を指す。
    • 神籬(ひもろぎ) - 神が隠れ住む森や木々、または神域や常世との端境。現在では神社神道における儀式としての神の依り代となる枝葉のこと。
    • 神体(しんたい) - 古来からあり、神が常にいる場所や神そのものの体や、比較的大きい伝統的な神の宿る場所やもの。
      • 御霊代(みたましろ)依り代(よりしろ) - 代(しろ)とは代わりであり、上記のほか神が一時的に降りる(宿る)器としての森羅万象を対象とした場所や物を指す。
        • (ふかんなぎ) - 神降ろしのことで、神の依り代となる人(神の人への憑依)を指す。

[編集] 自然崇拝・精霊崇拝

自然崇拝は神籬・磐座信仰として現在にも残り、具体的には、神社の「社(やしろ)」とは別に境内にある注連縄が飾られた御神木や霊石があり、また、境内に限らずその周囲の「鎮守の森」や、海上の「夫婦岩」などの巨石などが馴染み深いものである。また、を「稲の神」としは五穀豊穣をもたらすものとして「稲妻」と呼び、クジラは、島嶼部性の高い日本においては、座礁や漂着した貴重な食料として、その感謝から「えびす」と呼び、各地に寄り神信仰(寄り神は、漂着神や客神ともいう)が生まれた。

自然やせに起因するものだけでなく、九十九神にみられるように、生き物や人工物である道具でも、長く生きたものや、長く使われたものなどにも神が宿ると考えた。そして、侵略してきた敵や、人の食料として命を落としたものにも命や神が宿ると考え、蒙古塚・刀塚や魚塚・鯨塚などがあり、祀られている。

[編集] 先祖崇拝・盆と盂蘭盆

お盆」といわれるものはそのしきたりや形式は古神道の先祖崇拝であるが、で行われが執り行うことと、その原因である神仏習合の影響により曖昧になっている[1]仏教は本来、輪廻転生を積めば最後は開眼となる教えであり、「特定される個人としての死」はないので先祖崇拝はなく、「盂蘭盆」が正式な仏教行事で釈迦を奉るものである[1]。現在では、特定の仏教宗派に属さなければ、盂蘭盆に触れる機会は少ないことも、「お盆は仏教行事という認識」につながっている。

[編集] 現世と常世・神域の結界と禁足地

自然に存在する依り代としての(霊峰富士)・などは神の宿る場所でもあるが、常世と現世との端境であり、神籬の籬はという意味で境であり、磐座は磐境ともいい、神域の境界を示すものである。実際に、「沖の島」のような神社や森林を含めた全体が禁足地としている場所も多くあり、その考えは神社神道にも引き継がれ、さまざまな建築様式の中に内在もするが、例えば、本来は参道の真ん中は神の道で禁足となっている。

結界は一般家庭にもあり、正月注連縄飾り節分の「鰯の干物飾り」なども招来したい神と招かれざる神を選別するためのものでもある。また、集落などをつなぐ道の「」には石作りの道祖神地蔵があるが、旅や道すがらの安全だけでなく、集落に禍や厄災を持ち込まないための結界の意味がある。

[編集] 祈祷や占いによる祈願祈念

祈祷や占いは現在の神社神道でも受け継がれ、古来そのままに亀甲占いを年始に行う神社もある。大正時代まで盛んであった祭り矢・祭り弓も日本の価値観や文化(目星を付ける・的を射る・射幸心)に影響を与え、その年の吉凶を占うことから、「矢取り」に選ばれた者は的場に足繁く通ったという。現在のおみくじも本来は神職による祈祷と占いを簡素化したものである。

また、巫女庶民芸能として現在に受け継がれる「神事としての興行相撲)」や舞(纏舞い・獅子舞)や神楽(巫女の舞など)や太神楽曲独楽軽業)なども神に捧げ神を和ぎ(かんなぎ)させるための祈りとしての祈祷である。

[編集] 政と祭りと祀り

古くは卑弥呼なども祈祷師であり、その祈祷や占いから「国の行く末」を決めていたといわれる[2]。神社神道の神主などの神職は古くから政(まつりごと)の執政をし、平安時代には道教陰陽五行思想を取り込むことによって陰陽師という組織とその政治における官僚としての役職を得た。そして、占いや祈祷により指針を定め、国政を司った。この流れは戦国時代以降は潜むが、公家の間では政として、あるいは神社神道として残っていった。

地域振興の中心は、古くは寺社であり、その中心にある神社が興行や縁日や神事を行い、「寺社普請」だけでなく地域の社会基盤整備としての普請にもなった。そして、民間でも自治としての政が江戸時代から一層顕著に認められ[3]、祭りとして神や御霊や自然を祀り、その社会的行為は「七夕祭り」や「恵比寿講」として現在にも行われ、神社神道の儀式とは離れた民衆の神事として定着し、昔と同様に普請としての地域振興を担っている。

[編集] 現在に息づく古神道と勤しみの神聖

このように、古神道は現在でも息づき、多くは民間信仰などともいわれるが、現在の神社神道の源流でもあり、本質でもあり、不可分であるといえる。また、神社神道に対し生業(職業)としての神事があり、古くからの芸能・興行や農業林業・水産業に限らず、鍛冶多々良場(製鉄)や醸造酒造土木建築といったように働く行為(いそしみ)自体に神が宿るとし、神聖視してきた。現在でも伝統を引き継ぎ、「神棚」を備え、行程の節目節目で神事としての儀式を行なう職種は多くある。

本来、神道とは教義・教則のないものであり、古神道や「子作り信仰」や「寄り神信仰」などの民間信仰と神社神道を含め神道を分け隔てる必要もなく、しいてその本質の共通性を上記の行為から汲み取るとすれば、己の心に対し「清く・正しく・美しく」あれということでしかないだろう。

[編集] 古神道と称する宗派とその変遷

古来からの流れを汲む宗派と、江戸時代以降の後世に復古として取り入れた宗派がある。

[編集] 宗派と変遷

江戸時代末期に古神道と称する思想や儀礼などが、尊皇攘夷思想や平田国学の隆盛と連動して世に出たものが多くあるが[4]、しかし、当時の記録文書はなきに等しく、原始仏教と同様、実際には後世の資料などから、間接的に推理・類推される存在に過ぎないことも指摘されている。

明治時代以降は、仏教キリスト教と同じ範疇の宗教ではなく、国家儀礼と位置付けられるようになった国家神道に対し、宗教であることを色濃く打ち出したのが古神道であった[5]。この点は黒住教をはじめとする幕末期以降の教派神道と共通しており、事実、教派神道系の教団には古神道を名乗るものが少なくない。

現在においては、新宗教で古神道を名乗る宗派も、上記記述の宗派の流れを受け継いだものであって、「古神道」の名を冠した宗派は江戸時代以前には存在していない宗派もある。伝統的な古神道では平田篤胤ほかが学頭を務めた皇室神道の伯家神道から受け継いた儀礼や行法がみられるが、この系統ではない出雲神道、巫部神道、九鬼神道、修験道に由来する行法や教団も存在する。

[編集] 脚注

  1. ^ a b 『面白いほどよくわかる神道のすべて』 169頁。
  2. ^ 『面白いほどよくわかる神道のすべて』 88頁。
  3. ^ 江戸時代以降の都心では町場(町奉行管轄)と庭場(寺社奉行管轄)と野帳場(検地がされていない管轄未定地や郊外)に区分され、庶民町人が協力して自治を行った。
  4. ^ 『古神道は甦る』 102-106頁。
  5. ^ 『古神道は甦る』 121-123頁。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

最終更新 2009年9月1日 (火) 23:22 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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