因果性

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因果性(いんがせい、causality)とは、何かある物事が他の物事を引き起こしたり生み出している、とされる/する、結びつきのことである。

目次

[編集] アリストテレスの説

アリストテレスは、ものごとが存在する原因を以下の四種類に分類した。(四原因説

  • 素材因(質料因)
  • 形相因
  • 作用因(始動因)
  • 目的因

この考え方が良く理解できるひとつの例を挙げると、例えば、目前にひとつの木彫りの彫刻が存在する場合、これが存在するのは、誰かが、木材という「素材」を用いて、何らかの表現をする「目的」で、彫るという「作用」を加え、なんらかの「形」を作り出したからである。

このようにアリストテレスは、原因というものを四つに分類してみせた。

かつては西欧でアリストテレスの考え方が普及していた時代もあったが、長い歴史を経た後、現代人は原因についてアリストテレスのような分類はほとんどしなくなっている。

[編集] ヒュームの因果説

西洋近代ではデイヴィッド・ヒュームが、因果性とは、空間的に隣接し時間的に連続で、2種類の出来事が伴って起きるとき、この2種類の出来事の間に、人間が想像する(人間の心、精神の側に生まれる)必然的な結合関係のことである、とした。

つまり、物事はたまたま一緒に起きているだけでも、人間が精神活動によって勝手に結びつきの設定をしている、という指摘を含んでいる。


[編集] 関連項目

[編集] 因果規則性説

隣接し、連続して起きる二つの出来事は、それを述べる普遍言明の文に組み込まれるとき、因果的に結びついている、とする。ヒュームの心理的要素を除き、そのかわりstatement記述の生成という点に着目している説。科学の場で記述を作りだしてゆく方法やその問題点についての示唆も与えてくれる説である。

[編集] 単称因果言明、因果律

人間というものは、あるいは人間の頭脳というものは、規則性の記述が現前になくても、いくつかの出来事を知覚・認知しただけで、それらが因果的に結びついていると考える強い傾向を持っている。

例えば、「この医者がお産にたずさわったことが、この妊婦の産褥熱を引き起こした」というstatement言明がある。この言明は、たとえ「お産への従事が、全て産褥熱を引き起こす」という普遍言明(全称命題)が偽であるにしても、それとは独立に真でありうる(可能性がある)。個々の出来事は、この言明が記述する順序で起きているためである。

個々の出来事の間に因果性の関係を設定するのは、人間の精神というものが、「全ての出来事には原因がある」という考え方、いわゆる「因果律」の考え方、を前提にしているからである。

人間は日常生活を送る上では、そのような考え方、つまり「全ての出来事には原因がある」とする考え方をして、特に問題は生じはしない。だが、いざそれが本当にそうなのか、正しく論証しよう、科学的に究明しようとすると、実は非常に困難である。それが困難であることは、歴史的には、カントによる論証の試みにも現れている。

[編集] 因果律という考え方の反事実条件法への置き換え

「全ての出来事には原因がある」と「因果律」という考え方を採用するということは、宇宙全体の性質に関して、検証も無しに、形而上学的に非常に強い主張をしてしまうことになる[1]。このような主張を含んでしまうと、結局、証明も反証もできない言明をしてしまっているのと同じことになるので、(広く認められている反証主義の方法論を採用すると)これはもはや科学的言明ではない、ということになってしまうのである。

一般に、科学の世界では、もし途方もなく強い主張をする時は、途方もない主張を支えるに足るだけの非常に確たる証拠を示さなければならない、とされている。

したがって、(科学的な方法を守り、科学的な記述を構築してゆくためには)このような主張(因果律)を含めずに済むならば、そのほうが良いのである[2]

また、「出来事xが、別の出来事yを引き起こした」という単称因果言明は、「この状況においては、出来事xがなければ、出来事yは起きなかったはずだ」という、条件法命題に置き換えると、「因果律」という、途方もない前提は含んでいない。

「この状況においては」という箇所の明示的な記述が必要となってくる。実は、これを厳密に行おうとすると、大きな困難が生じる。というのは、その状況というのは、つきつめると厳密には全宇宙の状態を記述しなければならないということになるからである。このように結局、因果性という概念は、本質的に形而上学的概念である[3]

[編集] 因果律

因果律とは、いかなる事象時間的に過去に起こった事を原因として起こる[4]とする考え方である。[5]

しかし、このような考え方・主張は、直接に実験反証等の方法によって証明または否定することは困難(あるいは不可能)である。

ただし、科学の歴史において、有力とされ、検証を重ねられて用いられてきた(ほとんどの)物理法則・理論等は、(少なくとも見かけ上の)因果律の存在を大前提としなければ成立しなくなり、もし厳密さを要求されるとなると、せっかくの便利な道具(法則・理論等)が使えない、ということになってしまう。 だが、一方で20世紀半ば以降、量子力学は、古典的な意味での因果律は成り立っていないと実証してしまった。 科学的立場に立ちつつ、因果律を完全肯定することや、完全否定することは、どちらも困難である。

[編集] 歴史

人類は、昔から、過去現在未来というように時間を感じる、時間の流れととらえる認識を素朴に持っている。つまり、因果律の概念を正確に理解しようとすると、人間が素朴に抱いている「時間」という概念(あるいはそう捉える人間の認知システム)の本質についての考察と切り離して考える事はできないのだが、「そもそも時間とは何か」という点についてすらも科学的に明白になっているとはいえず(時間の項も参照のこと)、人類が素朴に抱く因果律という観念の基盤は実は危うい。

人間の因果に関する認識について問題提起を行った哲学者イギリスディヴィッド・ヒュームがいる。彼は普段人間がある物事と物事を結びつけて考える際、先に起こった事が後の事の原因になっていると観察する暗黙の経験則に導かれているに過ぎないのではないかと疑った。つまり蓋然性は必ずしも必然性を意味しないという事であり、連続して起こった偶然錯覚している可能性があるとする。

近世になると機械論的な世界観、因果律の概念は想定されるようになった。

そして、20世紀初期にはアルベルト・アインシュタインによって相対性理論が発表されたが、そこには時空連続体という概念が含まれており、因果律についても新たな観点が与えられる事となった。

20世紀も半ばになると、確率論統計学量子力学も大きな発展をとげ、特に量子力学は、全ての事象は(先行する物理的状態と結びつけることは困難なしかたで)確率的に起きている、ということを実証し、因果律という考え方は後退することになった。

[編集] 逆説、タイムマシンとの関連

また自然法則としての因果律に対する逆説的立場としては、「因果律は絶対的な自然法則ではないが、現在われわれがいるこの世界には、結果的に因果律を成立せしめるような何らかの要素が存在しているため見かけ上そのように見えるのだ」という論理を展開することも不可能では無い[要出典]と述べる人もいる。 (例えば、「超越的な全能の存在」の意志を仮定する。 あるいは我々人間自身が因果律の成立する方向性・・・・つまり「原因」→「結果」という関係性において「時間」というものを認識しているのだとする等により)

なお、[要出典]人間に代表されるような知的生命体が、過去の経験則に基いて予測した「未来に必然的に起こるであろう事象」により現在の行為を変更する、つまり「予測された未来が現在に影響を与える」事は、実際には「未来」は現在の事象に影響を与えておらず、少なくとも科学的な因果律の概念とは関係がない。(「未来予測」ではなく、語義のまま狭義に解釈した場合の「未来予知」の存在を前提とするのであれば別である) また、生物の遺伝法則が、「未来」における自己の遺伝情報存続の可能性を高めるべく現在の戦略を決定するというような事についても同様である。

また、タイムマシンの可能性を否定する根拠として因果律が用いられる場合がある。タイムパラドックスの存在がその根拠とされる。しかし、因果律自体が科学的客観的に証明された事実ではない以上、タイムマシンの存在を否定する根拠として用いるのは不適当である。 ただし、因果律について考察を行う場合には、仮にタイムマシンの存在を仮定してみることが必要不可欠である。

[編集] サイエンス・フィクションにおける因果律

因果律は、サイエンス・フィクション(SF)の分野ではしばしば扱われるテーマである。例えばタイムマシンについてその存在により因果律が破綻することによるパラドックス(タイムパラドックス)がエッセンスとして用いられたり、または、そのようなパラドックスの「発生を防ぐ」という事が物語の主要テーマとして用いられるような例がある。

[編集] 出典

  1. ^ 『哲学・思想 事典』
  2. ^ 『哲学・思想 事典』
  3. ^ 『哲学・思想 事典』
  4. ^ [要出典]あるいは、「非決定論的立場」に立つならば「純粋に偶然に起こる」場合も含む
  5. ^ 因果律は「少なくとも未来の事象を原因としてそれよりも過去の何らかの事象が起こる、という事はない[要出典]」とする考え方。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年9月7日 (月) 19:17 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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