団三郎狸

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河鍋暁斎画『狂斎百図』より「佐渡国同三狸」。人間の商人を相手に金貸しを営む団三郎狸(左上)[1]

団三郎狸(だんざぶろうだぬき)は、新潟県佐渡郡相川町(現・佐渡市)に伝わる化け。佐渡では狸をと呼んでいたことから、団三郎狢(だんざぶろうむじな)ともいう[2]錦絵では同三狸とも表記される[3][4]淡路島芝右衛門狸香川県屋島の禿狸と並び、日本三名狸に数えられている[5]

[編集] 概要

佐渡の狸の総大将[6]。人が夜道を歩いているところに壁のようなものを作り出したり[2]蜃気楼を出したりして人を化かしたり[2]、木の葉を金に見せかけて買物をしていた[2]。自分の住処である穴倉に蜃気楼をかけ、豪華な屋敷に見せかけて人を招き入れたりもした[6]。病気になったときには人に化けて人間の医者にかかっていた[2]

悪さをするばかりでなく、困った人には金を貸していた。その金は人に化けて金山で働いたり、盗んだりして稼いでいたという[6]。また、団三郎の住処は相川町下戸村にあり、借用書に金額、返却日、自分の名を記して判を押して置いておけば、翌日にはその借用書は消え、代りに金が置いてあったという[3]

また、彼が佐渡の狐たちを追い払ったため佐渡には狐がいないともいわれる[7]。佐渡のある伝説によれば以下のようにある。旅好きな団三郎はよく僧に化けて旅をしていたが、越後(現・新潟県本土)から佐渡への帰りに船へ乗ろうとすると、狐がやって来て「佐渡へ連れて行ってください」と頼んだ。団三郎は、化けるのがうまいという狐が佐渡へ渡ればこちらの身が危ういと考え、優しげに「連れて行ってやるが、その姿ではまずい。わしの草履に化けなさい」と行った。狐は言われた通り草履に化け、僧姿の団三郎がそれを履いて船に乗った。やがて船は出港し、海の真っ只中で団三郎は草履を脱いで海に放り込んだ。狐は団三郎の策略を知ったものの既に手遅れで、海の中へと消えていった[8]

またあるとき、団三郎は旅帰りに加賀国(現・石川県)で1匹の狐に会った。狐は団三郎をただの狸と思い込み「自分を佐渡へ連れて行けば、狐の方が狸より格上だと教えてやる」と吹っかけた。そこで団三郎は化け比べを提案し、団三郎が殿様行列に化け、狐が奥女中に化けて殿様に声をかけることにした。団三郎が消えると、殿様行列がやって来た。狐は奥女中に化けて殿様の籠に近づき「なかなかやるな」などとからかった。すると武士たちが「無礼者!」と斬りかかり、狐は慌てて逃げていった。殿様行列は団三郎ではなく本物であり、彼はあらかじめ殿様行列がここを通ることを知っていたのである。こうした団三郎の計略により、それ以後も狐は佐渡に渡ることはなかったという[6]

数多く続いた団三郎の人化かしも、ついに最後のときが訪れた。あるときに団三郎が化かす相手を物色していると、若い農夫がやって来た。団三郎は若い女に化け、具合の悪そうなふりをした。心配して声をかけてきた農夫に「腹痛で一歩も動けない」と答えた。農夫は女を送ろうと背負ったが、もしやこれは団三郎かと直感した。そこで背の女を縄でしばりつけた。「何をなさる?」と慌てる団三郎に「お前さんがずり落ちんように」と答えた。身の危険を感じた団三郎は「もう、降ろして下さい」と必死に頼んだ。「具合が悪いのに、なぜ降りる?」と農夫が降ろさずにいるので、団三郎は「……おしっこがしたいのです」と答えたが、農夫は笑い「あんたのような美しい娘さんのおしっこならぜひ見てみたい。かまわん、わしの背中でしなされ」と一向に降ろさなかった。やがて着いたのは農夫の自宅だった。団三郎が「ここは私の家ではありませんが?」と言うと、農夫は「団三郎、もうお前の正体はわかっている!」と言い、平謝りする団三郎を散々懲らしめた。以来、団三郎が人を化かすことはなくなったという[8]

現在では団三郎は下戸村に二つ岩大明神として祀られ、人々に厚く信仰されている[2][3][9]

[編集] 脚注

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  1. ^ 京極夏彦多田克己編著 『暁斎妖怪百景』 国書刊行会、1998年、46頁。ISBN 4-336-04083-4
  2. ^ 村上健司編著 『妖怪事典』 毎日新聞社、2000年、216頁。ISBN 4-620-31428-5
  3. ^ 『暁斎妖怪百景』 129頁。
  4. ^ 狸の戯日本銀行金融研究所内)
  5. ^ 屋島太三郎狸〈蓑山大明神〉四国霊場第84番 南面山 千光院 屋島寺内) 2008年8月15日閲覧。
  6. ^ 多田克己 『幻想世界の住人たち IV 日本編』 新紀元社、1990年、241-243頁。ISBN 4-915-14644-8
  7. ^ 民俗文化 通巻215号 信楽狸の発生と流行6 -甲賀郡信楽町-怪異・妖怪伝承データベース内)
  8. ^ 浜口一夫・吉沢和夫 『日本の伝説 9 佐渡の伝説』 角川書店、1976年、162-168頁。ISBN 4-047-22009-4
  9. ^ 佐渡のたぬき佐渡テレビジョン内)

最終更新 2008年8月15日 (金) 00:00 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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