国鉄413系・717系電車

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国鉄413系・717系電車
413系100番台(2006年3月31日、富山駅)
413系100番台(2006年3月31日、富山駅
編成 3両編成(2M1T) 413・717-0/100
2両編成(2M) 717-200/900
最高速度 110km/h
最大寸法
(長・幅・高)
20,000 × 2,950 × 4,088 (mm)
軌間 1,067mm
電気方式 直流1.5kV・交流20kV 50/60Hz (413)
交流20kV 50Hz (717-0/100)
交流20kV 60Hz (717-200/900)
主電動機 直流直巻電動機
MT46(100kW)・MT54(120kW)
制御装置 抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁
ブレーキ方式 発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
抑速ブレーキ(717-200/900のみ)

国鉄413系・717系電車(こくてつ413けい・717けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が設計した近郊形電車

いずれも老朽化、陳腐化した交流直流両用急行形電車451系・453系・471系・473系・475系・457系電車の電装品や冷房装置、台車などを再用して車体を新造したもの[1]であり、このうち交直両用車が413系電車、交流専用車が717系電車である。

目次

[編集] 概要

[編集] 登場の背景

国鉄はその末期を迎えた1980年代、多額の債務を抱える赤字経営に加え、サービス水準の低さから社会的な批判が大きく、利用者の視点に立った輸送サービスの改善が強く望まれていた。一方、この頃まで金沢富山あるいは仙台といった交流電化区間の地方都市圏輸送は機関車が牽引する客車列車および急行列車削減により余剰となった457系をはじめとする急行形電車により行われていた。この輸送体系は比較的長編成の列車を少ない運転本数で行う旧態依然としたものであり、都市近郊輸送として乗客のニーズにおよそ合致しないものだった。これに対して国鉄では1984年昭和59年)から1985年(昭和60年)にかけて地方中核都市圏のダイヤ改正を実施し、列車の短編成化によるフリークエンシーの向上と定時隔ダイヤの採用、全電車化によるスピードアップなどの輸送改善を行った。「汽車から電車へ」とも言える改善策は功を奏し、減少傾向にあった乗客数が増加に転じる結果となった。

一方、ダイヤ面での改善は成功を収めたものの、運行車両における設備、とりわけラッシュ時における円滑な乗降では問題が残っていた。列車の短編成化と客車列車の淘汰を行うにあたり419系・715系が投入されたが、この車両は寝台・座席兼用特急形電車581系・583系から改造されたものであり、乗降口は改造前と同じ700mmの折戸形式で、1人が乗降するだけの幅しか持っていなかった。また、以前から使われていた急行形電車もデッキ付きで、いずれもラッシュ時の輸送に適した車両ではなかった。このため、新たな近郊形車両の投入が望まれていた。

このようなニーズに対応できる車両として、幅広のドアを2箇所持ちデッキのない417系1978年)や713系1984年)が一部区間で新製投入されていたものの、国鉄は財政悪化に伴う歳出抑制に迫られており、ごくわずかな投入本数にとどまっていた。

[編集] 急行形車両の車体更新

そこで国鉄では少ない投資で輸送改善を図るため、老朽化した急行形電車から電気機器や台車などの再利用できる機器を活用して劣化、陳腐化の著しい車体部分を新製する「車体更新改造」を行うことになった。改造にあたり、運行路線の状況に応じて改造元車両と同様に交直流両用車としたのが413系電車、交流専用車としたのが717系電車である。前者は北陸本線金沢富山)、後者は常磐線仙台)および九州南部(熊本鹿児島宮崎)向けであり、ともに1986年(昭和61年)に登場した。また、JR移行後も本系列への改造増備が一部で行われた。

新製した車体は、すでに地方都市圏向けに製造されていた417系713系と設計思想を同一とするデッキのない構造で、従来車に比べて幅広の1,300mm幅[2]両開扉(ステップ付)を2か所有しており、車内は扉付近をロングシート、その他をボックスシートとしたセミクロスシート配置となっている[3]。これによりラッシュ時の乗降性を高め、当該区間の近郊輸送に対する改善が図られた。

九州地区配置となった717系200・900番台を除きロングシートのドア寄には寒冷地対策として、アクリル防風板が付いた袖仕切りが、Mc車とM'車の1・4位には雪切り室が設置された。これは、417系の送風機を内蔵するタイプではなく、115系(1000番台)と同じ簡易形である。また戸閉回路は自動・半自動切替式で、417系同様、編成中の任意の運転台から操作が可能である。

運転室415系(500番台)を基本とした貫通型高運転台構造だが、客室との仕切り部分の窓が大きくなっている。戸袋部分のガラスは熱線吸収ガラスとなっており、この部分のカーテンは付けられていない。クロスシートは元車両のシートを、ロングシート[4]廃車発生品を改造して用いている。この他、荷棚も元車両の再用としているため、ロングシート部のつり手の取り付け方法が従来の近郊形と異なる。

重量とコスト低減のため、床板の厚さは70mmから25mm薄い45mmとなり、床面高さが713系同様の1,200mmとなっている[5]。台車中心間距離は、717系200番台・900番台を除き、417系同様に先頭車も含めて13,800mmとなっている。

[編集] 413系

413系(2001年5月27日、黒部駅 - 生地間)

西日本旅客鉄道(JR西日本)金沢総合車両所に所属し、北陸本線で運用される。直江津方からクモハ413形 (Mc) - モハ412形 (M') - クハ412形 (Tc') の3両1編成(B01 - 11編成)で通常は本系列単独で運用される。引き通し線は車体更新時に改造されたためジャンパ連結器はKE96形を1本装備するが、他系列との併結用に先頭車前位にKE76形2本を装備しているため、415系800番台等との編成単位での併結運用は可能である。

種車の471系と473系では主電動機が異なっており、本系列への改造の際にはMT54系に主電動機を統一する計画となっていたが、JR移行後に改造された一部編成では部品需給上の都合で471系のMT46系が流用された。MT46系装備車ものちにMT54系への交換が行われたため、種車による性能差はない。

当初は471・473系全車と近郊形改造の対象から外された475系が改造される予定だったが、クハ455形700番台2両を含む3両編成×11本が出場したところで計画中止となり、最終的に31両のグループとなった。

2007年時点では、当初から準備工事だった先頭車の列車種別表示器のHゴムを廃して溶接仕上げとする工事が進行中である。また通風器は、クモハ413形・クハ412形では全車、モハ412形でも約半数が撤去されている。

[編集] 形式

クモハ413-1 - 10・101
主制御器、第二断流器箱、主抵抗器等の主回路機器と電動空気圧縮機 (CP) を搭載する制御電動車である。
元車両の20kVA電動発電機(MG)は老朽化のため撤去され、Tc'のMGに統合された。種車のAU13E形分散式冷房装置が再用されたが、当車とクハ412形は元車両より1基増設され6基となり能力が増大した。
モハ412-1 - 10・101
パンタグラフや空気遮断器などの特高圧機器と、主変圧器主整流器、交直切替関連機器、第一断流器箱を搭載する中間電動車である。蓄電池も搭載している。主変圧器はポリ塩化ビフェニル(PCB)対策から絶縁油にPCB油不使用のTM20形へ改造時に交換されたため、電源周波数50/60Hz両用車となった。種車のAU72形集中式冷房装置も再用[6]されている。
なお、Mc - M' ユニットは471系を種車としているが、101は473系を種車[7]としたための区分番台であり、改造前後の車両番号の推移を以下に示す。
クモハ471・モハ470-8・5・10・7・13・6・3・15・4・11→クモハ413・モハ412-1 - 10
クモハ473・モハ472-1→クモハ413・モハ412-101
クハ412-1 - 3・5 - 10
米原向きの制御車トイレと水タンク、汚物処理装置を設置。種車の汚物処理装置も再用したため、近郊形では初めて4位側(東海道本線基準で海側)への取付けとなった。MGは冷房専用110kVAのものが制御電源兼用に改造された。
クハ451形を種車とするが、3・8はサハ451形が種車である。
本形式では編成を組むMc - M'ユニットと車両番号を揃えているが、4はクハ455-701と、101もクハ455-702と編成が組成されるため4は欠番、101も存在しない。クハ455-701・702の詳細についてはこちらを参照のこと。
改造前後の車両番号の推移を以下に示す。
クハ451-37・36・サハ451-101・クハ451-32・40・34・サハ451-1・クハ451-35・38→クハ412-1 - 3・5 - 10

[編集] 717系

仙台地区と南九州地区に投入された交流専用車である。運用線区、種車の違いから車両番号が区分されている。

[編集] 0・100番台

717系0・100番台(2007年11月4日、仙台駅) 717系0・100番台の車内
717系0・100番台(2007年11月4日、仙台駅)
717系0・100番台の車内

仙台地区に投入された車両である。クモハ717形 (Mc) - モハ716形 (M') - クハ716形 (Tc') の3両編成10本、計30両が製作された。引き通し線は車体更新時に改造されたため、ジャンパ連結器はKE96形を1本装備する他、先頭車前位にKE76形2本を装備しているため、従来車との編成単位での併結運用は可能であり、実際に455・457系との併結運用があった[8]

仙台電車区(現在の仙台車両センター)に在籍し、編成番号はT-1~5、T-101~105と付けられていた。415系電車(1500番台)や、E721系電車への置き換えにより、2006年から2008年にかけて順次、廃車された。

2007年11月10日に定期運用を終了した。主に常磐線で普通列車として運用されていた。水戸から仙台まで広範囲で運用されていたが、末期は原ノ町と仙台の間で運用された。東北本線での運用実績もわずかにあり、南は福島、北は小牛田まで入線している。

[編集] 形式

クモハ717-1 - 5・101 - 105
モハ716-1 - 5・101 - 105
クモハ717形はクモハ413形、モハ716形はモハ412形に相当する交流専用形式であり、453系を種車とする車両は主抵抗器と転換器箱が相違するため、100番台に区分されている。
Mc - M' ユニットの改造前後の車両番号の推移を以下に示す。
クモハ451・モハ450-12・4・3・11・1→クモハ717・モハ716-1 - 5
クモハ453・モハ452-14・17・3・10・7→クモハ717・モハ716-101 - 105
クハ716-1 - 10
クハ716形は元車両がクハ451形1形式のみのため、100番台に連結される車両も0番台となっている。
MGは冷房専用110kVAのものが制御電源兼用に改造された。
クハ451-8・4・23・3・5・11・1・15・6・19→クハ716-1 - 10

[編集] 200・900番台

717系200番台(2003年8月 西鹿児島駅にて)
717系900番台 クモハ717-901(2008年7月4日、大分駅)
717系900番台 クモハ717-901車内

九州旅客鉄道(JR九州)鹿児島総合車両所に在籍し、200番台はHK201 - 207、900番台はHK901の編成番号を持つ。

200番台は暖地向けの車両で、車体は713系をベースとしており、雪切り室は装備せず主電動機用冷却風は各車とも後位戸袋上部より採風する方式となっている。台車中心間距離も713系同様14,000mmであり、0・100番台や413系・417系とは異なっている。また、クモハ717形 (Mc) +クモハ716形 (Mc') の2両編成であるため、床下にMG搭載スペースがないことから、サービス用電源はMGではなく主変圧器の3次巻線から供給する方式が採用され、冷房装置も713系用に開発された交流専用のAU710形集中式が搭載された。トイレはクモハ717形に設置されている。引き通し線は、457系等との併結運用を考慮して回路変更は行われず、ジャンパ連結器も種車同様のKE76形を3本装備している。

主に鹿児島本線川内駅 - 鹿児島駅間と日豊本線鹿児島駅 - 延岡間で運用されている。全編成とも車内収受式ワンマン運転対応改造が施工されている。

[編集] 形式

クモハ717・716-201 - 207・901
200番台は、475系を種車に改造されたグループで分割民営化後に改造された205 - は、戸袋窓が廃止されクロスシート設置数も少ないなどの差異がある。全編成とも側面の行先表示器は当初準備工事とされた。
クモハ717・716-901は、1994年に日豊本線鹿児島地区の列車遅延改善のため[9]457系の電動車ユニットを改造したもので、車体は種車のものを利用し、車両中央部に両開きドアを新設した片側3扉構造とされたのが特徴である。また、クモハ716-901の運転台はクハ455-601からの廃車流用品である[9]
クモハ475・モハ474-4・7・8・39・13・23・28→クモハ717・716-201 - 207
クモハ457・モハ456-14→クモハ717・716-901

[編集] 参考文献

  • 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル
    • No.232(1986年)佐藤芳彦 「413系交直流電車/717系交流電車」
  • 電気車研究会『鉄道ピクトリアル
    • No.465(1986年)野元 浩「413系、717系近郊形電車」
    • No.788(2007年)「特集:451~475系電車」

[編集] 脚注

  1. ^ 一部に従来の車体を利用して改造したものがある。
  2. ^ ただし半自動扱時の取っ手が付いているので実際の開口幅は1,100mmとなっている。
  3. ^ ただし、トイレの前のみは2名分のクロスシートである。
  4. ^ クハ716形一部車両のロングシートは座り心地と着座姿勢の改善を図ったバケットシート風の「ブリッジシート」を試験的に用いた。結果は良好で、後に東日本旅客鉄道(JR東日本)では107系113系・115系ロングシート改造車に採用している。
  5. ^ 種車の床面高さは1,225mmで、417系も同様である。
  6. ^ 室内側は平天井構造となり、この中にダクトが収まり見付が良くなった。
  7. ^ 473系は Mc - M' ユニット1組のみの存在であったため、413系への改造により形式消滅した。
  8. ^ 717系と併結した際には455・457系に装備されている抑速ブレーキは使用不能となった。
  9. ^ 『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、2007年4月。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
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最終更新 2009年10月1日 (木) 06:10 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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