国鉄EF10形電気機関車

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EF10 35。前後にデッキを備えた国鉄旧型電気機関車の典型例。関門トンネル向けのステンレス外板車体仕様である。九州鉄道記念館にて2007年1月19日撮影
形式図(EF10 1-16)
形式図(EF10 17)
形式図(EF10 30-33)

EF10形は、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省貨物列車牽引用に1934年から製造した直流電気機関車である。

目次

[編集] 概要

鉄道省は大正時代末期から欧米の輸入電気機関車を導入し、その実績を元に1928年、旅客列車用の大型機関車EF52形を国産開発したが、これが好成績を収めたことから、1932年にはその改良型として東海道本線の優等列車牽引を考慮した大型高速旅客機関車EF53形を開発していた。

しかし、本線貨物列車用の大型機関車国産化は遅れ、専ら輸入機関車によって貨物列車を運行していた。このため、それらを代替すべく、EF53の設計を基本にその派生形として開発されたのが本形式である。

モーター[1]や単位スイッチ制御器などの基本機構はEF53形のシステムを踏襲したが、歯車比を牽引力重視の低速形に変更し、最高速度が低いことから先・従台車も旅客機関車のような2軸式ではなく、より簡素な1軸式のLT112・113となっている。従って軸配置は1C-C1となった。

当時としては大型の機関車であり、東海道本線の電化区間で貨物列車牽引に用いられたほか、勾配線の中央本線上越線水上 - 石打間では旅客列車牽引にも充当された。量産は1942年まで続き、戦前形の国鉄電気機関車としては最多の合計41両が製造された。以降の増備は、基本設計は共通ながら主電動機を変更し出力増強を図ったEF12形に移行している。また、上越線(水上 - 石打間)と中央本線向けとしてEF10形に回生ブレーキを追加した設計のEF11形4両が作られている。

長期量産によって形態にも変化が生じ、当時の鉄道省における電気機関車向けのテストベッド的技術導入の対象にもなった。

16号機まではEF53形に準じリベット組立されて角張った車体を持ち、1938・39年製の17号機から24号機は前年登場のEF11形4号機に酷似した丸みの強い溶接構造の半流線型車体、25号機以降はEF56形後期形に準じた簡素な角形溶接車体となっている。

また台車形状も製造時期により変化しており、大半は旧型電気機関車で一般的な棒台枠構造のHT56であったが、一部に住友金属工業製一体鋳鋼台車のHT57(17・20 - 24)・58(30 - 33)を装着したものがあった。大型の一体鋳鋼台車は剛性は高かったものの、現場での台車搭載機器の整備性に難があり、製造できるメーカーも住友に限られたことから、当時は大量制式化には至っていない。

[編集] 関門トンネル対策車と外板のステンレス改造

25号機以降は1942年に完成した下関駅 - 門司駅間の関門トンネル電化区間への投入を前提に製造された。更に太平洋戦争末期は本州 - 九州間の物資輸送の要衝であることから、輸送力の確保と強化のため、当時在籍した本形式の過半数が同区間に投入された。

関門トンネル区間での重連運用を予定していた25号機以降は、その利便を考慮して当初から重連用ジャンパ付きで竣工した。既存の22 - 24号機も門司機関区転属後に追加で取り付けられている。しかし、実際には当時の技術では空転検出が難しく、運転しにくい等の不便が指摘され、あまり活用されずに終わった。

海底トンネル特有の現象として、海水が漏水してくることで、車体や内部機器、パンタグラフ回り等に塩害を被る機が続出し、現場はその対処に追われた。また海峡中央部から地上へ出るまでの勾配では漏水で濡れた軌道によって空転も起きやすく、EF10各機には最大5t程度の死重を積載して粘着力を増加させるなどの対策が加えられている。

車体の抜本的な防錆措置として、戦後1953年以降、24・27・35・37・41の各機が骨組みはそのまま、外板をステンレスに張り替える改造を受けている。ステンレス合金を機関車の車体外板に採用した事例としては日本最初であった。ステンレス外板化された5両のうち4両は他の機関車と同じように標準のぶどう色に塗装されたが、24号機のみ銀色のまま無塗装で異彩を放った。

1961年鹿児島本線九州地区が交流電化されたことから、関門トンネル用機関車も門司駅構内の交流電化区間を走行可能な交直両用のEF30に置き換えられることになった。直流専用のEF10形は撤退し、新鶴見・沼津・稲沢第二・吹田第二の各機関区に転属し、東海道本線などで使用された。無塗装であった24号機も、新鶴見機関区へ転属した直後に塗装されている。

[編集] 末期

1970年頃までは東海道本線などの主要幹線で貨物列車用として運用されたが、より強力な新型機関車の増備に伴い、徐々に本線運用から撤退するようになる。一方、先輪付きで軸重が軽いことを活かして、身延線飯田線など支線区での貨物列車牽引に充当されるようになった。

1975年以降老朽廃車が始まり、最終的には飯田線南部に集結して運用されていたが、後継形式であるED62形の増備で淘汰が進み、1983年に故障と補修部品の入手難で31号機が長期休車を経て廃車になったのを最後に形式消滅となった。

[編集] 保存

関門トンネルで運用されたステンレス外板車のうちの1両、35号機は1978年に豊橋機関区で廃車となった後に北九州市に寄贈され、門司区の大里不老公園に保存された。2003年に修復の上、新しく開館した九州鉄道記念館に移され静態保存されており、これが本形式で唯一の現存機となっている[2]。動態保存機は無い。

[編集] 主要諸元

  • 全長:18380mm
  • 全幅:2810mm
  • 全高:3940mm
  • 重量:97.52t
  • 電気方式:直流1500V
  • 軸配置:1C+C1
  • 1時間定格出力:1350kW
  • 主電動機:MT28

[編集] 脚注

  1. ^ MT28。端子電圧675V時定格出力225kW。
  2. ^ 但し、車体の窓には、現役時代とは異なる太枠の窓枠が取り付けられており、原型を大きく損ねている。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月29日 (日) 12:54 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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