大麻
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大麻(たいま)ないしマリファナ (Marijuana[1]) は、アサの花・茎・葉を乾燥させ、細かく切り刻み、調理または燃やすなどして発生した煙を吸引して使用する薬理作用のある植物であり、嗜好品や医療薬として用いられている。
マリフアナはメキシコ・スペイン語で「安い煙草」を意味する。これは大麻の繁殖力が強く、野草として自生していたために安価に手に入ったことからメキシコでこの呼称が一般的になり、これがアメリカへと伝わって世界中にマリファナという呼称が定着した。日本ではさらに使用者の間では草・葉っぱ・緑・ガンジャとも言う。
日本において衣類、紐(ひも)、縄(なわ)、神道における神社の注連縄、相撲の化粧まわしなど、歴史的に使われてきた繊維としての大麻はアサ、医療薬としての大麻は医療大麻により詳しい記述がある。
目次 |
[編集] 概要
薬理作用のある植物であり、日本では大麻取締法による規制を受ける麻薬(痲薬)[2]の一種に分類されている。日本では、無許可所持は最高刑が懲役5年、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪である。
イギリスの薬物乱用防止法[3]では薬物の危険度順(ABC)に分類[4]し、大麻はクラスBに分類されている(2009年1月よりクラスCから再度格上げ[5])。オランダのあへん法においては、ソフトドラッグの区分に分類されている。世界ドーピング防止規程[6]では、興奮剤やヘロイン等の麻薬と共に大麻の主成分であるカンナビノイドをスポーツ競技会における禁止薬物としており、アルコールと共にカンナビノイドが特定物質[7]とされている。長野オリンピックのスノーボードの試合で金メダルを獲得したロス・レバグリアティ (w:en:Ross Rebagliati)がドーピング検査の結果大麻の陽性反応が出たため、メダルが剥奪されかけたが、オリンピックの時点では、まだ大麻を吸っていなかったことなどから、最終的に処分は取り消されている。
アサの葉及び花冠に含まれるテトラヒドロカンナビノール (THC) や他の物質は、カンナビノイド受容体に作用し陶酔作用を引き起こす。アサの成分は品種によって大きく異なり、THC以外に含まれる成分のバランスによって効果に違いが生じる。特に、ラマルクにより命名された亜種のインドアサ (C.indica Lam) は2000年以上前から中央アジアで品種改良され、一般的な大麻より多くの陶酔成分を含むので一般に嗜好品としての大麻と言えばこのインド麻を指す。また、インドやジャマイカなどではガンジャ(神の草の意)と呼ばれる。嗜好品としてだけでなく日常的な労働の中でも用いられる[8]。ただし、大麻を含め麻薬は当地でも違法であり、厳重に処罰される[9]。しかし、特に最近インドでは大麻やハシシの所持や密輸未遂などで逮捕される日本人が増加している[10]。
産業用のアサは、陶酔成分が生成されないよう改良された品種が用いられる。また、品種が同じでも産業用と嗜好用とでは栽培方式が異なる。前者は縦に伸ばすために密集して露地に植えられる方式が主であるが、後者は枝を横に伸ばすために室内栽培が多い。そのため嗜好目的のためのアサを産業的栽培だと偽って栽培するのは困難である。また、大麻成分の研究が目的の場合、合成のカンナビノイドが使用されるため、栽培はされない。法規制により、人体による実験や研究は不可能であるが、動物を使った研究が日本国内でも行われ、主に九州大学薬学部、北陸大学薬学部、福岡大学薬学部などが大麻の研究を行っている。[要出典]
[編集] 歴史
大麻の薬や嗜好品としての歴史は長く、中国で2700年前にシャーマンが薬理作用を目的としたとされる大麻が発見されている[11]。後漢の頃に成立したとされる中国最古の薬物学書「神農本草経」には薬草として使われていたことが記されている。歴史の父と呼ばれるヘロドトスは、『歴史』において、紀元前450年のスキタイ人やトラキア人は大麻を吸っていたと伝え、70年にはローマの医学治療として大麻の使用が言及された。アラビアと中東では900年から1100年にかけて大麻の喫煙習慣が広まった。アメリカ大陸においては、1549年にアンゴラの奴隷がブラジル東北部での砂糖のプランテーションで砂糖とともに大麻を栽培し、喫煙していた。アメリカ大陸のスペイン領やイギリス領でも大麻の栽培は行われ、特にメキシコでは大麻使用が大衆化した。ヨーロッパでは、嗜好品としての大麻は1798年のナポレオン・ボナパルトによるエジプト遠征によってエジプトから伝えられ、1843年にはパリで「ハシッシュ吸飲者倶楽部」が設立、1870年にギリシアで大麻使用が全土に普及した。また、イギリスの上流階級の間にも広がり、ヴィクトリア女王が生理痛の緩和に使っていたとされる。薬用としては腹痛や発熱、不眠症や結核患者に使われた。その後、ほとんどの欧州諸国で非合法化されてきたが、1976年にオランダで寛容政策が行われ、コーヒーショップやユースセンターでの大麻販売を認めた。日本では1886年に印度大麻草として日本薬局方に記載され、1951年の第5改正日本薬局方まで収載されていた。また、庶民の間でも痛み止めや食用として戦後に規制されるまで使用されていた。日本における嗜好目的での使用は第二次世界大戦後のアメリカ進駐軍から広まったとされている。
アメリカ合衆国においては、1840年に医薬調合品として大麻の利用が可能になり、1842年から1890年代まで処方される薬の上位にあった。嗜好品としてはオスマントルコ帝国のスルタンであるアブデュルハミト2世が伝えたとされ、1876年の独立100周年を記念するフィラデルフィア万国博覧会のオスマントルコ帝国のパビリオンでは大麻の吸引が行われた。その後、アメリカ北部で大麻を吸引できる店が開店し、上流階級や地位のあるビジネスマンがお忍びで通った。禁酒法時代にはクラブなどの公共の場で酒の代わりとして振る舞われていた。しかし、1915年-1927年には南西部州を中心に医療目的以外の大麻使用が州法で非合法化され始め、禁酒法の廃止や治安悪化、人種差別や移民問題[12]、合成繊維の普及と相まって、1937年に連邦法によって非合法化された。1960年代にはヒッピー・ムーブメントで大麻使用が大衆化され、ベトナム戦争で大麻を吸うアメリカ兵士が急増した。現在では州法での医療大麻の使用が可能になった州もあるが、連邦法との板挟み状態にあり、医療目的で大麻を使用する患者や老人、薬局などが逮捕や強制捜査を受けるなどのグレーゾーンであったが、2009年2月に医療大麻に対する取り締まりが終結された[13]。
宗教面では、前1200-前800年にはバラモン教の聖典「ヴェーダ」から医薬や儀式、シヴァ神への奉納物として使用されたと記されている。その他には前600年のゾロアスター教の経典「アヴェスター」では麻酔薬・鎮静剤として言及され、500年-600年にはユダヤのタルムードにおいても大麻の使用が記載されている。また、日本の神道とも関わりが深く、穢れを祓う紙垂(しで)は古くは麻の枝葉や麻布であったとされるし、神職がお祓いに使う大幣(おおぬさ)は大麻とも書き、麻の糸を使用していた[14]。ほかにお盆の迎え火や[15]正月の護摩焚きで麻が燃やされるなど、神事、仏事に広く利用されていた。
[編集] 種類
嗜好品としての大麻は、以下の3種類に分類されている。なお、この種類の節では『2006年世界薬物報告』の統計データを用いている。
[編集] 乾燥大麻(マリファナ)
花穂や葉を乾燥させた大麻加工品を乾燥大麻という。大麻の葉をリーフ、花穂をバッズ、無受精の雌花の花穂をシンセミア(種無し)という。乾燥大麻は、嗜好品としての大麻の最も一般的な加工方法であり、世界で押収された大麻のうち79%が乾燥大麻である[16]。バッズのTHC及びカンナビジオール含有率は、他の部位に比べて高く、シンセミアにおける含有率は更に高い。市場で流通する乾燥大麻のTHC含有率は大麻の品種改良や栽培技法の確立により年々上昇している。
また、良質のシンセミアを確実に得たいという思う愛好者の要望に応じるため、栽培業者は巧妙な交配を行って雌株の発芽率を高めた種子を販売している。このような種子をフェミナイズド・シード (feminised seeds) といい、種子製造メーカーによっては雌株発芽率が100%だと標榜している品もある。
[編集] 大麻樹脂(ハシシ)
花穂や葉から取れる樹液を圧縮して固形状の樹脂にした大麻加工品を大麻樹脂という。ハッシッシ、ハシシ、ハシシュ (hashish) 、チョコ、チャラスとも呼ばれる。ハシシの製法は大きく分けて、手もみ(チャラス)、ポリネーター(ポーリン)、アイソレーターがある。世界における消費地は主に西ヨーロッパであり、世界における大麻樹脂の74%はここで押収されている[16]。また、モロッコが大麻樹脂の最大生産国である[16]。
[編集] 液体大麻(ハシシオイル)
乾燥大麻や樹脂を溶剤で溶かし抽出した大麻加工品を液体大麻という。ハシシオイル、ハッシュオイル、ハニーオイルとも呼ばれる。溶剤には、アルコールや油、石油エーテル、ブタンなどが用いられる。THCを抽出するためTHC含有率が高く、溶剤にもよるが50%を超える場合もある。日本の行政は一般に液体大麻と呼称するが、形状は溶剤により様々ある。
[編集] 摂取方法
大麻は主に以下の方法で摂取される。なお大麻の使用を推奨するものではない。
- パイプ(煙管様の喫煙具)で摂取する方法
- もっともシンプルな摂取方法で、古くから行われているという。パイプは木、金属、ガラス、陶器などの素材で作られており、様々な形状を持つ。中には装飾的な意匠の品もあり、これらを好みに応じて使い分けたり、コレクションとして収集する愛好者もいる。
- インドではチラムと呼ばれる棒状のパイプがある。
- ジョイントで摂取する方法
- 乾燥大麻または大麻樹脂を煙草の巻紙に巻いたものに点火して吸う。
- 地域や好みによって異なるが、紙で巻くときに乾燥大麻にタバコの葉を混ぜることがある。これはハシシ(大麻樹脂)が主流だった時の名残で、ハシシだけでは火の点きが悪いため、タバコの葉を用いることでこの問題を解消していたからである。
- 巻紙に巻く手間がかかること、有効成分が散逸しやすいのと、煙が直接体内に入るため一酸化炭素・タール・シアン化物などの有害な成分による健康被害を受けやすいという欠点がある。
- ジョイントを好む愛好者は、どの巻紙を使うかという点にそれぞれの趣味を持っている。また、吸いたい時にさっと巻けることがスマートだと認識されており、その手法についても各人のこだわりが現れている。
- ボング(水パイプ)で摂取する方法
- ボングと呼ばれる喫煙具を使うと煙をいったん水に通すことで喉あたりがよくなる。水を通すことで煙の有害物質が除去されると思われがちだが、実際には煙草のフィルターのような有害化学物質を取り除く力はほとんどない。ジョイントよりも効率よくTHCなどの有効成分を摂取することができる。
- ボングには様々な形状のものがあり、好みのものを買い求めたり自作するなど副次的な趣味を形成している。手のひらに乗るくらいコンパクトなものから、一輪差しの花瓶や理科の実験で使うフラスコに似た形状のもの、それよりも大きくビアジョッキ程度の大きさのもの、さらに大きなものでボングの高さが80cmに及ぶものがある。
- 小さなボングは携帯性を重視しており、ハンドバッグに入れて持ち歩くことができるようになっている。大きなボングは吸引時に勢いよく煙を立てることができ、迫力を楽しむことができる。大きなボングには複数の吸い口が取り付けられ、複数人で一つの大麻を摂取することができるようになっているものがあり、親近感を深める意味合いで用いられる。
- ヴェポライザー(気化器)で摂取する方法
- ヴェポライザーと呼ばれる喫煙具は大麻を燃やさず有効成分のみを気化させた蒸気を直接または袋に溜めて吸引する器具である。通常はTHCの気化する約170℃まで熱して蒸気を発生させる。調理用オーブン用に遥かに高い温度でも安全を保障する耐熱ラップや耐熱フィルムが開発されているためこういった素材を使った製品では過剰に熱したりより多くの成分を吸引しようとして長時間熱してもプラスチックやビニール素材からくる有害成分は発生しない。
- またタールやタバコを混ぜた場合のニコチン等、植物繊維を燃やすことによる有害成分も全く発生させないので、医療目的に使用されているほか、タバコを吸えない愛好家にも好んで使われている。オランダのコーヒーショップなどでもヴェポライザはあまり普及していないが、一般的になりつつある。
- 調理して摂取する方法
- 菓子の材料に加えたり、バターや食用油やアルコールに溶かし、調理して食べることで大麻を摂取することができる。
- 大麻で作られた菓子はスペースケーキと呼ばれ喫煙と同様の酩酊作用を持つ。またインドには大麻の搾り汁をヨーグルトで割ったバング・ラッシーという飲み物がある。
- ヴェポライザーと同じようにタールによる害を避けられ、医療目的での摂取に重宝されている。しかし、調理方法や使用する大麻の量と質によって効き目が変わり、遅れて作用が得られるため、適量の判断が難しいという欠点がある。
- その他の方法
- 大麻樹脂を溶剤で溶かして、煙草に混ぜたり、煙草の紙に塗りつけたりして吸う
- この方法に用いられる大麻樹脂の抽出物はハニー、オイルと呼ばれる。
- 大麻成分の抽出物をカプセルや錠剤、スプレーなどで経口摂取する場合もある。
[編集] 人体への影響
詳細は「大麻による健康問題」を参照
多くの国において大麻使用は違法とされており、患者が医師に自身の大麻使用を告白することは稀であり、大麻による急性疾患でも大麻のせいと評価されないことは少なくない。そのため、大麻による影響がみられる症例数は、常に過小評価されることを考慮しなければならない。 このような違法性に基づく情報の不正確さのため、大麻の急性の影響に関する疫学調査は現在は存在せず、学術論文の多くは症例報告にとどまる。 これは、大麻の急性中毒の一部の重篤な症状は知られている[要出典]が、それらがどんな頻度で起こっているかについて、知見が乏しいことを意味する。
[編集] 社会的意見
1997年のWHOによる「カナビス:公衆衛生上の観点と調査事項 Cannabis:a health perspective and research agenda」[17]と題する大麻に関する報告がある。
大麻は低用量・中用量では交感神経系が優位になり、頻脈、心拍出量増加、血圧増加を起こす。 高用量では逆に副交感神経系が優位になって、徐脈と血圧低下を起こす。 さらに虚血性心疾患を起こし、わずかな労作で狭心症症状を示す頻度が増える。 これは危険な症状であり、突然の危険もある。 正常な心臓を持った人にも、血管攣縮による心筋梗塞を起こすことも報告されている[18]。
また、大麻使用の直後に、一過性脳虚血発作や脳卒中を起こした複数の若者の症例も報告されており、これは大麻以外の他原因による可能性が除外された症例である[19]。
イギリスでは政府が「スカンク」と呼ばれるTHCが30%を超える高効力の大麻が蔓延し、深刻な精神病に陥ると主張しているが、押収されたスカンクのTHCの平均含有率は14%であり、20%を超えたのは全体の4%のみで、30%を超えるスカンクは無かった[20]。アメリカの薬物乱用予防教育(DARE)は「現在の大麻は30年前(1970年代)と比べて効力(THCの含有量)が20倍に増している。」と指摘しているが、2007年のホワイトハウス麻薬撲滅対策室(ONDCP)の発表では大麻の効力は20年で2倍程度増えたとしている[21]。また、ヨーロッパ麻薬監視センター(EMCDDA)の報告では効力の強い大麻が健康被害リスクを増やすとことを示す証拠はなく、個人や社会,公共の秩序又は犯罪行為など全体において効力の強い大麻が普通の大麻よりもリスクが大きいということはないとしている[22]。
日本においては財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が大麻の有害性を主張しているが、その主張は薬物標本の説明書の翻訳であり、医学的根拠が定かではない[23]。
[編集] 踏み石論
詳細は「ゲートウェイドラッグ」を参照
日本において大麻を取り締まる大きな理由とされることの一つに、いったん大麻を使うと他のドラッグをも使用するようになり、他の薬物への入り口となるという意見がある。近年、欧米の政府機関により、この理論についての再考察が盛んに行われている。
- 2005年のイギリス国会下院科学技術委員会の報告書は、様々なドラッグやゲートウェイ理論に関して幅広く考察しているが、この中で、イギリス国立薬物乱用センターのストラング博士は、「(大麻をゲートウェイとする同じ論旨では)小学校に行くことはヘロイン中毒患者になるゲートウェイですが、そこに何らかのつながりを見出そうとは誰も思わないでしょう。」と語っている。また、薬物乱用諮問委員会会長の マイケル・ローリンズ卿は「若い頃のニコチンやアルコールの使用は、続く薬物の乱用に対してカナビスに比べはるかに広い入り口である。」と語っている。同報告書は、「われわれには大麻のゲートウェイ理論を支持するいかなる証拠も発見できなかった。」と結論付けている[24]。
- 2006年に発表された、米国国立ドラッグ乱用研究所(NIDA)がピッツバーグ大学に委託をし行った研究では、224人の少年を対象に10才または12才から22才になるまでの10年間あまりを追跡調査をしている。その結果、「ドラッグ乱用を進める順序について、特定のドラッグが起点になっていることも、また決まったドラッグの次になっていることもない」 と結論付けている。この研究は、元来ゲートウェイ理論を唱えていた機関が研究の目論見と正反対の結果を見出し発表したことで注目された。[25]
- 2006年に発表されたワシントン医科大学他による、大麻や他のドラッグを使用している4000人を越えるオーストラリアの双子を対象にした大規模な研究でも、長期間の追跡調査の結果、大麻に他のドラッグの使用を引き起こすような順序関係はないと結論を出している。また、仮に何らかのゲートウエイ効果があったとしても、それは 「大麻が法規制されているため、ユーザーをブラック・マーケットのディラーと結びつけ、そのディラーが他の違法ドラッグの供給源になる」 ためだとしている。事実、コーヒーショップでの大麻の販売を認めたオランダでは、ヘロイン使用者数は減少傾向となっている。[26]
- 2006年のヨーロッパ・ドラッグ監視センター (EMCDDA) の報告[27]では、ドラッグの多重使用について主に使用しているドラッグ別に使用者をグループ分けをして分析した結果、大麻を主なドラッグとしたグループは他のドラッグを使うこと自体が極端に少ないことが示された。もっともこの報告書には、そもそもゲートウェイ理論という考え方自体記載されていない。ヨーロッパ全体の約3割の人々が過去に大麻を経験しており、若年層への蔓延もあいまって大麻常用者が年々増加しているものの、エクスタシー以外の他のドラッグ使用率は横ばいか下降傾向にあることが同報告により示されており、ゲートウェイ理論という考え方自体無意味であることが読み取れる。
- この他、近年のアメリカ医学研究所 の報告書やオーストラリアの研究[28]、オランダの研究でもゲートウェイ理論は否定されている。[29]大麻が置かれている法的立場がこうしたゲートウェイになっているとの見解がある[30]。また、これらの研究に先立つ1997年のWHOの報告書でも、大麻使用者の大半は他の非合法な向精神薬の使用へと進まないとしている[17]。
以上の各国の政府機関による報告書などのように、近年はゲートウェイ理論を否定する報告が相次いでいる。ゲートウェイ理論は、1950年代にアメリカの麻薬取締り機関が広めた考えであり、それを支持する研究としては以下のようなものがある。
- 1997年のコロンビア大学薬物中毒・乱用センターの研究では大麻使用者でコカインを使ったことのある人の割合(17%)をコカイン使用者で大麻未経験の人の割合(0.2%)で割って算出した結果、大麻使用者がコカインを使用する確率は85倍であるとしている[31]。しかし、この算出方法には問題があるとする意見がある[32]。
- アメリカ麻薬取締局 (DEA) が、ウェブサイト等で行っている主張では、大麻使用者がコカインを使用する確率は通常の104倍[33]であるとし、大麻をゲートウェイドラッグと位置づけている。DEAのこの主張の引用元は、国立ドラッグ乱用研究所 (NIDA)が、上記同研究所による最新の研究より30年前の1975年に行った研究を元にした記述[34]であるが、そこには104倍という具体的な数字はなく「非常に大きい (much greater) 」と書かれている。
このほか、近年ゲートウェイ理論を否定した上記研究機関が70年代~90年代に行った研究にも同様にゲートウェイ理論を裏付けているとするものがあり、ゲートウェイ理論を論じる場合には、同機関による最新の研究が存在するかどうかに留意する必要がある。
[編集] 医学的見地
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大麻の致死量は、カンナビノイドの含有量が品種によって違うため断定出来ないが、急性中毒による死亡はまずないと言われており、過剰摂取による死亡例の報告は無い。しかし、大麻の吸引は燃焼時のタールによって慢性的な気管支炎、癌などの原因となる。精神的な害としては統合失調症、鬱、パラノイアなどの精神障害があるとされ、これらを総称して大麻精神病と呼ぶが、大麻精神病という疾患単位は確立していない。また、WHOは「大麻精神病」という疾患は明確に定義されていないのが実情であり、さらに推定される症状も統合失調症など他のすでにある精神疾患と判別がつかないため、大麻精神病を確認するには研究による証拠の提出が必要となるとしている[17]。
全米科学アカデミー医学研究所は煙による害を別にすれば、カナビス使用による副作用は他の医薬品で許容されている副作用の範囲内にあるとしている[35]。またイギリスの研究団体(en:Beckley Foundation)も「大麻は精神及び身体を含む健康問題で良くない場合があるが、相対的な害では、それはアルコールかタバコより極めて害が少ない。[36]」としている[37][38]。
[編集] 障害の診断
大麻中毒の救急外来での一次スクリーニング検査は、THCを尿検体で測定するものである。大麻による障害は、WHO国際疾病分類第10版ICD-10の「大麻類使用による精神および行動の障害」 (F-12) で診断される。2004年に行われた全国調査[39]では、日本で大麻を主要乱用薬物として精神科的治療を受けている患者17人(15人に他の薬物の使用歴があった[40])は、6割(10人)が精神病(ICD-10 F-12.5, F12.7など)、3割(5人)が依存症 (ICD-10 F-12.2) と診断され、1割(3人)が入院治療を受けている。
[編集] 急性期
一過性のリラックス・多幸感・五感変化など、知覚変容がもたらされる。
大麻摂取による身体的な作用として、頻脈、血圧の変化、眼球内の余分な圧力の緩和、気管支拡張、嘔吐反応の抑制、目の充血、眠気、喉の渇きと食欲の増加などがある。精神的な作用としては陶酔や聴覚、触感、味覚の変化がある。
大麻による酩酊状態でも支離滅裂な言動はなく、意思決定能力に影響はでない[41]。また交通事故の危険性については、イギリス交通研究所が運転シミュレーターを使った反応時間の実験では携帯メールの作成で35%、アルコール(法的容認内)を飲んだ状態で21%、大麻喫煙で12%低下するという結果であった[42]。
大麻の過剰摂取や恐怖感や罪悪感、不安感、ストレスなどにより、バッドトリップと呼ばれる嫌悪反応が起こることがあり、一過性の抑うつ・離人感・被害妄想などのパニック障害がある[43]。バッドトリップは主に適量や扱いが分からない未経験者が陥りやすく、対処法としてはリラックスできる環境に移り、安静にすることが良いとされている。またオランダのコーヒーショップでは砂糖水を飲ませ落ち着かせるのが一般的である。
イギリス[44]やカナダ[30]、アメリカ[35][45][46]などの調査や研究では大麻が暴力や攻撃性、非行などの主因となるという事は否定されている。また、臨床研究でも大麻による陶酔が敵対心を増加させる兆候は見い出されていない[47]。
[編集] 離脱期
大麻の離脱症状は、アルコールやオピオイドほど激しくはないが、長期常用した場合の離脱期には体重減少・睡眠障害・異常な夢などが起こる。
大麻の離脱症状が見られる頻度、大麻中止後の中期・長期にわたる離脱症状についてはよくわかっていない。 また、大麻使用者に離脱症状がどのような頻度で現れるかについての研究は存在しない。
精神面での離脱症状には、イライラや易刺激性、易怒性が見られる[48][49]。また、攻撃性の亢進も観察されることがあり[50]、さらに抑うつ、疲労、頻繁なあくびなどが見られたとの報告もある[51]。
離人症性障害とフラッシュバックは少数の症例のみ報告されているだけで、大麻が関連しているかどうかの医学的根拠はない[17]。
[編集] 慢性期
慢性的な影響の中で最も顕著なのは、精神面に対するものであるとされている。
[編集] 精神病
詳細は「大麻精神病」を参照
常用者はもちろん、週1回以下の時たまの吸引でも、離人感・パラノイド・現実感喪失などの、バッドトリップ(嫌悪反応)と呼ばれる急性症状を起こすことがある[52]。 また、統合失調症などの精神病の危険因子であるとされている。
2003年秋までの253本の論文をまとめたスウェーデン政府の報告書では、大麻は違法薬物の中では精神疾患との関連が強く、様々な精神疾患を発症するリスクは、ヘロインよりもはるかに高いとしている[53]。日本では、主として大麻で全国の精神科有床医療施設で治療を受けている者の17人[40]のうち10人は、精神病との診断を受けている[39]。
行われた7つの疫学研究を総合することで、大麻常用者は精神病発症リスクが2.9倍と見積もられている[54]。また、若年者の大麻摂取は精神病発症のリスクを増大させると指摘されている[55][56]。現在知られる害の中では、依存症をはじめとする精神疾患の発病・悪化が最大と思われ、因果関係は不明だが大麻乱用の多い英国の精神科集中治療室の患者の多くは、大麻使用者である[57]。が、入院患者の多くがアルコールなどの精神病の起因となりうる他のドラッグも併用している[58]。
2005年のニュージーランドの研究では、1265人を対象に25年間のアンケート(精神病の診断は行わなかった。)による追跡調査を行った。これを統計的に分析した結果、精神病的症状を発症するリスクは1.6~1.8倍であるとしている[59]。しかし、大麻を時折しか使用しない人の大多数は、永続的な身体的・精神的障害を受けることはない[60]。
2008年11月に精神医学イギリスジャーナルで掲載された論文[61]では15000件以上の文献を収集し、その中から選別された13件の長期研究の検証を行った。その結果、大麻と精神病との因果関係が不明瞭なままであり、また交絡因子の調整も不十分であるとして、「大麻と精神病との関連性は信頼性に乏しい。」と結論付けている[62]。
うつ病に関しては、大麻がうつ病のリスクを増さないという報告[63]と増すという報告[64]がある。後者では、若い女性に対し、大麻成分カンナビノール(THC)の摂取量が大きくなるにつれて、うつ状態に陥るリスクを有意に高めたが、前者では大麻成分カナビジオール(CBD)がうつ病のリスクを回避し改善されることが追認されている。成人4400人を対象にした調査で、大麻使用者のほうがうつ病になりにくいという調査結果[65]がある。また、大麻成分のドロナビノールによるうつ病の治療(ドロナビノール治療)を受けた患者の80%が改善されたと報告された[66]。
[編集] 統合失調症
イギリス医学ジャーナルのオランダの研究とスウェーデンの研究、ニュージーランドの研究をレビューしたニューサイエンティスト誌の論説では、統合失調症患者の13%が大麻精神病としている[67]。スウェーデンの研究では大麻が統合失調症を引き起こす原因になるという因果モデルを前提に、調査結果を考慮して人口全体の大麻経験率が50%で、統合失調症のリスクが30%増えると仮定した場合、統合失調症患者の13%は大麻精神病とする仮説を唱えている。
一方、2006年1月にイギリス薬物乱用諮問委員会が「大麻で統合失調症までは起こりにくい」との報告書[68]を公表。同年3月にイギリス保健省が「統合失調症全患者約4万人に対して大麻に関連した患者はごく少数」と報告[69]した。また、オックスフォードでの研究報告では大麻使用が統合失調症に発展する生涯リスクは最悪でも1%以内であることを示している[70]。大麻を常用していても統合失調症のような疾患にまで発展する人は5000人に1人の割合であり、過去30年間の間に大麻使用者数が増えているにも関わらず、統合失調症患者の数は減少している[71]。
2008年1月に発表されたデンマーク・オルフス大学病院の研究[72]では、大麻精神病とされ治療をうけた609人と、統合失調症やそれに関連する病状で治療をうけた6476人の家族歴を比較した結果、親や兄弟など第一度近親者で統合失調症になった人のいる割合は、どちらのグループでも変わりはなく、統合失調症の発症率は大麻の使用には関係がなく、元来統合失調症であるか、なりやすい人が大麻を吸った場合、当初大麻精神病と診断され、その後統合失調症となるとしている。
[編集] 免疫機能への影響
現在、大麻の免疫系に対する影響は不明瞭であり、大麻の使用が免疫系のT細胞やB細胞の機能を僅かに断続的に混乱させるとする研究はあるが、他の多くの研究では正常値を示している[35]。
1974年に行われた研究で大麻使用者の免疫機能低下がみられた[73]が、多数の追試実験では再現することは出来なかった[74]。動物実験ではリスザルに人間が通常摂取する、およそ1000倍の量に相当する100mg/kgのTHCを1日に投与した結果、ヘルペスが増加したと報告されている[75]。
[編集] 生殖能力への影響
1974年に発表された男性の長期大麻常用者を対象とした研究では男性ホルモンの一種であるテストステロンが44%も減少し、性機能が低下して精液に異常が見られたと報告されている[76]。が、他の研究ではテストステロンの減少を再現できていない[77]。1日にジョイント20本の喫煙を30日間強制させた実験では僅かに精液の濃度が低下した[78]が、結果は正常範囲内であり、生殖力に影響することはないとされている。
女性の大麻使用はプロラクチンの分泌低下を招き、月経異常などの症状がある。一方、研究段階であるが、カリフォルニア大学によって不妊治療への効果の可能性が見つかっている。[要出典]また、動物実験では大量にTHCを投与した場合にホルモンが変化し排卵が抑制され、投与を中止した場合に正常化されたとする研究報告がある[79]。別の実験ではメス猿に対して1年間のTHC投与で耐性が形成され正常な排卵周期に回復している[80]。
[編集] 妊婦・胎児への影響
1984年に大麻の有害成分は胎児にも影響を及ぼし、胎児の大麻中毒や流産、死産の原因にもなり、妊娠時の大麻喫煙による胎児への害の調査報告がなされている[81]が、母体の加齢,タバコ,アルコールなどの交絡因子を考慮した場合、大麻との関連性の統計的有意性を失うことが指適されている[82][83][84]。また多くの研究では大麻による悪影響を見出していない[85][86][87][88][89][90]
ジャマイカで行われたフィールド調査では妊娠時に大麻をお茶にして飲んでいることが多かった母親とそうでない母親の乳児を比較した結果、差異は見出されなかった[35]。
[編集] 脳への影響
初期の研究には重度の大麻使用者の脳に構造的変化が見つかったと主張するものもあるが、それ以降の先進的な研究では再現されたことはない[35]。
器質的には、17歳以下からの大麻常用で、大脳は灰白質の割合が小さくなることが報告されている[91]。これに対して、ネイサン・クライン精神医学研究所とニューヨーク大学医学部のMRI装置を使って、18歳以下の被験者を対象とした研究では「脳萎縮症や大脳白質全体の発育不足などが起こるという証拠はない。」としている[92]。ハーバード大学医学部[93]などの別のMRI研究でも大麻使用者と非使用者の違いは見られなかった[94]。
1980年の動物実験では大麻の使用でリスザルの海馬や扁桃体周辺のシナプスなどに微小な構造変化が見られた[95]が、追認されておらず、1991年の研究ではリスザルに1日にジョイント4-5本相当の煙を1年に亘って強制的に吸引させたが、海馬や細胞、シナピスなどの変化は見出せていない[96]。
オハイオ州立大学の研究では大麻の特定成分が老人の脳の炎症を減らすだけではなく、新しい脳細胞の生成を促す可能性があるとしている[97]。また、大麻成分のカナビノイドがアルツハイマー病の症状を緩和し病気の進行を抑える役割があることが分かっている[98]。
[編集] 認知機能への影響
大麻の使用は注意力、学習力、記憶力などに影響を与えるとされており、慢性的な認知障害を大麻痴呆症としているが、科学的根拠はなく、多くの研究では慢性的な認知機能への影響を見出せていない[99][100][101][102]。また大麻によって過去の学習記憶が損なわれることがないとする研究報告がある[103][104][105]。
2002年の臨床実験では大麻の使用は知能指数に長期的にネガティブな影響を与えないとしている[106]。fMRIを使った研究では、大麻使用者の脳における作業記憶域と注意選択域を非使用者と比較したが、長期的損傷があることを見出せず、脳機能パターン全般においても何らかの違いはなかった[107]。双生児比較法を用いた研究でも認知能力には長期大麻使用による顕著な後遺症は見られなかった[108]。
[編集] 無動機症候群
倦怠感による生産性の低下、注意力欠乏といった症状を無動機症候群としているが明確な定義はない。
大麻によって無動機症候群が発症するとされているが、重度な大麻使用が原因で無動機症候群が見られたとするケースでも、大麻の使用と無動機症候群との因果関係を示す説得力のあるデータはない[35]。
高校生を対象とした調査では大麻使用者と非使用者との平均点の違いはほとんど見られず[109]、大学生を対象にした調査でも大麻使用者のほうが非使用者よりも成績がよいことが判明[110]し、ほとんど同じように学業を達成している[111]。実験研究においては大麻には学習や成績・意欲に目立った悪影響は何もなく[112]、大麻を与えた被験者のほうが対照群よりも長時間働き、研究の終了時にも同等の得点を獲得している[113]。南カリフォルニア大学[114]やスイス[115]、フランス[116]の研究でも同様に大麻使用者と非使用者と比べても無気力になったり成績悪化や非行行動を起こすといったことは見られなかった。
[編集] 発ガン性
フランスの消費者情報誌 60millions-magazine が行った研究によると、大麻の最も一般的な消費方法である「ジョイント(紙巻大麻)」として消費する場合、吸引される煙に含まれる有害化学物質は、通常のフィルター煙草(実験ではマールボロ赤箱と比較)の約7倍であるという調査結果[117]がある。つまり、ジョイント(紙巻大麻)3本で煙草20本分という計算になる。これはフィルターを通さないことでタールなどの有害物質を直接摂取してしまうことが要因としてあり、煙草と同じような吸い方で大麻を吸った場合にはタール量は変わらない事が示されている[118]。また、大麻と癌の因果関係は疫学・臨床研究は少ない為、確証には至っていないが、大麻の長期常用は煙草の煙と同程度に気管支や上皮細胞が前ガン状態になりやすいとしている。また、煙草と大麻の併用が慢性閉塞性肺疾患の症状が悪化することが示されている[119]。
大麻は依存性が低く、少量で十分な効果を得ることが可能であるため、煙草のように長期間にわたって毎日のように終日何本も吸うことは非常に稀であり、大麻の月間消費量はジョイント平均18.7本である[120][121]。これに対してタバコ喫煙者はタバコを1日に平均15~20本[122]をほぼ1年中繰り返して吸うため、タバコ喫煙者の方が消費量が多い[35]。実際に大麻喫煙者が被る害は、1日の一般的な消費量(煙草20本、ジョイント1~2本[123])で比較して、煙草の1/3ほどということになる。
カリフォルニア大学の主導で行われた研究では「長期的に大麻を常用していても肺ガンになるような関係を全く見出すことはできなかった。」としている。また年間のジョイント消費量が10~30本の大麻使用者に限ると逆相関関係にあることが示された。これに対してタバコ使用者の場合は肺ガンの発病リスクが20倍になるとしている[124]。別の研究でも口腔ガンと上気道ガンも大麻との関連性は無いとしている[125][126]。
大麻成分のカナビノイドには抗ガン作用と生物の活性や反応を刺激し煙の発ガン作用を抑制してガンの発生を誘発する不安定なフリー・ラジカルの生成に関連する免疫システムの暴走が起こらないようにする働きがある[127][128]。これに対して、タバコの煙に含まれるニコチンはガン細胞の成長を促進し、細胞に血液を供給する働きが知られている[129][130]。
[編集] 毒性
メルクマニュアルによれば、吸引した場合のΔ9-THCのLD50(テストしたラットの内、50%に対して致死量)は、体重比にして42 mg/kgである[131]。経口で摂取する場合、雄ラットのLD50は1270 mg/kgであり、雌ラットは730 mg/kgである[132]。経口で致死的な過剰摂取状態に陥るには、カンナビノイド受容体を飽和させる量の40,000倍の量の大麻が必要である[133]。大麻の過剰摂取によって、死亡したり、恒久的な損傷を被ったとする報告は現在までにない。
- LD50の比較
- アルコールの経口投与 LD50:若年ラットでは10600 mg/kg、成長したラットでは7060 mg/kg[134]
- ニコチンの経口投与 LD50:ラットでは50 mg/kg[135]。
- 食卓塩の経口投与 LD50:ラットでは3000 mg/kg[136]
- カフェインの経口投与 LD50:ラットでは192 mg/kg[137]
- THC(大麻が作用を及ぼす原因物質)の経口投与 LD50:ラットでは1270 mg/kg
[編集] 依存形成
各研究報告では、薬物の依存性を以下のように報告し、大麻の依存性は低いとしている。
依存性薬物の特性[138](1963年)
| 依存薬物 | 精神依存 | 身体依存 | 耐性獲得 |
|---|---|---|---|
| ヘロイン | 強 | 強 | 強 |
| アルコール | 強 | 中 | 中 |
| アンフェタミン | 強 | 無 | 強から中 |
| コカイン | 強 | 無 | 無 |
| 幻覚薬 | 弱 | 無 | 中 |
| たばこ | 強 | 無 | 強 |
| 大麻 | 中 | 無 | 弱 |
使用人口に対する依存症になった人の割合[35](1999年)
| 依存薬物 | 身体依存 |
|---|---|
| たばこ | 32% |
| ヘロイン | 23% |
| コカイン | 17% |
| アルコール | 15% |
| 抗不安剤(鎮痛剤や睡眠剤を含む) | 9% |
| 大麻 | 9% |
薬物依存症の重症度評価尺度[139](2004年)
| 依存薬物 | 指標(最大15) |
|---|---|
| ヘロイン | 12.9 |
| アンフェタミン | 6.1 |
| コカイン | 5.5 |
| LSD | 3.1 |
| 大麻 | 2.6 |
| エクスタシー | 1.3 |
アメリカ国立薬物乱用研究所(NIDA)の評価[140](1994年)
| 依存薬物 | 依存性 | 禁断性 | 耐性 | 切望感 | 陶酔性 |
|---|---|---|---|---|---|
| ニコチン | 6 | 4 | 5 | 3 | 2 |
| ヘロイン | 5 | 5 | 6 | 5 | 5 |
| コカイン | 4 | 3 | 3 | 6 | 4 |
| アルコール | 3 | 6 | 4 | 4 | 6 |
| カフェイン | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
| 大麻 | 1 | 1 | 1 | 2 | 3 |
1999年のカナダで行われた研究では、大麻の依存症は他の薬物に比べて高くはなくタバコ、アルコール、ヘロインより弱いとされている[141]。また、国境なき医師団の創設者として知られるフランスの医者で政治家のベルナール・クシュネルは、ピエール・ベルナール・ロック博士の監修の下、1998年に政府報告をまとめ、中毒性と神経毒性によってドラッグのクラス分けを行った。結果、最も中毒性が高く、かつ致命的なクラスとして、ヘロイン、コカイン、アルコール。中間クラスとして、ベンゾジアゼピン、ハルシノゲン(当時における幻覚剤の総称)、タバコ、大麻を最も危険性の低いクラスとした。
疫学的には、1994年のECA Studyで米国北部で調査された2万人のうち4.4%が大麻を常用し、その約5分の3が大麻依存状態であるとしている[142]。
1994年に改定された精神医学の診断指針である 『精神障害の診断と統計の手引き』第四版により、薬物依存症の概念は変革を迎えた[16]。第四版における薬物依存の診断には、身体依存を必要とせず、既存の依存の考え方を改定する物であり、それ以前までは、薬物依存の定義は確立していなかった[16][143]。これにもとづく新たな依存(精神依存)の考え方のもとで大麻の依存は研究されることとなり、大麻が依存を起こすことの実験的証明は、主に2000年代に入って行われるようになった。
[編集] 退薬症候群
2001年に行われた大麻を過去6ヶ月間、最低1ヶ月に25日・1日平均3.3回使用している重度常用者12人[144]に大麻摂取を断たせた研究[145]では、劇的な身体症状は診られず、アルコールや阿片の禁断症状よりも軽いとしておきながらも、総合的に食欲が落ち、睡眠障害、そわそわ・いらいら、攻撃性亢進といったニコチンの禁断症状と同様の気分障害が見られ、大麻摂取でそれらは消失し、禁断症状発症率は、95%信頼区間で78%以上であった。これらのことや他の複数の研究[146][147][148]から、大麻常用者は実験的に高率に禁断症状を発症しうると考えられている。また、2008年1月に大麻(最低1ヶ月25日以上常用)とタバコ(最低1日10本以上常用)を常用している12人を対象にし、5日間かけて行った研究[149]では、大麻とタバコの併用者で大麻使用を断った場合は睡眠障害が多く、タバコの中断では不安や攻撃性亢などの気分障害が多く見られた。
大麻の禁断症状は外見で分かるような症状は極めて稀であり、長期常用者に限られている。また、アルコールやヘロインなどの身体的に顕著な禁断症状を伴う薬物に比べて「穏やかで期間も短く、一旦止めたユーザーが再び始めようとする誘惑もあまり起こらない」[35]としている。これは、ヘロインやアルコールなどの禁断症状の起こりやすいドラッグでは数時間から数日で代謝物が体外に排出されるのに対して、大麻の代謝物の場合は排出されるのに数週間かかることも関係していると言われている。また、大麻による禁断症状が稀であるために治療方法が確立していないが、近年の研究でリチウムを使った治療方法が有力視されている[150][151][152]。
[編集] 薬物検査(ドラッグテスト)
大麻の検査方法は尿・血液・毛髪・唾液と4つの検査方法がある。主には尿検査で行われることが多く、大麻成分の検出期間は使用頻度に比例して、最低で48から72時間、最大で12週間は検出可能とされている。また、簡易検査(スクリーニング・テスト)と精密検査がある。簡易検査では扱いが容易で安価な酵素増倍免疫測定法(EMIT)が用いられ、陽性闘値は50ng/mlと高く設けられている。精密検査ではガスクロマトグラフィーと質量分析 (GCMS) による検査が1日から数日間掛けて行われ、陽性闘値は15ng/mlと低い数値でも陽性と判断することが可能である。大麻陽性反応は医薬品のドロナビノール(マリノール)を服用していた場合でも出る。
アメリカでは、連邦政府が強制的な実施指導方針を職場の薬物検査に設けており、検査の実施場所や担当係員、実施方法などについて詳細に定めている[153]。現在、日本では薬物検査の方法に対して法律などによる規定はない。
近年、尿の簡易検査薬の大半が誤って陽性反応を示すなどの欠陥が指摘されている[154]。
[編集] 日本の状況
- 概要
日本では数多くの通称、隠語が存在し、一般的なマリファナ、ガンジャの呼称のほかに、葉っぱなどと呼ばれる。
大麻の繊維としての利用は、日用品(衣類)、神事(注連縄)、漁具(魚網、舫)、と広範囲で使われており、
日本国内で栽培される大麻のほとんどが栃木県産で、その用途は主に麻布であり、トチギシロ(栃木白)という改良品種である。この品種はTHCをほとんど含んでいないとされている。栃木県はトチギシロの種子の県外持ち出しを禁止している。麻の特産品として美濃麻、木曾麻、岡地苧、鹿沼麻、雫石麻、上州苧などがある。
現在でも雑草に混じって普通に自生している。だが野生のものであっても違法であるので、葉1枚であっても許可無く採取すると違法行為にあたる。警察は大麻が自生している土地の所有者に除草を呼びかけているが、大麻はまさに雑草の如く自生力が強く広範囲に自生し焼却するにも燃料のコストと失火の危険が伴うことから完全な根絶は難しいのが現状である。また、大麻は北海道に限らず、日本各地に自生しており、毎年、各地域の保健所や自治体によって自生大麻の刈り取りなどの撲滅活動を行っている。その弊害としてアサカミキリといった昆虫が環境省の準絶滅危惧種に指定されるなどの生態系に影響を及ぼしている。
- 第二次世界大戦以前
日本に於いての麻はかつて、繊維素材の他、種を食用にしたりと、種を蒔けば勝手に自生し肥料や間引きなどの手間の掛からない一年草で「農作物としての」大麻は一部の小作農にとって主要な収入源であった。過去、北海道で大麻は軍需品の一つとして栽培されていた。歳入財源のため、1873年に明治政府はビール、ワインの造酒、(北海道の気候・風土あった) 小麦、蚕製糸、亜麻とともに大麻の作付けを、屯田兵による北海道開拓事業の一環として行った。1887年に北海道製麻株式会社(後の帝国製麻株式会社)が設立。明治時代にはぜんそくの治療品として「ぜんそくたばこ印度大麻草」名で販売されてもいた。
戦後、GHQの政策により法律の中に大麻栽培の罰則が設けられる。(当時の)アメリカにおける大麻吸引禍の問題を、そのまま日本の法律に盛り込んだが麻の栽培で副収入を得ていた小作農は猛反発し、アメリカでの大麻吸引による社会的問題に至るまでの経緯など知りえなかった日本政府は小作農からの突き上げと、GHQによる突然の達しに板ばさみになり第7回衆議院厚生委員会において答弁に窮する場面もみられた。その後、綿やジュート、化学製品が広く流通、商品販売されるにつれ麻繊維の需要は急激に落ち込み、戦後の食料難という事情も重なり麻の栽培は、ほぼ途絶える事になる。
現在においても「大麻吸引でアルコール売り上げ低下を危惧する酒造メーカーのロビー活動で大麻取締法は守られている」という説があるが、大麻は吸引できる嗜好品という習慣などなかった日本において、当時日本全国で自生していた大麻が煙草の代用品となることもなかった。人々が飛びついたのは「バクダン」と呼ばれるメチルアルコールを使った密造酒で、多量、長期の飲酒による副作用で失明、死亡した者が続出した。
大麻吸引を持ち込んだのは在日米軍基地で働いていたジャズ奏者やMPなどで、その者らの間で嗜好されていたものが徐々に日本人の間にも伝播した。
敗戦後の好景気を経てアメリカでのヒッピームーヴメントに触発される形で日本でフォークミュージックが流行。理念としての戦争反対、世界平和の機運が盛り上がる最中、反戦ツールの一つとして大麻吸引が流行として広がり、大麻の吸引、所持、販売で逮捕、検挙が増えるにつれ社会問題として扱われるようになる。
- 現在
違法とされる現在でも、無免許栽培や違法販売、外国からの密輸入は途絶えておらず。機材があれば室内での栽培が可能になった事により警察の取り締まりにも限界が出てきたが、ファッションや好奇心による大麻吸引は取り締まりの目を逃れて続いており、それと同時に新聞紙面を賑わす有名人の逮捕も後を絶たない。
[編集] 乱用問題
近年、興味本位等安易な動機により大麻吸引目的での栽培に至る例が後を絶たない。 
| 大麻 | 覚せい剤 | 向精神薬 | あへん | |
|---|---|---|---|---|
| 平成15年 | 2,772件(2,032人) | 20,129件(14,624人) | 952件(465人) | 84件(50人) |
| 平成16年 | 3,018件(2,209人) | 17,699件(12,220人) | 1,156件(560人) | 80件(59人) |
| 平成17年 | 2,831件(1,941人) | 19,999件(13,346人) | 1,154件(504人) | 31件(12人) |
| 平成18年 | 3,252件(2,288人) | 17,226件(11,606人) | 1,133件(519人) | 50件(27人) |
| 平成19年 | 3,282件(2,271人) | 16,929件(12,009人) | 1,088件(469人) | 57件(41人) |
| 平成20年 | 3,832件(2,778人) | 15,840件(11,041人) | 1,106件(493人) | 19件(14人) |
[編集] 学校
2007年には関東学院大学ラグビー部学生寮において同部員による種子(原産地は不明)からの栽培が摘発され、2名の逮捕・起訴者に加え、部員計12名が書類送検となる前代未聞の不祥事が起きた(ただし起訴された2名を除き、吸引のみの部員12名は不起訴処分。)
[編集] 相撲界
角界においても2008年に大麻問題が起こった。8月にロシア出身の若ノ鵬が大麻所持で逮捕され、9月には麻薬の簡易検査[157](陽性闘値50ng/ml)で同じロシア出身の露鵬、白露山の2人と日本人力士の1人から大麻の疑陽性反応が出た。露鵬と白露山は精密検査(陽性闘値15ng/ml)においても陽性反応が出たため、解雇処分となった。日本人力士は3回目の簡易検査において陰性反応が出たため、その検体(尿)や検査結果などの資料を破棄。精密検査を受けることはなく、処分は無かった[158]。これらのことを受け、日本相撲協会では薬物検査により、大麻陽性の力士は解雇処分にする方針を執っている[159]。これに対して、検査方法の不備と受動喫煙や飲食物に混入されて無意識に摂取してしまった場合などに不考慮であるとして、この動きを懸念する意見もある[160][161]。2009年には1月に若麒麟が知人と共に逮捕されている。日本人力士の摘発はこの事案が初である。
[編集] 自衛隊
一部の自衛官にも大麻が蔓延している。2007年2月9日には陸上自衛隊第1普通科連隊で、2008年11月には第2師団で、2009年2月には海上自衛隊大湊地方隊(基地業務隊)で、自衛官の大麻所持が発覚し逮捕された。
[編集] その他
2008年には、群馬県のレイブパーティーにおいて、大麻や合成麻薬などで15人の逮捕者が出た[162][163]。また、大学生の間で大麻を所持して逮捕される例が相次ぎ、年間で2,778人が検挙され、その90.6%が初犯であった[156]。
[編集] 乱用の背景
大麻事犯増加の背景として大麻の栽培が簡易である事や大麻は古くから日本各地で栽培され、野生化していたうえに、旧日本軍が第二次世界大戦前より軍需品生産を目的として長野県や北海道などで生産を推奨したため、第二次世界大戦後の大麻取締法の制定後も、北海道[164]、長野、東北地方などに自生している。そのため、行政が駆除してるが生命力が強く、駆除は困難である。特に、北海道では行政主導の撲滅運動を行っている。これら野生化した地域では違法取引価格が他の地域より安価であることにより、大麻事犯の増加の一因と指摘されている[要出典]。そのほかにインターネットで栽培方法を知ったり、ネット通販で大麻の種も含む栽培用具が買えたりなどで栽培の敷居が低くなったとの要因も挙げられる。
また、覚せい剤事犯の減少によって取り締まりの矛先が大麻事犯へ向けられていることが大麻事犯の検挙数増加の一因となっているという見方がある[165]。
2008年、乾燥大麻の押収量389.9kgのうち73.9kgは密輸入されたものである。乾燥大麻の仕出地は南アフリカからの密輸入量の33.9kgが最も多く、密輸入事犯(47件)の仕出地ではアメリカの13件に次いでタイの9件が多くなっている[156]。
2008年に出版社・コアマガジンが、大麻栽培方法を紹介した雑誌を出版し、問題となった。東京都は同年3月に、都の青少年健全育成条例に基づき、この雑誌を、18歳未満が閲覧できない『有害図書』に指定、同社に対しても処分を行ったが、同社はその後も、同年12月に類似した内容の雑誌を出版した。都は再び厳重注意としたが、「これ以上の対応は取れない」として、流通そのものの禁止には踏み切れておらず、問題の雑誌は、東京都の指導後もインターネットなどで流通していたが[166]、現在は廃刊となっている。
[編集] 法規制
[編集] 日本における法規制
| この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
日本では、大麻は大麻取締法による規制を受ける。大麻があへん同様、麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)とは別の法律で規制されているのは、不法製造者の職種が異なり、取締りの完璧を期するためである[167]。ただし、麻薬及び向精神薬取締法においては、大麻の慢性中毒を、他の麻薬の慢性中毒と同じく麻薬中毒といい、同様に扱っている。さらに、麻薬特例法においても、規制薬物と規定されている。
[編集] 規制対象
日本の大麻取締法は、大麻を「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」と規定している(同法1条)。
種の学名「カンナビス・サティヴァ・エル (Cannabis sativa L.)」を用いて定義しているため、亜種ないし品種である、サティヴァ種 (Cannabis sativa subsp. sativa var. sativa)・インディカ種 (Cannabis sativa subsp. indica)・ルデラリス種 (Cannabis sativa subsp. sativa var. spontanea) すべてが、規制対象となる。アサ科アサ属(カンナビス属)の植物は、カンナビス・サティヴァ・エル1種のみであるので、大麻取締法1条にいう「大麻草(カンナビス・サティヴァ・エル)」とは、カンナビス属に属する植物すべてを含む[168]。
大麻種子は調味料や鳥の餌などで普及しており、規制が難しく取り締まりの対象とされていない。関税法では発芽防止の熱処理されていない大麻種子は輸入規制されている。また大麻の吸引自体は、法律違反ではない。これは揮発した大麻成分を自然摂取してしまう麻農家や同法制定までは麻が燃やされていた護摩炊き、お盆の迎え火や野焼きなどによる受動喫煙、飲食物に混入されてしまった場合などを考慮したものであるとされる。
[編集] 免許制
大麻取締法により、大麻(大麻草及び大麻製品)の所持・栽培・輸出入は、免許制となっている。すなわち、繊維若しくは種子を採取する目的で大麻草を栽培しようとする場合は都道府県知事の大麻栽培者免許が必要であり、研究目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用しようとする場合は大麻研究者免許が必要である(同法2条、3条)。また、免許を受けた大麻研究者が大麻を輸出又は輸入しようとするときは、厚生労働大臣の許可が必要である(同法4条1項1号)。
日本では大麻栽培に免許制度を採用しており、産業的栽培は法的に可能である。しかし、厚生労働省は新規の免許交付については、たんに農作物として出荷する目的での栽培を認めるわけではなく、「その栽培目的が伝統文化の継承や一般に使用されている生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合」に限るとしており[169] 、事実上、ほとんど認めない方針を取っている。
[編集] 罰則
無免許ないし無許可で栽培又は輸出入をした場合は、7年以下の懲役が科せられる(同法24条1項)。営利目的の場合は10年以下の懲役(又は情状によりこれに300万円以下の罰金が併科される)である(同条2項)。大麻の不法所持、譲渡・譲受けは5年以下の懲役である(同法24条の2第1項)。営利目的の場合は7年以下の懲役(又は情状によりこれに200万円以下の罰金が併科される)である(同条2項)[170]。
大麻の栽培又は輸出入については予備罪も処罰され(同法24条の4)、栽培、輸出入、所持、譲渡・譲受けともに未遂も処罰される(同法24条3項、24条の2第3項)。さらに犯人が所有し又は所持する大麻は没収(必要的没収)されるほか(同法24条の5第1項)、大麻の運搬に使用された艦船、航空機又は車両は没収(任意的没収)することができるとされる(同条2項)。
大麻の所持や栽培について、少量所持であっても最低刑を懲役刑と定めているのはG8各国中で日本だけである[171]。
昭和27年から29年にかけて占領法制の再検討、行政事務の整理簡素化という趣旨で法令整理が行われたときには大麻取締法の廃止が検討されたが、見送られることになった経緯がある[172]。
[編集] コントロールド・デリバリー
麻薬特例法(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)にはコントロールド・デリバリー(制御下配送、いわゆる「泳がせ捜査」)の規定があり、大麻の輸出入をしようとした場合、税関で判明しても即座に検挙せずにいったん通関させ、配送先・配送元の情報を入手したり、組織的な薬物取引を一斉検挙することが行われている。
[編集] 大麻規制に対する賛否
大きく二分でき、「現状の大麻に対する規制に賛成する人・現状より強化することを求める人々」と「現状の規制の緩和・撤廃を求める人々」がいる。
- 規制維持・強化を求める人々
- 規制維持・強化を求める人々は行政機関や教育関係者、就学児童の保護者、大麻の害を懸念する立場の医療関係者、大麻の使用に倫理的な問題があると考える人が主になっている。
- 主張
- 規制維持・強化を求める人々の多くは、大麻と覚醒剤などのハードドラッグを分類する必要性を感じていない。これは、現行法である薬物四法(麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、覚せい剤取締法、あへん法)の存在を基本とする立場からすれば自然な帰結ではある。
- 彼らは、大麻が社会の安全を損ねることや、大麻自体に重大な保健衛生上の問題があることから、大麻の規制緩和・撤廃に反対している。
- 彼らは、大麻が生産国の反政府ゲリラやテロ組織、暴力団の資金源となることを理由として挙げている。
- 規制緩和・撤廃派のソフトドラッグ・ハードドラッグの分類論を背景とした「ソフトドラッグである大麻の規制を緩和・撤廃することにより、ハードドラッグの使用者減少のメリットを訴える主張」に対し、彼らは、そもそも日本とオランダ(ソフトドラッグ分類論発祥の国)やEUでは薬物汚染人口が全く異なるので、ソフトドラッグ理論は当てはまらないとの反論をする。また、仮にその理論を日本に当てはめるとしても、(薬物汚染が比較的進んでいない)日本の現状を踏まえれば、大麻の使用が薬物使用の入り口となりハードドラッグ(覚醒剤など)の使用へとつながる可能性があるとして反論する(詳しくは、ゲートウェイドラッグを参照)。
- 各自治体では、大麻使用を戒めるポスターの配布や学校への巡回講演を行って、特にドラッグの誘惑を受けやすい児童に対して、この危険性を訴えている。ポスターは学校に限らず、住居地区の掲示板、駅、公共施設、娯楽施設、商業施設など人目に付く所の多くに掲示されている。
- 規制緩和・撤廃を求める人々
- 規制緩和・撤廃を求める人々には、規制が緩和されている国・地域に渡航し実際に大麻を摂取し、その結果をよいものと捉えた人々が含まれている(補足:国外犯も、大麻取締法24条の8により違法行為である)。また、違法に大麻を所持している者、使用している者も含まれる。かつてのヒッピー文化やある種のアンダーグラウンドなサブカルチャーに属する人も関連している(俗に、ファッション感覚・ファッション大麻)。大麻を医療用として用いることを目的としている病人や医師、薬学者など、産業用資源として大麻に注目する農業関係者、エコロジー製品関係者も含まれている。また、大麻が害が比較的低いと考えてる立場の者は、医療的価値もあるものに対して、一切の使用を認めず刑事罰を科す事は倫理的に問題があると考える者がいる。
- 主張
- 規制緩和・撤廃を求める人々の多くは、大麻と覚醒剤などのハードドラッグを分け、覚醒剤などのハードドラッグの規制を認めている。両者を区別する考え方は、オランダの薬物政策から引用されたものである。
- 彼らは、頻繁に「規制を緩和させた一部国家の、一部地域の法令」や「海外における一部の研究機関での肯定的な研究結果」を引用する。しかし、海外と日本との安直な比較は、必ずしも正確ではないことに注意が必要である。例えば、頻繁に引用されるEU各国の現状では、大麻の生涯使用者(今までに1回でも使用したことのある人)が7100万人で、欧州人口の22%にのぼっている(2008年度EMCDDA調査より[173])。つまり、日本とEUとでは薬物汚染の進行具合が異なり、そのような背景を考慮することなくEUの法令や研究データを引用することには無理があるとして批判を受ける。
- 彼らは、「大麻を合法化することが暴力団などの非社会的組織の大麻による資金源を断ち、そうした組織との接触がなくなることでハードドラッグの蔓延を防ぐ」とも主張する。しかし、ハードドラッグという概念自体が、オランダの薬物政策から輸入されたものであり、そもそもハードドラッグ・ソフトドラッグという分類をせざる負えなかったオランダの政策事情と、日本における薬物汚染の程度を比較・考慮すると、この理論が的を射ていないとの批判を受ける。
- 彼らは許容を求める理由として、同じく人体に対する有害性があるのに国内法で合法として扱われるタバコや酒との比較を用いる。
- 彼らは、大麻の医薬的有効性も併せて主張する。ただ、これは医療大麻の問題であり、趣味快楽嗜好を目的とした麻薬の問題とは切り離して考えるべき問題である(詳しくは医療大麻の項参照。)。医療大麻としての有効性を示す証拠は、肯定的な報告と否定的な報告が入り混じっている。規制緩和・撤廃を求める人々は、科学的で客観的な調査研究を行った上で、論争に合理的な決着をつけることを望んでいる。しかし、日本国内では所持自体が大麻取締法により違法行為であり、医療大麻に関して研究自体が許されない状況にある。海外では、一部研究機関において臨床試験を含む科学的な研究が行われている[174][175][176][177]。海外では、規制側がそのような客観的な基礎データの蓄積に繋がる研究すらも行わせないような圧力をかけてきた経緯がある[178]
- 規制緩和派は草の根的なネットワークを通じ、印刷物の配布、学習会、メールマガジン、イベントの開催などを行い、大麻と他のドラッグが違うことを訴え、処罰の軽減や制限付きでの所持許可を求めている。
[編集] 各国・地域の大麻政策
1990年、国連総会決議45/179に基づき設置された国連薬物犯罪事務所(UNODC)と、その機関の国連薬物統制計画(UNDCP)によって大麻は不正薬物に指定されており、国際的に問題視されている。
今日では、多くの国が大麻に関して原則的に規制をする法律を規定している。これらの法律は、国連の麻薬に関する国際3条約(1961年「麻薬に関する単一条約」/1971年「向精神薬に関する条約」/1988年「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」)を批准するに先立ち、国内法を整備するものでどの国でも同程度の規制を整えている(北朝鮮でさえ2007年に同3条約を批准している)。ただし、条約批准国の中には、一部の国の一部地区において、使用形態・使用用途などを絞って、例外的に許可される場合が存在する。
[編集] アメリカ合衆国
- アメリカ合衆国議会が定める連邦法の規制物質法では、少量の所持であっても違法である。大麻は規制物質法の中で、「スケジュールI」に分類される。スケジュールI物質は、処方箋に書かかれることがない。スケジュールI物質は、麻薬取締局による製造割り当てにより製造が制約される。と定められ、DEAによって厳格に取り締まりを受ける。
- 州による法の運用は、多くの州が規制物質法に従って執行している。ただ、一部の州(50州中のうち13州)では、自己使用目的の少量(1オンス=約28g以下)の所持が罰金刑などに指定される場合がある[179]。もちろん、これらの13州でも「1オンスを超える量の所持」「大麻樹の所持」「大麻の栽培」「大麻の販売・輸送・配布」「所持量に関わらず、販売目的での所持」などは重罪であり、懲役刑が課される。
-
- アメリカにおける医療大麻
詳細は「医療大麻#アメリカ合衆国」を参照
- 連邦法である規制物質法では、医療大麻の合成テトラヒドロカンナビノール(THC,商品名マリノール)を、「スケジュールIII」に分類している。「スケジュールIII」物質は医師による処方が許容される場合がある。ただし、当局は「スケジュールIII」物質についても「濫用の危険性」を認めており、安全性を保障するものではない。さらに、食品医薬品局(FDA)[180]と麻薬取締局(DEA)[181]は「大麻には医療価値はない」との見解を示している。
- アメリカでは各州議会が定める州法「医療大麻法」により、この医療大麻について、医師の推薦や許可が得られる場合に限って、大麻を所持・栽培できる州がいくつか存在する。ただし、どの州も患者による大麻の販売(転売)や配布は違法行為である。医療大麻法は1996年にカリフォルニア州で執行されたのを皮切りにして、現在までに50州のうち、14州に存在する[182]。
[編集] EU
- 欧州でも法文上は、日本の大麻取締法と同程度の厳しい罰則が、輸出・輸入、栽培・販売・輸送・製造、営利目的での栽培・販売・輸送・製造、所持などの行為に科せられている。EUのほとんどの国が、国連の麻薬に関する国際3条約を批准しており、批准に先立って国内法改正により同条約に準拠した罰則を整備することが求められることから、共通の規正法が存在している。また、1999年のアムステルダム条約発行後は、麻薬の売買などの犯罪対策がEUレベルで可能となり、警察・刑事司法協力が実現している。
- ただ罰則があるのにも関わらず、EUでの薬物犯罪は後を絶たない。その中でも大麻は特に使用者が多く、2008年度のEMCDDAの調査[183]によれば、欧州成人における大麻の生涯使用者(今までに1回でも使用したことのある人)は7100万人で、欧州人口の22%にのぼっている。過去1年以内の使用者は、2300万人。過去1月以内の使用者は1200万人。このような大量の薬物使用者が存在する現状に、警察・司法が犯罪撲滅に追いつけない現状にある。
- 欧州では、繊維利用を目的とし品種改良した麻を、伝統的な呼び名であるヘンプ(hemp)とし、ドラッグとしてのイメージが強いマリファナ、カナビス(cannabis)と区別している。繊維利用を許可するために、陶酔成分0.2%以下の麻の栽培を許可制ないし届出制としている国がある。陶酔成分量0.2%は、自生する麻の陶酔成分量(1%~20%)のものよりも格段に少なく、事実上、ドラッグ目的への不正転用は不可能である。
- EUでは、大麻を医療目的に使用することに関して様々な研究をしている(医療大麻のページ参照)。また、EUの一部には大麻犯罪につき寛容な政策を採用している国が存在する。(詳細は各国の記述を参照)
詳細は「オランダの薬物政策」を参照
- 違法行為である。輸出・輸入、栽培・販売・輸送・製造、営利目的での栽培・販売・輸送・製造、所持の行為に罰則が科せられている。大麻が合法という紹介がされることがあるが、これは間違いである。
- オランダでは、大麻などのソフトドラッグ使用者が多く、ソフトドラッグを完全追放できないと考える。これを禁止法で抑えつければ、ソフトドラッグがハードドラッグと同じ闇市場に出回る結果、ソフトドラッグ使用者がハードドラッグ使用に走る機会を増し、薬物による害を増やすことになる。それよりは、行政がしっかり管理できる施設にのみ一定条件下でソフトドラッグ販売を許可し、ソフトドラッグ市場とハードドラッグ市場を完全に分離し、ハードドラッグが入ってこないようにソフトドラッグ市場を限定して厳格に管理したほうが薬物による害は少なくなる(ハーム・リダクション)、と考える。ただし、大麻がハードドラッグではないというオランダ流の考え方は世界的に支持されるものではなく、2006年に国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局長であるアントーニオ・マリア・コスタ(Antonio Maria Costa)も、「大麻の有害性はコカインやヘロインなど、他の植物性薬物と大差がない」と発言している[184]。
- 深刻な薬物汚染という国の事情から、地方自治体は個人使用のための大麻を販売する小売店コーヒーショップを許可する権限を持つ。オランダ国内法では、個人使用のための製造及び所持も違法行為であるため、地方自治体が許可するコーヒーショップは矛盾を抱えた存在である。
- 矛盾を根源的に解消できる策(法改正等)ではないが、オランダ法務省は1996年から「ソフトドラッグに関する寛容政策(Gedoogbeleid)」というガイドラインを適用している。オランダでは法の刑罰に優先順位を付けており、「個人使用目的とした5グラム以下のソフトドラッグ所持」と「個人使用目的とした0.5グラム以下のハードドラッグ所持」は優先順位が低い。そのため、これらの罪は通常、起訴が猶予される。違法行為ではあるものの、深刻な薬物汚染のために警察・司法の人員の配分を後を絶たない薬物犯罪にあてずに済むようにするためのやむを得ない処置である。ただし、ガイドラインは法の執行基準であるため、これに反して起訴が為されたとしても、ガイドラインを根拠に無罪にはならない。違法行為であることには変わらないのである。
- このような法令と法執行基準が明らかに矛盾した状況には、地方政府からも批判の声が上がっている。2005年、国境の町であるマーストリヒトの市長ヘルト・レールス(Gerd Leers)は現在の政策を矛盾していると批判した。大麻の小売と所持を認可する一方、栽培および卸を不認可することにより、政府は治安と犯罪からなる多くの問題を作り出していると、市長は主張している。かつ、栽培の合法化及び調整をするか、又は、完全な抑制をするか、のどちらか一方に切り替えて欲しいと主張している。 レールスの主張は地方自治体からの支持を集め、栽培問題を再び議題に呼び戻した。
- オランダの薬物政策において、法改正による一部薬物の完全合法化という道を、オランダはとることができない。オランダは1961年「麻薬に関する単一条約」、1971年「向精神薬に関する条約」及び1988年「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」の条約国である。このような規制に関する国際条約を締結している以上、法改正により規制を緩和する処置を採ることは条約違反となるため、選択肢として現実的ではない。このことも、法令と法執行に大きな矛盾を抱える一因となっている。
- 近年、オランダ議会において法令自体を根源的に見直す動きが起こり、各自治体や国民は関心を寄せている。2008年11月、オランダの政権与党第一党キリスト教民主連盟(CDA/41議席)はソフトドラッグの販売禁止を提案した。ピーター・ファン・ヘール氏は「ソフトドラッグを販売するコーヒーショップの全面閉鎖」を主張。連立与党第三党のキリスト教連盟党(CU/6議席)もこれを支持した。これに対し、連立与党第2党の労働党(PvdA/33議席)は反対を表明した。[185][186]
- オランダの大麻寛容政策は、その歴史の中で何度も議論が起こり、各党の政治方針の違いが衝突することも多く、政府の見解もぶれ続けてきたが、欧州で深刻だったヘロイン中毒患者を実際に減少させ続けるなど、実績を示したため麻薬政策の先進地・テストケースとして各国に注目されてきた。[要出典]今後の去就は民意次第であろうが、大麻寛容政策はいまだ実験途上である事は留意する必要がある。
- イギリス
- 違法とされている。ただ、2004年に大麻の違法薬物としての分類が下げられ個人使用量相当の所持は取り締まりの対象外である。イギリスにおいて大麻は、1971年薬物乱用法 (Misuse of Drugs Act 1971) のもとでクラスB(アンフェタミンなどと同等)に分類されていた。薬物乱用法において指定されている薬物の所持及び供給は犯罪であり、刑罰の対象であった。1984年警察及び犯罪証拠法 (Police and Criminal Evidence Act 1984) において警察の捜査権限は制限され、警察の無令状での逮捕を制限する概念「逮捕できる罪状 (Arrestable offence)」が導入された。これにより、クラスC薬物の所持は「逮捕できる罪状」ではなくなったが、クラスB薬物である大麻の所持は依然「逮捕できる罪状」であった。2001年、トニー・ブレアの労働党政権下で内務大臣であったデヴィッド・ブランケットは、大麻をクラスBからクラスCに変更する可能性を発表した。この活動は、当時、保守党の政治家デービッド・キャメロンにより支持された。2004年に大麻はクラスC薬物となり、所持は「逮捕できる罪状」ではなくなり、大麻の所持は違法ではあるものの非刑罰化された。この変更は、警察当局がその他の犯罪に人的資源を注力できるように計画されていた。オランダ式のコーヒーショップを確立する為の幾つかの案などが、この変更に際して提案されていたが、それらの大部分は廃案となった。
- 大麻の有害性の知識を国民に広めるキャンペーン(「率直」戦略、FRANK campaign)が始められた。イギリスでは大麻の蔓延が大きな社会問題であるため、2006年に政府の専門委員会が大麻に関する科学的論文を総覧し、その影響について結論した。その結論は、「大麻は有害である。大麻を摂取すれば、広範囲な肉体的・精神的危険にさらされる。」という一文で始まる。しかし「大麻は疑いなく有害だが、クラスBの薬物(非注射のアンフェタミン等)に匹敵する危険はない」とも明言している[要出典]。大麻の有害性を教育現場や一般向けに周知させる政策が2006年からとられることとなった[要出典]。また、同年にリチャード・カボーン前スポーツ担当大臣はロンドンオリンピックでの大麻容認を訴えた[187]。2009年、政府は高濃度のTHCを含む『スカンク』の蔓延、大麻による精神疾患への懸念を理由に、大麻は危険麻薬に再度指定され、クラスCからクラスBに格上げされた[188]。この格上げは、大麻と精神病の関係を示すエビデンスが弱く、クラスCに据え置くべきとする薬物乱用諮問協議会(ACMD)の勧告[189]を押し切った形で執行された[190]。
- ドイツ
- 大麻の不法所持は違法であり罰金及び禁固刑で罰せられる。ただし、個人使用における少量所持は起訴されない[191]。これは連邦憲法裁判所の見識にそったものであり、ドイツでは大麻に限らず違法薬物の少量所持は制限に沿えば起訴されていない[192]。合成THCを含有する医薬品ドロナビノールは1998年から認可されている。[要出典]
- ベルギー
- 少量所持を許容する法案が可決されたものの、運用方法の曖昧さにより裁判所で却下され、現在国会で条文が再検討されている。条文が再可決されるまでの暫定的なガイドラインとして、少量所持が発覚した場合は口頭注意にとどめ、大麻そのものの没収はしないよう通達されている[要出典]。
- ポルトガル
- ポルトガルでは2001年に大麻及びその他の軽微なドラッグ(ヘロインやコカインなど)を非犯罪化している。ケイトー研究所の調査では、この非犯罪化政策はドラッグ問題の管理や関連する分野で改善されており、政策を成功としている[194]。
[編集] ロシア
- 医療目的の所持・使用を容認。6グラム以下であれば合法的に所持できる。また20グラム以下の所持は刑罰の対象とならない[195]。
[編集] カナダ
- 医療目的の大麻栽培、所持、使用は合法化されており、カナダ保健省では処方箋のある患者への販売も実施している。また、世界で初めて医療大麻使用者に対する医療費控除制度も導入した。[要出典]
- 裁判所は大麻禁止法に違憲判決を出している[196]。
[編集] イスラエル
[編集] ブラジル
- 大麻の少量の個人使用目的での取得、所持、保管、輸送、携行で逮捕の対象とされない。が、社会奉仕命令や薬物講習への参加などの代替刑が科され、それに従わない場合は罰金刑が科される[198]。
[編集] アルゼンチン、チリ
- いずれも刑法によって、医療用以外の目的での所持、消費、生産、精製、販売が違法とされ、取締りの対象となる。当局の努力にもかかわらず、規制の実行が困難である[要出典]。
[編集] オーストラリア
[編集] タイ王国
- タイの法律では麻薬事犯は死罪の可能性があり、証拠不十分の場合でも超法規的殺害(法的に認められない又は裁判なしでの殺害)が行われる[199]。2003年のタクシン首相政権時には3ヶ月で麻薬事犯2500人が処刑されているが、失脚後の調査で1400人が麻薬事犯とは無関係であることが判明している[200]。
[編集] シンガポール
[編集] インドネシア、マレーシアなどの東南アジア島嶼部
- イスラム教圏であるので当然薬物は厳禁であり、シンガポール同様の厳罰政策をとっている[要出典]。
[編集] 中国・北朝鮮・韓国
[編集] 大麻を題材とした作品
[編集] 小説
- 『大麻農家の花嫁』 リリー・フランキー
- 『ハシッシ・ギャング』 小川国夫
- 『ハシッシュ吸飲者倶楽部』 テオフィル・ゴーティエ
[編集] 映画
- 『マリファナ』(1936年)
- 『リーファー・マッドネス 麻薬中毒者の狂気』(1936年) - アメリカの大麻撲滅キャンペーンで作られたプロパガンダ映画。
- 『チーチ&チョン スモーキング作戦』(1978年) - コメディアンのチーチ&チョンが大麻とヒッピーを題材にした映画。
- 『グラス - マリファナvsアメリカの60年』(1999年) - アメリカ政府の大麻撲滅戦争を題材としたドキュメンタリー映画。
- 『ビー・バッド・ボーイズ』(2001年) - ヒップホップ・アーティスト、メソッド・マンとレッドマンが主演の大麻を題材にしたコメディ映画。
- 『Super High Me』(2007年) - コメディアンのマイケル・ブリデンが大麻を30日間に亘って吸い続けて、大麻を吸わなかった30日間と身体の変化を比較するスーパー・サイズ・ミーのパロディ映画。
- スモーキング・ハイ(2008) - 大麻を題材としたコメディアクション映画。映画『ダークナイト』を抑えて興行成績首位を3日間維持した。
[編集] 脚注
- ^ スペイン語のjは英語のhに近い発音。Marihuanaと綴られる場合もある。
- ^ 「麻薬」の用語は、麻薬及び向精神薬取締法別表第一に定められた薬物(狭義の麻薬)をいう場合と、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、麻薬特例法を含めた麻薬五法に定められた薬物(広義の麻薬)をいう場合があるが、大麻は広義の麻薬に含まれる。国語辞典でも麻薬と説明しているものが多い。「アサから製した麻薬」(広辞苑)、「アサの別名。また、その葉や樹脂から製する麻薬。」(大辞泉)
また、麻薬はもともと「痲薬」と書いたが、「痲」が常用漢字に無いため「麻」の字を当てた表記であり、大麻とは言葉の成り立ちに直接の関係はない。
- ^ Misuse of Drugs Act
- ^ クラスAは「最も有害 (most harmful)」、クラスBは「中間 (an intermediate category)」、クラスCは「害が少ない (less harmful)」
- ^ ただし、大麻の場合は他のB分類のドラッグの扱いとは違い、初犯は警告、再犯は罰金、それ以降は逮捕というスリーストライク制が適用される。しかし初犯の記録は残さないため、現実的にはこの方法での取り締まりは不可能である
- ^ 日本アンチ・ドーピング機構 禁止表
- ^ 特定物質とは「禁止表では、医薬品として広く市販され、したがって、不注意でドーピング規則違反を起こしやすい薬物、あるいはドーピング物質としては比較的乱用されることが少ない薬物」。制裁処置が軽減されることがある。
- ^ レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B・バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年、60頁。ISBN 978-4875023210(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)
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- ^ 安価な労働力としてメキシコ人移民の雇用が増え、アメリカ人の雇用が不安定になり移民問題となった。メキシコ人は週末になると大麻を嗜むことで知られ、大麻を違法化することによって、それを口実にメキシコ人をアメリカ社会からの排除を行った。大麻は厳しく取り締まり、少量の所持で終身刑になった判例もある。
- ^ US AG Declares Ending DEA MMJ Raids Now US Policy
- ^ 大幣、大麻はそもそも「たいま」とも読む。お祓い大麻ともいう。ほかに、年末に神社が配る神札には、「神宮大麻」(伊勢神宮の例)、「氏神大麻」などと書かれ、中に串が入っているが、これは元来は中に小さなお祓い大麻が入っていた名残りである。古くは麻の葉そのものが入っていたとも言われる。また、各地神社の祭祀で麻の枝葉や繊維を使用していたか、現在も使用している例も多い。
- ^ 祖霊がわが家に帰り来るのに道に迷うわないようにと、庭先とか玄関先で、前年に収穫し繊維や種をとったあとの残りの大麻(おがら)を「迎え火」として炊く風習は現在も残っている。また、祖霊の乗り物として、ナスの牛とキュウリの馬(精霊馬)を作る土地があるが、その足にもおがらを使う。
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- ^ 検査にはMonitect-3と呼ばれる簡易検査キットが使われた。これはイムノクロマト法によって、メタンフェタミン・アンフェタミン・THCの検出が可能である。
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- ^ 大麻陽性なら解雇を確認 相撲協会の反ドーピング委 共同通信 2008/09/17
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- ^ 相撲協会の尿検査に新たな問題点が発覚 大麻取締法変革センター
- ^ 群馬のレイブパーティー、さらに7人逮捕 17~40歳の男女 産経新聞 2008.8.17
- ^ 麻薬使用容疑で姉妹逮捕 群馬県みなかみ町の「レイブ」舞台に 産経新聞 2008.9.22
- ^ 北海道と大麻草 北海道立衛生研究所食品薬品部食品保健科研究職員 藤本啓
- ^ 相次ぐ大学生の大麻摘発 裏にはお役人の点数稼ぎ サイゾー
- ^ 大麻の栽培紹介雑誌、東京都の「有害」指導後にまた発行 読売新聞 2009年2月4日
- ^ 昭和23年06月12日衆議院厚生委員会において、竹田儀一厚生大臣は大麻取締法の提案理由を次のように説明した。「大麻草に含まれている樹脂等は麻薬と同樣な害毒をもつているので、従来は麻薬として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培している者は大体が農業に従事しているのでありまして、今回提出されています麻薬取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、薬剤師等は、職業の分野がはなはだしく異つています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期する所存であり、本法案を提出する理由と相なつております。」(出典:国会会議録検索システム)
- ^ 最高裁判所昭和57年9月17日第二小法廷決定
- ^ 日本産業用大麻クラブ
2001年大麻栽培免許拒否理由
大麻栽培免許に係る疑義について(照会)
『特に、目的については、免許制度により禁止の解除を行っている趣旨からして、「国民生活にとって必要不可欠なものであるか否か等目的意義が禁止を解除するに値するものであるか否か」を検討し行うことが妥当とされていますが、この趣旨は,農作物として出荷する目的での栽培を一律に認めるのではなく、あくまでも、その栽培目的が伝統文化の いる生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合に限り免許すべきものと解してよろしいか。』
厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長
『平成13年3月9日保健第1976号により照会があった標記については、貴見のとおりと解する。』
- ^ なお、ヘロインの不法所持は10年以下の懲役、あへんの不法所持は7年以下の懲役、向精神薬不法所持は3年以下の懲役である。
- ^ 実際の裁判所の判決においては執行猶予が付されることもある。
- ^ 林修三「大麻取締法と法令整理」『時の法令』通号530号(財務省印刷局編、1965年4月)。
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- ^ 古くは1944年、ニューヨークのフィオーレロ・ラグワディア (Fiorello H. La Guardia) 市長が31人の科学者に研究させて作成した報告書を、大麻規制推進派のハリー・J・アンスリンガー連邦薬物局長官が処分し、研究用大麻の供給を停止させた。他にもDEAによる研究の妨害 (Congress Ask DEA to Stop Obstructing MMJ Research)、研究結果の隠蔽 (Pot Shrinks Tumors; Government Knew in '74)、研究への抑圧 (Pipe Dream?)、研究申請の却下などがある。
- ^ Personal Use Introduction 具体的にはアラスカ,カリフォルニア,コロラド,メイン,ミネソタ,ミシシッピ,ネブラスカ,ネバダ,ニューヨーク,ノースカロライナ,オハイオ,オレゴン,マサチューセッツ
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- ^ Exposing the Myth of Smoked Medical Marijuana DEA
- ^ Active State Medical Marijuana Programs 具体的には、アラスカ,カリフォルニア,コロラド,ハワイ,メイン,メリーランド,ミシガン,モンタナ,ネバダ,ニューメキシコ,オレゴン,ロードアイランド,バーモント,ワシントン
- ^ 2008 Annual report: the state of the drugs problem in Europe(PDF形式) ISBN 9291683116
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- ^ The success of drug decriminalization in Portugal
- ^ No More Jail Terms for Drug Possession Russia Medical News Today 15 May 2004
- ^ POT ACTIVISTS HAIL COURT VICTORY, BUT CROWN SAYS IT'S NON BINDING
- ^ Clinic Offeers Puff of Relief For Chronically Ill Jerusalem Post 06 Jan 2008
- ^ Feature: Brazilian President Signs New Drug Law -- No Jail for Users
- ^ Is this the future of our own "War on Drugs"? AP Wire
- ^ Southeast Asia: Most Killed in Thailand's 2003 Drug War Not Involved With Drugs, Panel Finds
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 公的機関のサイト
- 大麻の取り締まりに反対するサイト
- カナビススタディハウス
- 大麻取締法変革センター
- 医療大麻裁判
- CANNABIST Internet - カンナビスト 大麻非犯罪化人権運動
- 麻と人類文化 - 丸井英弘(弁護士)「薬物使用と犯罪化」(法学セミナー掲載の論文)
- Cannabis News(英語)
- 大麻を問題視するサイト








