奈良線

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JR西日本 奈良線
221系による「みやこ路快速」
221系による「みやこ路快速」
路線総延長 34.7 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V架空電車線方式 (直流)
最高速度 110 km/h

奈良線(ならせん)は、京都府木津川市木津駅から京都府京都市下京区京都駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線幹線)である。

関西本線支線としての沿革を持つため、正式な起点は木津駅だが、列車運行上は京都駅から木津駅へ向かう列車が下り(列車番号は奇数)、逆が上り(同偶数)である。奈良線の呼称は次の意味がある。

  1. 線路名称としての奈良線は京都駅 - 木津駅間である。ただし、全区間が京都府内にあり、奈良県内には全く路線がない。これは当初奈良鉄道によって京都駅 - 奈良駅間が建設されたものの、関西鉄道に合併された後に大阪 - 名古屋ルートの一部として木津駅以南を分離された、との経緯による[1]
  2. 旅客案内上および運転系統としての奈良線は、関西本線(大和路線)木津駅 - 奈良駅間を含めた京都駅 - 奈良駅間である。これは、全列車が木津駅から奈良駅まで運転されるためで、奈良駅の乗り換え案内でも奈良線の列車も案内されるほか、JR西日本のパンフレットなどでも奈良線が奈良駅まで記載されている。

本項では特記が無ければ、2.の意味として、京都駅から奈良駅へ向かう下り方向に記述する。

目次

[編集] 概要

京都・奈良間鉄道路線図
(→SVG版)
京都伏見付近拡大図
(→SVG版)

JR西日本のアーバンネットワークの路線の一つであり、京都駅で東海道新幹線東海道本線琵琶湖線JR京都線)・山陰本線嵯峨野線)に、木津駅で関西本線大和路線)と片町線(学研都市線)に接続している。木津駅からは全列車が関西本線奈良駅まで直通するため、京都市奈良市の2都市を結ぶ役割も担っている。ラインカラーは茶色)であり、選定理由は「日本の古都を結ぶクラシックな落ち着いたイメージ」とされている。

近畿日本鉄道(近鉄)にも奈良線があるため、「JR奈良線」と案内されることもある。JRの前身である日本国有鉄道(国鉄)の時代には「国鉄奈良線」と案内されており、案内板の英字表記も国鉄の英字略称である "JNR" を入れていた。ただし近鉄奈良線は大阪市奈良市を結ぶ路線であり、JR奈良線が対抗関係にあるのは近鉄京都線である。JR西日本は1988年3月13日改正でアーバンネットワークの各路線に愛称路線名(JR京都線JR神戸線など)を定めたが、奈良線では設定されなかった。

全線にわたって近畿日本鉄道京都線と競合しており、JR西日本はかつて全線単線であった当路線の一部区間を複線化し、快速列車の増発やスピードアップを行うことで近鉄に対抗している。

全線が旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「大阪近郊区間」およびIC乗車カードICOCA」の近畿圏エリアに含まれている。なお長池駅 - 上狛駅間では無人駅も混在するため簡易型自動改札機が設置されている。

[編集] 路線データ

正式な奈良線としてのもの

運行形態上の奈良線として、上記と異なるものは次の通り。

  • 路線距離(営業キロ):41.7km
  • 駅数:21(起終点駅含む)
  • 複線区間:京都駅 - JR藤森駅間、宇治駅 - 新田駅間、木津駅 - 奈良駅間
  • 最高速度:
    • 110km/h(京都駅 - JR藤森駅間、宇治駅 - 新田駅間)
    • 95km/h(JR藤森駅 - 宇治駅間、新田駅 - 奈良駅間)

京都駅 - 木津駅(構内除く)間が京都支社の管轄、木津駅 - 奈良駅間は大阪支社の管轄であり、木津駅の下り場内信号機が両支社の境界となっている。国鉄時代は京都駅を除き天王寺鉄道管理局の管内だった関係上、大阪支社の奈良電車区の車両を使用するが、奈良線の駅設備など大部分は京都支社が管理している。

[編集] 沿線概況

京都駅では、奈良線の列車は東海道新幹線に隣接した8 - 10番のりばから発車する。僅かではあるが東海道本線(琵琶湖線)と並走して東海道新幹線を潜り、鴨川琵琶湖疏水に架かる鉄橋を渡ると京阪電気鉄道(京阪)との共同使用駅である東福寺駅で、すぐに京阪本線をくぐると右手に京阪本線が並走して京阪鳥羽街道駅付近で別れると、伏見稲荷大社の最寄り駅である稲荷駅に到着する。稲荷駅には、国鉄最古のランプ小屋準鉄道記念物)が現存している。入場も可能だが、事前に宇治駅に予約する必要がある。

稲荷駅を出て左にカーブすると直線が続き、その先で右にカーブするが、右にカーブする付近から真っ直ぐ東海道本線旧線が続いていた。名神高速道路をくぐると、正面には伏見城が見え、掘割駅JR藤森駅に到着する。ここから単線になり、伏見桃山陵を迂回するように走る。右手から国道24号奈良街道)が合流してすぐに別れると桃山駅で、ここから進路を一度東に変えて、長く続く勾配を下る。京都市から宇治市に入って京都市営地下鉄東西線との接続駅である六地蔵駅に至る。

六地蔵駅から右にカーブして再び南進すると木幡駅、左右にカーブすると黄檗駅である。黄檗駅から右手に京阪宇治線と並走し、右手に別れていくと京滋バイパスを越え、右にカーブして京阪宇治駅が右手に見えると宇治川を渡り、宇治駅に到着する。宇治駅では改良工事により、上下共に緩急接続ができるようになり、一部は京都方面から折返して運転している。

宇治駅から複線となり、奈良線で一番新しいJR小倉駅、続いて新田駅と続く、新田駅からは再び単線となり下り勾配を進みながら城陽駅に着く。城陽駅からは田畑も目立つようになり、この先全ての駅で行き違いができる。近鉄京都線が平野部を走るのと対照に、奈良線は山裾を走るため、カーブが多く連続している。

長池駅を出て青谷梅林の最寄り駅である山城青谷駅天井川のトンネルをくぐると奈良線では最も利用の少ない山城多賀駅、続けて快速停車駅である玉水駅に到着する。桜の名所で、平成の名水百選に選定された玉川のトンネルを潜り、駅周辺がタケノコの産地である棚倉駅、半径400mのカーブを抜けると上狛駅と続き、木津川を渡ると片町線(学研都市線)・関西本線(大和路線)との分岐駅である木津駅に到着する。奈良線の列車は全てその先の関西本線(大和路線)の奈良駅まで直通運転を行っている。

木津駅を出ると京奈和自動車道木津インターチェンジ国道24号などを右に見ながら進み、奈良県に入ると平城山駅で、左手の高台には奈良電車区がある。その先で奈良電車区への入出区線が分岐している佐保信号場を過ぎると、奈良市北部の新興地域を行くこのあたりは、新しい住宅地と古墳群が同居している。このような景色を過ぎ、桜井線が分岐している奈良駅に着く。

奈良駅付近は2010年3月に高架化が完了し、寺社風建築で有名な旧奈良駅舎は撤去も検討されたが、現地付近に保存されることとなった。一方で、奈良への観光や官公庁などへのアクセス面においては近鉄の近鉄奈良駅に劣勢に立たされ[2]、運賃・所要時間・本数面において対京都・大阪の競争力も近鉄より低いため駅の利用は多くない。

[編集] 運行形態

並行する京阪宇治線や近鉄京都線は以前から多数の列車が運行されていたのに対し、奈良線は国鉄末期の1984年まで電化がされず、電化後も国鉄分割民営化までは105系電車の2両編成の運用が多かった。しかしJR西日本の発足後、列車の4両編成化(一部は6両編成)、部分複線化、「みやこ路快速」などの快速列車を始めとする列車の増発など、急速に輸送改善が図られた。現在は、沿線にある宇治市平等院などへの観光や、城陽市など京都府南部地域からの通勤・通学路線としての性格が強くなっている。しかし桃山駅 - 新田駅間で東側に大きく迂回する形となっており、城陽以南は町の中心部の外れを走るので並行する近鉄京都線とは京奈間・地域輸送共にまだ格差がある。ただ、外国人観光客はジャパンレールパスが使用できるJRを利用する者が多い。

日中の運行パターン[3]
種別\駅名 京都 城陽 木津 奈良
運行本数 みやこ路快速 2本
大和路快速     3本
普通 2本
2本    

[編集] 定期列車

1984年に京都駅 - 和歌山駅間を奈良線・桜井線和歌山線経由で結んでいた急行紀ノ川」が廃止されて以来、1991年までは普通列車のみの運転だった(後述のように、一時期臨時で特急列車が運転されたことがある)が、今ではみやこ路快速・快速区間快速・普通の4種類の種別が運転されている。

運用上の都合で朝や夕方以降に、関西本線(大和路線)奈良駅以南と直通する列車がある。朝に王寺方面から直通する奈良駅まで普通として運転される列車のみ、時刻表に掲載している(2004年3月13日改正前の時刻表には掲載されていなかった)。

なお、全列車で運転士支援システムが導入されており、運転士が装置を携帯して乗務する際に使用している。

近畿地方交通審議会で、将来、東海道本線(JR京都線)と相互直通運転する案が検討されている。

[編集] みやこ路快速

みやこ路快速の種別幕

2001年3月3日から設定された最速達の種別で、日中を中心に運転されている。全区間で快速運転(一部の駅のみに停車)を行う。この列車は近鉄京都線の特急のライバル的存在となっている。みやこ路快速の種別名は運転開始前に一般公募により決定した[4]。基本的に30分間隔(毎時2本)の運転で、宇治駅で京都駅 - 奈良駅間の普通と緩急接続を行っている。また京都行は、土休日ダイヤの1本を除いて、城陽駅でも同駅始発の普通京都行と約12分で接続している。

観光地である京都と奈良を結ぶ列車として、日本人だけでなく外国人観光客の利用も多い。車両は全列車221系で、4両または6両編成で運転される。なお、ダイヤ乱れが発生した際は、103系が代走する場合がある。2008年秋、その代走を見越して奈良電車区所属の103系4両編成車を対象に「みやこ路快速」の行先表示対応化を行った。大和路快速でもダイヤ乱れ発生時には奈良電車区103・201系あるいは森ノ宮電車区103・201系が使用されるが、こちらは単なる「快速」表示で運行される。

標準所要時間は京都発奈良行が約44分、奈良発京都行が約47分である。京都行は棚倉駅(一部は上狛駅)で2分ほど運転停車して奈良行のみやこ路快速と行き違うため、上りと下りとで所要時間に若干差がある。

2003年3月15日のダイヤ改正で東福寺駅・玉水駅にも停車するようになった。なお、正月三が日と1月4日は伏見稲荷大社への参詣客のため稲荷駅に臨時停車する。奈良歴史キャンペーンに伴い、2003年および2004年の9月 - 11月の土休日には、「みやこ路レジャー号」として京都駅 - 桜井駅間(京都駅 - 奈良駅間は定期のみやこ路快速)で運転されていた。現在は運転されていない。

[編集] 快速

朝夕ラッシュ時に運転されている。全区間で快速運転を行うが、みやこ路快速が通過するJR小倉駅・新田駅にも停車する。車両は全列車221系で運転され、4両または6両編成で運転される。基本的に30分間隔の運転で宇治で普通と緩急接続を行う。前述のみやこ路快速と同様、大和路線の快速が停車する平城山駅は通過する。

みやこ路快速が登場する2001年3月までの停車駅は、京都・宇治・城陽(設定当初は通過)・木津・奈良で、これに加えて正月ダイヤ時は稲荷駅に停車していた。車両には117系が使用されていたが、以後は奈良線では使用されていない。

なお、2009年3月14日のダイヤ改正では、夕方以降の快速の一部が区間快速(後述)に置き換えられた。

[編集] 区間快速

京都駅 - 宇治駅間でのみ快速運転を行い、宇治駅 - 奈良駅間では各駅に停車する。朝と夜間を中心に運転されている。当初は平日のみだったが、2006年3月18日のダイヤ改正から土休日にも運転されるようになった。宇治駅 - 奈良駅間は各駅に停車する。また前述のとおり、2009年3月14日のダイヤ改正では夕方以降の快速の一部が区間快速に置き換えられた。かつては宇治駅で区間快速を待避する普通があったが、現在は区間快速の前を走る普通はそのまま終着駅まで逃げ切るダイヤに変更されている。

土休日ダイヤの19時台の京都発の1本に103系を使用する列車があるほかは、すべて221系での運転である。

奈良線の区間快速は関西本線(大和路線)区間快速との誤乗防止を図るため、ラインカラーが入った種別幕が使用されている。種別幕の「区間快速」の文字色についても大和路線の緑色とは異なり橙色となっている。2008年春改正から秋改正までの期間は、221系用に新調された種別幕では奈良線区間快速用の表示が用意されておらず、大和路線同様の緑ラインカラー・緑文字の区間快速表示で運行されていた。

[編集] 普通

全区間で各駅に停車する。基本的に京都駅 - 城陽駅・奈良駅間で運転されている。昼間は京都駅を基準にして城陽駅まで15分間隔(毎時4本)、木津駅・奈良駅まで30分間隔(毎時2本)で運転されている。朝夕ラッシュ時には、京都駅 - 宇治駅間でも運転されている。過去には桜井線との直通列車もあり、1992年頃には土曜・休日を中心に桜井線への直通列車が定期快速を延長する形で天理駅まで1時間あたり1本運転されていたが、1994年9月4日のダイヤ改正で奈良線と桜井線は系統分割された。

車両は基本的に103系で運転されるが、折り返し快速・区間快速になる列車など一部の列車は221系で運転されている。

[編集] 臨時列車・ダイヤ

[編集] 特急

臨時列車として特急列車が運転されたことがある。1987年から1988年にかけて「ふれ愛紀州路」、1988年から1989年まで「しらはま」の愛称で381系電車を用いて京都駅 - 白浜駅間に関西本線阪和貨物線(現在は廃止)・阪和線経由で運転された。

1998年1月6日の読売新聞近畿版では、2001年を目処に奈良線に(定期列車として)485系か381系の改造車を用いて特急を運行するとの発表があったが、その後計画は中止されている。

[編集] 宇治川花火大会

毎年8月10日(雨天順延)に、宇治駅周辺で宇治川花火大会が行われるが、通常ダイヤでは輸送力が確保できないため16時前から最終まで特別ダイヤで運転され、16時以降はすべて普通のみの運転となり、快速は運転されない。京都駅 - 宇治駅間は上下ともに約10分間隔で一部の列車が、木津駅発着で運転される。

[編集] 年末年始の運行形態

毎年度、大晦日から元旦にかけての終夜運転が実施されているが、現在は京都駅 - 城陽駅間は30分間隔、京都駅 - 奈良駅間は60分間隔で運転されている。1999年度までは京都駅から大阪方面に直通運転を行い、奈良駅 - 西明石駅間を30分間隔で運転されていた。また、正月三が日は完全別立ての臨時ダイヤになり、快速が京都駅 - 宇治駅間各駅に停車するほか、宇治駅までは本数を増やして運転されていた[5]。年によっては桃山駅折り返し列車の設定もあった。

現在も、正月三が日と1月4日は稲荷駅に「みやこ路快速」が臨時停車する関係で日中を中心に正月特別ダイヤを組む。正月特別ダイヤは、ほかには桜井線や京阪電気鉄道(大津線を除く)、阪急電鉄宝塚本線など、大手の私鉄の一部路線でも採用している。

[編集] 団体列車

奈良線では、日本各地からの団体臨時列車が乗り入れることがある。

毎年5月上旬から6月下旬にかけて、姫路市の小学校が利用している修学旅行列車姫路駅などから奈良駅まで運転されており、この列車にはキハ181系気動車が使用されている[6]。しかし、この修学旅行列車は181系気動車の老朽化に伴ってキハ189系気動車が投入されることにより、修学旅行に使用できる列車が少なくなるため、2010年度を最後に運転を終了している[7][8]

また、天理教の行事で特に7月下旬から8月上旬にかけてのこどもおぢばがえり10月26日の大祭時には「天理臨」と呼ばれる列車が天理駅まで運転されている[9]。かつてはDD51牽引の客車列車(12系14系座席車など)で運転されることが多かったが、現在では189系電車が使用される場合が多い。

[編集] 使用車両

[編集] 現在の使用車両

稲荷付近を走行する103系の普通

すべて奈良電車区に所属している電車が運用されている。

  • 221系
    • 4両編成または6両編成で運転されている。主に、みやこ路快速・快速・区間快速に充当されており、通常は日中の普通には充当されていない。日中以外の時間帯で普通に充当されている列車は全て京都駅 - 奈良駅間で運転されている。
  • 103系
    • 全て4両編成で、基本的に普通として運転されているが、土休日ダイヤの京都発区間快速奈良行の1本のみ、103系が使用されている。221系の代走としてみやこ路快速に使われることもある。

[編集] 過去の使用車両

  • 105系電車
    • 1984年に奈良線とともに電化された和歌山線五条駅 - 和歌山駅間と紀勢本線和歌山駅 - 和歌山市駅での運用のために、103系を種車として改造された車両を使用していた。1994年に桜井線・和歌山線に運用を集中させるために奈良線の運用から退いた。
  • 113系電車
  • 117系電車
    • 1991年3月16日のダイヤ改正で奈良線に快速が設定されたのに伴い、宮原総合運転所の車両を使用して運用を開始した。2001年3月にみやこ路快速が新設され、221系が充当されるようになったため、奈良線の運用から退いた。

[編集] 輸送改善

1994年12月に、京都府の公共交通網整備研究会鉄道部会は奈良線の活性化策として、高速化・複線化のほか、宇治駅 - 新田駅間に新駅設置や宇治駅の自由通路を設けた橋上化などの改良などが盛り込まれた提言を知事に答申し、これを受けた京都府はJR西日本などの関係機関との協議を開始した。折しも2002 FIFAワールドカップに向けて、城陽市富野地区でサッカースタジアム(京都スタジアム)を中心とする木津川右岸スタジアム公園建設の基本計画も決定しており[10]、奈良線の利便性の向上は大きく望まれていた。

1994年8月にJR小倉駅(仮称)建設促進協議会が発足し、また複線化については京都市・宇治市・城陽市・奈良市井手町山城町(現在の木津川市の一部)・木津町(現在の木津川市の一部)・宇治田原町でつくるJR奈良線複線化促進協議会も9万人の署名を添えてJR西日本に要望書を提出し、その早期着手を強く要請してきた。

しかし、1995年に発生した阪神・淡路大震災によりJR西日本も大きな被害を受け、また株式上場を控えており奈良線の輸送改善について心配されていたが、JR西日本は京都府の要望通り段階的に整備を行うと回答し、整備計画は全区間の複線化を将来の目標としながらも次の4期に分けて工事を進めることになり、2001年の完成を目指して1998年1月に着工を開始した。工事費は162.6億円で、JR西日本と沿線自治体で折半した[11]

  • 第1期整備工事:京都駅 - 京都教育大学駅(仮称)間および、宇治駅 - 新田駅間の複線化
  • 第2期整備工事:京都駅 - 木津駅間の閉塞方式を、自動閉塞式(特殊)から自動閉塞式への改良
  • 第3期整備工事:宇治駅の2面4線化及び、宇治駅 - 新田駅間の新駅設置
  • 第4期整備工事:行き違い設備の一線スルー化や山城多賀駅の行き違い設備の新設など、駅整備改良工事

なお、これに先立って、長年地元から要望があった稲荷駅 - 桃山駅間に新駅設置工事が行われ、1997年3月にJR藤森駅が開業した。一連の輸送改善は当初の計画通りに進み、2001年3月3日のダイヤ改正により221系を投入して快速が増発されることになり、所要時間が大きく短縮されることになった[12]

また、2004年の近畿交通審議会答申第8号で「輸送力の強化等によるサービス向上に資する事業」として、未だに単線区間が残るJR藤森駅 - 宇治駅間と新田駅 - 木津駅間の複線化が盛り込まれている。JR西日本と京都府は、山陰本線(嵯峨野線)京都駅 - 園部駅間が全線複線化が2010年3月に完成したことから、奈良線複線化の協議開始で合意し、2010年4月以降にJR西日本や沿線市町と費用負担や整備方法をめぐる協議を始める予定である。

しかし、自治体の財政状況やJR西日本の経営状態から、全線複線化ではなく限定的になる可能性が高い。2011年に着手したとしても山陰本線と同様の工期と想定した場合、複線化工事が完了するのは早くても2018年になる見通しである[13]

[編集] 歴史

奈良鉄道によって京都駅 - 木津駅 - 奈良駅間が開通したが、この区間のうち京都駅 - 桃山駅間は当初現在の近鉄京都線のルートを通っていた。東海道本線の馬場駅(現在の膳所駅) - 京都駅間が東山トンネル経由の現在線に切り替えられた1921年のその日に、京都駅 - 稲荷駅間の旧東海道本線と稲荷駅 - 桃山駅間の新線が奈良線となり、京都駅 - 伏見駅間が廃止、伏見駅 - 桃山駅間が貨物線化された。のちに京都駅 - 伏見駅間の旧線跡地は近鉄京都線の前身である奈良電気鉄道に払い下げられた。

奈良電気鉄道の路線が1928年に開業した後は、運行頻度や所要時間で劣るため直通需要を大きく奪われる。戦後、1950年代にいち早く旅客列車を気動車化し、駅の増設が行われたりしたがそれ以降は特に投資がなされず、ようやく1984年に電化がなされるといったように、完全なローカル線と化していた。活性化策がとられるようになったのは、国鉄分割民営化に伴いJR西日本の所属路線となってからである。

JR西日本の奈良線に対する投資を報じた1991年の朝日新聞記事には、投資の背景として「(前年の)即位の礼の一連の行事で関西を訪問された天皇、皇后両陛下はJR東海の東海道新幹線で京都駅に着くと、そのまま近鉄で奈良方面へ向かわれ、地元JR西日本の列車はまったく利用されなかった。こんな「屈辱感」や、関西文化学術研究都市の開発などで沿線人口が増えていることが、JR西日本の投資意欲を駆り立てているようだ」との記述が見られる[14]。しかし、その後も皇族の奈良方面への移動には近鉄が利用されており、当路線の利用は実現していない。

[編集] 年表

  • 1879年明治12年)8月18日官営鉄道(後の東海道本線)として京都駅 - 稲荷駅 - 大谷駅間が開業。稲荷駅開業。
  • 1895年(明治28年)9月5日奈良鉄道により京都駅 - 伏見駅間(3M23C≒5.29km)が開業。伏見駅開業。京都駅は官設鉄道と共用。
    • 11月3日:伏見駅 - 桃山駅間(1M9C≒2.19km)が延伸開業。桃山駅開業。
  • 1896年(明治29年)1月25日:桃山駅 - 玉水駅間(12M46C≒20.24km)が延伸開業。木幡駅・宇治駅・新田駅・長池駅・玉水駅開業。
    • 3月13日:玉水駅 - 木津駅間(4M50C≒7.44km)が延伸開業。棚倉駅・木津駅開業。
    • 4月18日:木津駅 - 奈良駅間が延伸開業し、京都駅 - 奈良駅間が全通。
    • 4月21日:東寺仮停車場開業。
  • 1897年(明治30年)4月1日:奈良鉄道京都駅を七条駅に改称。
  • 1902年(明治35年)5月3日:上狛駅開業。
    • 11月12日:営業距離の単位をマイル・チェーンからマイルのみに簡略化(21M48C→21.6M)。
  • 1905年(明治38年)2月7日:奈良鉄道が路線を関西鉄道に譲渡。
  • 1907年(明治40年)10月1日:関西鉄道が国有化
  • 1908年(明治41年)8月1日:七条駅を京都駅に統合。
  • 1909年(明治42年)10月12日:線路名称制定、木津駅 - 京都駅間を奈良線に、木津駅 - 奈良駅間が関西本線になる。
  • 1910年(明治43年)12月19日:宇治駅 - 木幡駅間に宇治川信号所開設。
  • 1913年大正2年)6月20日:東寺仮停車場 - 京都駅間に八条信号所開設。
  • 1914年(大正3年)3月20日:木津駅 - 奈良駅間が複線化。
    • 7月23日:伏見駅 - 京都駅間の東寺仮停車場廃止。
    • 8月15日:八条信号所廃止。
  • 1915年(大正4年)2月13日:木津駅 - 奈良駅間に佐紀仮信号所を開設。
    • 6月7日:佐紀仮信号所廃止。
  • 1921年(大正10年)3月20日:宇治駅 - 木幡駅間に宇治川信号所開設。
    • 8月1日:奈良線の京都駅 - 伏見駅間(3.3M≒5.31km)廃止。伏見駅 - 桃山駅間(1.1M≒1.77km)の旅客営業を廃止。東海道本線の京都駅 - 稲荷駅間(1.8M≒2.90km)を奈良線に編入。稲荷駅 - 桃山駅間(2.6M≒4.18km)の新線開業。
  • 1922年(大正11年)4月1日:宇治川信号所を宇治川信号場に変更。
  • 1924年(大正13年)8月10日:木津駅 - 奈良駅間に都跡仮信号場(初代)を開設(廃止日不詳)。
  • 1926年(大正15年)1月10日:都跡仮信号場(2代目)を開設(廃止日不詳)。
  • 1926年(大正15年)2月13日:青谷梅林仮停車場開業。
    • 4月1日:宇治川信号場廃止。
  • 1928年昭和3年)9月3日:貨物支線 桃山駅 - 伏見駅間が廃止。伏見駅廃止。
  • 1930年(昭和5年)4月1日:営業距離の単位をマイルからメートルに変更(21.6M→34.7km)。
  • 1933年(昭和8年)12月1日:青谷梅林仮停車場を山城青谷駅に変更。
  • 1947年(昭和22年)3月15日:木津駅 - 奈良駅間に佐保信号場(初代)を開設。
  • 1955年(昭和30年)7月15日:山城多賀駅開業。
  • 1956年(昭和31年)11月20日:佐保信号場(初代)廃止。
  • 1957年(昭和32年)12月27日:東福寺駅開業。
  • 1958年(昭和33年)7月11日:城陽駅開業。
  • 1961年(昭和36年)4月21日:黄檗駅開業。
  • 1982年(昭和57年)3月2日:列車集中制御装置 (CTC) を導入。
  • 1984年(昭和59年)8月31日:木津駅 - 奈良駅間に佐保信号場(2代目)を開設。
    • 10月1日:京都駅 - 奈良駅間が電化。105系・113系電車による運転開始。急行「紀ノ川」(京都駅 - 和歌山駅、奈良線・桜井線・和歌山線経由)廃止。
  • 1985年(昭和60年)12月1日:平城山駅開業。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継。日本貨物鉄道が全線で第二種鉄道事業者になる。
  • 1991年平成3年)3月16日:117系電車による快速の運転を開始。新設当初の途中停車駅は宇治駅のみで、これに加え正月に稲荷駅に停車していた。
  • 1992年(平成4年)10月22日:六地蔵駅開業。城陽駅が快速停車駅になる。
  • 1994年(平成6年)3月:113系電車の運用終了。
    • 9月4日:105系電車が運用を撤退。
  • 1997年(平成9年)3月8日:JR藤森駅開業。
  • 1999年(平成11年)5月10日:六地蔵駅が快速停車駅になる。
  • 2001年(平成13年)3月3日:京都駅 - JR藤森駅間、宇治駅 - 新田駅間複線化。JR小倉駅開業。区間快速と221系電車によるみやこ路快速の運転を開始。117系電車の運用終了。
    • 10月1日:東福寺駅が快速・区間快速停車駅になる。
  • 2003年(平成15年)3月15日:東福寺駅と玉水駅がみやこ路快速の停車駅、玉水駅が快速の停車駅になる。
    • 4月1日:日本貨物鉄道の第二種鉄道事業廃止。
  • 2006年(平成18年)12月16日:木津駅 - 奈良駅間で ATS-P 使用開始[15]
  • 2008年(平成20年)4月23日:山城青谷駅 - 木津駅間でATS-P(拠点P方式)導入[16]
    • 4月27日:黄檗駅 - 山城青谷駅間でATS-P(拠点P方式)導入[16]
    • 4月30日:京都駅 - 黄檗駅間でATS-P(拠点P方式)導入[16]
    • 6月29日:奈良駅関西本線ホーム高架化[17]
    • 7月1日:全駅でホーム上の喫煙コーナーを廃止して全面禁煙化[18]

[編集] 駅一覧

  • [京]特定都区市内制度における「京都市内」エリアの駅
  • 停車駅
    • 普通 … すべての駅に停車(表中省略)
    • 普通以外の種別 … ●印の駅は停車、|印の駅は通過
      • 快速 … 平城山駅(※印)は奈良線の快速は通過、関西本線(大和路線)の快速・大和路快速やまとじライナーおよび片町線(学研都市線)の快速のみ停車
      • みやこ路快速 … 稲荷駅(○印)は、正月三が日と1月4日に臨時停車
  • 線路 … ∥:複線区間、◇:単線区間(列車交換可能)、∨:ここより下は単線、∧:ここより下は複線
正式路線名 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 区間快速 快速 みやこ路快速 接続路線・備考 線路 所在地
奈良線 [京] 京都駅 - 0.0 西日本旅客鉄道東海道本線琵琶湖線JR京都線)・湖西線[* 1]山陰本線嵯峨野線
東海旅客鉄道東海道新幹線
近畿日本鉄道京都線
京都市営地下鉄■ 烏丸線
京都府 京都市 下京区
[京] 東福寺駅 1.1 1.1 京阪電気鉄道京阪本線 東山区
[京] 稲荷駅 1.6 2.7   伏見区
[京] JR藤森駅 2.3 5.0  
[京] 桃山駅 2.2 7.2  
六地蔵駅 2.4 9.6 京都市営地下鉄:■ 東西線
京阪電気鉄道:宇治線
宇治市
木幡駅 1.0 10.6  
黄檗駅 1.4 12.0 京阪電気鉄道:宇治線
宇治駅 2.9 14.9  
JR小倉駅 1.4 16.3  
新田駅 1.8 18.1 近畿日本鉄道:京都線大久保駅
城陽駅 2.1 20.2   城陽市
長池駅 1.8 22.0  
山城青谷駅 2.0 24.0  
山城多賀駅 1.3 25.3   綴喜郡
井手町
玉水駅 2.0 27.3  
棚倉駅 3.0 30.3   木津川市
上狛駅 2.8 33.1  
木津駅 1.6 34.7 西日本旅客鉄道:関西本線大和路線)・片町線(学研都市線)
関西本線
平城山駅 3.2 37.9   奈良県
奈良市
佐保信号場 - 40.8  
奈良駅 3.8 41.7 西日本旅客鉄道:関西本線(大和路線)・桜井線(万葉まほろば線)
  1. ^ 湖西線の正式な起点は東海道本線(琵琶湖線)山科駅だが、全列車が京都駅に乗り入れている
  • 宇治市は黄檗駅 - 宇治駅間に新駅設置を構想している。
  • 駅業務については、京都駅・六地蔵駅・宇治駅・木津駅・奈良駅が直営、山城多賀駅が無人駅、上狛駅・棚倉駅が簡易委託駅、それ以外の駅はジェイアール西日本交通サービスによる業務委託駅となっている。

[編集] 廃止区間

括弧内は京都駅起点の営業キロ。

京都駅 (0.00km) - 八条仮信号所 (0.80km) - 東寺仮停車場 (1.13km) - 伏見駅 (5.31km) - 桃山駅 (7.08km)

[編集] 廃止信号場

  • 宇治川仮信号場:1926年廃止、黄檗駅 - 宇治駅間(京都駅起点約13.8km)
  • 都跡仮信号場:平城山駅 - 佐保信号場間(京都駅起点約37.8km)
  • 佐紀仮信号所:佐保信号場 - 奈良駅間(京都駅起点約39.3km)

[編集] 参考文献

  • 京都府議会会議録

[編集] 脚注

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  1. ^ 似たような例として水戸線がある。これは当初水戸鉄道によって小山駅 - 水戸駅間が建設されたものの、このうち友部駅 - 水戸駅間が日本鉄道に合併された後、海岸線(国有化後に常磐線となる)の一部になっている。
  2. ^ 奈良県庁や春日大社、東大寺などへは近鉄奈良駅の方が近く、奈良市役所も近鉄の新大宮駅の近くにあるうえ、民間企業の支店や営業所の多くも近鉄駅を利用した方が便利な場所にあるケースが多いためである。
  3. ^ 「日中の運行パターン」の表には、乗り入れする大和路線の列車を含む
  4. ^ 奈良線「221系快速電車」の愛称名を募集します(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2000年10月17日
  5. ^ 平成9年《冬》の臨時列車の運転について(京阪神近郊の列車)(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1997年10月17日
  6. ^ キハ181系による集約臨の運転が始まる - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年5月8日
  7. ^ さよなら修学旅行列車 姫路の小学校、バス利用に - 神戸新聞 2010年6月15日
  8. ^ キハ181系による修学旅行臨が終了 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年6月30日
  9. ^ キハ65形「シュプール&リゾート」が天理へ24系使用の天理臨運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年7月29日
  10. ^ 1996年6月に、ワールドカップが日本韓国の共催になったことを受けて行われた日本国内の開催都市を選定する投票では、京都府が落選したため、京都スタジアムの建設は凍結されている。
  11. ^ 奈良線の部分複線化工事の計画についてインターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1997年4月24日
  12. ^ 奈良線部分複線化及び新駅開業について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2000年10月17日
  13. ^ JR奈良線、11年にも複線化着手 府、10年度に計画策定 - 京都新聞
  14. ^ 「JR奈良線、次々とテコ入れ策 初の快速や増便計画」朝日新聞1991年1月7日夕刊。また「即位の礼」に先立つ1988年のなら・シルクロード博覧会開催に際しては、JR東海が新幹線と近鉄京都線をセットにした割引乗車券を発売したこともあった。
  15. ^ 大和路線ATS-Pの使用開始について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2006年12月6日
  16. ^ 奈良線ATS-Pの使用開始について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年4月29日
  17. ^ 大和路線(関西線)の高架切替について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年2月27日
  18. ^ 在来線特急列車などの全席禁煙化ならびに在来線ホームの禁煙化の拡大について - 西日本旅客鉄道プレスリリース、2009年3月26日

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2010年7月31日 (土) 05:29 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【奈良線】変更履歴

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