宇宙服

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宇宙服
2005年1月に開催された神戸テクノフェアでの展示

宇宙服(うちゅうふく)とは、宇宙飛行士宇宙空間で安全に生存するために着用する、生命維持装置を備えた気密服のこと。宇宙船内で着用する船内服(与圧服)と、船外活動時に着用する船外服に大別される。ここでは、主に船外宇宙服について記述する。

目次

[編集] 機能

宇宙服には主に次の機能が要求される。

  • 気密性、気圧の調整。
  • 空気の供給と呼気の再使用。
  • 体温の調整、特に冷却(宇宙空間は低温ではあるのだが、宇宙服には宇宙飛行士の体温を逃がす場がなく、また太陽光線も強烈であるから温度は上昇することになる)
  • 小流星物体からの保護。

船外活動時、宇宙服内は与圧されているが周囲は真空のため、服がパンパンに膨らみ身動きを取るのはかなり大変な事である。実際、アレクセイ・レオーノフが史上初めて宇宙遊泳を行った際、宇宙服が風船のように膨張したため命綱をたぐり寄せて船内に戻るのが予想以上に困難となり、危うく宇宙船に帰還できないところであった[1]

NASA船外活動に用いられている宇宙服 船外活動ユニット (EMU) は、宇宙服本体と背中に背負う生命維持システム、TVカメラと照明装置からなる。 1980年代初めに使われた有人機動ユニット (MMU) は背中に背負うように装着し、窒素ガスの噴出によって宇宙空間での姿勢の制御、移動を可能にするものであったが、大型で実用的ではなかったためすぐに使われなくなった。代わって1990年代からは小型のSAFER(Simplified Aid For EVA Rescue)と呼ばれる緊急時以外は使用しないセルフレスキュー用の装置が開発され、国際宇宙ステーションでのEVAでは装着が義務図けられている。


NASAのEMUは、運用圧力が0.3-0.4気圧(4.3psi)、重量約120kg、活動時間はおよそ7時間程度(最長8時間)である。 ロシアのオーラン(Orlan)宇宙服の方は、約0.4気圧(5.7psi)とEMUよりも若干圧力が高いため、作業性は劣るが、作業準備(プリブリーズ)時間が短縮できる利点がある。EMUは1人では装着できないのに対して、オーラン宇宙服は背中の扉を開いて中に入るタイプであり1人でも装着できる点も優れている。

[編集] 開発の歴史

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世界初の宇宙服(与圧服)は、1931年ソビエト連邦エヴゲニー・チェルトフスキーが完成させた「スカファンドル」(скафандр, skafandr) だとされる。


1965年3月18日に旧ソ連のAlexei Leonovが、ボスホート2号から世界初の船外活動を行ったが、この時に使われた宇宙服が初の実用宇宙服である。この宇宙服は、船内与圧服を改良したものであった。 ロシアは、1977年12月にサリュート6号での船外活動を始めたが、この時はオーランD(Orlan-D)宇宙服が使われた。Orlan宇宙服は、1960年代に月面用宇宙服として開発していたKrechet宇宙服をベースに開発された。 1985年にはその改良型のオーランDMの使用を開始。1988年からは、宇宙船とのアンビリカル無しで自立しての作業が可能なオーランDMAの使用を開始した。 1998年からは、さらに操作性を改善したオーランMの使用を開始。 2009年からは、オーランMを改良したオーランMKが使用されるようになった。 なお、ロシアの宇宙服は、使用寿命を迎えるとプログレス補給船に搭載して廃棄している。

アメリカは、1965年6月3日にジェミニ4号で初の船外活動を行った。 その後、NASAではアポロ計画用の宇宙服を開発し、スペースシャトル用の宇宙服(EMU)へと進化した。ジェミニ、アポロ計画での宇宙服は、船内用与圧服と宇宙服を共用していたが、スペースシャトルでは、船内与圧服(オレンジ色のスーツ)と宇宙服(EMU)を使い分けるようになった。 EMUは、国際宇宙ステーションでの船外活動に備えて、低温環境での保温性の強化や、腕の動かしやすさの改善、グローブの改善、SAFERやヘルメットカメラの装着などのを細かな改善を積み重ねた。


SFで見られるような、身体にフィットする圧迫式(Mechanical counter pressure :MCP) の宇宙服も2007年ごろから研究や試作が進められている(MITのBiosuit HP)。

硬式大気圧型潜水服

大気圧潜水服のように内部が大気圧(1気圧)で活動できる宇宙服も検討されたが、大気圧潜水服は重量が300キロから500キロもあり重すぎるためこのようなタイプの宇宙服は開発されていない。

[編集] 豆知識

宇宙服についている温度調節などの切り替えスイッチの文字は鏡に映したように、左右逆になっている。宇宙服の中に入った状態では、頭を動かしてスイッチを見ることが出来ないために、腕に取り付けられた手鏡状の金属でスイッチなどを映して操作する際に見やすくなるようにしているのである。

[編集] 日本の取り組み

2009年現在、宇宙服を開発・保有している国はアメリカロシア及び中国のみである。また、カナダ欧州で、研究が進められている。

日本は2010年完成予定の国際宇宙ステーション計画に参加し、2020年にはアメリカ航空宇宙局(NASA)の月面探査計画にも参加を予定していることから、宇宙航空研究開発機構JAXA)は国産宇宙服の開発検討を始めた。開発を検討するのは次世代型の船内服及び船外服で、船外服の最終目標は運用圧力1気圧、重量20kg、活動時間一週間を目指す。現在は手動で行われている温度管理を自律的に行い、燃料電池を搭載(現在のEMUは銀亜鉛電池を使用)、グローブやブーツにパワーアシスト機能を盛り込むなど、最先端の技術の結集が求められている。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 脚注

  1. ^ この事実が、公表されたのは後のことである{Walking to Olympus An EVA Chronology 2ページ}。

[編集] 外部リンク

 


最終更新 2009年11月15日 (日) 14:52 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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