安楽椅子探偵

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安楽椅子探偵(あんらくいすたんてい、アームチェア・ディテクティブ、Armchair-Detective)とは、ミステリの分野で用いられる呼称で、狭義では安楽椅子(語意通りなら肘掛け椅子だが)に腰をおろしたままで、人から事件に関する話を聞き、それに基づいた推理で事件の謎を解く探偵のことをいう。

目次

[編集] 概要

書斎の安楽椅子に深々と埋まりパイプをくゆらしながら推理を巡らす…という、ある意味ステレオタイプな探偵像が存在するが、『安楽椅子』の語は現場へ出向くことなく頭の中だけで推理して、というほどの意味であり、従って実際に安楽椅子に座っていなくても、データ(当事者以外の話や新聞記事、調書など)を基にして推理を展開するタイプの探偵は該当すると見なせる。例えば、車椅子に乗る警察官が主人公の海外ドラマ「鬼警部アイアンサイド」や、ジョセフィン・テイの『時の娘』に代表される「寝たきり探偵」(ベッドサイド・ディティクティブ、Bedside-Detective)なども含まれる。また安楽椅子探偵は原則として殆どの事件現場に立ち合わないため、視覚的観点から現場の空間把握や新証拠発見可能性などが著しく減少することになり、人から聞かされる事件現場に関する情報の質が事件解決の鍵を握ることもなる。

シャーロック・ホームズにしても、ベイカー街の下宿を一歩も出ずに解決した事件がいくつかあるなど、本来は行動型の名探偵が、ある作品においては安楽椅子探偵をつとめるということも少なくない。一方で、安楽椅子派の代表格「隅の老人」も、いくつかの作品では自ら証拠集めを行っているなど、シリーズものの名探偵が登場全作品で安楽椅子派に徹している事例は、実は少ない。安楽椅子探偵かどうかは、多分に読者の印象や、作者のプロットに影響される傾向がある。

安楽椅子探偵はスタイルとして、「自分の推理の正しいことを立証する」ための行動を取らない傾向がある。従って、推理小説としての作品の出来映えには、論理的な破綻を読者に感じさせず、なおかつ予想外の驚きを与えるという、相反する構成を要求される。このこともあってか、扱う問題は、推論だけでなく物的証拠を要求される刑事事件ではなく日常のささいな謎であることが多い。また名探偵自身も「これはひとつの推論に過ぎない」などとして、真相はどうであったかは曖昧にしてしまうケースもままある。

なお、変り種として、家具の安楽椅子そのものが探偵という作品もある(「安楽椅子探偵アーチー」、松尾由美、創元クライム・クラブ)。

[編集] 起源

史上初の安楽椅子探偵は、1895年にマシュー・フィリップ・シール(M. P. Shiel)が創造した、 プリンス・ザレスキーだとされる。(「プリンス・ザレスキーの事件簿」、創元推理文庫)。

ただし、名探偵の嚆矢とされるエドガー・アラン・ポーオーギュスト・デュパンも「マリー・ロジェの秘密」ではいわば安楽椅子探偵に徹しているので、厳密を期すなら彼こそ安楽椅子派の元祖であるとする見方もある。

[編集] 代表的な安楽椅子探偵

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月1日 (日) 16:07 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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