客車

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客車(北斗星

客車(きゃくしゃ)とは、鉄道において旅客を輸送するために用いられる車両を指す呼称である。おもに旅客を輸送する車両を指すが、手荷物・小荷物郵便物を輸送する車両(荷物車郵便車)も客車に含まれる。貨物を運ぶ車両は貨車といい、客車とは区別される。ドアステップがついていることが多い。

狭義では、機関車などにより牽引される無動力(動力集中方式)の旅客車両を指す。電車気動車とは区別される。本稿では狭義の客車について記す。また、これ以降、特記ない場合は日本の客車について記す。

目次

[編集] 特徴

動力分散方式電車気動車蒸気動車など)との比較では以下のようになる。動力集中方式#長所と短所も参照。

[編集] 長所

  • 電車気動車に比べ製作・保守コストが低い。
  • 上の理由により、編成が長い場合コスト的に有利になる。過去の日本の研究では次のように算定されたことがある[1]
    • 直流電化区間では12両以上の場合。
    • 交流電化区間では10両以上の場合。
    • 非電化区間では5両以上の場合。
  • 機関車の付け替えだけで電化区間(交流直流周波数電圧などの違い)・非電化区間を直通できる。
  • モーターやエンジンがないため、騒音、振動が少ない(サービス電源用の発電セットを持つものや電源車を除く)。このことは静粛性が特に求められる夜行列車には有利である。
  • 組成時の制限が少ない。
    • 最小1両単位での客車の編成が可能。

[編集] 短所

  • 運転時分の短縮が難しい。
    • 電車気動車に比べると、急勾配や急曲線、高速通過困難な分岐器が多く、駅間距離も短い日本では、起動加速度ブレーキ性能、上り勾配での高速走行性能で劣る。この事から電車や気動車に追い越されることが多く、またラッシュ時のダイヤに組み込むことが困難である。
  • 折り返し時分の短縮が難しい。
    • 常に機関車を先頭にする必要があり、終着駅やスイッチバックでの付け替えを要する。特に、2列車を1列車に併合する場合は、駅構内での入れ替えが必要となり、時間がかかる。
    • ただし、海外(特に欧州・北米)の近距離列車などでは、一端に機関車を固定し、他端の客車に設けられた運転台から制御できる=機関車を最後部にした「高速」推進運転ができる=ものが多く見られる。日本でもJR北海道ノロッコ号用など一部にこの方式を採用したものがある。
    • 特に欧州の車両は、日本や北米と連結器が異なるため推進運転に適し、乗り心地、速度とも他の動力方式と比べ遜色は無い。2列車を併結することもあり、その場合は、機関車 + 客車 + 機関車 + 客車のような編成となり、乗客の通り抜けはできない。また、機関車に申し訳程度の客室(1・2等合造の場合もある)を持つものがある。
  • ワンマン運転ができない。
    • これも、海外においては上記の折返し運転の事情と共通する。
  • 重量や軸重の不均衡が大きい。
    • 機関車の重量によっては、軌道や橋梁の強化が必要になる場合がある。しかし、許容の強度を満たしている場合、電車中心の運転の方がクリアランス悪化(狂い)が速い場合もある。
  • 機関車の分だけ編成長が長くなる。
    • 駅、信号場、操車場の有効長の延伸工事が必要になる場合がある。ただし、駅の場合は延伸工事をせず、ドアカットプラットホームにかからないドアを開けない操作)で対応する事がある。
    • 短編成であるほど客車編成数、つまり客室面積が制限される。
  • 1個の連結器にかかる牽引力が大きく、乗り心地の面で不利。
    • 加減速で前後方向の衝動が発生し、特に発進、停止時は大きい。日本では、自動連結器が大勢を占めるため、特にウィークポイントとなっている。

[編集] 日本の客車

日本では、客車による定期旅客列車は1990年代以降、少数の寝台列車夜行列車)を除き、電車や気動車に置き換えられて姿を消した。

JR旅客6社及び私鉄での客車による定期普通列車は、車両限界などの特殊な事情を持つ大井川鐵道井川線黒部峡谷鉄道及び蒸気機関車及び一般型(旧型)客車の動態保存のためほぼ定期運転を行っている大井川鐵道大井川本線のSL列車を除いて消滅した。なお、日本国内での国鉄型車両・国鉄型近縁車両によって運行される定期普通列車としては、国鉄14系客車を使用した2006年3月に運行終了した樽見鉄道の定期列車が最後となっている。また季節限定であるが津軽鉄道では客車を3両保有しており、ダルマストーブ特徴の「ストーブ列車」として冬季運転がある。

2008年現在で定期列車として使われる寝台車以外に残っているものは、天理教金光教など一部の宗教団体関連や、旧盆年末年始といったピーク時、蒸気機関車の運転といったイベント時に運転する臨時列車(波動輸送)用に少数の車両が残るのみであり、これについても電車などへの置き換えが進められて、運行本数を減らしている。

また、寝台車を始め現存する客車についても、1999年JR東日本が「カシオペア」に使用するために製造したE26系客車を除いては、製作後30年以上経過しており、乗客数の低下と老朽化が始まっているために、運転本数は削減の方向にある。

一方、欧米など海外では大都市近郊の地下鉄や通勤路線以外は、ほとんど客車列車で運行されている。また車両の購入費や維持費の面で気動車よりも有利なため、発展途上国では通勤路線でも客車列車を使っている場合が多く、日本からも廃車になった車齢の若い車両が輸出や無償提供されている。

日本の客車史」も参照

[編集] ヨーロッパの客車

ヨーロッパ各国の鉄道では、客車は依然として幅広く使われている。

ヨーロッパの場合、周辺国と地続きであるため鉄道についても複数の国々に跨ったネットワークが構築されている。しかし、国ごとに電化方式・複線区間の通行方向(右側・左側)・車体寸法・軌間・保安装置などがまちまちであるため、国ごとに機関車を付け替えることができる客車方式が長年にわたって主流となっていた。近年では、高速鉄道網の発達や、電車気動車などの動力分散方式への移行などにより、客車が活躍する舞台は縮小しつつあるが、それでも主流はいまだ客車である。

日本の客車のような「固定編成客車」は少なく、1両単位で運用することが多い。専用の電源車を持つことは少なく、ほとんどの場合電源は機関車から供給されるか、車軸発電機による給電である。

日本ではあまり一般的ではないが、運転台付の客車を最後尾に連結し、客車側運転台からの遠隔操作により機関車が客車を押すような運転方法(ペンデルツーク:Pendelzug())も一般的である。またTGVやタリスなどの高速列車では、客車に運転台を設けるのではなく、列車の前後に機関車を取り付け、運転時は前後の機関車を同調させることで機関車の入れ替えをする必要を省いているものも多い。これらの方法により、駅での機関車付け替えを省略することができる。

国際列車を運転する観点から、ヨーロッパの客車には、国際列車用の規格である「UIC規格(あるいは「RIC規格」)」が存在する。また、国内用ではあるが、ダブルデッカーも数多く使用されている。

ヨーロッパの客車のサイズは、車体長は日本の客車よりも大型で26.4m(UIC-X,UIC-Zなど)、あるいは24.5m(UIC-Yなど)のものが大多数である。しかし車体幅や高さは、日本の客車とそれほど変わらない。

[編集] 日本を除くアジアの客車

日本と韓国マレーシア中国の一部を除くアジアのほとんどはまだ発展途上にあるため、都市部以外ではいまだに客車列車が全盛である。インドや中国の山奥ではいまだに蒸気機関車が客車を引っ張っている光景を見ることがある。ちなみに、この場合石炭ではなくを燃料にしていることも多い。

また東南アジアでは日本で不要になった客車が輸出され、大部分がそのまま、一部はその土地のレールの幅に合うように台車を交換した上で使われている。これは現在中国や朝鮮半島、東南アジアにある主な鉄道の大部分は、太平洋戦争終了まで日本が占領していた間に作られた鉄道(南満州鉄道朝鮮鉄道台湾総督府鉄道泰緬鉄道)であるため、1067mmと言うレール幅の他、駅など様々な規格が日本と同じ、あるいは似ていることがその要因である。

しかしそれらの国では、最近では日本で不要になった気動車が輸出されて使われることにより、世代交代も進んでいる。

[編集] 脚注

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  1. ^鉄道ピクトリアル』785号 p.10-12。

[編集] 参考文献

  • 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』2007年2月号 No.785 特集『50系客車』(RP785 と略す。なお同誌はこれ以外も必要に応じ、注において略号RPと通巻、頁で指示する。)

[編集] 関連項目

最終更新 2009年5月9日 (土) 03:22 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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