家畜化

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は、かなり早くから人間によって家畜化されていた動物である。

家畜化(かちくか 英:Domestication)とは、野生動物を飼いならし、その繁殖管理して有用な性質をもつ個体だけを選抜してゆくことで、人間に服従する家畜とすること。及び、その過程で生じる独特の変化の事を指す。

目次

[編集] 概要

有史以来人間は、多くの動物を自分たちのために飼育し、繁殖させてきた。その利用目的は様々で、食肉といった食料を得るため、毛皮などの日用品を得るため、役畜として畑を耕すため、移動のために騎乗するため、狩りのパートナーや愛玩用のためといったものがある。人間の管理下での繁殖の過程において、それらの動物には様々な変化が起きている。その一部は、より有益なものを選んで繁殖させるうちに、その特性が強化された、いわゆる品種改良の結果である。

しかし、それ以外の部分にも共通してみられる変化が生じており、これらの変化を総じて家畜化と呼んでいる。

なお、アジアゾウのように、人間によって飼い慣らされ役畜として使われていても、繁殖が人間の管理下にないものについては「家畜化」という言葉を使わない。

[編集] 背景

[編集] 家畜化の条件

草を食む牛の群れ 食肉用に家畜化された

進化生物学者のジャレド・ダイアモンドの著書『銃、鉄、病原菌』によると、家畜化に適した動物(大型哺乳類)の条件は次の6つを満たすものである。

  1. 飼料の量 多くの種類の食料を進んで食べ、また生態ピラミッドの下位に位置する飼料(トウモロコシオオムギ)を、そのなかでも特に人間が食べられない飼料(まぐさや牧草など)を主食とする動物は、飼育に多くの出費を必要としないため、家畜化されやすい。純粋な肉食動物は、たくさんの動物の肉を必要とするため家畜としては不適であるが、例外として残飯や害獣を狩るものは家畜化される例もある。
  2. 速い成長速度 人間より速く成長し繁殖可能になる動物は、人の手で繁殖させることで、短い時間で有用な性質を持った家畜を手に入れることができる。のような大きな動物は、役畜として有用になるまでに長い年月を必要とするので家畜に適していない。
  3. 飼育下での繁殖能力 飼育下で繁殖をしたがらない動物は、人間が有益な子孫を得ることができない。パンダアンテロープなど、繁殖時に広いテリトリーを必要とし、飼育された状態では出産が難しい動物は家畜にならない。
  4. 穏やかな気性 大きく、気性の荒い動物を飼育するのは危険である。例えば、バッファローは気まぐれで、危険な動物である。イノシシの一種であるアメリカのペッカリーやアフリカのen:warthogen:bushpigは、家畜化されたと似たような部分があるものの、飼育が危険であるために家畜化されなかった。
  5. パニックを起こさない性格 驚いたときにすぐに逃げだすような性格の動物も、上記同様に飼育しておくのが難しい。例えば、ガゼルは素早く走り、高く跳ぶことができるので囲まれた牧場から簡単に逃げ出せる。羊などは今でもパニックに陥いりやすい性格であるが、群れをつくる性質があるので、人間や犬によって群れ全体を制御することができる。
  6. 序列性のある集団を形成する 群れを形成する動物には、個体間で序列性を作り、自身よりも序列が上である個体の行動に倣うという習性を持つ種とそうでない種がいる。などは前者の典型であり、集団のヒエラルキーの頂点に人間を据えることで容易に集団のコントロールが可能になるが、おなじく群れを作るシカトナカイを除く)やレイヨウなどははっきりと集団内の序列を作ることはない。北米原産のビッグホーンは羊の原種であるムフロンとよく似た特徴を備えているが、この一点において家畜化されることはなかった。

[編集] 歴史と場所

家畜化や動物の飼育技術の発達には長い時間が掛かるため、ある時点で家畜化が起こったと言うことはできない、動物の家畜化がはじめて起こったのは中石器時代ユーラシア大陸アフリカ大陸のどこかだったと考えられている。紀元前9000年ごろ、山羊、そしておそらくが最初に家畜化されたと考えられている。

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[編集] 一般的な家畜の家畜化の時期と場所

種(学名) 時期 場所
(Canis lupus familiaris) 15000 BC [1] 東アジアアフリカ
(Ovis orientalis aries) 紀元前9-11000の間[2][3] 南西アジア
山羊 (Capra aegagrus hircus) 10000 BC [4] イラン
(Sus scrofa domestica) 9000 BC[5] 中国
(Bos primigenius taurus) 8000 BC[6][7] インド, 中東, サハラ以南アフリカ
(Felis catus) 7500 BC キプロス, 近東
(Gallus gallus domesticus) 6000 BC[8] インド , 東南アジア
モルモット (Cavia porcellus) 5000 BC[9] ペルー
ロバ (Equus africanus asinus) 5000 BC[10][11] エジプト
アヒル (Anas platyrhynchos domesticus) 4000 BC 中国
バッファロー (Bubalus bubalis) 4000 BC インド, 中国
(Equus ferus caballus) 4000 BC[12] ユーラシア大陸
ヒトコブラクダ (Camelus dromedarius) 4000 BC アラビア
リャマ (Lama glama) 3500 BC ペルー
(Bombyx mori) 3000 BC 中国
トナカイ (Rangifer tarandus) 3000 BC[13] ロシア
(Columba livia) 3000 BC 地中海沿岸
ガチョウ (Anser anser domesticus) 3000 BC[14] エジプト
フタコブラクダ (Camelus bactrianus) 2500 BC 中央アジア
ヤク (Bos grunniens) 2500 BC チベット
en:Banteng (Bos javanicus) Unknown 東南アジア, ジャワ島
ガヤル (Bos gaurus frontalis) Unknown 東南アジア
アルパカ (Vicugna pacos) 1500 BC ペルー
フェレット (Mustela putorius furo) 1500 BC- ヨーロッパ
バリケン (Cairina momelanotus) Unknown 南アメリカ
ホロホロチョウ Unknown アフリカ
Unknown 東アジア
七面鳥 500 BC メキシコ
金魚 Unknown 中国
ヨーロッパウサギ 1600 ヨーロッパ


[編集] 家畜化に伴う変化

一般的に、家畜化によって、動物には以下のような変化が生じる。

  • 気性がおとなしくなり、人間に服従しやすくなる。
  • 脳が縮小する。
  • 人間にとって有用な部位が肥大化する。

これらは、どちらかと言えば人為的選択による変化である。それ以外に、副次的に以下のような変異があると言われる。

  • 繁殖時期が幅広くなる。
  • 斑紋など外形の多様性が大きくなる。
  • 病気等に弱くなる。
  • 生活環を全うするのに人間の手助けが必要になる。

このような現象は、人間の保護下にあることで、自然選択の圧力かがかからなくなるために引き起こされるものと考えられる。同様の傾向がヒトにも見られ、これを自己家畜化と言う。

また、家畜を持っているのは人間だけと思われがちであるが、東南アジアのアリにはササラダニを家畜として飼育し、餌としているものがある。このササラダニは、一般のササラダニとは異なり体は柔らかで、しかも産卵時にはアリが卵をくわえて取り出すと言うため、ここでもしっかり家畜化が起こっていると見られる。

[編集] 家畜化された動物

[編集] 比喩としての「家畜化」

植民地支配などにおいて、ある民族や集団が懐柔され被支配状態を受け容れた状態について批判的・攻撃的な表現として「家畜化された」と呼ぶことがある。

[編集] 参考文献

  1. ^ イヌの起源 も参照
  2. ^ Krebs, Robert E. & Carolyn A. (2003). Groundbreaking Scientific Experiments, Inventions & Discoveries of the Ancient World. Westport, CT: Greenwood Press. ISBN 0-313-31342-3. 
  3. ^ Simmons, Paula; Carol Ekarius (2001). Storey's Guide to Raising Sheep. North Adams, MA: Storey Publishing LLC. ISBN 978-1-58017-262-2. 
  4. ^ Melinda A. Zeder, Goat busters track domestication (Physiologic changes and evolution of goats into a domesticated animal), April 2000, (英語).
  5. ^ Giuffra E, Kijas JM, Amarger V, Carlborg O, Jeon JT, Andersson L. The origin of the domestic pig: independent domestication and subsequent introgression., April 2000, (英語).
  6. ^ Late Neolithic megalithic structures at Nabta Playa (Sahara), southwestern Egypt.
  7. ^ Source : Laboratoire de Préhistoire et Protohistoire de l'Ouest de la France [1], (フランス語).
  8. ^ West B. and Zhou, B-X., Did chickens go north? New evidence for domestication, World’s Poultry Science Journal, 45, 205-218, 1989, quotationPDF (26.3 KiB), 8 p. (英語).
  9. ^ History of the Guinea Pig (Cavia porcellus) in South America, a summary of the current state of knowledge
  10. ^ Beja-Pereira, Albano et al., African Origins of the Domestic Donkey, Science 304:1781, 18 June 2004, cited in New Scientist, (英語).
  11. ^ Roger Blench, The history and spread of donkeys in AfricaPDF (235 KiB) (英語).
  12. ^ The Domestication of the Horse
  13. ^ Domestication of Reindeer
  14. ^ Geese: the underestimated species

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月4日 (水) 21:59 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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