寒波

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寒波(かんぱ、cold wave)は、その地域の平均的な気温に比べて著しく低温な気塊がのように押し寄せてくる現象のこと。北極周辺の高・中緯度地域に現れやすい。規模の大きいものでは「大寒波」とも呼ばれる。

目次

[編集] 原理

北極には、極循環によって非常に冷たい空気の塊(北極気団)ができる。この空気の塊は北極を中心として、周囲に膨らんだり縮んだりといった動きを繰り返している。膨らんだり縮んだりといった動きは、寒気の南下・北上を意味し、膨らんだときには「寒気が南下する」あるいは「寒気が放出される」などと表現する。気象学的には「寒気の南下」あるいは「寒気の放出」と解されるものが、いわゆる寒波と呼ばれるものである。

「寒気の南下しやすさ」あるいは「寒気の放出されやすさ」は、北極の極高圧帯中緯度高圧帯の気圧の差に左右される。この気圧差は北極振動(AO)と呼ばれ、数週間~数十年の複数の周期で似たような気圧差パターンとなる。気圧の差が大きいと、北極気団の周りを流れる寒帯ジェット気流が強まって冷たい空気を動きにくし、寒波の頻度は低くなる。気圧の差が小さいと、寒帯ジェット気流が弱まって冷たい空気を動きやすくし、寒波の頻度は高くなる。

南極にも非常に冷たい空気の塊(南極気団)や周囲との気圧差の変動(南極振動(AAO))があり、北極と同じようなメカニズムで「寒気の北上」あるいは「寒気の放出」を起こし、寒波をもたらす。

高緯度地域では、を中心とした寒候期の長い間、しばしば寒波に見舞われる。ここから緯度が低くなるに従い、寒波に見舞われる期間は短くなり、寒波の温度も高くなる。極地域では、極気団の内部の気圧が不安定になることによって寒波に見舞われるために高緯度地域に比べて頻度は低く、もともと気温が低いため寒波による気温の低下はそれほど著しいものではない。夏を中心とした暖候期には、寒気がやってくることはあるものの、寒波に見舞われるようなことは少ない。低緯度地域では夏の寒波は見られないが、高緯度地域では稀に夏でも寒波に見舞われることがある。

寒気が南下する際には、暖かい空気との境界に寒帯前線ができ、一緒に移動してくる。寒帯前線の付近には、低気圧が発生しやすく、発達も著しい。低気圧の発達は、局地的に気圧差を拡大させるため、より一層強い寒気を引き込み、寒波も強いものとなる。

[編集] 影響

寒波による影響は、低温によるもの、強風によるもの、大雪や着氷によるものに大別される。

寒波により、気温が氷点下となるような著しい低温となることがある。この場合、水道管(気温がおよそ-4℃以下になると凍結する可能性があるとされている[1])やガス管の凍結に伴う水道ガスの供給停止の恐れがある。

強風は、低気圧を伴って寒気が南下する場合に多く見られ、建造物や物品の損壊をはじめとした風害をもたらす。

寒波は、大抵の場合雪を伴う。雪の量が多いと大雪となり、積雪地吹雪によりさまざまな災害をもたらす。寒気が大きく南下すると、低温の範囲も南に広がり、それに伴って雪の範囲や大雪の範囲も南に拡大し、通常雪が少ない地域では少量の積雪でも大きな影響が出る。

低温による人体への影響もある。冷たい外気や雪などは部屋の温度を下げるため、暖房などが十分でない場合は、人の体温を下げて生命を危険な状態にしてしまうことがある。軽微な場合はしもやけ程度で済むが、重度の場合、局部的に冷やされた場合は凍傷、体全体が冷やされた場合は低体温症の恐れがある。対処法については低体温症への対処法を参照。

[編集] 過去の顕著な寒波

[編集] 日本

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著しい低温をもたらした寒波

  • 1963年1月下旬 - 北陸~西日本にかけて豪雪と異常低温。国鉄上信越線が長期運休するなどした。昭和38年1月豪雪の一連の寒波の中で最も強烈なものである。
  • 1967年1月中旬 - 南西諸島を記録的に全国的な異常低温。
  • 1977年2月中旬 - 全国的な異常低温。沖縄県では唯一の降雪記録となる久米島でみぞれを観測。西日本平野部でも広範囲で最高気温0℃に達せず真冬日。八丈島・青ヶ島で積雪3cm。昭和52年豪雪の一連の寒波の中で最も強烈なものであり、多くの観測地点で最低気温の極値を更新することとなり、1981年の寒波とともに戦後屈指の猛烈寒波として双璧である[要出典]
  • 1978年2月中旬 - 北日本中心に異常低温。日本の最低気温極値の上位10地点中5地点を、1978年2月17日の低温記録で占める。この猛烈な冷え込みは、一連の寒波の中シベリア高気圧が北日本に袋状に垂れ下がり、季節風が一時的に収まったことによる放射冷却が原因であることが当日の気圧配置から読み取れる。
  • 1981年2月末旬 - 中部以西を中心に全国的な異常低温。西日本各地でも真冬日となり、訪日中のローマ法皇ヨハネ・パウロ2世を震え上がらせた。五六豪雪(昭和56年豪雪)をもたらした寒波の主体は前年12月下旬~1月中旬の里雪型の寒波によるものであったが、ひと月ほど強い寒気攻勢が収まって穏やかだったところへやってきたこの寒波により、多くの観測地点で最低気温の極値を更新することとなり、1977年の寒波と並び、戦後最強の寒波と並び称される[要出典]
  • 1984年2月上旬 - 全国的な異常低温と豪雪。記録的な低温ではなかったものの、およそ一週間に渡って著しい低温が続き、長野と高山で8日連続、仙台で6日連続、新潟で5日連続最高気温が0℃に達しない真冬日となり、大阪で10日連続、東京で9日連続最低気温が氷点下となる冬日を観測するなどした。また北陸~近畿北部にかけて記録的な豪雪となり(五九豪雪/昭和59年豪雪)、この他にも度重なる寒波により、この年の2月の平均気温は本州を中心に終戦の年以来戦後最も低くなった。
  • 1996年1月末旬~2月初旬 - 東日本を中心に全国的な異常低温。伊豆大島で連日に渡って最低気温の記録を更新。関東平野の最高気温は晴天にもかかわらず3℃前後と異例の寒さとなった。
  • 1997年1月22日 - 近畿~東海地方を中心に全国的な瞬発型の異常低温。近畿・東海の大都市部でも-5℃前後まで下がったうえ大雪となるなど交通網に大混乱を引き起こした。
  • 2003年1月29日 - 近畿~中国地方を中心とした瞬発型の異常低温。紀伊半島の北中部や四国西部でも大雪になった。850hPa-15℃線は西回りに広く瀬戸内地方まで南下し、日中にもかかわらず山陰沿岸で-6℃前後、瀬戸内沿岸で-3℃前後という空前の寒さであった。このため関西では電気・ガスの使用量を更新し、積雪した地域では日中の雪が解けず強風によって舞い上がり、珍しく西日本で地吹雪が起こるなどした。翌年2004年1月22日も、西回りに南下した猛烈寒気により、低温の規模はやや劣るものの同地域・同時間帯に著しい低温となった。

局地的な豪雪をもたらした寒波

[編集] 世界

[編集] 関連項目

[編集] 出典

  1. ^ 冬は凍結から水道管を守りましょう 神奈川県企業庁 神奈川県営水道

最終更新 2009年11月16日 (月) 06:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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