対戦車ミサイル
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対戦車ミサイル(たいせんしゃミサイル、英: Anti Tank Missile, ATM)は、戦車を攻撃するために用いられるミサイルである。正確には対戦車誘導ミサイル(Anti Tank Guided Missile:ATGM)、または、対戦車誘導兵器(Anti Tank Guided Weapon:ATGW)という名称が正しい。
自衛隊においては対戦車誘導弾と呼び、Missile Anti TankすなわちMATと略す。これは自衛隊が当初ATMを導入しようとしたときに、ATMがアトムと読める事から、軍事に疎い人達に核兵器の導入と誤解されるおそれがあると考えられ、誤解をさけるべく英単語の順番を変更した。
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[編集] 概要
戦車は装甲が強力なため普通の火薬による爆発ではダメージをあまり与えられない。また、ミサイルは飛翔速度が砲弾と比べて非常に遅いために、運動エネルギーによる装甲貫通は行えない。そのために、爆発の威力を一点に集中させるHEAT(成形炸薬弾)という特殊な弾頭を使い装甲を貫く。
対戦車ミサイルは、車両や航空機などに装備される物が多いが、人力による携行可能なものが少なくなく、歩兵部隊の対戦車班の主要装備となっている。戦闘車輌以外にも人間、建物、陣地などに対しても使用可能な事から、ロケット砲や携帯地対空ミサイル同様、ゲリラや民兵が好む装備となっている。もっとも、価格は地対空ミサイルよりはずっと安価とはいえ、日本円にして一発あたり数百万もするため、大国から装備を供与されていない民兵組織では、おいそれと自腹で調達できるものではない。
砲の短距離性を補完したり、対ヘリコプター用に戦車自身が装備する事もあり、以前は通常弾と対戦車ミサイルの双方が発射可能なガンランチャーと呼ばれる大口径の主砲を備えた空挺戦車M551シェリダンの様な車輌が存在した。現在は戦車砲自体の大口径化とミサイルの小型化により、ロシアの9M119やイスラエルのLAHATの様に通常の戦車砲から発射できるタイプが登場している。
[編集] 歴史
世界で最初に開発された対戦車ミサイルは、第二次世界大戦中の1941年にドイツで開発が始まり、1944年に実物でのテストが行われた「X-7 Rotkaeppchen」である。
X-7は終戦までに300発ほどが完成したが、実戦での使用は無かったとされる。また誘導命令を赤外線で伝える物や、今で言う第二世代の誘導方式、そして画像認識による誘導など様々な誘導方式の研究がされていた。これらは計画の域を出なかった。また、X-7以外にも様々な対戦車ミサイルが計画されていたがその殆どは完成していない。
世界で最初に実戦使用された対戦車ミサイルは、フランスのSS.10である。SS.10は低コストで戦車を駆逐する兵器という前提で開発が行なわれ、軽戦車や対戦車砲のような重装備を用いなくとも、トラックやジープで軽快に移動する兵士によって、しかも大量に戦車を駆逐する装備を持つことが可能になった。
世界で最初に対戦車ミサイルが大規模に用いられたのは第四次中東戦争である。エジプト軍がイスラエル戦車部隊に対してAT-3サガー対戦車ミサイルを集中使用し、大打撃を与えることに成功した。そのため、一時はミサイル万能論(戦車不要論)が大きく取りざたされた。しかし、戦車側も対戦車ミサイルに対抗する為、爆発反応装甲(ERA:Explosive Reactive Armor)などのHEATを無効化する手段を有するようになった。その後、本格的な防護力を持つ第三世代戦車が登場したため、ATGMもより強力なものを望まれている。
その為、HEATを2段にし、一段目の弾頭で爆発反応装甲を破壊、2段目が装甲を破るタンデム弾頭を持つタイプや、戦車の装甲が比較的薄い上面を狙ってHEATを打ち込むタイプ(スウェーデン製のBILLなど)、旧来のHEAT弾頭ではなく戦車砲弾であるAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)のような運動エネルギー弾を目標に超高速で突入させる事で、反応する猶予を与えず爆発反応装甲ごと撃破することが可能なLOSATの様なタイプもある。
[編集] 誘導方式
地対空ミサイルなどと異なり、対戦車ミサイルは昔から電気信号を送るワイヤーによる有線誘導方式が多いが、近年では光ファイバーを用いたものや、ワイヤーを用いないアクティブ誘導でより高速のタイプも登場している。また、以下のように機能により各世代に分類される。
[編集] 第1世代
照準器または双眼鏡で目標を照準し、飛行中のミサイル後部の噴射炎や発光マーカーでその位置を確認しつつ、ジョイスティックで誘導する遠隔操作誘導方式。目標と自分のミサイルを同時に目で追う必要があり、ミサイルも低速で横風の影響を受けやすい。当然、照準手にはミサイルの操縦能力が求められ、照準手を攻撃すれば無力化することが可能。
代表例として、世界初の実用対戦車ミサイルとなったSS-11や、AT-3サガー、64式MATなどがあげられる。
「手動指令照準線一致誘導方式」も参照
[編集] 第2世代
照準器の中心に目標を捕らえ続けることで、目標の位置情報がワイヤーでミサイルへ送られ、ミサイルはその情報に沿って飛行して命中する有線パッシブ誘導方式。照準手は目標だけを追えばよくなり、特別な操作能力が無くとも誘導が可能になったが、依然として目標に命中するまでは誘導し続ける必要がある。
代表的な例として、西側諸国のTOW、HOT、ミラン、79式重MAT、東側諸国のAT-4、AT-5などがあげられる。
「半自動指令照準線一致誘導方式」も参照
[編集] 第2.5世代
Nd-YAGなどの照準レーザーを目標に照射し続けることで、ミサイルの弾頭が目標から反射したレーザーを検出して飛行するセミアクティブ誘導方式。誘導ワイヤーが廃されたことでミサイルが高速になり、また発射地点から離れた場所から、さらに発射手とは別の照準手でも誘導が可能になった一方で、照準レーザーを感知される、有線誘導でないために敵のジャミングに弱くなるといった欠点も登場した。
代表的な例としてヘルファイア、87式MATなどがあげられる。
「レーザー誘導」も参照
[編集] 第3世代
目標の発する赤外線を映像としてとらえ、これをミサイル先端部のシーカーが感知して飛行するパッシブ誘導方式。発射直後に照準作業を終了して、射手が退避することが容易になった、完全な「撃ちっ放し」だが、フレアなどの赤外線ジャミングに弱い。
代表的な例としてジャベリン、01式軽MATなどがあげられる。
[編集] 主な対戦車ミサイル
- BGM-71「トウ」(アメリカ)
- AGM-114「ヘルファイア」(アメリカ)
- MGM-166「ローサット」(アメリカ)
- 64式対戦車誘導弾(日本)
- 79式対舟艇対戦車誘導弾(日本)
- 87式対戦車誘導弾(日本)
- 96式多目的誘導弾システム(日本)
- 中距離多目的誘導弾(日本)
- 3M11「ファラーンガ」(AT-2)(ソ連)
- 9M14「マリュートカ」(AT-3)(ソ連)
- 9M111「ファゴート」(AT-4)(ソ連)
- 9M113「コンクールス」(AT-5)(ソ連)
- 9M114「シュトゥールム」(AT-6)(ソ連)
- 9M112「コブラ」(AT-8)(ソ連)
- 9M120 「アタカ-V」(AT-9)(ソ連)
- 9M117「バスチオン」(AT-10)(ソ連)
- 9M119「レフレークス」(AT-11)(ソ連)
- 9M133「コルネット」(AT-14)(ロシア)
- SS.10(フランス)
- SS.11(フランス)
- HOT(欧州)
- Trigat(欧州)
- BILL(スウェーデン)
- LAHAT(イスラエル)
[編集] 主な携行式対戦車ミサイル
- M47「ドラゴン」(アメリカ)
- FGM-148「ジャベリン」(アメリカ)
- FGM-172「スロー」(アメリカ)
- 01式軽対戦車誘導弾(日本)
- 9M14「マリュートカ」(AT-3)(ソ連)
- 9K115「メチス」(AT-7)
- 9M131「メチスM」(AT-13)(ロシア)
- ミラン(フランス)
- スパイク(イスラエル)
[編集] 小型ミサイル
- APKWS(アメリカ) Hydra70ロケットをミサイルに改造。
[編集] 関連項目
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最終更新 2009年11月23日 (月) 14:26 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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