専守防衛

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専守防衛(せんしゅぼうえい)とは、日本軍事戦略であり、防衛上の必要があっても相手国に先制攻撃を行わず、敵が侵攻してきてから軍事力(防衛力)を以って水際で撃退するという原則的な方針である。世界に類を見ない戦略である。戦略守勢、専守防御とも言う。

目次

[編集] 概要

専守防衛は戦後の日本(自衛隊)の基本的な軍事戦略とされてきた。これは全般的な作戦において相手の攻撃を受けてから初めて軍事力を行使すること、その程度は自衛の必要最低限であり、必要があったとしても相手国の根拠地を攻撃するという戦略攻勢を禁止し、自国領土またはその周辺でのみ作戦すること、相手国の侵攻はそのたびに撃退するという、極めて受動的な軍事戦略であると言える。

[編集] 問題

[編集] スタンドオフ攻撃への対応

専守防衛では戦略攻勢を認めておらず、その方針から自衛隊は攻撃型兵器(弾道ミサイル、長距離戦略爆撃機潜水艦発射弾道ミサイルを含む原子力潜水艦、いわゆる攻撃型空母など)を保有する事は認められないと考えられている。そのためもしある国が日本の有するあらゆる兵器よりも射程が長い兵器で日本を攻撃(スタンドオフ攻撃)した場合、その射程を生かせば自由かつ安全に攻撃を行うことが可能となるため、これに対抗することが不可欠となる。

現在、日本対抗手段としては日米安全保障条約に基づくアメリカ軍の攻撃力に依存して、アメリカ軍が反撃してくれることを誠実に希求するばかりである。(条約における日本防衛義務の趣旨についても争いがある)。

[編集] 先制攻撃の禁止

日本はその国土が大陸と非常に近い位置関係にあり、また国土の形状が南北に伸びているために攻撃の初期段階で作戦地域となりうる範囲が広大であり、しかも細長い国土のためにその防衛上の時間的猶予は極めて限られることとなる。そのため相手国の弾道ミサイル戦略爆撃機による攻撃に対しての防衛は極めて困難であるという環境にある。

その上で専守防衛で先制攻撃が禁じられていることは、これらの防衛上の困難をより深刻なものとする。この弱点を克服するためには相手国の軍事的な動向を情報収集の体制を整備してあらゆる諜報活動でその情勢を常に監視・調査し、もし本格的な侵攻の兆候が見られれば迅速に部隊を展開することが考えられる。

現状、日本国自衛隊は独立した諜報部隊を公式上持っておらず、もっぱら韓国国防軍、米国CIAによる情報提供を分析するのみである。現在構想中の早期警戒衛星の常時展開体制の完成により、40年前の米軍の情報収集能力程度は得られるという粗末な状況になっている。

[編集] 国民保護の重要性

専守防衛では国土及びその周辺で作戦するために国民への被害が出る危険性が高く、また住民のために作戦行動が大きく制約されることが考えられる。そのため住民の被害を最小化して国民生活を守り、効率的かつ円滑に作戦行動するために軍民一体の体制を整備することが不可欠であり、そのために有事法制国民保護民間防衛)の整備が極めて重要となる。

[編集] 議論

専守防衛の範囲が非常に曖昧であり、敵からどの程度の攻撃を受けたら反撃が可能なのか、その際どの程度の攻撃までが可能なのか、などのことが度々議論となっている。従来はかなり狭い解釈がなされており、例えば領空侵犯に対するスクランブルにおいては、領空内で友軍機が攻撃を受けたとしても、自身が直接攻撃を受けない限り反撃してはならないとされていた。

しかし近年は解釈の拡大化の傾向があり、武力攻撃事態法においては先制的自衛権も可能としており、個別的か集団的かに関わらず、自衛権とは必ずしも日本の領域に留まるものではないということは、これまでの政府による国会答弁でも述べられている(在外邦人保護のための自衛権行使について公海上の自衛権行使の是非参照)。但し、こうした政府答弁に対しては、憲法解釈上、賛否は大きく分かれており、憲法改正論議同様、大きなテーマである。

[編集] 武力攻撃予測事態における先制的自衛権

専守防衛の議論の中で今日、最も大きな議論は先制的敵基地攻撃の合憲性等についてである。現在の日本では特に有事法制をめぐる議論の中で武力攻撃予測事態を想定し、弾道ミサイル攻撃や核兵器攻撃に対し他国を攻撃する以外に自国を守る手段がない場合には他国への攻撃が可能との見解を示している。

核爆弾などの最終兵器であっても、日本本土に着弾して被害を確認してからでないと相手国(敵国)には攻撃できない事になっていたが、2005年7月22日、改正自衛隊法の成立により、発射の兆候なしにミサイルが飛来した場合、緊急対処要領に基づき防衛庁長官(現・防衛大臣)の権限により現場指揮官への迎撃命令が可能とされた。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年9月10日 (木) 09:00 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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