要撃機
要撃機の最新ニュースをまとめて検索!
要撃機(ようげきき / Interceptor)とは、戦闘機のうち、特に、爆撃機の迎撃を目的とした機体である。
要撃戦闘機(ようげきせんとうき)、迎撃機(げいげきき)、迎撃戦闘機(げいげきせんとうき)、防空戦闘機(ぼうくうせんとうき)、局地戦闘機(きょくちせんとうき)ともいう(また、常用漢字外の表記では、邀撃機(ようげきき)、邀撃戦闘機(ようげきせんとうき)とも)。
目次 |
[編集] 概要
都市・軍事施設等を主に爆撃機の攻撃から護るために開発される。そのため爆撃機の飛行する高高度へ短時間で到達するための強力なエンジン、頑丈な爆撃機を撃ち落すための大きな攻撃力が求められるが、敵機に対してのスクランブルさえ行えばいいということから、航続距離は重要視されない(ないしは航続距離が短い)ことが多い(拠点防衛の為の兵器としての性格が強い)。
ただし、逆に、長時間パトロール飛行して敵機の来襲を警戒するという使い方をする為、航続距離が長いものも存在する(旧ソ連や戦後の日本のように国土や防空識別圏が広大な国では、こういう傾向が見受けられる)。
爆撃機による本格的な戦略爆撃が始まるのは1930年代頃であり、この頃より徐々に要撃機の開発が始まった。
第二次世界大戦に突入した頃から爆撃機が夜間爆撃を行うようになり、対抗上夜間戦闘機が誕生した。つまり要撃機の一種として夜間戦闘機が存在し、同時に昼間戦闘機の要撃機も存在した。戦後、夜間戦闘機から全天候戦闘機へと発展してからは、全天候性能が要撃機にとって必須の性能となり、昼間戦闘機は要撃機には向かないと考えられるようになった。そのため要撃機は、他用途の戦闘機よりも一段と優れたレーダー・電子機器を搭載する例が多い。
設計時に要撃が重視されなかったが結果として要撃機になってしまった機体、あるいはその逆なども存在する為、制空戦闘機との明確な線引きは難しい(当然ながら前線の航空基地が敵航空機による攻撃を受けた際は、その基地の制空戦闘機も要撃に出動せざるを得ない)。特に現在は(戦闘攻撃機、マルチロール機の種類が増加している等)戦闘機の多用途化が進んでおり、純粋な要撃機は皆無といっていい状況である。
[編集] 日本の場合
[編集] 旧日本軍
旧陸軍では攻撃力と速度を重視した戦闘機を「重戦闘機」と呼称し、旧海軍では「乙戦」と呼称した。開発思想が必ずしも爆撃機の迎撃だったわけではないが、その仕様や運用は要撃機の考え方とほぼ一致する。
[編集] 自衛隊
航空自衛隊は、現在では戦闘機(Fighter)に統一されているが、平成16年度までは「要撃戦闘機」(Fighter Intercepter :FI)、攻撃機(Attacker)を「支援戦闘機」(Fighter Support)と呼称しており、この「要撃戦闘機」が略されて要撃機と呼ばれることがある。しかしあくまで機体の開発を外国(アメリカ)に頼っている日本では、その機体は要撃能力重視で開発された機体という訳ではなく、既に存在する外国産機のうちで、自衛隊の要撃機としての要求仕様を満たすものを採用している(特にF-4戦闘機の場合、開発したアメリカでは要撃機として使用した例が皆無なほどである)。
尚、航空自衛隊の要撃機は、島嶼防衛の為に、一定以上の航続距離が求められる。以前活躍していたF-104などはまさに要撃機としての特徴を備える戦闘機だったが航続距離の不足が問題となった。
[編集] アメリカ軍の場合
要撃機の開発は他国に先んじており、早くも1937年には専用の要撃機開発に着手し、P-38戦闘機が生まれた。しかしながら第二次世界大戦ではアメリカ本土を爆撃機により爆撃されるような事態は起こらず、P-38も護衛戦闘機や偵察機として用いられている。太平洋戦線では本来の設計思想とは異なる対戦闘機戦に使われ、格闘性能に優れた日本の戦闘機に苦汁を飲まされたこともある。
にもかかわらず、1948年のベルリン封鎖によって緊張が高まり、1949年に旧ソ連が核実験に成功すると、ソ連の爆撃機による核攻撃に恐怖を覚えたアメリカ軍は、矢継ぎ早にF-94、F-86D/L、F-89など、要撃機としての全天候ジェット戦闘機の開発を進めていった。そして超音速戦闘機の時代に入ってからは、F-102やF-106のように対爆撃機に特化した機体を開発した。またF-101やF-104のような元来は別任務に開発された戦闘機であっても、要撃機としても採用している。
しかしその後、ソ連空軍のアメリカ本土爆撃能力に対する予想が過大なものだと判明すると、組織改編によって航空宇宙防衛軍団(ADC)を廃止し、この過程によって専用の要撃機の開発計画(新規開発機としてXF-108やYF-12、前述F-106の発展型として、F-106C/D、あるいはF-106Xなどのプランがあった)は放棄された。F-14やF-15を要撃専門の機体として採用する計画すら、消滅した。やがてF-101やF-106が老朽化のため退役すると、要撃専門の機体は消滅した(爆撃機による核攻撃の恐怖よりも、大陸間弾道ミサイルの脅威のほうがより重大になったために、核報復戦略や戦略防衛構想が優先された事も影響している)。
防空軍団廃止後のアメリカ空軍の防空任務は戦術航空軍団(TAC)、あるいは空軍州兵(ANG)の担当になった(現在は戦術航空軍団は航空戦闘軍団に改編されたが、空軍州兵は健在である)。使用する機体はF-15、F-16であり、制空戦闘にも迎撃にも用いる事ができる多用途機である。初期型のF-16は赤外線誘導のサイドワインダーミサイルと機関砲を装備する昼間制空戦闘機であり、要撃機としての使用には難があったため、空軍州兵(ANG)に配属された機体についてはスパローの運用能力を付加する改造が行われた。現在のF-16はAIM-120 アムラームの運用能力を持っているため、要撃機としての運用にも何ら問題は無い。
アメリカ海軍のF-14は、艦隊防空を任務とする要撃戦闘機的な性格の強い機体であったが、後継のF/A-18の航続距離不足から攻撃機、爆撃機としての能力を付加して運用したことがあった(アフガニスタンでの対テロ戦争など)。すでに退役済みである。
[編集] 旧ソ連軍の場合
アメリカ軍に比較して、ソ連軍は、特定の目的に特化したものを開発する傾向があり、また空軍とは別に防空軍を設けるなど国土防衛を重視していた。
レシプロ機の時代において、世界初の実用低翼単葉引込脚戦闘機として知られるI-16は、従来の対戦闘機戦闘を重視した運動性を追求した機体ではなく、速度性能と大型機に対抗する火力を重視しており、現在で言う所の要撃機としての要件を満たしていた(対戦闘機戦闘を重視した運動性重視の機体としては同時期にI-15を開発・採用している)。
ジェット機時代になってからは、Yak-25、Yak-28P、Tu-128、Su-15、MiG-25、MiG-31といった要撃向けの機体を多数開発し、運用していた。
これらは、同時代に輸出にも振り向けられた前線戦闘機(制空戦闘機・戦術戦闘機のこと。要撃機に対して前線に配備する事から)よりも高度な電子機器を装備していた。逆説的であるが、高度な電子機器を装備した戦闘機は、機密保持のために前線には出さず、要撃任務に振り向けていたとも言われる。こうした機体は、より新しい機体が開発されて旧式化すると空軍に回され、あるいは一部が旧東側諸国に転売されていった。迎撃戦闘機として開発され、のちに空軍へ配備、海外へも多数輸出され国外生産までなされたMiG-19はその代表格である。また、原則として前線戦闘機は必ず機体固定式機関砲を搭載したのに対し、ミサイルを使用するようになって以降の迎撃戦闘機は機関砲を装備していなかったということもしばしば特徴に挙げられる。しかし、防空任務において機関砲が不要であったということではなく、迎撃戦闘機は必要に応じて機関砲コンテナーを用いていた。
しかし、技術の進歩は前線戦闘機と迎撃戦闘機のこうした棲み分けに大きな変化を齎した。その契機となったのは、捜索レーダーを搭載し中距離ミサイルを運用できる前線戦闘機MiG-23の登場であった。初期シリーズに次いで開発されたMiG-23MLは、同時代の迎撃戦闘機より航続距離こそ短かったものの、戦闘能力においてはSu-15TMを凌駕し、MiG-25PDを十分補佐し得るものであった。このため、MiG-23MLは迎撃戦闘機として防空軍にも採用されることとなり、機器等を防空軍基準に合わせた発展型MiG-23Pが開発された。ベレンコ中尉の亡命事件を受けてMiG-25PをPD規格に改設計するに当たり、その技術はMiG-23にも応用された。MiG-23MLDでは、空軍向けのMiG-23ML/MLAと防空軍向けのMiG-23Pが一本化され、前線戦闘機と迎撃戦闘機の区分が消滅した。
MiG-23の登場に前後し、捜索レーダーを搭載しある程度のミサイルを運用できる機体は「多用途戦闘機」と呼ばれるようになった。これは、こうした機体が空軍でも防空軍でも運用されうることを意味していた。一方、MiG-25PD、MiG-31、Su-15などに関しては、空軍での運用が考慮されなかったため、一貫して迎撃戦闘機と呼ばれた。但し、のちにこれらの一部の機体は空軍に転用され、その場合は「多用途戦闘機」と呼ばれた。
MiG-23に次いで開発された多用途戦闘機Su-27では、当初より長距離飛行能力が考慮され、迎撃任務もこなせるだけの潜在能力が付与された。これにより、Su-27の一部は防空部隊にも配備され、MiG-31とともにソ連の防空の片翼を担った。
ソ連崩壊後は、予算の問題や用途の限られていることなどから、要撃任務専用機の多くは退役したか、退役の傾向にある。その中では、ロシアやカザフスタンにおいてMiG-31が現在でも主力要撃機として運用されている。
また、ソ連は国土が広大な国であったため、むしろ前線に配置する前線戦闘機の方が航続距離が短く、先述の通り、防空に用いる要撃機の方にこそ、長い航続距離が求められた。なお、ソ連・ロシアでの正式名称は迎撃戦闘機(要撃戦闘機;ロシア語:истребитель-перехватчик)で、略称として迎撃機(要撃機;перехватчик)という語も用いられた。

