山田線

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山田線
山田線の路線図
路線総延長 157.5 km
軌間 1067 mm

山田線(やまだせん)は、岩手県盛岡市にある盛岡駅から同県宮古市宮古駅を経由し同県釜石市にある釜石駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線地方交通線)である。北上線同様、周りの他のJR線のような愛称は付けられていない。

盛岡 - 宮古間は閉伊街道沿い(現国道106号線)を走る山岳区間である。宮古 - 釜石の区間は三陸海岸沿いを走り、気仙沼線大船渡線三陸鉄道などとともに三陸縦貫線を構成する。釜石線営業所の管轄下である浪板海岸駅から釜石駅までの各駅には、釜石線同様エスペラントによる別名が付けられている。

目次

[編集] 路線データ

  • 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者
  • 区間(営業キロ):盛岡 - 釜石 157.5km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:30駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式
    • 盛岡 - 宮古間 連査閉塞式(盛岡 - 上米内 - 区界 - 川内 - 茂市 - 宮古、ただし盛岡 - 区界の併合の時間帯がある)
    • 宮古 - 釜石間 特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
  • 運転指令所
    • 盛岡 - 宮古間 盛岡総合指令室
    • 宮古 - 釜石間 宮古CTCセンター

[編集] 運行形態

運行系統としては、盛岡 - 宮古間の山岳区間と、宮古 - 釜石間の三陸海岸区間に分かれており、両区間を直通する定期列車はない。また、線路名称上の起点は盛岡であるが、列車運行上は釜石で接続する釜石線などとあわせて盛岡に向かう列車が下り扱い(列車番号が奇数)となっている。

[編集] 盛岡 - 宮古

106急行バスと併走する山田線列車(106急行バス車内より)

日本でも屈指の閑散線区であり、全区間を直通する列車は、1日に4往復が設定されているに過ぎない。そのうち1往復半(下り2本、上り1本)は、主要駅停車の快速リアス」である。また、盛岡側では盛岡 - 上米内間の区間列車、宮古側には宮古 - 川内間の区間列車があるほか、宮古 - 茂市間に岩泉線直通列車が乗り入れている。盛岡 - 区界の峠越えの後、宮古までは片勾配の下り坂のみであるが、平津戸 - 腹帯の長区間で55km/h以下の速度制限が続き、長年大幅な改修もされず放置されている。

この区間に人的輸送需要が無いわけではなく、山田線にほぼ並行している国道106号には盛岡-宮古直通の「106急行バス」が頻繁に(ほぼ1時間に1本)運行されている。JR東日本盛岡支社としての対抗策は微々たるものではあるが、車両の置き換えによる車内居住性向上や新幹線との接続強化による首都圏との到達時間短縮などを行っており、2007年にキハ5258系気動車からキハ110系気動車に置き換えられた。

最近は、車両の変更のほか、部分的ではあるが改修工事が進んでいる。特に無人駅の駅舎建て替え、レールの重量化や長大トンネル内のロングレール化、枕木のPC化などである。2008年3月15日のダイヤ改正では速度査定をキハ110系に変更して計算上のスピードアップをしている(盛岡 - 宮古間2分弱のスピードアップ)。

今後、閉塞方式の変更も予定されており、日本で唯一の「連査閉塞方式」の廃止も時間の問題である。

盛岡市近郊を走る盛岡 - 上米内間は、通勤輸送として区間列車が朝方に2往復(うち1往復は休日運休)の設定があり、200人程度の利用を支えている。なお、上米内駅近くにある浄水場内の「しだれ桜」の開花中は年によって臨時列車の設定をしているが2008年は設定がない。なお、上米内駅より見える高台にある「桜台団地」から朝の区間列車に接続するバスが走っている。

[編集] 宮古 - 釜石

三陸縦貫線の一部として、三陸鉄道南リアス線北リアス線と相互直通運転を行っている。また、快速「はまゆり」1本が釜石線経由で宮古 - 盛岡間に運転されている。また、イベント列車として仙台 - 八戸間に三陸縦貫列車「リアス・シーライナー」が夏季に運転される。

かつては、山田線 - 釜石線 - 東北本線を回る盛岡発盛岡行きの循環急行「そとやま」・「五葉」が存在した。

盛岡 - 宮古間より本数が多く、1時間から2時間に1本程度の運行になっている。

[編集] 臨時列車

最近運転されている臨時列車としては、主に春のシーズンには「さんりくトレイン」・「岩泉龍泉洞号」といった観光列車の他、昨今では牛山隆信の作品の影響で「秘境駅」めぐりがブームになったこともあり、同線の大志田駅・浅岸駅、岩泉線押角駅などに停車する「秘境駅号」が盛岡駅 - 茂市駅 - 岩泉駅間に設定されたりもしている。また、夏休み期間・年末年始には、キハ58・28形「kenji」を使って、盛岡 - 宮古間ノンストップの快速「ふるさと宮古」または、「さんりくトレイン宮古」が運転される。以前は、一般車両を使用した臨時快速「三陸」・「みやこ」も運転されていた。

[編集] 車両

盛岡 - 宮古間はキハ110系気動車(盛岡車両センター所属)が運行されている。

宮古 - 釜石間は、釜石線と共通運用のキハ100形(「快速はまゆり」と間合い運用される列車はキハ110系)気動車と、三陸鉄道南リアス線・北リアス線から乗り入れてくる36形気動車で運行されている。

2007年11月24日をもって盛岡 - 宮古間におけるキハ52形気動車の運用は終了した(キハ110系は2007年10月21日から一部運用開始)。

[編集] 歴史

盛岡 - 陸中山田間は、盛岡と三陸地方を結ぶ鉄道として、1892年公布の鉄道敷設法にすでに規定されていた区間である。測量調査が行われたものの、盛岡 - 宮古間で標高1,000mを超す北上山地(区界峠751m)を越えるため、予定線の検討は行われたが、建設は具体化しないままとなっていた。地元岩手県出身の原敬首相となった1920年に至って漸く建設が決定され、1923年から1935年にかけて開業した。

陸中山田以南の区間は、改正鉄道敷設法別表第7号に規定する「岩手県山田ヨリ釜石ヲ経テ大船渡ニ至ル鉄道」の一部で、三陸縦貫線を構成する予定線であったが、釜石までの区間は、前述の区間に引き続いて戦前の1939年までに開業したものの、釜石以南については戦後の建設、開業となり、現在三陸鉄道南リアス線となっている。

盛岡 - 宮古間は大部分の区間が人口希薄な山岳地帯である。この路線を敷設するかどうかを帝国議会で審議した際、野党憲政会は猛烈に反対し、同党議員は「こんな所に鉄道を敷いて、首相は山でも乗せるつもりか」と首相の原敬を非難した。これに対し原は「鉄道規則を読んでいただければわかりますが、猿は乗せないことになっております」と、平然と答弁した記録が残されている。我田引鉄に関わるスタンスの実例としてしばしば引用される逸話である。

だが実際には開業後、盛岡 - 宮古間は満員で座ることができず、立ち通しのことも少なくなかったという。もともと、この区間には1906年から乗合馬車の運行が行われ、1913年には岩手県では初となる路線バスの運行も開始されており[1]、鉄道開業前から一定の流動は存在した。1950年の釜石線全通以前、山田線は岩手県北部における唯一の海岸部と内陸の直通路線であり、特に1939年の全通後は戦時体制を背景に、釜石製鐵所釜石鉱山を擁した釜石と東北線とを直接連絡する鉄道ルートとして、日夜を通しての貨物輸送に貢献した。

太平洋戦争後の1946年11月、山田線は風水害により平津戸 - 蟇目間が長期運休となった。全線復旧に1954年までの8年間を要した大災害であり、その代替としてGHQの指示により釜石線の改築・全通が促進された。釜石線全通に伴い、釜石から内陸への貨物輸送メインルートは同線に移り、山田線の相対的地位は低下することになった。なお、この災害に際し沿岸側に取り残された機関車を搬出するため、青函連絡船を宮古港に回漕して船積みすることで対処したエピソードがある。

2008年7月24日に発生した、岩手県沿岸北部地震による落石で線路が塞がれたため、全線で運休を余儀なくされた。

[編集] 年表

  • 1923年(大正12年)10月10日 【開業】山田線 盛岡 - 上米内 (9.9km) 【駅新設】上盛岡、上米内
  • 1928年(昭和3年)9月25日 【延伸開業】上米内 - 区界 (25.7km) 【駅新設】大志田、浅岸、区界
  • 1930年(昭和5年)10月31日 【延伸開業】区界 - 松草 (8.0km) 【駅新設】松草
  • 1931年(昭和6年)10月31日 【延伸開業】松草 - 平津戸 (8.6km) 【駅新設】平津戸
  • 1933年(昭和8年)11月30日 【延伸開業】平津戸 - 陸中川井 (21.3km) 【駅新設】川内、箱石、陸中川井
  • 1934年(昭和9年)11月6日 【延伸開業】陸中川井 - 宮古 (28.6km) 【駅新設】腹帯、茂市、蟇目、千徳、宮古
  • 1935年(昭和10年)11月17日 【延伸開業】宮古 - 陸中山田 (26.5km) 【駅新設】磯鶏、津軽石、豊間根、陸中山田
  • 1936年(昭和11年)11月10日 【延伸開業】陸中山田 - 岩手船越 (5.0km) 【駅新設】織笠、岩手船越
  • 1938年(昭和13年)4月5日 【延伸開業】岩手船越 - 大槌 (11.6km) 【駅新設】吉里吉里、大槌
  • 1939年(昭和14年)9月17日 【延伸開業・全通】大槌 - 釜石 (12.3km) 【駅新設】鵜住居、釜石
  • 1943年(昭和18年)11月22日 【貨物線開業】宮古 - 宮古港 (2.0km) 【駅新設】(貨)宮古港
  • 1944年(昭和19年)3月12日 平津戸 - 川内間で雪崩により鉄橋が流されたため下り貨物列車が転落。機関士死亡。機関助士負傷。
  • 1946年(昭和21年)11月26日 【災害不通】平津戸 - 蟇目(風水害による)
  • 1948年(昭和22年)9月16日 【災害不通】松草 - 蟇目(アイオン台風による土砂災害
  • 1949年(昭和24年)3月5日 【営業再開】蟇目 - 茂市
  • 1951年(昭和26年)7月23日 【仮停車場新設】両石
  • 1952年(昭和27年)2月10日 【駅新設】山岸
  • 1953年(昭和28年)3月25日 【営業再開】腹帯 - 茂市
  • 1954年(昭和29年)9月1日 【仮停車場→駅】両石
  • 1954年(昭和29年)11月21日 【営業再開】平津戸 - 腹帯(アイオン台風の被害復旧完了。全線開通。)
  • 1961年(昭和36年)12月20日 【駅新設】花原市、浪板
  • 1970年(昭和45年)2月28日 蒸気機関車運行終了 (C58)。3月1日から無煙化
  • 1980年(昭和55年)9月2日 【災害不通】宮古 - 津軽石(集中豪雨による土砂災害)
  • 1981年(昭和56年)1月30日 【営業再開】宮古 - 津軽石(全線復旧)
  • 1984年(昭和59年)2月1日 【貨物線廃止】宮古 - 宮古港 (-2.0km) 【駅廃止】(貨)宮古港
  • 1986年(昭和61年)11月1日 【貨物営業廃止】盛岡 - 釜石
  • 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】東日本旅客鉄道
  • 1994年(平成6年)12月3日 【駅名改称】浪板→浪板海岸
  • 1997年(平成9年)10月4日 天皇・皇后の岩手訪問(全国豊かな海づくり大会への臨席など)に伴い、1号御料車編成によるお召し列車を盛岡から山田線経由で宮古へ運転(片道のみ。同月6日には釜石から釜石線経由で花巻へ運転)。DD51 842牽引(予備機:DD51 895)
  • 2008年(平成20年)7月24日 【災害不通】全線(岩手県沿岸北部地震による)
  • 2008年(平成20年)7月25日 【営業再開】全線(復旧)

[編集] 蒸気機関車の復活運転

1987年7月から、廃線となっていた宮古 - 宮古港間の貨物線を利用して、蒸気機関車の復活運転が実施された。これは、地元の「甦れSL C10-8運営協議会」が宮古市のラサ工業株式会社の専用線で使用されていたC10形蒸気機関車 (C108) に貨車改造の客車2両を連結し、SLリアス線「しおかぜ号」として1989年までの夏休み期間及び9 - 10月の休日に運行したものである。鉄道事業ではなく遊戯施設扱いであったが、宮古市役所前のはまぎく駅からうみねこ駅までの1.4kmで、途中にミニ浄土ヶ浜公園前駅が設けられていた。

また、1992年にも「三陸・海の博覧会」に協賛して、市役所前 - 白浜丸発着所間の約0.5kmで機関車のみの展示運転を実施している。この展示運転に使用されたC108は、1994年大井川鉄道に譲渡され、2007年現在も動態保存機として本線上で列車を牽引している。

[編集] 駅一覧

  • 全駅岩手県に所在。
  • 普通列車は全駅に停車。
凡例
快速停車駅 … ●:全列車停車、▲:一部の列車が停車、|:全列車通過、↓:通過(矢印の方向のみ運転)
列車交換 … ◇・∨・∧:交換可(上米内駅は閉塞併合時を除く)、|:交換不可
盛岡駅 - 宮古駅間
駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 快速リアス 接続路線 列車交換 所在地
盛岡駅 - 0.0 東日本旅客鉄道東北新幹線秋田新幹線東北本線田沢湖線
IGRいわて銀河鉄道いわて銀河鉄道線
(東日本旅客鉄道花輪線乗り入れ列車を含む)
盛岡市
上盛岡駅 2.8 2.8  
山岸駅 2.1 4.9  
上米内駅 5.0 9.9  
大志田駅 9.8 19.2  
浅岸駅 8.4 27.6  
区界駅 8.0 35.6   下閉伊郡
川井村
松草駅 8.0 43.6  
平津戸駅 8.6 52.2  
川内駅 9.3 61.5  
箱石駅 4.2 65.7  
陸中川井駅 7.8 73.5  
腹帯駅 9.1 82.6   宮古市
茂市駅 4.4 87.0 東日本旅客鉄道:岩泉線(宮古駅まで直通あり)
蟇目駅 4.5 91.5  
花原市駅 2.7 94.2  
千徳駅 4.6 98.8  
宮古駅 3.3 102.1 東日本旅客鉄道:山田線(釜石方面)
三陸鉄道北リアス線(釜石駅方面と直通あり)


宮古駅 - 釜石駅間
駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 快速はまゆり 接続路線 列車交換 所在地 エスペラント
による愛称と意味
宮古駅 - 102.1 東日本旅客鉄道:山田線(盛岡方面)
三陸鉄道北リアス線(釜石駅方面と直通あり)
宮古市  
磯鶏駅 2.0 104.1    
津軽石駅 7.2 111.3    
豊間根駅 6.2 117.5   下閉伊郡
山田町
 
陸中山田駅 11.1 128.6    
織笠駅 2.2 130.8    
岩手船越駅 2.8 133.6    
浪板海岸駅 6.4 140.0   上閉伊郡
大槌町
Ondokrestoj(オンドクレストイ:波頭)
吉里吉里駅 1.8 141.8   Reĝolando(レジョランド:王国
大槌駅 3.4 145.2   Lumoturo(ルーモトゥーロ:灯台
鵜住居駅 4.0 149.2   釜石市 Plaĝo(プラージョ:砂浜
両石駅 2.2 151.4   Fiŝhaveno(フィッシハヴェーノ:漁港
釜石駅 6.1 157.5 東日本旅客鉄道:釜石線(直通あり)
三陸鉄道:南リアス線(直通あり)
La Oceano(ラ・オツェアーノ:大洋

[編集] 山田線が登場する作品

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ 鈴木文彦「岩手のバス いまむかし」p12

最終更新 2009年8月1日 (土) 11:02 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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