巡航ミサイル
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巡航ミサイル(じゅんこうミサイル、Cruise missile)とは、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行するミサイルである。
目次 |
[編集] 特徴
- 航空機形状:小型の航空機のような外形をしている。大きな主翼で揚力を作り、ジェットエンジンで推進力を得て、ほぼ水平に飛行する。通常のミサイルが小さな主翼と動翼だけを備え、ロケットエンジンの推進力で飛行しているのと著しい相違をなす。
- 低速・長距離飛行:ジェットエンジンであるためロケットエンジンに比べれば低速度であるが、燃料の燃焼効率が高く、長射程となる。多くのミサイルのような弾道飛行はせず、水平に飛行する。
- 大規模:一般に弾体が大きく、搭載する炸薬量も多いため威力に優れる。通常爆弾と核爆弾のいずれも装着可能である。また、大きな搭載空間を利用した高性能の制御機器を内蔵するため、目標への誘導精度が比較的高い。
- 多様な発射機:1つの基本となる設計型から多様な派生型が作られて、陸上、水上の艦船、水中の潜水艦、空中の航空機など比較的多様なプラットフォーム上の発射機から発射される傾向がある。
- 高価格:高性能な航法装置類やジェットエンジン、大きな弾体は単価を押し上げ高価格である[1]。
- 高価値目標:攻撃対象となる目標は固定されているか動いても低速なもので、高価値なものが選ばれる。
[編集] 分類
[編集] 発射プラットフォーム
巡航ミサイルは発射プラットフォームの違いによって次の3種に分けられる。
- 空中:ALCM(Air launched cruise missile、空中発射巡航ミサイル)
- 陸上:GLCM(Ground launched cruise missile、陸上発射巡航ミサイル)
- 潜水艦:SLCM(Submarine launched cruise missile、潜水艦発射巡航ミサイル)[1]
[編集] 速度
- 亜音速巡航ミサイル
- 超音速巡航ミサイル[1]
[編集] 地表地図情報
巡航ミサイルの飛行の初期段階は、目標地点と発進地点の緯度経度情報が与えられ、慣性誘導と電波高度計による誘導だけで自律飛行が可能である。
対地攻撃任務でも敵陣深く侵入する場合には、敵レーダーの探知圏内に入ってから低空を飛行してレーダーで捕捉されないようにする必要があり、地上の障害物を避けながら高速度で低空飛行するためには、自然の起伏や送電線、鉄塔などの詳細な地表地図情報を搭載の航法コンピュータ内の地形等高線照合(TERCOM: Terrain Contour Matching)システムのような航法システムに入力しておく必要がある。
過去には、この地表地図情報を得るには軍事衛星等による偵察が必要だと云われていた。21世紀の現在でも常に敵性国・団体の地表地図情報は巡航ミサイル用に更新されているが、民間衛星による地上衛星画像や地下資源探査用の電波高度計マップが入手できるので必要な地表地図情報の入手は容易になった。こういった地表地形に基づく航法システムは、地表近くを低空飛行するためだけでなく、現在のGPS等が存在しなかった頃に正しく目標まで誘導するための航法装置としても使用されていたため、GPSが多くの誘導兵器に搭載されるようになって、巡航ミサイルも起伏変化が必要な地表地形に基づく航法システムの弱点の補完としてGPSによる航法システムが搭載されるようになっている。
GPSシステムも備え、ある程度途中で撃墜されるリスクを許容すれば、地表情報を持たずに地上より充分離れた高度を飛行することで、敵国の深部を巡航ミサイルで攻撃は可能となる。敵国が先進国でなければ、巡航ミサイルをレーダーで捕捉し撃墜する能力を全く備えていない国のほうが多く、海岸線近くの都市を攻撃するには地表情報は必要ない。一方で、敵レーダーの防空探知範囲を知ることは今でも難しい。
対艦攻撃任務には地表地図情報は関係がない。
[編集] 構成
飛翔時の弾体は概ね大きな2枚の主翼と1枚の垂直尾翼、小さな2枚の水平尾翼を備えた小型航空機の形状をしている。後部にジェットエンジンを備え、燃料タンクが中央になる。航法・誘導装置は弾頭と共に前部に位置する。弾体断面形状が他のミサイルのような円形以外にも、丸みを帯びた台形のものも存在する。以下に巡航ミサイルに特徴的な翼とジェットエンジンについて述べる。
[編集] 翼
発射されるまでは格納容積を小さくするために、主翼と垂直尾翼は弾体内や側面に折りたたまれており、飛翔時に空中でコイルバネのような機構によって展張される。多くの巡航ミサイルでは水平尾翼も同様である。
[編集] ジェットエンジン
エンジンは同一の原型でも繰り返し使用される航空機用と異なり、油圧や始動機構といった補機類は出来るだけ省かれ、コンパクトになるが圧縮比が低く性能の劣る遠心式圧縮機を採用するものもある。始動には火薬を使用したカートリッジスタータとイグナイタが使用される。現有の巡航ミサイルの多くがフロントファンのターボジェットエンジンであるが後に一部の国では超音速飛行能力を獲得するために液体ラムジェットエンジンの開発と採用が進められている[2][1]。
[編集] 日本の巡航ミサイル保有に関する動き
日本は巡航ミサイルを製造するための諸技術の多くを既に備えているので、技術的には比較的短期間で開発と生産が可能ではないかと考えられている。日本が巡航ミサイルを保有していないのは、国内外への政治的な配慮が理由とされる。
専守防衛を堅持するためには他国の内陸部を攻撃するための兵器である巡航ミサイルを保有すべきでないと云う意見もある。しかし日本が万が一、他国から侵略を受けた場合、敵国の出撃拠点や補給線といった軍事目標を攻撃するのは正当な行為であり、専守防衛の範囲内との意見もあり、その場合巡航ミサイルは大きな役割を果たす。
開発となれば、88式地対艦誘導弾(SSM-1)等といった国産の対艦誘導弾をベースにして、射程延長や誘導装置の対地用転換等を実施しながら開発していくものと推測される。
2004年の16大綱、中期防衛力整備計画(平成17年度~平成21年度)時に射程300キロの巡航ミサイルの導入が検討されたが、公明党の反発により見送られている。
2007年11月7日に行われた第10回日米安全保障戦略会議にて玉澤徳一郎元防衛庁長官(当時)がボドナー元米国防副次官に対して「中国の膨大な数のミサイルを考えた場合、発射されたこれらすべてを撃ち落とすことは不可能。ミサイル攻撃を受けた場合、まず重要施設をミサイル防衛で防護し、すかさずアメリカ軍機による相手発射施設の破壊を期待するより他ない。今後、わが国の防衛力を高めるには戦術抑止システムの配備を検討しなければならない」と述べ、具体的には「巡航ミサイルだ。米国の協力を得てわが国も保有したい」と述べた。同会議に於いてレイセオン社は日本に対してトマホーク の導入を提案している。
日本の周辺では、中国、ロシア、韓国、台湾が巡航ミサイルを保有している。
[編集] 歴史
世界初の巡航ミサイルは第一次世界大戦時にアメリカで開発されたケタリング・バグである。初めて戦争で使用された巡航ミサイルは第二次世界大戦時にナチス・ドイツで開発されたV1飛行爆弾である。V1はパルスジェットエンジンを用い、イギリス本土の攻撃に用いられた。詳しくはそちらの記事を参照のこと。
ドイツ敗戦後、この飛行爆弾の研究およびそれに携わっていた人は西側、東側どちらにも流れ、それが双方ともにほとんどすべてのミサイル技術に適用されていくようになった。米国ではV1の破片などを鹵獲、研究し、命中精度を上げる研究を特に熱心に大戦末期に行っていた。この頃、「巡航ミサイル」という言葉の概念がまだなかったため、ニュース映画などでは「ロボット爆弾」などと呼ばれていた時期もあった。一部で、「人間爆弾」と称される日本の「桜花」もこの範疇に含まれるのではないかという見方も存在する。
第二次大戦後は米ソとも巡航ミサイルを開発したが、ソビエトが一連の核弾頭搭載の大型対艦ミサイルをシリーズ化した。それに対して、アメリカでは長距離弾道ミサイル実用化前に、核搭載巡航ミサイルを開発している。ナバホやスナークなどの大陸間巡航ミサイルやMGM-1 マタドールなどが開発された。また、専用潜水艦から発射する核弾頭搭載の戦略巡航ミサイルレギュラスを実用化されている。これらの核搭載巡航ミサイルは長距離弾道ミサイルの実用化に伴い、退役した。その後、SALTの制限に囚われない投射手段としてトマホークが開発され、核弾頭、非核弾頭、対地、対艦ミッション等バリエーションを増やし、冷戦以降は「ならずもの国家への挨拶状」代わりに多用されるようになる。
[編集] 核ミサイル
開発された元の目的は核弾頭を敵国深く運搬する為のミサイルとしてであったが、21世紀の現在はこれら巡航ミサイルと核弾頭を共に保有する先進国の政治的・社会的状況が核攻撃を容認する環境にはないため、通常弾頭を搭載して使用されている。
[編集] 巡航ミサイル一覧
[編集] アメリカ合衆国
項目名 (制式番号、名称)
- レギュラス (RGM-6)
- スナーク (SM-62、Snark)
- ハウンド・ドッグ (AGM-28、Hound Dog)
- ALCM (AGM-86B/C、ALCM/CALCM)
- トマホーク (BGM-109、RGM-109、UGM-109、Tomahawk)
- GLCM
- AGM-129 ACM (AGM-129、ACM)
[編集] ロシア連邦(ソビエト連邦)
ハイフン以降はDoD番号とNATOコードネームを表す。
- Kh-55 グラナト(Granat) - AS-15 ケント(Kent)。
- 3K-10 - 同潜水艦発射型。SS-N-21 サンプソン(Sampson)。
- RK-55 - 同地上発射型。SSC-X-4 スリングショット(Slingshot)。
- Kh-90 - AS-19 コアラ(Koala)。
- Kh-65
- Kh-101/102
- Kh-555
[編集] フランス共和国
[編集] 中華人民共和国
- 紅鳥3 (HN-3)
- 天箭1 (TJ-1)
- 東海10 (DH-10)
[編集] 台湾
[編集] 大韓民国
- 天竜(チョンリョン):艦対地・潜対地 射程500キロ以上[4]
- 若鷹(ポラメ):空対地 射程500キロ以上[4]
- 玄武III(ヒョンムIII):地対地 射程1,000キロ[4]
- 玄武III A:地対地 射程1,500キロ 東京や北京などかなりの数の周辺諸国主要地域を射程に入れたもので、周辺国への戦略打撃能力を大幅に向上させたもの 2006/10/25時点で開発がかなり進んでいる[4]
- 玄武III B:開発段階
- 玄武III C:開発段階
なお、朝鮮日報の報道とは異なり、中央日報の報道では、射程500キロのものを玄武III A、射程1000キロのものを玄武III B、射程1500キロのものを玄武III Cとし、韓国軍関係者は「韓国軍が開発した艦対地または潜対地巡航ミサイルは海軍が運用中の世宗大王級駆逐艦などのイージス艦と2017年まで建造する中型潜水艦から発射することができる」と説明した。特に玄武III Cを中型潜水艦から発射した場合、韓国は北東アジア地域で戦略的な作戦能力を揃えることができるという。[5]
[編集] パキスタン・イスラム共和国
[編集] 国際共同
- ブラモス (PJ-10 Brahmos) (ロシア・インド)
- TAURUS KEPD 350 (ドイツ・スウェーデン)
- Storm Shadow (イギリス・フランス・イタリア)
[編集] その他
- ブルース・シンプソンが2006年現在も個人製作中である。(その後の情報は不明である。)
- 巡航ミサイルは「空とぶ爆弾」といわれる。数千kmに及ぶ有効射程を持つミサイルもある。
[編集] 出典・脚注
- ^ い ろ は に 防衛技術ジャーナル編集部編 『ミサイル技術のすべて』 (財)防衛技術協会 2006年10月1日初版第1刷発行 ISBN 4990029828
- ^ 液体ラムジェトエンジンそのもののミサイルへの採用はアメリカ空軍のボマーク地対空ミサイルで既に行なわれている。
- ^ <巡航ミサイル>「香港を攻撃できるわけもない…」上海、三峡ダムも射程距離内!反撃態勢準備中!―台湾:レコードチャイナ(2008/12/01確認)
- ^ い ろ は に 「韓国、巡航ミサイルを実戦配備中」…東京・北京も射程内朝鮮日報2006/10/25 11:55:08
- ^ 「1500キロの巡航ミサイル開発推進」中央日報2007.11.10 14:36:13
[編集] 関連項目
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pnb:کروز میزائل
最終更新 2009年11月25日 (水) 16:11 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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