常用漢字

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この項目には、JIS X 0213:2004 で規定されている文字が含まれています(詳細)。

常用漢字(じょうようかんじ)とは、日常の使用に必要なものとして選ばれた漢字をいい、以下のようなものがある。

  1. 1923年大正12年)、文部省臨時国語調査会が指定した漢字1962字とその略字154字。一部資料に1960字とあるのは略字によって2組が同字となるため。同年9月1日実施予定であったが、同日発生した関東大震災により頓挫した。
  2. 1931年昭和6年)、「常用漢字表及仮名遣改定案に関する修正」にて上記常用漢字表中の147字を減らし45字を増やして修正した1858字。
  3. 1942年(昭和17年)、国語審議会が作成した標準漢字表2528字のうちの常用漢字1134字。ほかに準常用漢字1320字、特別漢字74字。簡易字体(略字)の本体78字、許容64字があった。
  4. 1946年(昭和21年)、国語審議会が上記標準漢字表の中の常用漢字から88字を削り249字を加えた常用漢字表1295字案。この案は採択されず、同年、これを修正した1850字が当用漢字として公布された。
  5. 1981年(昭和56年)、公布された常用漢字表1945字。以下、詳説。

常用漢字(じょうようかんじ)は、現代日本の漢字であり、文部省国語審議会(現文部科学省文化審議会国語分科会)の政策による「当用漢字」の後継。1981年10月1日に昭和56年内閣告示第1号「常用漢字表」の「本表」により発表された漢字使用の目安。「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送等、一般の社会生活で用いる場合の、効率的で共通性の高い漢字を収め、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安」(答申前文)を示す。1945字からなる。

常用漢字表の目的は、漢字使用の目安であって制限ではないため、強制力を有するものではない。しかし、義務教育の国語で読みを習う漢字であるため、漢字修得における制限となる。(さらに、漢字を適切に使うことに関しては、義務教育では学年別漢字配当表に示されている漢字にとどまる。)マスメディアのほとんどは、常用漢字のほかに使用可能な漢字を独自にまたは任意に選定し、常用漢字に準用している。一般的な新聞は、日本新聞協会用語懇談会が示す新聞漢字表に基づき、各社で多少手を加えて、漢字使用を運用している。

目次

[編集] 当用漢字との違い

  • 字数の上では、以下の95字が増加した。削除された文字はない。
    • 猿 凹 渦 靴 稼 拐 涯 垣 殻 潟 喝 褐 缶 頑 挟 矯 襟 隅 渓 蛍 嫌 洪 溝 昆 崎 皿 桟 傘 肢 遮 蛇 酌 汁 塾 尚 宵 縄 壌 唇 甚 据 杉 斉 逝 仙 栓 挿 曹 槽 藻 駄 濯 棚 挑 眺 釣 塚 漬 亭 偵 泥 搭 棟 洞 凸 屯 把 覇 漠 肌 鉢 披 扉 猫 頻 瓶 雰 塀 泡 俸 褒 朴 僕 堀 磨 抹 岬 妄 厄 癒 悠 羅 竜 戻 枠
  • 字体を改めた字。
    • 当用漢字字体表の「燈」「灯」に改められた。
  • 音訓が加わった字。
    • 栄 はえる
    • 危 あやぶむ
    • 憩 いこう
    • 香 かおる
    • 愁 うれえる
    • 謡 うたう
    • 露 ロウ
    • 和 オ
  • 付表に加わったもの。
    • 叔父・伯父 おじ
    • 叔母・伯母 おば
    • 桟敷 さじき
    • 凸凹 でこぼこ
  • 音訓が削られた字。
    • 膚 はだ
    • 盲 めくら

[編集] 法令における使用

法令では常用漢字のみを使用することを原則として、常用漢字外の字は、語そのものの言い換えが行われるか、その字のみ平仮名書きするか、常用漢字外の字を使用しつつ初出の箇所にのみ振り仮名ルビ)を振る運用がなされる。

同音の漢字による書きかえは、戦後の当用漢字策定期に多用される。例えば「抛棄」を「放棄」と改める例などである。

平仮名書きは、機械的に行えるために多く使用されてきたが、同音異義語がある場合や、「だ捕」(拿捕)「改ざん」(改竄)「隠ぺい」(隠蔽)など語の一部のみ平仮名書きされる不自然さがあり、また講学上は漢字を使用するのが通常であるため、次第に避けられるようになりつつある。

初出箇所にのみ振り仮名を振る方式は、常用漢字使用の原則に沿いつつ、自然な記載をなしうるため、法令の条文の記載において、多く用いられるようになりつつある。平成に入って口語化された刑法民事訴訟法等はいずれもこの方式によっている例である。

法令以外の公用文においても、公用文作成の要領により、常用漢字のみを使用することを原則とするように定められている。

[編集] 問題点と今後の傾向

別項「日本語の乱れ」・「日本語の変化」にもあるように、言葉は生きた人間が使うものであるから、それ相応に時代に即して変化するものである。常用漢字は、「一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」であるが、常用漢字表制定から年月を経た現在の社会生活においてはこれ以上の漢字の知識を要することがある。したがって常用漢字に限った使用に固執すると、上記のような問題が出てくるのは必然であり、これを今回の改訂における直接的要因と指摘している。また、常用漢字以外、すなわち表外字に対する一般的な認識の高まりはワードプロセッサの漢字変換機能が大きく関わっており、それの一般的普及との関連を指摘している[1]

[編集] 常用漢字に取り入れられてない字、もしくは音訓

  • 表外音訓の例(参照日本漢字能力検定協会発行「漢字必携一級」。太字の読みは、2009年3月の「『新常用漢字表(仮称)』に関する試案」で読みに取り入れられている。)
名詞の例
主(あるじ)、粋(いき)、古(いにしえ)、家(うち)、宴(うたげ)、鑑(かがみ)、要(かなめ)、毎(ごと)、直(じか)、旬(シュン)、類(たぐい)、匠・工(たくみ)、為(ため)、屯(たむろ)、歳・齢(とし)、鶏(とり)、虜(とりこ)、等(など・ら)、斜(はす)、他(ほか)、薪(まき)、雅(みやび)、刃(やいば)、館(やかた)、輩・族(やから)、奴(やつ)、齢・歳(よわい)、私(わたし)
動詞の例
崇める(あがめる)、論う・評う(あげつらう)、与る(あずかる)、肖る(あやかる)、癒える・癒やす(いえる・いやす)、活きる・活ける・活かす(いきる・いける・いかす)、逝く(いく)、失せる(うせる)、疑る(うたぐる)、圧す(おす)、憶える(おぼえる)、想う(おもう)、屈む(かがむ)、関わる(かかわる)、画く(かく)、匿う(かくまう)、象る(かたどる)、敵う(かなう)、適う(かなう)、被る・被せる(かぶる・かぶせる)、鑑みる(かんがみる)、括る・括る・括れる(くくる・くびる・くびれる)、降る・降す(くだる・くだす)、寛ぐ(くつろぐ)、応える(こたえる)、堪える(こたえる・こらえる)、拘る(こだわる)、零れる(こぼれる)、混む(こむ)、射す(さす)、焦れる・焦らす(じれる・じらす)、雪ぐ(すすぐ・そそぐ)、逸れる・逸らす(それる・そらす)、企む(たくらむ)、貯える(たくわえる)、称える・賛える(たたえる)、発つ(たつ)、司る・宰る・掌る(つかさどる)、衝く(つく)、創る(つくる)、灯す(ともす)、点る(ともる)、囚える・囚われる(とらえる・とらわれる)、摂る(とる)、準える・擬える・准える(なぞらえる)、均す(ならす)、臭う(におう)、遺す(のこす)、育む(はぐくむ)、弾く(はじく)、逸る(はやる)、凹む・凹ます・凹む(へこむ・へこます・くぼむ)、放る(ほうる)、愛でる(めでる)、止む・止める(やむ・やめる)、委ねる(ゆだねる)、赦す(ゆるす)、過る(よぎる)、避ける(よける)、慶ぶ(よろこぶ)、力む(りきむ)[2]、解る・判る(わかる)、弁える(わきまえる)
形容詞・形容動詞の例
篤い(あつい)、愛しい(いとしい)、空ろ・虚ろ(うつろ)、旨い・美味い(うまい)、巧い・上手い(うまい)、疎か(おろそか)、微か(かすか)、頑(かたくな)、淑やか(しとやか)、拙い(つたない)、審らか・詳らか(つまびらか)、辛い(つらい)、温い(ぬるい・ぬくい)、酷い・虐い・惨い(むごい)、空しい・虚しい(むなしい)、易い(やすい)、邪(よこしま)、宜しい(よろしい)
その他の品詞の例
敢えて(あえて)、予め(あらかじめ)、未だ(いまだ)、概ね(おおむね)、却って(かえって)、如し(ごとし)、頻りに(しきりに)、暫く(しばらく)、即ち・則ち(すなわち)、全て(すべて)、因みに(ちなみに)、遂に・終に(ついに)、序でに(ついでに)、尚(なお)、秘かに・密かに・私かに・窃かに(ひそかに)、先ず(まず)、濫りに・妄りに・乱りに(みだりに)、寧ろ(むしろ)、以て(もって)、漸く(ようやく)
音読みの例
衣紋(「エ」モン)、壊死(「エ」シ)、隠密(「オン」ミツ)、公家(「ク」ゲ)、怪我(「ケ」ガ)、荘園(「ショウ」エン)、寿司(「ス」シ)、一途(イチ「ズ」)、下駄(ゲ「タ」)、堪能(「タン」ノウ、カンノウとも読む)、刃傷(「ニン」ジョウ)、苗字(「ミョウ」ジ)、明朝体(「ミン」チョウタイ)
訓読みのその他の例
私達(わたし「たち」)、外様(「と」ざま)、愛娘(「まな」むすめ)
  • 表外漢字の例
※以下、JIS第1・第2水準に含まれていないものが正字の場合は《》内にそれを示す。なお、《》で示さない漢字でも閲覧環境によって字体に差が出るものがある。
  • だれ :「誰(だれ)」文化庁の平成18年度世論調査により96.6%[3]が日常で用いると答えた漢字である[4]
  • ころ :「頃(ころ)」同調査により、誰と並んで高率(96.6%[3])を記録した漢字である。
その他、名詞、動詞、形容詞、あるいは地名などで頻繁に常用される漢字があり、一部は後述の新常用漢字の候補に含まれる。しかし、同表は造語力(熟語構成力)に重点を置いているため、日常で用いるとされる「嘘《噓》」「噂」「叩く」「嬉しい」などは現在、候補の対象外に置かれている。対して、交ぜ書きを減らしていくという見解の下、以下に挙げるような構成熟語を持つ漢字に重点を置いているのが特色である。
  • 表外漢字を用いた熟語で、下記の新常用漢字の候補に該当するもの(太字の漢字が該当。漢字は重複する場合もある。また[ ]でくくった熟語は追加候補字種には入っているが、音訓には取り入れられていない。)
(あいがん)、挨拶(あいさつ)、曖昧(あいまい)、遺(いがい)、敬(いけい)、縮(いしゅく)、子(いす)、一目然(いちもくりょうぜん)、一(いっしゅう)、一(いったん)、怖(いふ)、行(いんこう)、咽喉(いんこう)、隠(いんぺい)、積(うっせき)、憤(うっぷん)、恨(えんこん)、盛(おうせい)、病(おくびょう)、念(おんねん)、霊(おんりょう)、骨(がいこつ)、潰瘍(かいよう)、解(がかい)、[首(かくしゅ)]、覚(かくせい)、酷(かこく)、城(がじょう)、喝(かっさい)、葛藤(かっとう)、歌舞(かぶき)、烈(かれつ)、具(がんぐ)、間(かんげき)、元(がんたん)、完(かんぺき)、[楽(ぎがく)]、危(きぐ)、忌(きたん)、覚(きゅうかく)、裂(きれつ)、差(きんさ)、着(きんちゃく)、愚(ぐろう)、形(けいがい)、古(けいこ)、軽(けいべつ)、血(けっこん)、[骨(げんこつ)]、銃(けんじゅう)、謙(けんそん)、盤(けんばん)、法(けんぽう)、語(ごい)、口(こうがい)、概(こうがい)、[彩(こうさい)]、梗塞(こうそく)、慢(ごうまん)、間(こかん)、滑(こっけい)、語(ごろ)、跡(こんせき)、才(さいえん)、配(さいはい)、傷(ざしょう)、折(ざせつ)、沙汰(さた)、残(ざんがい)、三角(さんかくきん)、参(さんけい)、新(ざんしん)、三(さんまい)、山(さんろく)、意的(しいてき)、私(しえん)、死(しがい)、自(じちょう)、[下(しっか)]、叱《𠮟》責(しっせき)、失(しっそう)、嫉妬(しっと)、遮(しゃへい)、恥(しゅうち)、充填《塡》(じゅうてん)、縛(じゅばく)、文(じゅもん)、腫瘍(しゅよう)、戒(しょうかい)、憧憬(しょうけい)、焼(しょうちゅう)、兵(しょうへい)、招(しょうへい)、浄瑠璃(じょうるり)、食(しょくぜん)、所(しょせん)、処方(しょほうせん)、真(しんし)、親(しんせき)、臓(じんぞう)、進(しんちょく)、辛(しんらつ)、推(すいたい)、頭(ずがい)、頭(ずきん)、惨(せいさん)、[清(せいしき)]、精(せいち)、整(せいとん)、[青(せいらん)]、髄(せきずい)、脊椎(せきつい)、刹那(せつな)、索(せんさく)、前(ぜんしょう)、茶(せんちゃ)、煎餅(せんべい)、望(せんぼう)、全(ぜんぼう)、戦(せんりつ)、快(そうかい)、雑(ぞうきん)、巣(そうくつ)、[爪牙(そうが)]、象(ぞうげ)、造(ぞうけい)、痩《瘦》身(そうしん)、装填《塡》(そうてん)、双(そうへき)、僧(そうりょ)、及(そきゅう)、撃(そげき)、行(そこう)、色(そんしょく)、冠(たいかん)、積(たいせき)、肥(たいひ)、液(だえき)、棄(だき)、脱(だっきゅう)、断(だんがい)、旦那(だんな)、密(ちみつ)、笑(ちょうしょう)、頂(ちょうだい)、付(ちょうふ)、報(ちょうほう)、観(ていかん)、愛(できあい)、死(できし)、洞(どうくつ)、孔(どうこう)、陶(とうや)、灯(とうろう)、毒(どくが)、博(とばく)、頓挫(とんざ)、欲(たんよく)、落(ならく)、捻挫(ねんざ)、出(ねんしゅつ)、俳(はいかい)、配(はいぜん)、剥《剝》製(はくせい)、剥《剝》奪(はくだつ)、剥《剝》落(はくらく)、剥《剝》離(はくり)、声(ばせい)、破(はたん)、倒(ばとう)、点(はんてん)、用(はんよう)、濫(はんらん)、伴(はんりょ)、必(ひっす)、美(びぼう)、比(ひゆ)、肥(ひよく)、便(びんせん)、風(ふうぼう)、布(ふきん)、浮(ふしゅ)、付(ふせん)、払(ふっしょく)、報(ふほう)、風(ふろ)、閉(へいそく)、視(べっし)、変(へんぼう)、起(ほうき)、歩(ほしょう)、捕(ほそく)、起(ぼっき)、興(ぼっこう)、発(ぼっぱつ)、補填《塡》(ほてん)、翻(ほんろう)、間(みけん)、未有(みぞう)、月(みつげつ)、利(みょうり)、名(めいさつ)、土(めいど)、福(めいふく)、明(めいりょう)、金(やきん)、憂(ゆううつ)、水(ゆうすい)、妖艶(ようえん)、怪(ようかい)、要(ようさい)、精(ようせい)、容(ようぼう)、致(らち)、腕(らつわん)、[園(りえん)]、領(りょうしゅう)、涙(るいせん)、城(ろうじょう)など
しかし、今回の追加候補漢字だけでは熟語の交ぜ書きや平仮名書きは解消されない。以下のような熟語は引き続き交ぜ書きや平仮名書きになることが多いと考えられる。
  • 表外漢字を用いた熟語で、今回の追加候補漢字に該当しないもの(太字の漢字が該当。今回、追加候補漢字に含まれている漢字は太字にはしていない。)
(あいきょう)、愛(あいぶ)、唖《啞》然(あぜん)、旋(あっせん)、軋轢(あつれき)、阿呆(あほう)、安(あんど)、血(いっけつ)、回(うかい)、迂闊(うかつ)、散(うさん)、航(えいこう)、罪(えんざい)、歌(おうか)、吐(おうと)、押(おうなつ)、海(かいえん)、改(かいざん)、旋(がいせん)、離(かいり)、界(かいわい)、然(がくぜん)、化(かのう)、瓦(がれき)、可(かれん)、貫(かんろく)、飢(ききん)、然(きぜん)、損(きそん)、抗(きっこう)、祈祷《禱》(きとう)、急(きゅうきょ)、敵(きゅうてき)、驚(きょうがく)、強(きょうじん)、教(きょうべん)、麗(きれい)、苦(くもん)、馬(けいま)、啓(けいもう)、有(けう)、引(けんいん)、喧嘩(けんか)、制(けんせい)、騒(けんそう)、怠(けんたい)、強(ごうかん)、好好(こうこうや)、恍惚(こうこつ)、合(ごうし)、着(こうちゃく)、配(こうばい)、息(こそく)、胡蝶(こちょう)、然(こつぜん)、骨(こっとう)、塗(こと)、麻(ごま)、身(こんしん)、睡(こんすい)、混(こんとん)、包(こんぽう)、祭(さいし)、銭(さいせん)、錯(さくそう)、細(ささい)、砂(さじん)、緩(しかん)、歯(しこう)、好(しこう)、刺繍《繡》(ししゅう)、湿(しっしん)、執(しつよう)、熱(しゃくねつ)、終(しゅうえん)、器(じゅうき)、熟(じゅくし)、工(しゅんこう)、浚渫(しゅんせつ)、常(じょうとう)、醤《醬》油(しょうゆ)、深(しんえん)、震(しんかん)、帯(じんたい)、親(しんぼく)、枢機(すうききょう)、弱(ぜいじゃく)、清(せいそ)、沢(ぜいたく)、光(せんこう)、操(そうだ)、白(そうはく)、明(そうめい)、掻《搔》痒(そうよう)、生(そせい)、対(たいじ)、大(だいたい)、円(だえん)、捕(だほ)、白(たんぱく)、美(たんび)、痴(ちほう)、茶(ちゃわん)、躊躇(ちゅうちょ)、房(ちゅうぼう)、愛(ちょうあい)、児(ちょうじ)、天(てんぐ)、伝(でんぱ)、顛《顚》末(てんまつ)、投(とうかん)、同(どうせい)、汰(とうた)、棟(とうりょう)、怒(どとう)、印(なついん)、造(ねつぞう)、徘徊(はいかい)、排(はいせつ)、大(ばくだい)、種(はしゅ)、水(はっすい)、抜(ばってき)、回(ばんかい)、範(はんちゅう)、煩(はんもん)、卑(ひきょう)、秘(ひけつ)、護(ひご)、飛(ひしょう)、迫(ひっぱく)、誹謗(ひぼう)、飛(ひまつ)、薬(びやく)、変(ひょうへん)、卑(ひわい)、復(ふくしゅう)、頭(ふとう)、粉(ふんじん)、尿(ふんにょう)、分(ぶんべん)、平(へいたん)、片(へんりん)、芽(ほうが)、然(ぼうぜん)、放(ほうとう)、冒涜《瀆》(ぼうとく)、提(ぼだい)、発(ほっしん)、乳(ほにゅう)、進(まいしん)、麻(まひ)、延(まんえん)、微(みじん)、無(むく)、想(めいそう)、昧(もうまい)、黙祷《禱》(もくとう)、論(もちろん)、絶(もんぜつ)、着(もんちゃく)、枝(ようじ)、飲(りゅういん)、流(りゅうちょう)、凌駕(りょうが)、明(れいめい)、漏洩(泄)(ろうえい)、狼狽(ろうばい)、過(ろか)、骨(ろっこつ)、曲(わいきょく)、賄(わいろ)、和(わぼく)、など

[編集] 常用漢字に含まれているが、一般的に用いられていない字や音訓

  • 以下、5字は常用漢字の本表から削除検討されている。
  1. 錘 :「スイ」「つむ」は糸を巻き取る道具。熟語として紡錘などがある。
  2. 銑 :「セン」は鍛えられていない鉄(ずく)の意である。銑鉄などの熟語がある。
  3. 勺 :「シャク」は昔の容積の単位。合の10分の1。
  4. 匁 :「もんめ」は昔の重量の単位。貫の1000分の1。
  5. 脹 :「チョウ」はふくらむという意味。膨脹が最も頻出の熟語だが、膨張でも代用できるため(もっとも、膨脹に対する膨張への書き換えは1954年より新聞協会が独自に始めたもの[5]である)。
  • 新聞協会などマスコミが用いない常用漢字の一例
    • 虞 :「おそれ」(何々の危険がある、の意)。「虞」は常用漢字で読みも「おそれ」と示されている。しかし、この意味の「おそれ」に(恐怖の意味がないにもかかわらず)「恐れ」や「怖れ」と表記されることが少なくなく、新聞社を含むマスコミでは仮名書きまたは「恐れ」と表記される。
    • 且 :「かつ」は副詞で「同時に」、接続詞で「それに加えて」という意味を持つが、仮名書きが一般的で、新聞社などマスコミでは漢字を用いない。
    • 遵 :「ジュン」は決められた規則などに従うという意味。遵守、遵法などの熟語があるが、新聞社では順法、順守などと書き換えて使用している。
    • 謁 :「エツ」は「まみえる」という意味。謁見などの熟語があるが、宮内庁では「引見」を使用。新聞社では他の表現に書き換えられる。
  • 使用用途が極めて特殊な常用漢字
    • 璽 :「ジ」とは天子(皇族)の印のこと。印璽、御璽などといった熟語があるが、日常で用いられることは極めて少ない。この字を常用漢字に採用した理由は宮内省(現宮内庁)からの要望が強かったことによる。
    • 朕 :「チン」は天皇の旧一人称。現在は「私」を用いているが、日本国憲法上諭で使われている。日常で用いることは極めてまれである。
  • 古い単位に用いられた常用漢字
    • 畝 :「せ」は昔の広さの単位。反の10分の1。「うね」は畑の土盛りの部分。日常で用いる機会は極めてまれである。
    • 斤 :「キン」は尺貫法で用いられる質量の単位であり、江戸時代は貨幣の単位にも用いられた。削除が検討されたが、慣習的にパンを数える単位として用いられるという理由で常用漢字に残される見込みとなった。熟語として斤量がある。
  • 世論調査によって、あまり使用しないと回答された漢字
    • 逓 :「テイ」は「一定の数だけ〜していく」という意味の副詞。逓信、逓増、逓減という熟語がある。前述の世論調査によって、6割以上[6]の人があまり使用しないと回答した漢字の一つである。マスコミでは逓減は低減と書き換えることがある。

[編集] 見直し

2005年2月2日に国語分科会が「情報化時代に対応する漢字政策の在り方を検討することが必要」であるとした報告書[7]文化審議会に提出した。これを受けて、同年3月30日中山文部科学相は常用漢字表の見直しの検討などを文化審議会に諮問した[8]。同年9月から文化審議会国語分科会の漢字小委員会が常用漢字見直しの審議に入った。

その後、第6回漢字小委員会では、「『常用漢字』と『準常用漢字(読めるだけでいい漢字)』に分けることの是非」という文言[9]を含む資料が配付された。また答申時期については、第15回漢字小委員会で2010年2月の新常用漢字表答申を目指すと述べられている。なお、その後の漢字小委員会で表の煩雑化に疑問の声があり、「準常用漢字」等の区分は最終的に行われなかった。2008年1月9日、都道府県名に使われている漢字で常用漢字に現在含まれていない「阪」「鹿」「奈」「岡」「熊」「梨」「阜」「埼」「茨」「栃」「媛」の11字を常用漢字に含めることを決めた[10]。これは固有名詞は常用漢字表の対象としないのが原則であり、今後も維持するが、特に公共性が高い都道府県名について例外として扱ったものである。、また、その後、委員会で「韓」「畿」が追加候補に入ったが、これは都道府県名に準じる漢字としての位置付けである。

2008年5月12日の第21回漢字小委員会で第1次字種候補素案218字が発表された(220字と明記され、主要新聞社もそのように発表したが、実際には「闇」がデザイン差で2つ載っており、また既に常用漢字表に入っている「靴」が誤って入っていたため218字が正しい)[11]。この時点では特定の語に限って常用漢字と同様に認める熟語が「別表」として付記されていたが、「なるべく単純明快な漢字表を作成する」という考え方に基づき、その後の6月16日の第23回漢字小委員会では第2次字種候補案が「別表」を統合した形で発表され、同日の審議でもその旨了解された。なお、第2次字種候補案では「本表に入れる可能性のある候補漢字」は188字とされた。また、「斤」が削除候補から外された。次の7月15日の第24回漢字小委員会では、7月31日の第39回国語分科会に提出する資料について「最終的な扱いについては前田主査に一任する」ことが了承された[12]。また、国語分科会で字種候補案が了承されたとしても、今後、行われる音訓の検討過程で字種の出し入れの可能性があることも確認された。実際にその後の9月22日の第25回漢字小委員会では、追加候補に「刹」「椎」「賭」「遡」の4字種が追加され、「蒙」が削除された。これにより追加候補は191字となった。2009年11月10日に了承された修正案は「柿」「哺」「楷」「睦」「釜」「錮」「賂」「勾」「毀」が追加し、「聘」「憚」「哨」「諜」が削除され追加候補が196字となり、文化庁ホームページで公開し2回目の意見公募を行った上で、2010年春に文部科学相へ答申する予定[13]

  • 追加(2009年11月現在、196字)[14]
挨 宛 闇 椅 畏 萎 茨 咽 淫 臼 唄 餌 怨 艶 旺 岡 臆 俺 苛 牙 崖 蓋 骸 柿 顎 葛 釜 鎌 瓦 韓
玩 伎 畿 亀 僅 巾 錦 駒 串 窟 熊 稽 詣 隙 桁 拳 鍵 舷 股 虎 乞 勾 喉 梗 頃 痕 沙 挫 塞 采
阪 埼 柵 拶 斬 鹿 叱《𠮟》 嫉 腫 呪 蹴 拭 尻 芯 腎 須 裾 凄 醒 戚 脊 煎 羨 腺 詮 膳 曽 狙 遡 爽
痩《瘦》 捉 袖 遜 汰 唾 堆 戴 誰 旦 綻 酎 捗 椎 潰 爪 鶴 諦 溺 填《塡》 貼 妬 賭 藤 憧 瞳 栃 頓 奈 那
謎 鍋 匂 虹 捻 罵 剥《剝》 箸 斑 氾 汎 眉 膝 肘 媛 阜 蔽 蔑 蜂 貌 頬《頰》 睦 勃 昧 枕 蜜 冥 麺《麵》 餅 冶
弥 湧 妖 沃 嵐 藍 梨 璃 侶 瞭 瑠 呂 賂 弄 麓 脇 丼 傲 刹 哺 喩 嗅 嘲 毀 彙 恣 惧 慄 憬 拉
摯 曖 楷 鬱 璧 瘍 箋 籠 緻 羞 訃 諧 貪 踪 辣 錮
  • 削除(5字)
勺 錘 銑 脹 匁
  • 一度は追加候補漢字に入りながら、その後、外された漢字(85字)
叩 嘘《噓》 噂 濡 笠 嬉 朋 覗 撫 溜 鷹 揃 頷 掴《摑》 翔 喋 噛《嚙》 洩 禄 栗 馴 駕 鴨 淵 駿 蘭 胡 蘇 狼 蝶
掻《搔》 惚 蒼 腿 菩 吊 雀 樽 壺 祀 卿 歪 棲 磯 桶 鷲 媚 寵 秤 套 醤《醬》 疼 賤 顛《顚》 糊 誼 截 綬 庄 毅
揆 躇 躊 憐 狽 萌 撥 謳 蔓 捏 饉 倦 屏《屛》 恍 斡 膠 疇 謗 乖 誹 蒙 聘 憚 哨 諜

また、現行の常用漢字の音訓に以下のものの追加、削除等が候補となっている。

  • 追加(32音訓)
愛(え)、委(ゆだねる)、育(はぐくむ)、応(こたえる)、滑(コツ)、関(かかわる)、館(やかた)、岐(ギ)、混(こむ)、私(わたし)、児(ご)、滋(シ)、臭(におう)、旬(シュン)、城(き)、伸(のべる)、神(か)、振(ふれる)、粋(いき)、逝(いく)、拙(つたない)、全(すべて)、創(つくる)、速(はやまる)、中(ジュウ)、分(いた)、放(ほうる)、務(つとまる)、癒(いえる・いやす)、要(かなめ)、絡(からめる)、良(ラ)
  • 削除(1訓)
疲(つからす)

備考欄等について以下のものの変更が候補となっている。

  • 変更
音 - 語例「音信不通」を「母音」に変更。備考欄「音信不通」の注記を削除。
堪 - 語例「堪能」を追加。備考欄「『堪能』は、『タンノウ』とも」注記を追加。
十 - 備考欄「『ジュッ』とも」注記を追加。
力 - 凡例に注記[2]

ほかにも現行の常用漢字の「付表」に以下のものの追加、変更、削除等が候補となっている。

  • 追加(4語)
(かじ)、固(かたず)、尾(しっぽ)、生(やよい)
  • 変更(4語)
居士(こじ) - 「一言居士」を「居士」に変更。
五月(さつき) - 「五月晴れ」を「五月」に変更。
母さん(かあさん) - 「お母さん」を「母さん」に変更。
父さん(とうさん) - 「お父さん」を「父さん」に変更。
  • 削除(2語)
稚児(ち)、野良(の

共に都道府県名の読みとして「児(ご)」と「良(ラ)」を追加するので、現「付表」に掲載されている「稚児」と「野良」を削除し、「児(ご)」と「良(ラ)」の語例に追加。

[編集] パブリックコメント

また、文化庁は「『新常用漢字表(仮称)』に関する試案」を公開、パブリックコメントを行い、2009年3月16日から行われたものの結果がニュースなどで報道された。これは第31回漢字小委員会以降で配付された資料に基づくものである。それによると、新たに302字[15]の追加希望があったという。最も多かったのは「鷹」の22件であるが、これは三鷹市白鷹町などの自治体組織票を行っていたことを公表している。続いて「碍」の20件は障害者団体が「障害」ではなく「障碍」と表記するよう推進運動を行っていることが大きく関与している。その他、6件以上意見があったのは「睦」「柿」「迂」「哺」「蘇」「棲」「疹」「楷」「揃」「叩」「濡」「吊」「悶」「牽」「挽」「捏」「膿」「嘘《噓》」「禄」であった。一方、削除希望の漢字も挙げられ、目立ったのが「鬱」「顎」であった。理由として画数が多いため、中学生に学習させるには難しすぎるという教育委員会の意見が目立っている。さほど実用的でないという理由から「聘」「憚」「憬」などが挙げられたほか、「埼」「阪」「阜」など都道府県に用いられる漢字も列挙された。今回のパブリックコメントでは約220件の意見が寄せられており、「敬語の指針(報告案)」の際の5倍に上っている。文化庁は、このパブリックコメントを加味した上で、再度指針案を練り直すとともに、秋口には2回目のパブリックコメントを行うとしている。

[編集] 脚注

  1. ^ 漢検漢字辞典、はしがきより
  2. ^ 「表の見方」に「字音を動詞として用いることのできるもの」として「案じる」・「信じる」とともに例示されている。「力」に新しく訓「りきむ」を追加したのではない。
  3. ^ 「よく使われていると思う」と「時々使われていると思う」の合計。
  4. ^ 平成18年度「国語に関する世論調査」の結果についてより。
  5. ^ http://gakken.hp.infoseek.co.jp/mon.botyo.htm
  6. ^ 「余り使われていないと思う」と「全く使われていないと思う」の合計で60.5%となる。
  7. ^ 文化審議会国語分科会報告 国語分科会で今後取り組むべき課題について (PDF)
  8. ^ 第39回文化審議会総会 情報化時代に対応する漢字政策の在り方について
  9. ^ 第6回漢字小委員会で配付された資料3 (PDF) P.3参照。
  10. ^ 第20回漢字小委員会で配付された資料2 (PDF) P.4参照。
  11. ^ この2点のほか、P.2 6行目 候補漢字Aの「樋」は「桶」の誤りである。
  12. ^ 第2次字種候補案国語分科会提出資料では幾つかの文言が変わったが、実質的な内容に変わりはない。なお、国語分科会提出資料は第39回国語分科会で了承された。
  13. ^ 常用漢字:見直しを了承--文化審分科会 2009年10月11日 毎日jp
  14. ^ 「『新常用漢字表(仮称)』に関する試案」では「曾」「瘦」「麵」について「頻度数に優先して、生活漢字としての側面を重視」して、簡易慣用字体「曽」「痩」「麺」を採用している。
  15. ^ 第32回漢字小委員会で配付された資料3 (PDF)による。ただし、「䑓」(「台」の異体字)・「ヶ」・「々」などの文字についても除外せずに記載されている。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月12日 (木) 02:36 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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