道徳教育

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道徳教育(どうとくきょういく)とは、道徳的な心情を育て、判断力・実践意欲を持たせるなど、道徳性を養う教育のことである。道徳学習(どうとくがくしゅう)ともいう。

現在は学校でおこなわれる道徳教育については学習指導要領に規定されており、「道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うもの」であるとしている。

さらに、小学校中学校中等教育学校の前期課程には道徳の時間が年間あたり35単位時間(1単位時間は、小学校45分、中学校50分)設けられ、各学校によって異なるが、だいたい1週間あたり1校時割り当てられるようになっている。ミッション系や仏教系、新興宗教系の私立学校では「宗教」の時間に代替することが可能である。欧米にはこういう時間がなく、宗教教育などで代替されている。イギリスでは宗教の時間とともに、PSHEの時間が道徳教育と広義の社会的スキルの学習を担当している。

目次

[編集] 「道徳教育」に盛り込まれた徳目

小学校から中学校を通じて、身に着けるべき4つの柱に基づく徳目が挙げられている。

[編集] 主として自分自身に関すること

  • 低学年 - 健康・安全。物や金銭を大切にする。整理整頓。規則正しい生活。任務遂行。善悪の判断。正直。
  • 中学年 - 自律。節度ある生活。深謀。謝罪と改心。不撓不屈。勇気。正直。明朗。
  • 高学年 - 節制。目標設定。自由。誠実。真理追求。創意工夫。自己評価。
  • 中学生 - 望ましい生活習慣。健康。節制。調和のある生活。希望と勇気。自主性。責任。理想実現。自己の向上。個性の伸長。

[編集] 主として他の人とのかかわりに関すること

  • 低学年 - あいさつ。言葉遣い。動作。幼児・高齢者への親切心。友情。感謝。
  • 中学年 - 礼儀。思いやり。理解・信頼・助け合い。尊敬と感謝。
  • 高学年 - TPOの区別。男女協力。謙虚な心。感謝と報恩。
  • 中学生 - 礼儀。人間愛。友情の尊。異性の理解。人格尊重。他に学ぶ。

[編集] 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること

  • 低学年 - 動植物愛護。生命尊重。敬虔な心。
  • 中学年 - 自然への感動。崇高なものへの感動。
  • 高学年 - 自然環境保全。自他の生命の尊重。感動する心。畏敬の念。
  • 中学生 - 自然環境保全。自他の生命の尊重。感動する心。畏敬の念。

[編集] 主として集団や社会とのかかわりに関すること

  • 低学年 - 遵法。公共物の保全。父母への尊敬・家族愛。愛校心。郷土愛。
  • 中学年 - 公徳心。勤労。家族愛。愛校心。郷土愛。愛国心。国際理解。
  • 高学年 - 集団活動。義務の遂行。公正・公平。社会奉仕。家族愛。愛校心。郷土愛。国際親善。
  • 中学生 - 集団生活の向上。法の遵守。社会連帯。差別偏見の撤廃。公共の福祉と社会の発展。家族愛。愛校心。郷土愛。愛国心。国際貢献。

このように、教育すべき徳目は多岐にわたる。

[編集] 「学校の教育活動全体を通じて行う」道徳教育

学校生活において、場に応じた評価を下すことによって、直接的にかかわっていない児童生徒の成長を促すことになる。例としては

  • 学級園で種まきをしている子供が「大きくなれ」「きれいに咲いてね」「おいしい野菜になれ」など言葉かけをしている。
  • 運動場で転んだ児童に優しく声をかけ、応急処置をする。
  • 来客者を職員室まで案内する。

などの好ましい言動を、朝礼や学級会で紹介し、賞賛する。

また、逆に

  • ごみ処理場の見学中に「臭い」を連呼する。
  • 集会行事の列に割り込む。
  • 清掃活動中に遊ぶ。

などの好ましくない言動を諭す。

などの行動を通じて、道徳心を身につけさせる。

また、教科教育との連動が図られる傾向があり、生活科総合的学習社会科見学、屋外での理科教室後の感謝状作成がこれに該当する。特別活動における平和教育人権教育歯の衛生週間や給食週間の取り組みの中でも、道徳心の成長を促すことができる。

[編集] 教材

道徳教育では指導内容を「単元」とは呼ばず「題材」と呼び、それを指導する「教材」も「資料」と呼び、正式には「教材」とは呼称しない。

資料は教師の創意工夫によって提供される。NHK教育テレビ・ラジオ第2放送が提供する教育番組が最もよく活用されている。他にも、教育委員会の編纂資料、文部科学省監修の「こころのノート」、各種教材・教科書出版社が作成した道徳資料集から取捨選択するケースが多い。絵本の読み聞かせも比較的よく行われる。

[編集] 歴史

[編集] 日本における道徳教育

第二次世界大戦前には「修身」が大日本帝国臣民国民)の育成を目的におこなわれ、筆頭教科に位置付けられていた。昭和時代前期においては皇国の道にのっとることが学校教育の目的に含まれるようになり、皇民化教育の一翼をになった。

敗戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は国史地理と並んで、修身が軍国主義教育とみなし、授業を停止する覚書きを出した。1950年代に入り、戦前回帰を志向する「逆コース」の流れの中で、理性ある社会人を育てるものとして改めて復活したのが「道徳」である。

[編集] 道徳教育論

エミール・デュルケームは、フランス第三共和国期に、世俗教育の進展にともない、道徳教育の根拠を、から社会に置き換える必要性から、この著作を著した。

デュルケームによれば、道徳は命令の体系ではなく、禁止の体系である。また、個人が制定過程に関与するものではなく、社会から外部的に与えられるものである。さらに、道徳には強制により実現される義務と、それを遵守すれば社会から果実を得られるとがあるとした。

デュルケームによれば、子供の心理特性には、習慣に固執する、暗示にかかりやすい、といったものがある。子供は、いったん獲得した習慣を容易に放棄しないが、暗示によって新しい習慣を獲得したならば、今度はその新しい習慣に固執し、生活習慣の形成にも役立つという。このような道徳教育は、学童期が最適であるとした。

子供が最初に経験する社会集団家族である。しかし、家族という個人的な社会集団と、国家という公共性のある社会集団とは落差が大きい。そのために、学校という橋渡しが必要になる。学校では教師が道徳的権威として立ち現れる。教師は道徳に違反した児童に対しを与える。しかし、罰とは体罰ではなく叱責である。叱責により、児童の道徳違反に抗議し、児童の道徳的尊厳を傷付ける。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月24日 (火) 17:23 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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