急性骨髄性白血病

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急性骨髄性白血病の所見を示す骨髄穿刺液

急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう、英 acute myelogenous leukemia, AML)とは白血病の一種で、骨髄系の造血細胞が腫瘍化し、分化成熟能を失う疾患である。(ICD-10: C92.0)

目次

[編集] 概念

なお、急性白血病が慢性化した疾患が慢性白血病ではない。この両群の発生機序は基本的に異なる。 分化・成熟能を失った細胞は幼若なままの形態をとることから、芽球と呼ばれる。

[編集] 症状

受診のきっかけとなる初期症状としては、

などがある。症状は急性骨髄性白血病の方が急性リンパ性白血病等よりも著明である。

健康診断で数値異常を指摘され、発見される場合もある。早期発見すれば当然症状も軽度であり、治療効果もより高くなる。診断までの期間が遅れるほど白血球数は増加して脾臓、肝臓やリンパ節などに浸潤して臓器腫大をきたし、治療効果は低くなる。

[編集] 診断

通常、血液検査にて白血球の異常増加、貧血、血小板減少症などが認められる。末梢血に芽球が数多く出現するため、診断はさほど難しくはないが、後述する病型分類、治療方針選択などのために、血液内科専門医を受診する必要がある。白血病が疑われる場合、すぐに骨髄穿刺による検査を行い、最終診断を確定する。

[編集] 治療

  • 診断確定後は多くの場合すぐに入院し、複数の抗がん剤を用いての化学療法(寛解導入療法)を行う。
  • 寛解導入療法終了後、状態が落ち着けば地固めおよび強化療法・維持療法を行う。
  • 急性骨髄性白血病の治療は、化学療法と造血幹細胞移植の組み合わせにより治癒を目指して行われるようになった(参考記事)。
  • M3以外では 寛解導入剤として アントラサイクリン(ダウノルビシン)あるいは イダルビシン 3日間 と シタラビン 7日間の併用療法が一般的である. これで芽球が少なくなれば, 完全寛解 CR と定義される. その後の, 地固め療法としては アントラサイクリン, シタラビンに加え, エトポシドやビンカアルカロイドを加えた併用化学療法, あるいはシタラビン大量療法を行う.
  • M3(後述)の場合はオールランスレチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が用いられる(参考記事)。この薬剤の登場により, M3はAMLのなかで最も予後良好な群となった. しかし,治療中にレチノイン酸症候群と呼ばれる急激な白血球増加とARDS様の呼吸不全が生じることがあるため、予防として抗がん剤アントラサイクリンを併用する。不幸にもレチノイン酸症候群が発症してしまった場合は副腎皮質ホルモンを投与する。なお、ATRA治療中は、絶対にトラネキサム酸を投与してはいけない(参考記事

[編集] 病型分類

骨髄の中には造血幹細胞から種々の血球に分化していく途中の細胞があり、それらの内のどの段階の細胞が腫瘍化したかによるFAB分類 (French-American-British criteria) に基づいてM0-M7の病型、およびそれらの亜型に分類される。

腫瘍細胞の形態を重視し、それに細胞化学染色(ペルオキシダーゼ染色等)を組み合わせて判断する。近年は細胞表面マーカーも診断に用いられるようになっているが、あくまで補助的なものと考えるべきである。

  • M0 急性骨髄球性白血病、未分化型
    • 最も未分化なタイプであり、CD13・CD33陽性。全体の5%(成人)。
  • M1 急性骨髄芽球性白血病
    • 芽球が90%以上。
  • M2 分化傾向を持つ急性骨髄芽球性白血病
    • t(8;21)、(q22;q22)転座が代表的な遺伝子異常。t(8;21)のものは化学療法の感受性が極めて高い。成熟傾向のある顆粒球系細胞が10%以上存在。AMLの中では比較的予後良好。
  • M3 急性前骨髄球性白血病(APL)(ICD-10: C92.4)
    • 前骨髄球の腫瘍。前骨髄球は、血液を凝固させるトロンボプラスチンという物質に似たトロンボプラスチン類似様物質を大量に持つため、大量のがん化した前骨髄球が壊される際に大量のトロンボプラスチン類似様物質が血中に漏れ出し、激烈な播種性血管内凝固 (DIC) を伴うことが多いため、脳出血などによる早期の死亡リスクが高く、注意を要する。
    • 血液検査では、白血球中に多く含まれるミエロペルオキシダーゼ(MPO)が細胞の分裂と破壊の亢進により高値になる。白血球数は正常な場合も多く参考にならないが、骨髄の白血球分画を見ると、骨髄細胞が増えすぎて過形成を起こしていたり、アズール顆粒と言うトロンボプラスチン類似様物質を前骨髄球の細胞質中に認めたりする。また、アズール顆粒が集まり融合するとアウエル小体と呼ばれる針状の構造を形成する。特に多量のアウエル小体を前骨髄球中に認める場合、ファゴット細胞 (faggot cell) と呼ばれる。
    • 治療は、ビタミンA製剤である全トランスレチノイン酸 (all-trans retinoic acid, ATRA) の投与による分化誘導療法を行う。予後は、分化誘導療法での完全寛解、および長期生存が期待でき、AMLのなかでは良好な部類に属する。レチノイン酸症候群(白血球上昇を伴うARDS様呼吸不全)の予防として抗がん剤を併用することが多い。またレチノイン酸症候群が発症した場合は副腎皮質ホルモンを用いる。なお、ATRA投与例に対しては、トラネキサム酸(トランサミン)は絶対に投与してはいけない(参考文献)。
    • 染色体異常として、15番染色体と17番染色体の相互転座(t(15;17)と表す)と呼ばれる現象が認められる。t(15:17)(q22;q21)はPML-レチノイン酸レセプター (RARα) 異常を来す。PML/RARαは正常RARと異なりコリプレッサーと解離しにくいが、ATRA投与により解離し、転写が進行し、APL細胞は分化を開始する。
    • なお、2004年10月、再発例、および難治性の症例を適応として、三酸化二ヒ素(亜ヒ酸)製剤が厚生労働省から承認された。
  • M4 急性骨髄単球性白血病(AMMoL)
    • M4Eoではinv(16),t(16;16)転座が代表的な遺伝子異常。化学療法の感受性が高い。
  • M5 急性単球性白血病(AMoL)
  • M6 赤白血病
  • M7 急性巨核芽球性白血病

近年では、血液腫瘍疾患における病態生理の分子レベルでの解明に従い、分類の再構成が試されてきた。その結果、2000年にはWHO造血器・リンパ組織・腫瘍分類が発表された。WHO分類では急性骨髄性白血病は大きく以下の四つに分けられる。

  • 再現性のある染色体転座を伴うAML (AMLs with recurrent cytogenetic translocations)
    • t(8;21)(q22;q22) 転座を持つAML
    • 急性前骨髄球性白血病 (Acute promyelocytic leukemia)
      • FAB分類のM3。転座t(15;17)がみられる
    • 骨髄中の好酸球増加を伴うAML(AML with abnormal bone marrow eosinophils)
      • FAB分類でのM4Eoに相当する。inv(16)(p13;q22),t(16;16)(p13;q22)転座がみられる
    • 11q23MLL異常を伴うAML (AML with 11q23 abnormalities)
  • 多系列の異形成を伴うAML (AML with multilineage dysplasia)
  • 治療関連性のAMLと骨髄異形成症候群 (AML and myelodysplastic syndromes, therapy-related)
    • アルキル化薬によるもの
      • 投与後5~6年で骨髄異形成症候群をへて急性骨髄性白血病へと移行する。
    • Epipodophyllotoxinによるもの
  • 他に分類できないAML (AML not otherwise categorized)
    • FAB分類のM0,M1,M2,M4,M5,M6,M7やその他が含まれる。治療や予後を考える上ではさほど重要ではない分類であったため、残りはここにすべて含まれた。

[編集] 急性骨髄性白血病であることを公表した著名人

最終更新 2009年11月6日 (金) 00:56 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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