性差別
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性差別(せいさべつ)とは、平等に反した、性別に基づく社会的な差別のこと。また性的少数者に対する不利益も性差別の一つである。
現代において一般的に男性、女性間の生物学的な性に基づく扱いの違いが性差別であるとされることは少ない。多くの場合性差別であるとして問題になるのは「社会的な性別」(ジェンダー)を理由とした差別についてであり、そのため性差別解消の手段の一つとしてジェンダーフリーが主張されることもある。
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[編集] 日本の差別傾向
現代において、男性差別と女性差別には異なる傾向が見られる。女性に対する法制的な差別はなくなっている。しかしながら、人の意識の中の差別は色濃く残っており女性差別の項目にある様々な差別が問題となっている。男性に対しては、人の意識からくる差別のみならず法制的な差別が存在している。また、法制的な女性優遇措置が取られていることから相対的な差別となっている。世界経済フォーラム2009年で社会で活動する女性の社会進出において、日本は75位と先進国中最下位である。(賃金格差」が99位、「就業率格差」が83位)。
[編集] 歴史的背景
[編集] 選挙権の有無
- 公の場で女性が意見を述べる機会は、多くの地域では近代以前は無かったと言われている。しかし、現代の日本社会においては、女性にも被選挙権が与えられるなど、女性の社会進出に対して好意的に受け入れられていると考えられる。
- 1906年のフィンランドがヨーロッパ史上初となる女性への参政権を認めた。反面、17世紀アメリカのインディアンのある母系部族においては、女性にのみ選挙権を認めており、男性への選挙権は認められていなかった事例がある。
[編集] 男女共学の実現
- 1947年(昭和22年)、教育基本法(昭和22年法律第25号)が公布され、その第5条で、『男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。』とされた。その後、特に公立学校や国立学校においては、教育上の男女の共学が原則となった。
- なお、2006年の改正により男女共学条項は教育基本法から消えることとなったが、男女の平等を重んずる人間の育成を「教育目標」とする文言が改正後の条文に含まれており、教育行政における男女平等の推進という現在の方針に変化はないと思われる。
- ただし、大学・大学院レベルの高等教育においては、現在、女子大学は多数存在しているが、男子大学は一校も存在していない状態にあり、男性が単性教育を受ける権利が奪われている状態となっている。
[編集] 姦通罪と公娼制度の廃止、売春防止法の施行
- 姦通罪とは、刑法(明治40年4月24日法律第45号)第183条であるが、日本国憲法の定める男女平等権に抵触するという理由で昭和22年法第123号により削除された。
- 昭和21年に連合国最高司令官から日本国政府に「日本における公娼制度廃止に関する覚書」が公布され、ついで同22年に勅令9号「婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令」が施行され、明治以来続いていた公娼制度に終止符が打たれた。
- 昭和28年(1953年)に内閣は売春問題対策協議会を設置、同31年3月に総理府に売春対策審議会が設けられ、売春防止法を立案、同31年5月に法案提出(昭和31年5月24日法律第118号)、同33年4月に施行された。
[編集] 国連女子差別撤廃条約批准
1980年7月17日署名(デンマークで開催された国連婦人の10年中間年世界会議の際、高橋展子駐デンマーク大使が署名) 1985年6月24日 条約締結を承認(第102回通常国会) 同年6月25日 批准 書寄託 同年7月25日 日本において効力発生。
[編集] 兵役、兵科、強制徴兵制の有無
- 世界初の民主主義国である古代ギリシアのアテネでは、高度な都市国家(ポリス)に居住し参政権を持つ権利と引き換えに世帯主の男性が兵役を負う、という社会的仕組みであった。
- フランス革命によって近代民主主義社会(議会制民主主義)が形成されると共に、男性にのみ兵役義務が課された。それは議会に意思を示すことのできる参政権が与えられることと表裏一体のものであった。
- 兵役を男性に強制する国としてスウェーデン、フィンランド、デンマークなどの北欧諸国や韓国・台湾・シンガポールが挙げられる。
- 逆に、男女に兵役を課す国はイスラエル一国であるがこちらも男女で期間が異なる。
- 自衛隊においては「母性の保護」などを理由に、女性の戦闘職種(普・特・機・施、護衛艦、戦闘機パイロットなど)への配置を行っていない。
- 近年防衛省は、男女共同参画基本計画を策定し女性自衛官の配置を検討している。ただし配置が容認された場合であっても、潜水艦や護衛艦は「(居住区やシャワー室など)女性用のスペースが無い」というハード面の問題から、策定後に新造される艦艇への更新が進むまで配置は難しいとされる(大型の輸送艦では配置実績がある)。
[編集] 宗教観
- 特に中世盛期から後期において、キリスト教は長らく女性を抑圧してきた。13世紀カタリ派のように女性を司教に採用したり、男性を統率する立場に就任する事もあったが、ローマ教皇庁の命令で破門や虐殺を受けている。プロテスタントの生みの親ルターも「女児は男児より成長が早いが、それは有益な植物より雑草の方が成長が早いのと同じである」などという偏見のある言葉を残している。
- キリスト教によって女性差別が緩和された例も少ないながらある。たとえば売買婚を禁止した例がある(そもそも売買婚はなかったとの説もある)。ただし、奴隷との性行為に関しては、教会自身が多くの奴隷を保有していたため禁止できなかった。ローマ帝国の法律では、既婚女性の財産の所有権や発言権には非常に制約が課せられていた。しかしその後、キリスト教の布教により緩和された。つまり、一定の相続権や離婚の請求権などを得たのである。姦通の罪は女性のみに適用されていたが、男性も罪に問うた。このように、主に結婚に関係して女性の権利が部分的ではあるが解放された。しかし、こういった解放は、中世初期において集中的に発生し、後期においては締付けは逆に厳しくなったりもした。
- イスラム世界においても古来から男女差別があり、コーランには男が女よりも偉いと書かれている節や、女は男の所有物であると書かれている節がある。例えばイスラム教4代カリフのアリー・イブン・アビー=ターリブは、ナフジュ・アル・バラーガの中でたびたび女性をさげすむ文言を残している。一夫多妻制についても、男女差別の一例として批判されることが多い。現代でもイスラーム世界の知識人の中には、イスラーム法を理由に男女差別を正当化する人間や、男の性欲処理のために一夫多妻制を女は認めるべきだという意見[1]を述べる人間もいる。
- ただし前近代のイスラーム教においても、女性の権利を保護した面がないわけではない。イスラームにおいて女は男性の半分とはいえ財産を相続することができるが、これはイスラーム以前の状態に比べれば女性の権利を擁護するものだった。また、女児の嬰児殺しも禁止された。
- 仏教においては、女は穢れていて、精神的向上が望みづらく、成仏できない、悟りを開きにくいなどという主張がなされていた(女人五障説)。「女性は男性に変化することによって成仏することができる」と説く説もある(変成男子説。ただし悟りを開きにくいがゆえに悟った時には男性より高みに登っているとして女性を優遇する宗派も存在する)。なお、女人五障説は釈迦が唱えた説では無く、仏教本来の思想ではないとする見解もある。
- 儒教においても古来から男女差別があり、女は男に従うべきという主張が、キリスト教やイスラム教同様存在している。
- 全体として前近代のほとんどすべての宗教で、男は女に優越するものであるという主張が根強かった。ただし前近代の社会では女性差別が普遍的なものであり、女性差別を根本から排除することが難しいものであったという事情も考慮すべきであろう。
[編集] 同性愛と性差別
同性愛者に対する偏見も性差別と同様視されている。EUでは2006年1月に欧州議会が「同性愛嫌悪」に対する共同決議案を採決し、同性愛に対するあらゆる差別は人種差別と同様とされた。
なお、キリスト教圏では文学においても同性愛がタブー視されることが多かったが、日本では伝統的にその傾向はなく、文学の世界でも同性愛がしばしば表現されている。
異性愛者の中には「日本は同性愛に寛容である」と考える者が少なからず存在する。しかし、主要先進国とされる日本やアメリカ合衆国、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、カナダの中で、法的に同性愛者の婚姻や人権保障をしていない国は日本だけであり、「日本は主要先進国の中で最も同性愛者を差別している国家である」という見方もある。
たとえば、日本でいえば、男女の結婚は、婚姻届を役所に提出することで成立し(法律婚主義)、戸籍上に両者の関係が記載され、その関係を公証してもらえる。同氏を名乗る権利および義務を持ち、互いに同居、協力、扶助、貞操などの義務があるが、たがいの血族から姻族として親族として扱われる。また、互いの生活財の共有権や遺産相続権などを法律が保障する。また税法上、社会保障上の優遇措置などが受けられる。また、パートナーの一方が病気や障害を負ったときも、家族とみなされるため、互いの介護や看護などに特別な資格がなくても携われる。ところが、日本では同性結婚が認められていないため、同性愛の夫婦は上記のような権利や優遇措置がない。
[編集] ポルノグラフィーと性差別
一部のフェミニストはポルノグラフィーを性差別だとする意見を述べている。女性の肉体が男性の楽しみによって利用される事が性差別だとする考え方はアメリカの著名なラディカル・フェミニストであるキャサリン・マッキンノンが代表的。
カナダやEUはラディカル・フェミニストの女性議員が多い為か、ポルノに対する規制が厳しく、所持しているだけで逮捕される例(ポルノの単純所持の規制)が存在する。
[編集] 司法における性差別
性犯罪に関する刑事事件において、女性に比べて男性のほうに厳しい対処が行われる場合がある。裁判、取り調べにおいて、女性が男性に何かをされたと訴えた場合、被疑者とされる男性の発言は一切無視され、被害者女性の証言のみを取り上げ、推定無罪の原則は無視される形でそのまま送検~起訴に至る事が多い。この傾向から痴漢冤罪事件などが発生し、痴漢冤罪を題材にした映画などが制作されるなど社会問題となっている。
また、殺人事件などで男性が被告人の場合は、被害者が一人だけでも死刑判決が出されるのに対し、女性が被告人の場合には、複数の被害者が発生していても死刑が回避され、無期懲役や有期懲役、場合によっては執行猶予などの軽い処分が下される傾向が強い。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 男性差別
- バイセクシャル
- 男女雇用機会均等法
- ウーマン・リブ
- セクシャルハラスメント
- 女人禁制
- 国際女性デー
- 女性参政権
- 新婦人協会
- 赤瀾会
- 関連年表
- 女性差別
- セクシスト
- ミソジニー
- トップレス
- 女性器切除
[編集] 参考文献
- 『性差別と暴力―続・性の法律学』角田由紀子 有斐閣選書
- 『ポルノグラフィと性差別 』キャサリン・マッキノン 青木書店
- 『司法における性差別 ―司法改革にジェンダーの視点を』日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会・2001年度シンポジウム実行委員会 明石書店
[編集] 外部リンク
- 司法におけるジェンダーバイアス(第二東京弁護士会)mwl:Sexismo

