外傷
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外傷(がいしょう)とは、外的要因による組織または臓器の損傷の総称。通常、怪我(けが)と呼ばれ、外傷を負うことを負傷(ふしょう)といい、外傷を負った者を負傷者(ふしょうしゃ)という。また、死亡した者と外傷を負った者とを合せて死傷者(ししょうしゃ)という。
精神医学において、心理的外傷を単に外傷と呼ぶことがある→心的外傷
身体的外傷の場合、広義には、物理的あるいは化学的な外的要因による損傷すべてを指すが、通常は機械的外力(力学的外力)による損傷を指す。
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[編集] 用語の定義
医学においては損傷とは身体を構成している組織の生理的な連続性が断たれた状態のことをいう。この定義においては機能障害、例えば脳震盪なども損傷に含まれると解釈されている。また胃潰瘍といった内因性のものも損傷には含まれる。外傷とは損傷のうち外因によるものをさす。外因の種類は特に問題としていないため塩酸をかぶったというのも外傷となる。創傷という言葉があるがこれは損傷のうち機械的エネルギーにより形成されたものであり、外傷よりも言葉の意味が狭くなる。基本的に創とは開放性の損傷であり、傷とは非開放性損傷を示すことが多い。
基本的にはいわゆるキズを診て、内部の骨、特に骨折がないのか調べて、関節に損傷がないのかを調べ、その他の臓器傷害がないのかを調べるのが外傷患者の診かたである。骨折とは骨の損傷であり、関節の損傷には捻挫、脱臼という言葉がある。脱臼とは関節面における関節頭と関節窩の相互関係が破綻(はたん)したものをいう。関節面の一部が接触を保っている場合は亜脱臼という。関節に外力が加わり、靱帯、関節包といった関節支持構造に損傷を受けるが関節面の相互作用関係が保たれている場合は捻挫という。
[編集] 外傷の種類
外傷の種類には、以下のものがある。
[編集] 物理的要因によるもの
[編集] 機械的要因によるもの
創傷(Skin Lesion)は、皮膚の表面のけが(傷)を言う。
- 1次元的なもの
- 鋭利物(刃物など)による損傷。
- 裂傷
- 皮膚が2方向に引っ張られることによって裂ける損傷。
- 割創
- 裂傷が皮膚組織すべてを引き裂き、内臓・骨を露呈する損傷。
- 2次元的なもの
- 摩擦による損傷で、表皮のレベルまでしか達していないもの。
- 挫滅傷
- 摩擦による損傷で、真皮や皮下組織・それ以下のレベルまで損傷したもの。或いは急激な圧力による同様な損傷。(急激でない圧力によるものは褥瘡と言う)
- 3次元的なもの
- 銃弾による損傷。
- 爆発による損傷。ただし、爆傷は熱傷や衝撃による内部的損傷(いずれも下記)を伴う。殺傷用の爆発物による損傷であれば、多発性の銃創の病態も呈する。
- 杙創(よくそう)
- 鈍的な物体が人体に刺さる傷。
[編集] 内部的なもの
[編集] 熱的要因によるもの
[編集] 電気的要因によるもの
- 電撃傷
- 特に雷や空中放電によるものを雷撃傷と言う。
[編集] 放射線要因によるもの
[編集] 化学的要因によるもの
[編集] 外傷患者の診かた
- 四肢外傷よりも救命処置を優先する。運動器の外傷は滅多に致死的にはならない。運動器の治療よりもバイタルの安定化を考える。
- 外傷をみたら骨折はあるものとして扱う。特に鎖骨より上の外傷がある場合や多発性外傷のある場合は頸椎損傷があるものとして扱う。
- 現場で骨折をみたらそのまま副子にあてて固定する。うかつに整復しようとすると神経、血管といった軟部組織を傷つけ、閉鎖骨折を開放骨折にしてしまう恐れがある。整復は設備が整った病院で行うべきである。
- 副子(シーネ)固定
- ソフラットシーネ、アルフォンスシーネ、マジックギプスといったものがある。
- 外傷部より末梢のPMSの確認をする。これはパルス(脈が触れるか、皮膚の色は大丈夫か)、運動、知覚の神経は保たれているかを確認することである。指の外傷の場合は爪の圧迫にてパルスの確認をする。
- 明らかな骨折以外にほかの外傷がないかの確認を常にする。特に手足の骨折を見逃しやすい。
- 下肢の大きな骨折がある場合は骨盤外傷の可能性がある。踵骨骨折があるときは脊椎圧迫骨折の可能性がある。また車にはねられた時はワドルの三徴というものが知られている。まずにバンパーよって下肢外傷が起こり、ボンネットで胸部外傷、最後に道路に転んで頭部外傷というプロセスをたどることが多い。この部位は入念に調べる必要がある。
- 四肢を動かして骨折部に音がした場合、その音を再現しようとはしない。X線写真で確認をするべきである。
- 骨折の症状は変形、短縮、腫脹であり患者は患肢を使おうとしないのが特徴である。触診をすると必ず骨折部に一致して圧痛がある。変形や短縮を見つける方法は左右の比較をすることである。骨折があってもその末梢が機能することは多い。機能障害は必発ではない。だから固定をしなければならないのである。
- 不安定な長管骨の骨折を副子に乗せる場合は骨折部の上下を牽引させて行う。
- 基本的に骨折の場合は牽引することで軟部組織を傷つけることは少ない。但し肘や膝周囲の場合は牽引すると軟部組織損傷を起こすことがある。また開放骨折の場合は体外に出た骨片が体内に入り感染をおこすので原則として牽引しない。
- 捻挫は一関節固定であり、骨折は二関節固定である。
- 骨折で一関節固定をすると回内、回外運動が可能で整復できないことになる。
- 上肢の骨折の固定には副子の上に三角巾をすればよい。三角巾の上から体幹を含めてバストバンドをするという方法もある。
- ギプスを病院で巻かれた後腫脹しひどく痛がる場合は循環障害を起こしていると考えられる。直ちに病院に受診しギプス、下巻きを切るべきである。
- 骨折は基本的には体動時に痛い、安静時の激痛の持続は血管障害が考えられる。
- X線写真は最低で2方向は撮らないと外傷を評価したことにならない。
- 骨折の整復はできるだけ早期に行うべきである。腫脹がなおるまで待ってはいけない。
- 直達牽引を行う場合は頻回の観察が必要である。
- 大腿骨骨折では総腓骨神経麻痺を起こしやすい。下肢の骨折では足趾をそらせるのかをチェックする必要がある。
- 入院し骨折の治療が始まったら、直ちにその他の四肢の運動を始めるべきである。
- 上肢の骨折の治療目標は手の機能の温存である。多少の変形や短縮は構わない。下肢の骨折の治療目標は無痛で安定した荷重ができることである。短縮しないように変形を極力避ける。
- 開放創を感染のリスクを低く抑え、極力安全に縫合できるのは受傷後6~8時間以内(ゴールデンタイム)とされる。この時間は身体部位により変化し、顔面
外傷の場合は24時間とされる。これ以上経過すると細菌の増殖による創感染の可能性が飛躍的に高まるが、必ずしもゴールデンタイムを経過した創が一次閉鎖 出来ない訳ではなく、あくまで感染リスクの目安として捉えるべきである。このあたりの感覚は生ものの扱いと同じである。
- 老人に多い骨折としては橈骨遠位端骨折、上腕骨外科頸骨折、脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折がある。
- 基本的に12歳以下の場合は先天性股関節脱臼を除き脱臼は起こらない。[要出典]
[編集] 予後
最も生命を脅かすのはABC(気道・呼吸・循環)の阻害である。詳細はJATECの項を参照されたい。時間的に見て早期に死亡原因となるのは出血であるが、これは単に失血のみならず、心タンポナーデを始めとした各種の内出血によるタンポナーデによるものもあれば、肝臓・脾臓・大動脈が損傷すれば胸腔・腹腔に大量に出血して死に至る。目に見える外出血の有無にとらわれては重傷度の判断はできない。
また、脊髄損傷は受傷直後は無症状である場合が少なく無い。受傷後に傷病者自身や周囲の人間が不用意に動かすことによって脊椎損傷が脊髄損傷に発展する。この場合、呼吸麻痺や脊髄原性ショックによる心停止の危険があるのみならず、生存しても機能予後が大きく低下する。詳細はJPTECを参照のこと。
感染症は受傷の2~3日後から発現する。創傷面からの感染は勿論のこと、肺炎(人工呼吸器を使用している場合)や皮膚炎、さらに安静によって生じる褥瘡からの感染も無視できない。
コンパートメント症候群やクラッシュ症候群は、その兆候に注意することである程度は救命できるが、「それが予測でき、かつ措置を講じた」としても救命できない例も多い。良い例が福知山線脱線事故に於いて、24時間以上経って救出されたにも関わらずクラッシュ症候群により死亡した例である。
[編集] 参考文献
- 研修医当直御法度 ISBN 4895902668
- CBR 手・足・腰診療スキルアップ ISBN 4902470063
- 問題解決型 救急初期診療 ISBN 426012255X
- 骨太! Dr.仲田のダイナミック整形外科(上巻)ISBN 4903331288
- 骨太! Dr.仲田のダイナミック整形外科(下巻)ISBN 4903331296
[編集] 関連項目
- 救急処置
- 救急医療
- 外傷病院前救護ガイドライン
- 外傷初期診療ガイドライン
- 下肢外傷

