情報格差

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情報格差(じょうほうかくさ)とは、対象間における情報量に差があること。また、情報技術(IT)を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる格差のことを指す。

本記事では、情報格差及びデジタル・ディバイドDigital Divide)について述べ、特に断り書きがない限り両者を峻別せず、また日本での事例についてのみ述べる。

目次

[編集] デジタル・ディバイドとの関係

辞書の定義としては、「デイリー 新語辞典」(三省堂)によれば、それぞれの定義は若干の差異がある(情報格差デジタルディバイド)。また、『ジーニアス和英辞典』(大修館書店)では、「情報格差」の英訳は「Digital Divide」となっている。

実際の用例では、デジタル・ディバイドと同義で使われる場合や、企業と消費者の情報量の差(情報の非対称性)として使われたりする。

[編集] 情報資源について

デジタル・ディバイドに関連して、通信ネットワーク等情報通信資源を情報資源と述べることがある[1]。ただし、日本学術会議基盤情報通信研究連絡委員会報告書『情報資源・マルチメディア社会の将来に向けて』では、「情報の中で、利用者やシステムが利用時に価値を認めた情報」と定義していたりと、必ずしも一意ではない。

[編集] 概説

[編集] 国際的な情報格差

世界的には、2000年前後から議題になっている[2]。議題になった2000年は、世界の総人口に占める割合が5.1%の米国、カナダが、世界のインターネット人口の49.4%を占める状況となっていた[2]

また、経済力や通信技術の面で、発展途上国先進国に比べてどうしても不利な立場に立たされやすい。マサチューセッツ工科大学のプロジェクトチームが推進しているThe Children's Machineは、このような情報格差の解消を目的としている。

情報格差が経済的格差を拡大する要因とならぬよう、各国政府は対策に追われている。アメリカでは、白人と黒人の情報格差の広がりが問題になっていたが、例えば電話がそうであるように、ある程度以上普及すれば格差が減少していくという事を根拠に政府がインフラ整備と情報技術の普及に予算をつぎ込んだ。

[編集] 日本の概説

日本においては、1990年代以降、インターネットなどのコンピュータネットワーク情報技術)が普及するにつれて、パソコンなどの情報機器の操作に習熟していないことや、情報機器そのものを持っていないことは、社会的に大きな不利として働くようになった。

情報格差で下位に位置づけられる対象としては

  • 情報機器の購入・維持や教育を受けるための費用が出せない者
  • 中高年など、長い間情報機器がない環境で過ごしてきたため、情報機器に対する拒絶反応(コンピュータアレルギー)により情報機器を利用しない者
  • 放送(地上波地上デジタル)・通信(ブロードバンド)の採算性が人口等の条件により悪く、サービスが提供されていない地域の在住者

などが挙げられる。

政府の対応としては、e-Japan計画が策定され、以下の項目等について述べている。

  • 学校関係
    • 学校教育における情報教育カリキュラムの充実
    • 学校への情報機器の整備
    • 講習会の受講料金の補助
  • インフラ整備について
  • 自治体と共同で全県的なブロードバンド通信基盤の整備
  • 通信事業者への補助
ブロードバンドが普及するにつれ、ブロードバンドと地上デジタルテレビ放送(地デジ)を利用できる地区と利用できない地区(特に離島)との情報アクセスへの格差が生じている。

[編集] 情報格差の各側面

  • 情報手段の格差
    • コンピュータハードウェアおよびソフトウェアを、容易に入手出来るかどうか。経済、流通などの側面。
    • コンピュータやそのネットワーク(インターネット)を、人が容易に利用し、使いこなす事が出来るかどうか、また希望する人が技術・知識を家族に頼らず自ら身に着けようとするか。人的側面。情報リテラシーなど。
  • 通信手段の格差
    • インターネットや携帯電話PHS無線LAN等の移動体通信を始めとする情報ネットワークを、容易に利用出来るかどうか。接続費用の経済面、サービスエリア、速度など。
  • 情報資源の格差
    • 放送格差
      • 地上波衛星波などによる放送サービスを容易に受ける事が出来るかどうか。国、地方特に市・町・村および離島別に見るそれぞれの格差。
    • マスメディアの格差
      • 民間で作る新聞・書籍・雑誌、レコード・コンパクトディスク、映画(映画館)などを、容易に入手・利用出来るかどうか(特に地方における発売日の遅延に対する問題)。また、図書館サービスの利用容易性。
  • 情報弱者内での情報格差

[編集] 日本における通信格差

日本国内で、東京23区名古屋市大阪市など大都市を除く市・町・村および離島別におけるブロードバンド利用可否の格差。日本では2000年頃から、地方へブロードバンドが普及するに連れ、都市部のようにブロードバンドを利用できる地区と、過疎地域のようにADSLすら利用できない地区との情報アクセスへの格差が生じるようになっている。

現在ではほとんどの市・町でADSLが提供されるようになっているが、村や離島(特に沖縄県)では提供されていないことが多く、また法的にも「全ての市・町・村へ提供することが義務づけられていない」という問題がある(64kbps以下の低速・定額制のインターネット接続サービスだけならほとんどの村に普及しているが、100%には達成できていない)。

このことは、一部の電子掲示板などのコミュニティでしばしば取り上げられるようになった。「スラッシュドット」では、「ブロードバンド難民」と呼ばれた。これには二つの意味があり、情報格差(通信格差)として問題になるのは主に後者である。

  1. ADSL等の加入・解約手続きを行ったにもかかわらず、それに関する手続きや作業を長期間履行されず放置されている者。さらに長期間待たされた上に断られたり、特に解約時においては「回線握り」と呼ばれ、ADSL業者を変更する際に問題とされる。Yahoo! BBにおいて開業当初に問題とされたが、現在では改善されている。詳細はYahoo! BBを参照のこと。
  2. 住んでいる所で、ブロードバンドあるいは定額制インターネット接続サービスを全く受けられない状態。

これらの問題を解決すべく、総務省などが中心となり、「ブロードバンド・ゼロ地域 脱出政策」の戦略案を纏めている。

[編集] 分類

過疎型
人口が少ないために、民間ベースでは採算が合わないという口実があるため、日本全国の市町村にあまねくブロードバンドへサービスを提供する事業者は存在しない。また法的にもインターネット接続サービスは日本全国への提供が義務づけられていないため、サービスを受けられない(ユニバーサルサービスの対象に、ブロードバンドの提供が含まれていない)。近年のアクセスポイントのワンナンバー化により、頼みの綱である準定額サービス・テレホーダイが利用できないプロバイダが増えつつあることが懸念されている。
都市型
既に地域としては進出済みであるが、後述する事情によりサービスを受けられないケース。大都市周辺の郊外の住宅地に多いが、定額制のナローバンドによる常時接続(フレッツ・ISDN)だけなら使用できるケースも多い。

[編集] 原因

最大の原因は「過疎型(=採算が取れないという口実)」にあるが、他にも以下のような複数の原因が存在することもある。

過疎
人口が極端に少なく、民間ベースでは採算が合わないためサービスが提供されない。これらの地域では自治体主導でCATVなどの整備を進めているところが多々あるが、山間部など新規配線コストが高額になる様な所では整備困難な場所が多い。
光収容
ADSL特有の問題。RT(Remote Terminal:銅線と光ファイバーの変換装置)等により、経路途中まで光ファイバー化されていたり、最近のマンションなどの集合住宅において、電話回線が集合装置まで光ファイバーで引き込まれているため、ADSLのように、電話局から末端の加入者宅まで一貫してメタル線を必要とするインフラを利用できない(直収電話等も同様)。これは、当初NTT東西FTTH整備までISDNを使う予定で投資を推し進めた名残である。
回線品質
ADSL特有の問題。人口密度の低さなどで、電話局からの線路長が長すぎる、紙絶縁など品質の低いケーブルや手抜き工事、電話線のスタブ線、幹線道路や鉄道などから発生するノイズ、海岸沿いに於ける塩害などによるケーブル及び器具の腐食などによる回線品質の悪化など、信号の減衰やノイズが多すぎてADSLを正常に利用できないケース。
電話設備の問題
会社や学校などの独身寮を中心とした集合住宅においては、電話回線自体がレンタル回線であったり、工場や学校の敷地内にある場合には、PBX等独自の交換設備を介している場合があり、この場合はADSL等のブロードバンドサービスはもちろん、フレッツISDNを含むISDN回線、テレホーダイ等の割引サービスなど、一般的な音声通話以外のサービスを一切受けられない。
集合住宅問題
集合住宅で、FTTHやCATV等、配線方法によっては、壁に回線の穴を開けるなど大がかりな壁面工事が必要なインフラは、賃貸住宅であれば大家、分譲マンションであれば管理組合の許可を得る必要があるが、インターネットに対して関心が低いなど何らかの理由により敬遠するような大家、管理組合や住人が居る場合には、しばしば許可が得られないケースがある。
一例ではあるが、神奈川県営住宅では、2003年までインターネット回線に関する一切の工事を許可していなかった。理由として、神奈川県住宅営繕事務所は「同住宅は低所得者向けであるから、生活に最低限必要な物以外の“贅沢品”の使用は認められない」[3]とするものだった。翌2004年からは「模様替え(増築)」なる名目で許可はされたものの、「建物本体に一切の改造を加えず、現在使用している電話管路等をそのまま利用する」[3]など、他にも厳しい制約を設け、居住者のインターネット使用を制限しようとしている。また、手続きにも時間を要し、早くても申請から1か月超、場合によっては数か月もの時間を要するなど、不誠実なお役所仕事に終始している。
その一方で、VDSLを利用する形となるが、既に全棟でFTTHを利用可能な県営住宅も存在する。
また、住宅の戸数が少ないために事業者の営業上の理由で不可な場合や、電柱より高い部屋には光ファイバーを直接引き込めないなど施工方法上の理由で不可な場合などもある。ただしエアコン設置時に壁に配管用の穴を開けている場合、ADSLでタイプ2と呼ばれるADSL専用回線をその穴の隙間を使って回線を引き込むことが出来る。
ブロードバンドが一般化する前の建築物においては、光ファイバーなど新しいインフラに対する配慮が行われていないことが多く、配線や配管のスペースに余裕がなかったり、特に急カーブさせることが難しい光ファイバーを通すことは困難である。
CATV対応マンションであっても、配線されている同軸ケーブルに関して、流合雑音の問題や、あるいは有線放送などを重畳などしているため、CATVのインターネットサービス(CATVのデジタル放送サービスも含む)を利用できないことがある。
共同アンテナ問題
過疎地に於いて共聴組合にて管理しているTVアンテナの中には、CATVに複数の組合員が移行した場合、TVアンテナの保守管理がコスト高になり運営が不可能となる。その為区域全体でCATVの導入に消極的になり、併せてインターネットの整備が遅れる結果を招いている。
電線類地中化問題
電線類地中化で道路に電柱が無くなると、地下管路を経由して、ケーブルを建物に引き込むことになるが、その割高な工事費や、通信会社道路管理者に支払う必要がある管路使用料がネックとなり、光ファイバー同軸ケーブル等の敷設を拒む通信会社(ケーブルテレビ局)が存在している[4][5]

[編集] 放送・通信の格差により生じる問題点

  • 通信(回線の速度)と放送の格差は情報収集などの能力の差に繋がる。近年では行政機関のオンラインシステム、学校教育就職活動情報系を中心とした各種産業においてブロードバンドへの依存度が高くなっており、町・村役場や離島でのオンラインシステムや学校カリキュラム遂行に支障が出たり、就業機会に影響があるなど、デジタルデバイドの一形態ともいえる問題がある。
    これにより、地上デジタルテレビ放送(地デジ)・ブロードバンドの提供されない地域(特に村・離島)および地上波民放で受信可能なチャンネル数が少ない地域(特に3局以下)から若年層が離れる人口流出なども発生し、過疎化の促進による悪循環を促している(総務省主導の「次世代ブロードバンド戦略2010」は、直接的な過疎対策として盛り込まれたわけではない)。
  • 地デジやADSLFTTHのCMでは「全ての市・町・村に提供されていない」ことや、「地デジやブロードバンドを利用できない地域がある」という点についてはほとんど触れず、画面の隅に小さく表示される程度でしかない。それらのCMは提供されない地域(村・離島)でも視聴できるため、あたかも「全域で提供されている」かのように誤解される可能性もある(特に、回線の絶対数や契約者の世帯数が多いことを強調する宣伝も多々見られるが、回線数・契約世帯数の多さが、提供エリアの充実を示すものではないことに留意するべきである)。
  • 動画や音楽の配信サービスは、ADSL以上の速度を有する回線で提供されることを前提にし、ナローバンドでの利用を想定していないものが多いことからサービスに支障が出ており、事実上有料サービスすら受けることが困難な状態となっている。
  • 最新の家庭用ゲーム機PS3Xbox360Wiiなど)や携帯型ゲーム機(NDSiNDSPSPなど)、PCゲームおよびアーケードによるオンラインゲーム(特にリアルタイム性を重視したオンライン対戦ゲームなど)もまた、ADSL以上の速度の回線での利用を前提にしているものしかなく、ナローバンド(64kbps以下~1.5Mbps程度の低速な回線)でプレイできるソフトや周辺機器を開発しているメーカーは皆無で、そのようなゲームはナローバンド回線上でプレイすることは不可能であり、仮にプレイできてもメーカー側によるサポートが一切行われない問題もある。
    なお、コンシューマオンライン対戦ゲームのはしりであるSEGAドリームキャスト(DC)が発売された当時は、ブロードバンドどころかナローバンドの常時接続すら一般に普及していなかったため、開発段階からナローバンドによる接続を想定しており、専用のオンラインゲームもナローバンドでも問題なくプレイできた。
    最初に提供されたナローバンドの常時接続「フレッツ・ISDN」も、人口の多い都市部のみを優先して提供され始め、町・村を後手後手にする形でゆっくり全国的に提供されるようになったため、本質的な解決とは言い難かった。後にADSLへの接続を可能とする周辺機器・ブロードバンドアダプタも発売された。
  • 仮に、全ての市・町・村でブロードバンド回線が利用できるようになるとしても、早くて2009年以降になる見込みであるが、その頃には既に(2006~2007年に稼働の)オンラインのサービスがほぼ終了しているものとみられ、それまでの間にサービスやサポートを提供し続けるメーカーの存在も保証されない。日本国内の全域で安心かつ快適なオンラインゲームをプレイできることはしばらくの続かない状態となっている(後述する#総務省によるu-Japan政策も参照されたい)。
  • ADSLやFTTH、CATVといったブロードバンド回線の利用を前提としているIP電話が利用できない。
  • ワームコンピュータウイルスの蔓延に伴うOS等のセキュリティパッチやアンチウイルスソフトウェアパターンファイル入手、あるいは各種ソフトウェアのバグフィックスの修正ファイルの入手がWindowsを中心としてブロードバンド回線によるダウンロード依存型になっている。「ブロードバンド難民」のユーザにとっては、それらへの対策も困難になっている(ナローバンドの常時接続によるダウンロードも不可能ではないが、数MBのファイルをダウンロードするにも数時間はかかり、長時間の接続で回線が不安定な状態になり、切断されることも多々あり、さらに切断された後に続きから再開できず初めからやり直しになるケースもあり、この場合ダウンロードは事実上不可能である)。
  • ウェブページの閲覧、ファイル転送やメールの送受信に関して、当初よりブロードバンド回線による大容量の通信を想定している場合には、結果としてナローバンドユーザのサービス利用を疎外してしまう面もある(ナローバンドユーザへの配慮ができていない)。
  • 個人情報保護法の施行や学校関係者の不祥事を口実にした振り込め詐欺の被害が急増しているため学級やPTAの緊急連絡網をインターネットによる直接連絡(公式サイトのトップページにおける「緊急情報があるので確認」するよう促す表示やメーリングリスト)に切り替える動きがあるが、その際に情報格差(通信格差)の発生している家庭への対応が問題となっている(ネット端末を―パソコンはもちろん携帯電話さえも―持たない人は未だにいる)。また、2003年頃に大規模な問題となった振り込め詐欺に未だに引っかかる人が絶えない。報道されている被害者は高齢であり、インターネットによる情報を入手できない状況になるために詐欺に引っかかってしまっている可能性がある(年金暮らしであれば出費を削減するために新聞を取らないとなれば犯罪の手口を知る機会は近所の人や子供・孫によって提供されるまで知ることができない)。警察からの情報もインターネットによりもたらされているため、インターネットを扱えなければやはり知ることができない。
  • 世代間での情報格差の拡大により、IT技術への理解度が低い中・高年層による偏見や誤解に基づいた理不尽な法規制・提言がなされることがある。
    例:教育改革国民会議における「バーチャルリアリティーは悪であるとはっきり言う」(教育改革国民会議委員・曽野綾子によるもの)

[編集] 解決策

[編集] 技術的解決策

技術の進歩・低価格化により、数年前までは不可能だったブロードバンドの導入も可能・容易になっている。

  • プラスチック製光ファイバーの導入・普及
    • グラスファイバー製よりも曲げに強く、屋内配線として、通常の配管にも導入しやすくなった。
  • ラスト10メートルの進歩・普及 (FTTB/FTTC等)
    • 集合住宅でのLAN配線導入の増加、VDSLMDFから各戸に既存電話配線により高速信号を通す《10~100Mbps》)やFWA(集合住宅近傍の電柱に無線の基地局を設置し、個宅のベランダにアンテナを設置する)などを利用するFTTB/FTTC等が普及した。
  • 既存インフラの活用
  • 改良型ADSL
    • 独自技術によって、メタル線のまま長距離対応を実現したReach DSLや、途中経路まで光ファイバを使用でき、韓国で導入されたHFA (Hybrid Fiber ADSL) 等がある。
  • 無線によるラストワンマイル整備

[編集] ナローバンド定額制や、無線系アクセスによる代替

それでもなお、諸事情のためにブロードバンド回線が利用できない場合では、ISDNベースのフレッツ・ISDNや、本来モバイル向け無線アクセスであるPHSのAIR-EDGEの定額制接続や、@FreeDなどの定額制ナローバンド接続をメイン回線として使用し、電話代を定額で固定させるだけで解決を図るケースもある。

第三世代携帯電話においては384kbpsや、2Mbps以上の通信スループットを謳うサービスもあるが、日本国内ではほぼ全ての料金プランで、携帯端末単独での使用とPC等に接続して使用する場合で課金制度が異なるため、数万円~数百万円単位の超高額な課金を請求される恐れがある。パケ死の項目も参照。

PHSのAIR-EDGEにおいては最高408kbpsを謳うW-OAM通信がサービス開始されたが、第三世代携帯電話のMbpsクラスの高速サービスと同様に、東京・大阪などの都市部を優先してサービス展開がされるため、地方では常に後手々々で高速無線アクセスの提供を全く行わないのが現状である。

2007年3月31日より、第三世代携帯電話では初となる携帯端末だけでなくPCを介した最大3,6Mbpsデータ通信も完全定額5980円で利用できるイーモバイルが新規参入をしたが、やはりサービス開始当初は東京・大阪・名古屋・京都市内といった人口の多い都市部のみの提供にしか留まらず、これも情報格差の一旦といえる。

また、通信パケット量が多くまたは通信時間が長くなるほど、課金が上昇する従量制(準定額制を含む)であったり、PHSの定額制・準定額制においても、高速な通信になるほどまたは通信時間が長くなるほど、基本料金が高額であったりと、固定通信系ブロードバンド回線に比較してスループット対コストのパフォーマンスが低い問題もある。ただ、移動体通信事業には巨額の費用が必要であること、また有限資源である無線帯域を共用して伝送路として利用する以上、現状避けがたい問題ではある。

フレッツ・ISDNやダイヤルアップのISDNも、国内のあまねく全域で提供されているように思われがちだが、フレッツ・ISDNについては一部の地方で未提供の局がまだ残っており、完全な全域での提供に達していない。

また収容局から加入者宅までの線路長が8~10kmを超えるような遠距離の場合、ISDNのサービス自体がほぼ不可能である。(PHSやダイヤルアップ接続等での定額制接続手段が無い限りにおいては)いずれの常時定額接続手段も存在しない地域が一部の町・村・離島に残っているのも現状である。

[編集] 自治体等の取り組み、今後の技術展開など

自治体やNPOの関心が高い地域では、さまざまな地域独自の試みが行われている。

多摩ニュータウン八王子市柚木地区のNPOである「FUSION長池」や八丈島の「八丈島にブロードバンドを推進する会」等による署名活動やブロードバンド事業者や行政に対する陳情活動が行われたり、北海道 渡島支庁 山越郡 八雲町の八雲PC同好会のように署名や陳情だけではなく、独自に専用線を確保して、無線LANで分配することで定額接続を実現といったケースがある。特に八雲町のケースは、北海道新聞で報道され、これをきっかけにブロードバンド事業者が八雲町への進出を決めるなどの反響があった。

また、島根県秋田県岡山県では、ADSLを中心に進出したブロードバンド事業者に経済的援助を与えたり、地方自治体が整備したインフラを民間にも開放するなどの整備促進策を取ったり、三重県岐阜県などでは、CATVを主として県がブロードバンド整備を行っている。この為、三重県に於いては、県道や国道から余程離れた一戸建て以外では、殆ど全県でCATVによるブロードバンドが利用できるまで整備されている。

総務省でも、この問題を解決するために、地方自治体が初めから民間への開放を目的としてインフラ整備を行うことの是非が論じられたり、5GHz帯を無線によるインフラ構築用に開放する動きがあるが、現在の行政側の対策は、過疎型対策がメインである。

また、技術的には、研究開発段階ではあるが、人工衛星による超高速インターネット衛星「WINDS」などが計画されており、全国同じ条件でサービスを受けられることが特徴となっている。「成層圏プラットフォーム」(成層圏滞空飛行船)もこれに近い形態といえる。[6]

しかし肝心の“インターネット端末普及”は、パソコン教室に通って使い方に習熟しなければ困難である。パーソナルコンピュータ若しくは携帯電話は、普及したとはいえ、まだ家電製品並みの使い易さになっているわけではない。

[編集] 総務省によるu-Japan政策

これらに対し、総務省もただ手をこまねいていたわけではなく、先述の過疎型による町・村・離島への問題対策として、同省を主導としたu-Japan政策において「次世代ブロードバンド戦略2010」を発表し、

  • 2008年度までに「ブロードバンド・ゼロ市町村」(全域においてADSLFTTH・CATVいずれのブロードバンド回線も利用できない市町村)を解消すること
  • 2010年度までに「ブロードバンド・ゼロ地域」(いずれの種類のブロードバンド回線も利用できない地域)を解消し、
  • 超高速ブロードバンド(FTTH等)の世帯単位でのカバー率を90%以上とすること

を目標として掲げた。

[編集] インターネット業界以外での動き

不動産業界
情報格差の問題については、不動産業界においても取扱物件のブロードバンド利用の可否が物件の価値、契約の成否を少なからず左右しかねない時代になっており、取扱物件に発生し得る情報格差に対しても敏感になっている。
とりわけ、30代以下の層をメインターゲットとした分譲住宅、学生向け賃貸物件などでは、ブロードバンドでもとりわけFTTH導入の可否が販売成約率や入居率を少なからず左右し、販売価格や家賃などにまで影響を及ぼすケースも見られる。
その為、現在では多くの企業で付加価値向上策の一環として、取扱物件のブロードバンドへの対応が積極的に進められている。特にFTTHが導入可能な物件においては、広告にその旨が宣伝文句として大々的に記載されていることが多い。
同様に短期賃貸マンションや若者向けの賃貸物件では、入居時にパソコンさえ持ち込めば即時インターネット使用可能というシステムを構築している所も少なくない。
2008年頃からは解消されつつあるものの、首都圏でさえ少し郊外部に行けば、FTTHが市街地のみでその周辺地区には存在しない(さらにADSLはあるものの、局までの距離があるため速度がほとんど出ない)という場所は決して珍しくなかった。だが、この様なインターネット能力の差が、地価にも若干ながら悪影響を及しているケースもあると言われている。
他にも、いわゆるパソコン世代ではないベテランの営業販売担当者などには、この情報格差に関する知識に乏しい者も少なくないが、不動産は高額の商取引であるだけに、この情報格差の問題については、営業担当者の知識不足が顧客とのトラブルなどの訴訟リスク要因になるのではないかという危惧を、現在では一部の不動産会社が抱くところとなっている[7]。この為、営業担当者へのブロードバンドに関する知識の教育など、対策に取り組む企業も存在している。
この様な事があって、特に郊外部では、住宅・アパートを新築する際に、FTTHが導入可能な地区かなどの事前チェックが入念に行われる事も多い。
また、FTTHが導入可能な地域に所在し、工事をすれば導入可能であったとしても、インターネットに対する大家の無理解が原因で導入できない賃貸物件は大都市圏でも見られている。だが、これは入居を希望する側が近隣の物件との間での比較検討をする際には、多くのケースでネガティブな要因として扱われ、上述している様に究極的には入居率や家賃などにも響いてくる。その為、物件の価値の維持・向上の為に、不動産業者が大家に対してブロードバンド、さらにはインターネットそのものについての啓蒙を行うケースも見られている。

[編集] 放送格差(日本)

放送の中でも、特に都道府県および市・町・村単位で見た地上波民放におけるチャンネル数の格差のことを指す。

自社制作番組が基幹局では多いもののローカル局では少ないことや、一都道府県あたりの地上波民放数の格差

テレビの放送対象地域でみた場合、

しかない。特にテレビアニメに大きな影響を与え、在京キー局が受信可能な関東広域圏ではほぼ全てのテレビアニメが視聴可能であるがローカル局ではほとんど放送されない格差を生んでいる。

詳細は「テレビアニメ」を参照

ただし、放送対象地域内でも中継局が整備されていない場合もあり、必ずしも全ての市・町・村(特に山間部)および離島で民放の局が受信できるとは限らない。ケーブルテレビ[9]デジタル放送の分野においても、同様の地域格差があり、極めて重大な放送格差である。また、新規テレビ局の開局は2011年の地上デジタル放送への完全移行まで行われない可能性が高い。

全国をあまねく網羅する衛星放送・衛星デジタル放送により、アニメと放送に関する格差はある一定のレベルについては解消されつつあるが、地上波しか視聴できない家庭が半数を占めているうえ、地上波が主である以上現在地上波とは番組編成が異なる衛星放送では単にチャンネルが増えるだけであり、視聴できない全国放送の番組の殆どが現状ではなくなる訳ではなく、また集合住宅問題として何らかの理由により衛星アンテナが設置できない問題や、住宅形態を問わず衛星のある方角に障害物があるため受信できない問題は、都市部も含めて残っている。そのため、いまだに情報格差是正には至っていない。

ケーブルテレビは地方部の多くの自治体により、地上デジタルテレビ放送は国により強力に推進されているため、都市部でなくとも地域格差の解消は進むとは考えられるが、それでも国内全ての市・町・村および離島が網羅されないこと、デジタル化を期に民放連ならびローカル局などによる区域外再送信の禁止や同意拒否などの放送利権の行使で、今まで視聴できていた他県の放送局が今後見られなくなる恐れがあるなど、特にケーブルテレビについては、今後ますます地域格差が広まることが懸念される。

また、デジタル化ケーブルテレビや、光CATV(放送系光ファイバー、光放送)などのために必要な光ファイバー基盤(FTTH/FTTx)にしても前述の推進はあるとはいえ、離島や過疎地での提供が忌避され、都市部に優先される傾向があるため、サービス展開上でも地域格差が生じている。

日本では番組の著作権を放送局が所有し番組制作会社の力が弱かったせいもあり、娯楽番組など嗜好性の高い番組がCSなどの専門局へ外国ほど移行せず、在京キー局中心の番組供給体制であることが格差につながっているとも言われている。

この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています

[編集] 脚注

  1. ^ 例えば『情報通信基盤の地域格差に向けた支援指針』(石川県)
  2. ^ 『平成12年度通信白書』(郵政省
  3. ^ 県営住宅模様替え(増築)承認書
  4. ^ 日経パソコン
  5. ^ 週刊朝日連載「ITにタックル」
  6. ^ [1]
  7. ^ 実際、ADSLしか存在しない地域で速度もそれほど出ない地域であるにも関わらず、「超高速インターネットの利用が可能」という、購入者側にFTTHを想起させる様な謳い文句で物件を販売し、トラブルが発生したケースは存在する。
  8. ^ ただし、スピルオーバーにより、一部のエリアでは隣接する都道府県の民放を(非公式かつサポートなしで)受信できることがある。
  9. ^ アナログ放送では区域外再送信で地上波民放数の格差が是正されていたが、デジタル放送では権利上の都合や視聴者減少の防止などから区域外再送信を実施しない事が多く、再び地上波民放数の格差が広がりつつある。
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[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月22日 (日) 10:04 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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