戸籍

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戸籍(こせき)とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書である。日本では、戸籍法に定められている。

以下に述べるように、東アジア諸国特有の制度である。

目次

[編集] 概要

古代以来の中国華北社会では(こ)と呼ばれる形態の緊密な小家族が成立し、これが社会構造の最小単位として機能していた。そのため政権が社会を把握するためには個々の戸の把握が効果的であり、支配下の民の把握を個人単位、あるいは族的広域共同体単位ではなく、戸単位で行った。この戸単位の住民把握のために作成された文書が戸籍である。中華王朝や漢族世界が華北から拡大しても、政権の民衆把握は戸籍を基礎として行われ、さらには中華文明から政治的、文化的影響を受けつつ国家形成を行った日本、朝鮮半島国家など周辺地域の国家でも戸籍の制度は踏襲された。

日本では律令制を制定して戸籍制度(→古代の戸籍制度)を導入した当時、在地社会の構造は華北のように戸に相当する緊密な小家族集団を基礎としたものではなかった。平安時代になって律令制衰退後、朝廷による中央政府が戸籍によって全人民を把握しようとする体制は放棄され、日本の在地社会の実情とは合致しなかった戸籍制度は、事実上消滅した。地域社会の統治は現地赴任国司筆頭者(受領)に大幅に権限委譲、さらに受領に指揮される国衙では資本力のある有力百姓のみを公田経営の請負契約などを通じて把握し、彼らを田堵負名とし、民衆支配はもっぱら彼ら有力百姓によって行われるようになった。その後、上は貴族から下は庶民に至るまで、(いえ)という拡大家族的な共同体が広範に形成されていき、支配者が被支配者を把握しようとするとき、この自然成立的な「家」こそが把握の基礎単位となった。全国的な安定統治が達成された江戸時代幕藩体制下でも、住民把握の基礎となった人別帳は、血縁家族以外に遠縁の者や使用人なども包括した「家」単位に編纂された。従来の封建的社会構造を打破し、中央集権的国民国家体制を目指す明治維新において、「家」間の主従関係、支配被支配関係の解体は急務であった。新政府は戸籍を復活させて「家」単位ではなく「戸」単位の国民把握体制を確立し、「家」共同体は封建的体制下の公的存在から国家体制とは関係のない私的共同体とされ、「家」を通さずに国家が個別個人支配を行うことが可能となった。このように戸籍制度の復活は封建的な主従関係、支配被支配関係から国民を解放するものであったが、完全に個人単位の国民登録制度ではないため、婚外子、非嫡出子問題などの「戸」に拘束された社会問題もまた存在する。そのため、現代ではより個人が開放された制度を目指して、戸籍制度を見直す議論も存在する。

[編集] 各国の戸籍制度

戸籍制度は東アジアで戸と呼ばれる中華文明圏で成立した家族集団の認定を基礎とする、他地域には存在しない特有のものである。近代以降、国民・住民の把握は国家により、個人単位あるいは家族集団単位で行われ、欧米でもアングロサクソン系国家では個人単位、大陸系国家では家族登録制度を採用する傾向がある。戸籍は家族集団単位に把握する制度の代表的なものであるが、国家に認定された家族集団が東アジア固有の戸の思想系譜を引くものでなければ、それは戸籍制度ではない。特にアメリカ合衆国イギリスオーストラリアでは国家による家族登録を行わない伝統を持ち、戸籍のような家族単位の国民登録制度は存在しない。社会保障番号(Social Security Number)制度はあるが、これは年金の加入・支給を管理するため、つまり日本における基礎年金番号に相当するもので、戸籍のようなものは存在せず、結婚などの登録も役所の住民登録で済まされる。多くの州では居住地でなくとも婚姻届を受理する。

[編集] 中華人民共和国

中華人民共和国では戸籍を「戸口」といい、全ての人民は機関・団体・学校・企業など、「単位」と呼ばれる組織のいずれかに属するようになっている。「単位」の所在地により、俗に城市戸口(都市戸籍)と農村戸口(農村戸籍)とに表現が区分される。

改革開放以前、住居分配・初等中等教育・医療・食料配給などは基本的に単位ごとになされ、これらを享受できない本籍地以外の場所での生活は、事実上、不可能であった。改革開放以降、食料配給の廃止や外資企業の出現による単位への所属が流動化、インフラ設備の向上による流通の発展と第3次産業の発展、農村部経済の破綻と沿岸都市部での労働者需要の増大による「民工潮」(盲流現象)などから、本籍地以外でも社会的サービスを受けられるようになったが、依然として初等中等教育は基本的に不可能で、医療では医療費面で差別があり、信用度の問題で銀行からの融資を受けられないことや、福利厚生費を企業が負担しなければならないので就職が難しいなどの問題がある。

戸口の移動は、他省への大学進学、大学卒業で国家機関や団体、大企業などへの就職による移動が基本で、最近では多額納税者や、小都市では住宅購入で戸籍の移動を認める地方政府もある。以前でも銭を払うことで、農村から城市への戸口の移動が可能であった。 戸口を記した「戸口簿」は中華人民共和国公安部中国の警察)が管理している。

中国では戸口簿のほかに、全人民ひとりひとりに「人事檔案」がある。これは、人事档案には先祖の階級をもとにした「本人成分」から始まり、家族構成・学校成績・党歴・就職・結婚・言動・旅行歴・交友関係・犯罪歴など、生まれた時から現在までの個人情報の全てが書き込まれている。人事档案は単位の共産党人事部、もしくは地方共産党支部の人事局や労働局が厳重に管理しており、もちろん非公開で、本人はその内容を生涯知ることはできない。ただし、現在、移動と不届けから、全てを把握しきれていない状態が増加していることも確かである。

[編集] 朝鮮半島

朝鮮半島国家は古代の律令制導入以来戸籍制度を維持してきた。朝鮮時代は良民と賤民とに身分が分かれており、良民には士大夫(両班)の特権階級と郷吏(中人)・常漢・庶人・良人(常民)の平民階級があり、賤民には奴婢白丁があった。

戸籍にその戸の身分が記載され、平民階級には役などが課された。日本統治時代に身分の記載は削除された。

現在の大韓民国においても戸籍は継承されており、徴兵制の運用もあって管理が厳しい。2008年に戸籍が廃止され個人単位の登録となることが決まった。

朝鮮民主主義人民共和国には戸籍に相当するものはなく、居住地の党組織にて日本でいう住民登録が行われ管理されている。また、「公民登録法」により17歳以上の朝鮮公民(朝鮮民主主義人民共和国籍を持ち北朝鮮に居住する者)には公民証(平壌市民にあっては1997年以後「平壌市民証」に切替)が発給され、本人確認が行われる。

[編集] 台湾

台湾では日本統治時代に日本の戸籍制度に改変された。現在の中華民国支配下でもID制度と平行して存在しているが、一般的にはIDの方が多用される。中国国民党独裁していた時代には、軍政時代の韓国同様、戸籍は警察が管理していた。

[編集] 日本の戸籍制度の歴史

[編集] 明治以前

古代の戸籍制度
大和朝廷時代には直轄領の一部で行われた。
670年
大化の改新645年)によって朝廷の支配体制が強化され、各地の豪族が作った戸籍に代わって全国的な「庚午年籍(こうごねんじゃく)」という戸籍(へのふみた)が作られ、6年ごとに更新された。
安土桃山時代
豊臣秀吉による太閤検地が行なわれた。
江戸時代
幕府寺社の作成した人別帳や宗門帳や過去帳が人民の登録簿であった。
これらは現代でも家系図作成などの際に参考にされることが多い。
文政8年(1825年)に長州藩で戸籍法施行。近代戸籍法の原点とも言われている。

[編集] 明治・大正期

1868年慶応4年)
長州藩のものを参考に京都府において戸籍仕法が行われる。
1869年(明治2年)
民部官に庶務司戸籍地図掛(国土地理院の前身の一つ)を創設。
1870年
戸籍地図掛が民部省地理司へと拡充。
1871年
民部省が廃止され、大蔵省租税寮へ管轄が移る。
1872年明治5年式戸籍
「戸籍法」明治4年4月4日大政官布告第170号・明治5年2月1日施行
前年制定の戸籍法に基づいて、日本で初めての本格的な戸籍制度が開始された。
この年の干支壬申(みずのえさる)であることから、この制度によってできた戸籍を壬申戸籍(じんしんこせき)と呼ぶ。
戸籍の編成単位は「戸」、本籍は住所地であり、身分とともに住所の登録を行ったことから、現在の住民票の役割も担っていた。
この戸籍は「新平民」や「元えた」などの同和関係の旧身分(エタ、非人)や、病歴、犯罪歴などの記載があることから、現在は各地方法務局の倉庫で一般の目に触れないように厳重に保管されている。ただし、法務省の公式発表では壬申戸籍は廃棄したことになっている(しかしこれらの情報が何らかのルートで流出しているという情報もある[要出典])。
1874年
太政官達「大蔵省中戸籍、土木、駅逓ノ三寮及租税寮中地理、勧農ノ事務ヲ内務省ニ交割セシム」[1]により、前年に発足した内務省に管轄が移動する
1886年明治19年式戸籍
「戸籍取扱手続」明治19年10月16日内務省令第22号・「戸籍登記書式等」同日内務省訓令第20号
本籍地は住所のままだが、住所が屋敷番から地番に変更となった。
除籍制度が設けられた。
1898年明治31年式戸籍
「戸籍法」明治31年6月15日法律第12号同年7月16日施行・「戸籍法取扱手続」明治31年7月13日司法省訓令第5号
を基本単位とする戸籍制度が開始された。戸籍簿とは別に身分登記簿を設けた。
1915年大正4年式戸籍
「戸籍法改正法律」大正3年3月30日法律第26号・「戸籍法施行細則」大正3年10月3日司法省訓令第7号の大正4年1月1日施行
身分登記簿が煩雑であったため廃止し、戸籍簿に一本化された。

[編集] 昭和期

1948年昭和23年式戸籍
「戸籍法を改正する法律」昭和22年12月22日法律第224号・「戸籍法施行規則」昭和22年12月29日司法省令第94号、施行・昭和23年1月1日
全面改正された戸籍法が施行され、現行の戸籍制度により、家を基本単位とする戸籍から、夫婦を基本単位とする戸籍に変更され、「戸主」を廃止して「筆頭者」を加えた。また「華族」や「平民」などの身分事項の記載は廃止された。
戦争による混乱のため、実際に戸籍簿が改製されるのは1957年-1965年ごろとなる。
1952年
住民登録法施行により、住民登録制度が開始され、住民票の作成が開始された。
これにより、非定住民である山窩(サンカ)、家船は消滅した。
1967年
住民登録法を改正した住民基本台帳法の施行により、戸籍とリンクした住民登録制度が開始された。
1970年4月
壬申戸籍を封印(後廃棄年度経過)
1975年
1977年法務省、同和対策除籍等適正化事業により、除籍現戸籍の差別内容塗抹。
1976年
除籍現戸籍閲覧の禁止
1981年
食糧難の解消により米穀通帳が廃止された。

[編集] 平成期(現在)

1994年
戸籍事務の電算化が始まり、コンピュータで戸籍を管理する自治体が徐々に増える。
2003年の電算化済み自治体は37%であり([2])、2007年の電算化済み自治体は70%である([3])。法務局登記簿登記印紙を財源とすることにより早期に電算化が完了したが、バブル崩壊もあって市町村の財源には限界があるため、戸籍の電算化はあまり進んでいない。人口が多いほど費用が掛かるため、政令指定都市は電算化していない場合が多い(政令指定都市は区ごとの電算化も可能だとされている)。
2002年
仙台市2001年に発生した自動車窃盗団による戸籍不実記載事件により、内容訂正歴のある戸籍の再製を求める声が高まり、不実記載があった戸籍を作り直せるようになった。
2004年
オンラインでの戸籍手続の扱いを可能とする法改正等が実施され、システム構築のあたっての基準書「戸籍手続オンラインシステムの構築のための標準仕様書」が全国市町村に配布された。
婚外子に対する「男・女」という続柄差別記載がプライバシー権の侵害であると判示され、11月1日以降の出生については、「長男・長女」式に記載することになった。それ以前に出生した婚外子については、現行の除籍されていない戸籍についてのみ、申し出によって更正するとした。当事者が申し出ても更正を拒否するなど、差別記載を温存する「改正」であるとして批判されている。

[編集] 旧規定における戸籍用語

戸主
一家の代表者のこと。現行戸籍制度の筆頭者と違い、戸主の同意を得ずに結婚した者を戸籍から除くなど、非常に強い権限が与えられていた。
女戸主

詳細は「女戸主」を参照

私生子・私生児
父から認知されていない非嫡出子のこと。
庶子(しょし)
父から認知された非嫡出子のこと(旧民法827条2項)。
入夫婚姻
夫が女戸主をしている妻の戸籍に入る婚姻方法(旧民法736条)。婚姻後に妻が戸主を続けるか、夫が新たに戸主となるかは任意。
婿養子縁組
結婚と、妻の親との養子縁組を同時に行うこと。夫は妻側の戸籍に入る(旧民法788条)。入夫婚姻と異なり、女戸主以外と行う事ができる。
現在でも、男性が結婚相手(=妻)の父母の養子になってから結婚することを婿養子や入り婿というが、「結婚後に妻の姓を称する=婿養子」という誤解が多い。
隠居

詳細は「隠居」を参照

家督相続
戸主を新たに別の者に引き継ぐこと。戸主が死亡・隠居したとき、戸主自身が婚姻し別戸籍に去ったとき、女戸主が入夫婚姻を行い夫に戸主を譲るとき、入夫婚姻により戸主となった夫が離婚により戸籍を出るとき、戸主が日本国籍を失ったときに行われる。
推定家督相続人
離籍
戸主の同意を得ずに結婚・養子縁組した家族や、戸主の指定した場所に居住しない家族について、家から排除すること。離籍は戸主の権利だが、未成年者と推定家督相続人は離籍することができない。
復籍拒絶
家族が戸主の同意を得ずに結婚・養子縁組して他の家に入った場合、新たな家までは元の戸主の権限が及ばないため、離籍をすることができない。しかしその後に離婚・養子離縁をすると通常は元の家に戻る(復籍)ことになるが、このとき戸主は復籍を拒絶することができる。この場合、復籍拒絶された者は一家創立を行う。
一家創立
戸主により入籍や復籍の拒絶をされた者や、入るべき戸籍が無い者が、新たに家を作ること。
廃家
戸主が家族を連れて他の家に入るため、元の家を廃すること(旧民法762条)。
絶家
戸主が死亡したことなどにより家督相続が始まったが、相続人がひとりもおらず、家が消滅すること(旧民法764条)。廃家が戸主の意志を元に行うのに対し、絶家は不可抗力により生じる。
分家

詳細は「分家」を参照

廃絶家再興
廃家・絶家した家を、縁故者が戸主となり再興すること。ただし元の家の財産など各種の権利を引き継げるわけではないため、単に家の名前を残すための手続に過ぎない。
族称
襲爵

[編集] 日本の戸籍制度

[編集] 制度の目的

出生生年月日)・氏名婚姻配偶者)・養子縁組国籍の離脱等の個人の関係(法的には「身分関係」と呼ぶが差別的な意味ではない。以下同じ。)を明確にし、婚姻・離婚の届出や日本国旅券の発行を容易にするものである。

日本において戸籍(こせき)制度は、国民一人一人を(日本国内外の居住に関係なく)出生関係により登録する制度である。居住地を登録し、地方自治体との関係を明示する住民登録制度とは異なる。元来は徴税・徴兵のために設けられたものであるが、第二次世界大戦後の民法改正に伴う戸籍法改正で、現在は大きく異なる。

[編集] 利点と欠点

出生から死亡までの履歴が記録されているので、相続などの手続きの際に取るべき手順が明確である。また、住民基本台帳制度との連携により、戸籍の附票を見れば転居の履歴が判明する。また、市町村名までの出生地は、移記すべき事項と定められているので、転籍や分籍をしたあとの戸籍にも記載される。

戸籍謄本の身分事項【従前戸籍】には親の本籍が記載される。転籍歴の記載は無い(戸籍事項・戸籍改製【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製)。

現行制度では外国人と結婚しない限り夫婦別姓が不可能なため、一方の者は結婚前まで使い続けていた苗字が公的証明で通用しない。

性同一性障害者は戸籍上の性別と自身の生活における性別とが違う場合があるため、日常生活で提出する書類などでトラブルになることがある。この問題は性同一性障害特例法ができて徐々に解消されてきている。なお半陰陽など、乳児の段階で性別が明確でない場合は性別留保ができる。

婚姻手続きをしていない女性が産んだ子は非嫡出子とされ、嫡出子に比べて相続分が不利になったり、就職や縁談の際も偏見を持って見られたりすることがあるため、婚外子差別問題として市民団体などが問題提起している。

[編集] 内容

戸籍謄本
戸籍簿を電算化していない自治体のもの
戸籍全部事項証明書
戸籍記録を電算化している自治体のもの

戸籍簿には、日本国籍を有する者のほとんどについて、氏名生年月日などの基本情報と、結婚などの事跡が記載されており、行政事務においてきわめて重要な役割を持っている。戸籍は日本国籍を有する者の身分関係を証明する唯一無二の公的証書である。戸籍は和紙に印刷してあるが、以前は枠以外は手書きで書かれていた。

戸籍簿には、一人もしくは二世代を最大とする複数人の生年月日、死亡年月日、性別氏名続柄(血縁関係)、婚姻歴、離婚歴、養子縁組歴などの情報が記載されており、戸籍の附票には現住所と転居履歴が記載されている。

この戸籍簿と同一の記録事項を、一定条件のもとで請求があれば、戸籍簿を管理している自治体(本籍地を所轄する自治体)が公的証明書類として発行する。戸籍簿の電算化が行われる以前は戸籍簿のコピーに自治体の長の公印が押印されたものが発行される、そしてこれを「戸籍謄本」という。電算化が行われて以後は、戸籍簿と同一の記録事項を出力印字し自治体の長の公印が押印されたものが発行される、そしてこれを「全部事項証明書」という。また、戸籍謄本および全部事項証明書は戸籍簿に登録されている全員の記録事項が記載されるが、特定の一人のみ抽出して記載したものをそれぞれ「戸籍抄本」「個人事項証明書」という。

日本の戸籍には日本国籍を有する人物のみが記載され、外国籍の者は、日本国籍を持つ者の配偶者や父母としてしか記載されない。住民基本台帳には記載されているが戸籍には記載されていない人物(住民票がある無戸籍者)も存在しうる。

天皇皇族は戸籍ではなくて「皇統譜」に記載される。非皇族から婚姻して皇族になった者は戸籍から離脱する。

[編集] 戸籍の届出の種類

  • 本人の本籍地または届出人所在地でしなければならない(第25条)
  • 書面または口頭ですることができる(第27条)
出生届
(戸籍法第49条の届)
子が生まれたときに14日以内に提出する届出。
婚姻届
(戸籍法第74条の届)
婚姻結婚)をする場合に必要な届出。
離婚届
(戸籍法第76条の届)
離婚をする場合に届ける。筆頭者でない側が、戸籍を抜けることになる。協議離婚と裁判離婚との2種類がある。
死亡届
(戸籍法第86条の届)
死亡を知ってから7日以内に届ける。死亡診断書または死体検案書の添付が必要である。いわゆる行き倒れの場合は行旅死亡人といわれ、引取り人を探すために市区町村長から官報に掲載される。
認知届
(戸籍法第60条の届)
(主に男性が)生物学的な自分の非嫡出子を法的な自分の実子とするための届出。ただし、子の母が別の男性と結婚している場合、子はその夫婦の嫡出子となるので、嫡出否認もしくは親子関係不存在の訴えが認められるまで認知できない。
養子縁組届
(戸籍法第66条の届)
養子を受け入れるための届出。年上の人物と尊属と自分の嫡出子は養子にできないが、嫡出でない実子と、実弟、実孫などは養子にできる。
養子離縁届
(戸籍法第70条の届)
養子を解消するための届出。
特別養子縁組届 特別養子を受け入れるための届出。実親が養育に不適格であるなどの特段の事情がある場合のみに認められる。通常は6歳未満でなければ特別養子縁組はできず、縁組には家庭裁判所の許可が必要。
特別養子離縁届 特別養子を解消するための届出。特段の事情がある場合のみ認められる。
離縁の際に称していた氏を称する届
(戸籍法73条の2の届)
養子離縁によって旧姓に戻った人が養子時の苗字に戻るための届出。
離婚の際に称していた氏を称する届
(戸籍法77条の2の届)
離婚によって旧姓に戻った人が婚姻時の苗字に戻るための届出。離婚から3か月以内に届け出なければならない。
親権(管理権)届 「親権者指定」「親権者変更」「親権喪失」「親権喪失取消」「親権辞任」「親権回復」「管理権喪失」「管理権喪失取消」「管理権辞任」「管理権回復」の10種類の届出があり、子供を養育する権利と財産を管理する権利についての手続きを行うための届出。
失踪届
(戸籍法第94条の届)
ある人が平常地域で行方不明になった場合(普通失踪)には、最後の目撃日から7年後に家庭裁判所が6か月間の失踪宣告を行い官報などに掲示する。戦地や沈没船などで行方不明になった場合(特別失踪)には、戦争終結あるいは船の沈没から1年後に家庭裁判所が2か月間の失踪宣告を行い官報などに掲示する。それでも発見されない場合は失踪が確定するので、この届を提出すると失踪した人は死亡したものとみなされ、相続などが行われる。
復氏届
(戸籍法第95条の届)
配偶者と死別した人が、旧姓に戻る場合に行う届出。
姻族関係終了届
(戸籍法第96条の届)
配偶者が死亡してもそのままでは配偶者の血族との間に姻族関係があるため、姻族が生活困難になった場合などに扶養義務がある。そういう場合に姻族との関係を終了させるための届出。
推定相続人廃除届
(戸籍法第97条の届)
ある人が死んだ時に相続する権利がある人が、その人に対して著しい虐待などをした場合に相続権を消滅させる届出。いわゆる勘当のことだが、子が親に対して廃除をすることもできる。
入籍届
(戸籍法第98条の届)
子のいる夫婦が離婚した後に婚姻時の戸籍から離脱した側(婚姻時に非筆頭者だった側)の戸籍に子を入れる場合、子のいる夫婦で筆頭者が養子となり子の姓を養親の姓に改める場合、および、子と同じ戸籍の独身者が結婚によりその戸籍から外れた後に婚姻後の自分の戸籍にその子を入れる場合などに行う届出。主に子の氏(苗字)を変更する目的の届出だが、この届出により入籍した子が成年に達した際に自分自身の氏を変更することを目的に届け出る場合もある。
分籍届
(戸籍法第100条の届)
一人だけ戸籍を分ける際に出す届出。
国籍取得届
(戸籍法第102条の届)
片親が日本人であるなど日本人に近い外国人が、日本の国籍を取得するための届出。
帰化届
(戸籍法第102条の2の届)
外国人が日本国籍を得るための届出。帰化の許可は法務大臣が行う。申請から許可までは相当の日数を要するが、国籍法の要件を満たしている限りは、不許可となる事例は少ない。帰化の条件としては、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」「20歳以上であること」「本人または配偶者や親族に正常な生計を営む資産および能力のあること」「日本国憲法を守り、素行が善良であること」「日本政府に脅威を与えたり、社会秩序を破壊するようなことがないこと」であるが、日本人との一定の身分関係を有する者については、要件が緩和される。
なお特別帰化という制度もあり、「日本人と結婚していること」「日本に10年以上住んでいること」「日本に対して特別な功績があること」を満たしている場合は適用される。
国籍喪失届
(戸籍法第103条の届)
日本は二重国籍を禁止しているので、外国籍を得たときに届け出て、日本国籍を放棄する。
国籍選択届
(戸籍法第104条の2の届)
二重国籍の日本人がどちらかの国籍を選択する場合に届け出る。二重国籍になったのが20歳未満であれば22歳が期限であり、20歳以上であればなった時点から2年が期限である。期限を越えると自動的に日本国籍を選択したものとみなされる。
外国国籍喪失届
(戸籍法第106条の届)
二重国籍の日本人が外国の国籍を喪失した場合に届け出る。
氏の変更届
(戸籍法107条1項の届)
家庭裁判所の許可を受け、氏(苗字)を変更する。よほどの事情が無ければ許可されない。
外国人との婚姻による氏の変更届
(戸籍法107条2項の届)
外国人と結婚した日本人はそのままでは氏(苗字)は変わらないが、結婚後6か月以内であればこの届出で苗字を変えることができる。
外国人との離婚による氏の変更届
(戸籍法107条3項の届)
外国人と結婚後、107条2項の届出によって氏(苗字)を変えた人が、離婚後3か月以内に旧姓に戻るための届出。
外国人父母の氏への氏の変更届
(戸籍法107条4項の届)
片親が外国人の場合、子が親の氏(苗字)を名乗るための届出。家庭裁判所の許可が必要である。
名の変更届
(戸籍法第107条の2の届)
家庭裁判所の許可を受け、下の名前(名)を変更する。
転籍届
(戸籍法第108条の届)
本籍地を移転するための届出。
就籍届
(戸籍法第110条の届)
親子関係などから日本国民であると推定されるが戸籍のない者(例:樺太などの旧日本領からの引揚者、無戸籍者、未就籍児、両親が没した中国残留孤児)が、家庭裁判所の許可を得てから既存の戸籍に入ったり、新しい戸籍を作ったりするための届出。
未成年者の後見開始届
(戸籍法第81条の届)
両親が死亡するなどして未成年者に親権を行使する者がいない場合、または親権者に管理権がないときに届出が必要になる。
不受理申出 婚姻届や離婚届などを無断で提出されないための申し出。ストーカーなどからの防衛に使われる。人気アイドルなどもこの制度を利用しているといわれる。
不受理申出取下書 不受理申出を取り消すための書類。上記の理由がなくなった場合に申し出る。
死産届(しざんとどけ)
(昭和21年厚生省令第42号(死産の届出に関する規程)による)
12週以上の胎児死産中絶した場合にこの届出を行う必要がある。この届出を行うことにより、死胎についての埋葬火葬許可証が発行される。

[編集] 戸籍関連の書類

戸籍謄本(とうほん) 戸籍に記載された内容の全てについての証明書。電算化された戸籍の場合は戸籍全部事項証明書という。(“謄”は全文写しを意味する)
戸籍抄本(しょうほん) 戸籍に記載された者のうちの1人だけ、2人だけ等、全員ではなく必要な人のみの内容についての証明書。電算化された戸籍の場合は戸籍個人事項証明書という。(“抄”は全てではなく必要部分の写しを意味する)
「省略抄本」と通称されているもの 現戸籍や除籍の必要な事項のみ記載した抄本。証明文自体は通常の戸籍抄本と同様。電算化された戸籍の場合は一部事項証明書という。
除籍謄本 除籍された戸籍の謄本のこと。電算化された戸籍の場合は除籍全部事項証明書という。

戸籍に記載された者全員が死亡・離婚・婚姻などの理由により除かれるか、戸籍全体が他市町村へ移動したときに除籍謄本となる。相続のときに、相続権利者の存在を調べるために請求されることが多い。

除籍抄本 除籍された戸籍の抄本のこと。電算化された戸籍の場合は除籍個人事項証明書という。
改製原戸籍謄本 戸籍法の改正による戸籍の管轄省令により戸籍を作りかえた(改製した)場合に、その元になった戸籍の謄本のこと。

現在交付可能な改製原戸籍は3種類ある。

  • 1947年(昭和22年)の法改正に伴う、昭和22年司法省訓令による改製原戸籍および昭和32年法務省令による改製原戸籍
  • 1994年(平成6年)の法改正に伴う、平成6年法務省令による改製原戸籍(電算化を行った市町村のみ)

また平成6年以降は戸籍の改製が行われるような法改正が行われていないため、改製原戸籍全部事項証明書は存在しない。

改製原戸籍抄本 改製によって除かれた戸籍の抄本のこと。上記項目同様、改製原戸籍個人事項証明書は存在しない。
戸籍の附票 戸籍と住民票の記載事項を一致させる記録。

戸籍法ではなく、住民基本台帳法に基づく記録である。

詳細は「戸籍の附票」を参照

戸籍の除附票 除籍された戸籍の附票のこと。住民基本台帳法施行令により、最低5年間は保存される。
再製原戸籍証明 戸籍の再製が行われたときに、再製される前の戸籍について証明する書類。
不在籍証明 ある人物がある番地の戸籍に記載されていないことを証明する書類のこと。
婚姻要件具備証明書 日本国籍を持つ者が、外国の法律に基づき結婚するときに、相手国に対し結婚する資格があることを証明するために使われる書類。

同性婚や近親婚を防ぐため、結婚相手を特定し、その相手との婚姻資格を証明する。ただし「日本の法律に基づいた婚姻資格」の証明のため、先の例のように同性婚が認められる国で結婚する場合でも、日本の戸籍法では同性婚を認めていないため、この証明は発行されない。
主に外国人と結婚する為に用いられるが、日本人同士が外国で結婚する場合に用いられる場合もある。外国人と結婚する場合でも、日本の法律に基づいて結婚する場合には不要。 本籍のある市町村で発行するほか、戸籍謄本を持参し法務局・大使館・領事館などから発行することもできる。

独身証明書 婚姻用件具備証明とは異なり、単に独身であることを証明する書類。主に結婚情報サービスへの登録時に用いる。
受理証明書 各種の届出を受理したという証明書で、外国人が日本で出生届けを提出したへの提出などに使われる。

また届出した内容が戸籍に反映され、戸籍謄本などとして証明できるようになるまでには数日かかるため、それまでの間に届出内容に基づいた手続きを行うためにも用いられる。
ただ実態として、婚姻などをした事のみの証明である特性を利用し、出生事項などの余計な情報が記載されていない証明書として用いられることも多い。

届書記載事項証明書 各種の届出を複写し長が認証した証明書。受理証明書は届出の内容を抜粋して証明するのに対し、届書記載事項証明は届け出た書類そのもののコピーとなるため、使用目的や請求権利者が厳格に規定されており、特定の目的以外では発行されない。

この中でもっとも発行されることの多い「死亡届記載事項証明書」は遺族年金・簡易保険の手続きに使われる。

戸籍記載事項証明書 戸籍謄本の記載事項の一部について証明するもので、必要な項目のみを証明したい場合に用いられる。
上質紙を用いた婚姻・離婚・養子縁組・

養子離縁・認知の届出の受理証明書

表彰状のような外観の受理証明書。外国籍の者との婚姻事実や離婚事実を日本国戸籍事務管掌者として日本国の方式で婚姻や離婚が成立したことを証することが目的として作成されるものだが、その外観から、一般には大切な事項の記念として請求される場合が多い。手数料約1,400円(自治体により異なる)。
身分証明書(身元証明書) 禁治産者・準禁治産者の宣告を受けていない、成年被後見人の登記を行っていない、破産宣告を受けていないことの証明書。被保佐、被補助については記載されない。就職などの時に一部の職種(例:警備業における警務職)で要求される場合がある。
誤解されるが、この書類で本人証明はできない。

[編集] 用語

本籍本籍地
戸籍が所属する場所のこと。本籍は国内(領有権を主張しているものの実効のない地域も含む)ならどこでもよく、変更も自由である。現行制度では「戸籍が所属する場所」以上の意味はないが、代々の本籍から安易に変更しない人もいる。
筆頭者
戸籍の最初に記載されている人物のこと。夫婦の戸籍では、結婚時に苗字が変わらなかった方の人物である。住民票における世帯主と違い、生計を支えている人物である必要や、生きている人物である必要はなく、0歳児でもよい。
配偶者(はいぐうしゃ)
結婚相手のこと。基本的にはいずれかが戸籍の筆頭者で、もう片方が非筆頭者。
養子
法的に相続権などを与えられた人のこと。養子を受けいれる親は養親という。
通常は、普通養子のことをいう。この場合、戸籍上は男性は「養子」、女性は「養女」と記載される。
特別養子
法律上の扱いが、実子とほぼ同じ養子のこと。上記の普通養子とは要件が異なる。戸籍上の表記は実子の表記とほぼ同じである。通常の養子の場合実親との関係は継続するが、特別養子の場合は相続権を含め実親との関係のほとんどが無くなる事が大きな相違点である。
嫡出子(ちゃくしゅつし)
「摘出」ではなく「嫡出」である(前者の読みは「てきしゅつ」)。結婚中または離婚後300日以内の女性が生んだ子のこと。夫と血のつながりがなくても、嫡出否認もしくは親子関係不存在の訴えが可決されるまでは嫡出子である(これを嫡出推定という)。
なお、結婚後200日以内に生まれた子は、嫡出子としても非嫡出子としても出生届ができる。
非嫡出子
「嫡出でない子」のこと。嫡出子よりも相続の際に不利になる。婚外子とも呼ばれる。
入籍
結婚・出生などにより、すでにある戸籍に入ること(要は戸籍謄本に本人の情報が記載されること)。「入籍届」は、親が離婚した際、子を非筆頭者側が引き取って旧姓を名乗る場合などに出すもの。対語は「除籍」。
ワイドショーなどでよく使う「入籍」という用語は、主に結婚のことを指していることが多い。「婚姻届」を「入籍届」と言うこともあるが、正しくない。
除籍
  1. 死亡、結婚、離婚などにより、ある人が戸籍から除かれること。電算化されていない戸籍謄本では、除籍された人の名前に赤ペンで大きく「×」が書かれる。電算化された戸籍全部事項証明書では、除籍された人の名前の左に枠付きで除籍と記される。対語は「入籍」。
  2. 全員が除籍され、除籍簿に入った戸籍のこと。全員の除籍により誰もいなくなった戸籍は除籍簿に入れられ、80年以上保存される。80年を超えて保存する義務はなく、市町村によっては昭和初期の除籍について廃棄が始まっている。除籍は、相続等における証明のできる書類として保存されるものであるが、除籍はまた、意義のある史料でもあるため、歴史研究者などからは廃棄が始まっていることを問題視する意見も上がっている。対語は「現戸籍」。
分籍
一人だけ戸籍を分けること。分けた当人が戸籍の筆頭者になる(その際に本籍地も設定できる)。20歳以上で、結婚歴がなければ可能(結婚歴があればその時点で親の戸籍からは離れているので無意味であるし、離婚して夫婦で戸籍が分かれてもそれを分籍とは呼ばない)。
転籍
本籍を別の場所に移すこと。戸籍内の全員が一緒に転籍することになる。
他市町村へ本籍を移した場合、それまでの戸籍は除籍になり、移動先の市町村で新戸籍が編成される。
就籍
出生届や就籍届などにより、これまで戸籍に記載されていなかった人が新しく戸籍に入ること。
現戸籍・現在戸籍
現在使用されている戸籍のこと。⇔除籍(2)
改製原戸籍
現行以前の戸籍制度の戸籍簿のこと。現場では「現戸籍」と混同しないために「はらこせき」ともいう。
昭和改製原戸籍
1948年制定の戸籍よりも前の戸籍のこと。当初、改製より50年保存とされたが、平成16年4月1日法務省令第29号により80年保存となった。
平成改製原戸籍
電算化済み自治体で、1948年制定の戸籍のこと。改製より100年保存される。
再製原戸籍
汚れや不実記載などにより、戸籍再製の手続きが取られた場合の、古い方の戸籍のこと。
電算化
事務の効率化のために、コンピュータで戸籍を管理すること。
無戸籍児・無戸籍者・無籍者
戸籍に記載されていない人のこと。未就籍者も含む。

詳細は「無戸籍者」を参照

未就籍児・未就籍者
親の夜逃げや、ストーカー・DVからの避難など、何らかの理由で出生届のない日本人のこと。また、ただ単に出生直後で、まだ出生届が出されていない乳児も含まれる。
職権消除(しょっけんしょうじょ)
担当者が職業上の権限によって、事実でない記述を戸籍から抹消すること。
例えば江戸時代生まれの人物の死亡届が出されておらず年数からして明らかに死を推定できる、などの場合に管轄法務局の許可を得て行う。

[編集] 行政手続

行政手続は行政書士に依頼することができる。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 参考リンク

戸籍の基礎知識

戸籍制度の議論

最終更新 2009年10月15日 (木) 06:55 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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