担保責任

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担保責任(たんぽせきにん)とは、売買などの有償契約等において、給付した目的物または権利欠陥がある場合に、当事者間の公平を図る目的で、契約の一方当事者が負担する損害賠償その他の責任である。

民法の条文は、条数のみとする。

目次

[編集] 種類・内容

[編集] 売買契約の場合

売買契約の場合の担保責任は、民法の561条~572条に規定があり、559条より他の有償契約にも準用される。

[編集] 追奪担保責任(広義) - 権利の瑕疵の場合

  • 権利の全部が他人に属する場合(他人物売買) - 狭義の追奪担保責任
他人の権利を売買等の有償契約の目的としたため、給付義務者(売主)がその権利を相手方(買主)に移転できない場合は、相手方(買主)は契約の解除ができる(561条前段)。給付義務者(売主)が他人の権利であることを知っていた場合(悪意)は、さらに相手方(買主)は、他人の権利であることを知らなかった場合のみ、損害賠償を請求できる(561条後段)。給付義務者(売主)が他人の権利であることを知らなかった場合(善意)は、給付義務者(売主)が契約を解除できる(562条)。
  • 権利の一部が他人に属する場合
売買等の有償契約の目的である権利の一部が他人の権利であるため、給付義務者(売主)がその部分の権利を相手方(買主)に移転できない場合は、相手方(買主)は不足分について代金の減額を請求でき(563条1項)、残りの部分だけでは不要な場合は契約の解除ができる(563条2項)。さらに相手方(買主)は、権利の一部が他人の権利であることを知らなかった場合のみ、損害賠償を請求できる(563条3項)。
  • 数量不足または物の一部滅失の場合
数量を指示した売買等の有償契約において、物の数に不足がある場合や一部が滅失しているため、給付義務者(売主)がその部分の権利を相手方(買主)に移転できない場合は、相手方(買主)は不足分について代金の減額を請求でき(565条・563条1項準用)、残りの部分だけでは不要な場合は契約の解除ができる(565条・563条2項準用)。さらに相手方(買主)は、権利の一部が他人の権利であることを知らなかった場合のみ、損害賠償を請求できる(565条・563条3項準用)。
  • 地上権等の負担がある場合
売買等の有償契約の目的物が、他の占有を伴う物権(地上権永小作権地役権留置権質権)や賃借権の目的となっているため、善意の買主が契約の目的を達成できない場合は、買主は契約の解除ができ(566条1項前段・2項)、損害賠償を請求できる(566条1項後段・2項)。また、目的物のために存在するとされる地役権が存在しなかった場合も、同様とされる(566条2項)。
  • 抵当権等の負担がある場合
売買等の有償契約の目的物が、他の占有を伴わない担保物権抵当権先取特権)の目的となっているため、その実行により相手方(買主)が権利を失った場合は、相手方(買主)は契約の解除ができ(567条1項)、損害賠償を請求できる(567条3項)。担保権実行により所有権を失うことを防ぐために買主が費用を支出した場合は、買主は費用の償還請求(567条2項)と損害賠償請求ができる(567条3項)。

[編集] 瑕疵担保責任 - 物の瑕疵の場合

  • 目的物に隠れた瑕疵がある場合
売買等の有償契約の目的物に瑕疵があるため、相手方(買主)が契約の目的を達成できない場合は、相手方(買主)は善意で無過失である場合に限り、契約の解除ができ(567条・566条1項前段)、損害賠償を請求できる(567条・566条1項後段)。

(瑕疵担保責任については、瑕疵も参照)

[編集] 担保責任一覧

種類 善悪 代金減額請求権 解除権 損害賠償請求 除斥期間
権利の全部が他人に属する場合
(561条)
善意 ×(条文なし) ×
悪意 ×(条文なし) ×(561後段) ×
権利の一部が他人に属する場合
(563条)
善意 知ったときから1年
悪意 × × 契約のときから1年
数量不足または物の一部滅失の場合
(565条)
善意 ×(条文なし)
(判例/知ったときから1年)
悪意 × × × ×(条文なし)
地上権等の負担がある場合
(566条)
善意 ×(条文なし) 目的不達成時のみ○ 事実を知ったときから1年
悪意 ×(条文なし) × × ×(条文なし)
抵当権等の負担がある場合
(567条)
不問 ×(条文なし) 所有権喪失時のみ○ 所有権喪失時と所有権保存時のみ○ ×
目的物に隠れた瑕疵がある場合
(570条)
善意 ×(条文なし) 目的不達成時のみ○ 知ったときから1年
悪意 ×(条文なし) × × ×(条文なし)

[編集] 贈与契約の場合

贈与契約の場合、無償契約であり、そのまま給付するのが当事者の通常の意思に合致するので、贈与者は受贈者に担保責任を負わないのが原則である。しかし、贈与者が瑕疵や不存在について知りつつ(悪意で)契約をした場合は、損害賠償責任を負う(551条1項)。

また、負担付贈与の場合は、負担の限度において有償契約と同様の性質があることから、贈与者は負担の限度で売買契約の売主と同じ担保責任を負う。

[編集] 消費貸借契約の場合

利息付消費貸借契約の場合、消費貸主は無過失責任を負い、目的物に瑕疵があった場合は、瑕疵のない代物を提供しなければならない。また、この場合に、別途損害賠償責任も負う(590条1項)。

無利息の消費貸借契約の場合は、消費借主は返還の際、瑕疵のある物の価格を返還することで責任を免れることができる。また、消費貸主は、原則担保責任を負わないが、目的物の瑕疵を知りつつ契約をした場合は、利息付消費貸借の場合と同様の責任を負う(590条2項)。

[編集] 使用貸借契約の場合

使用貸借契約の場合、無償契約であるから、使用貸主は贈与契約の贈与者と同様の担保責任のみを負う。

[編集] 請負契約の場合

請負契約の場合、契約の目的が目的物の完成であるため、請負人は目的物に瑕疵があった場合、注文者の請求により、無過失でも瑕疵を修補する義務を負う(634条1項)。ただし、瑕疵が重要部分についての瑕疵ではなく、修補に過大な費用がかかる場合は、修補義務を負わない。

また、瑕疵修補請求があるか否かに関わらず、別途損害賠償義務も負う(634条2項)。この場合、履行利益までの賠償義務を負うと解されている。

このほか、瑕疵があると注文者にとって請負契約をした意味がないとき(目的が達成されないとき)、請負の目的物が建物などの土地の工作物以外であれば、注文者は契約を解除することができる(635条)。

[編集] 共同相続の場合

相続人が複数いる共同相続の場合に、遺産分割相続した財産に物の瑕疵や権利の瑕疵があった場合は、他の共同相続人に対して売買契約の場合と同様の担保責任を主張することができる(共同相続人が他の共同相続人に対して相互に担保責任を負う)(911条)。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年7月25日 (土) 11:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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