接地

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接地(せっち)とは、機器の筐体・電線路の中性点・電子機器の基準電位配線などを電気伝導体で基準電位点に接続すること、またその基準電位点そのものを指す。本来は基準として大地を使用するため、この名称となっているが、基準として大地を使わない場合にも拡張して使用されている。アースグランド(グラウンド)とも呼ばれる。

目次

[編集] 概要

電気機器電子機器電気設備等は、内部で電磁波静電気などのノイズ輻射することがある。また、このような機器や設備に電磁波や静電気などが外部から侵入すると誤動作を起こすことがある。このような場合、機器や設備を遮蔽(しゃへい)して、電磁場電場が機器や設備の内外を通り抜けることがないようにする必要がある。この時に必要な電磁シールド静電シールドといった遮蔽は、大地や筐体に接続(接地)される必要がある。

電気機器電子機器電気設備等が金属の筐体に収納されている場合、筐体が大地に対して電位を持ち、人が触ると感電して火傷を負ったり死亡したりする危険がある。これを防ぐために、これらの機器や設備を大地に接続してその電位と大地の電位との差を十分に小さく(理想的には 0 ボルト)する必要がある。

医療機器では上述の対策が特に重要となる。

一部のアンテナ、つまり接地型アンテナでは、大地が高周波的に鏡のように働くことを利用して、エレメント(アンテナを構成する素子)の一部を大地を用いて省略する。この時に接地が必要となる。

[編集] 水周りなどで使用される電気機器の接地

水に濡れた人体は非常に感電し易い状態にあるため、機器の劣化や故障による僅かな漏れ電流であっても人体に流さないようにする目的で、濡れた手で操作する可能性がある機器はアース接続が強く求められる。

昔は、水道管が導体である管だったために、幹線が地中に埋まっていることを利用して蛇口洗濯機などのアース線を接続することがよく行われていた。しかし、現在の水道管は室内の露出部分が金属でも、その先の幹線の水道管の材質が不導体であるポリ塩化ビニル(塩ビ)製になったために、水道管自体のアースの効果は失われていることが多い(このため最近では水道管にアース線をつけないよう注意を促している電化製品もある)。また、金属管であったからといってアースを水道管に接続すると、その電流により配管の腐食(電蝕)を誘発するので危険である。付けようとする水道管がアースに適するかは水道局が把握しているので問い合わせると良い。同じ目的のためには、適切に施工された接地極付のコンセントにアース線を接続するとよい。また、アースをガス管に接続することは引火・爆発のおそれがあり非常に危険であるため、行ってはならない。

アース棒

大地にアース棒を打ち込む方法もある。洗濯機やエアコンを買うと、アース棒が付属されてくることがある。戸建てで地面がある場合、付属または別売りのアース棒を地面にハンマーで打ち込み、アース棒から出ているリード線を家電機器のアース端子に接続する。

[編集] 接地の方式

[編集] 接地工事の種類

  • A種(第1種)接地工事
  • B種(第2種)接地工事
  • D種(第3種)接地工事
  • C種(特別第3種)接地工事

[編集] 接地の施工方法

一般的な電気工事の場合、その施工箇所の土質により得られる接地抵抗が異なるため、必要に応じて銅棒、銅板を土中に埋めてアース線を接続する。岩盤などの接地抵抗が特に得られない土質においては、ボーリングを行うこともある。

[編集] 中性線と保護接地導体の関係

  • 中性線(N) : 大地と同電位の電源配線のうち、相間電流が平衡なときに電流が流れないもの。
  • 保護接地導体(PE) : 機器の筐体と接続され、筐体を大地と同電位にしたり、地絡電流を流すために使用されるもの。

[編集] TN

中性線と、保護接地導体が最終的に一つの基準電位点で大地に接続されるものである。中性線・保護接地導体が同一電位となるため、雷サージやその他のノイズによる障害が少ない。

ヨーロッパアメリカ低圧配電線路で一般に用いられている。

  • TN-C : 中性線と保護導体とを共用する。
  • TN-C-S : 中性線と保護導体とを部分的に共用する。
  • TN-S : 中性線と保護導体を分離する。

[編集] TT

保護接地導体と中性線とが別の基準電位点に接続されているもの。雷サージやその他のノイズにより中性点と保護接地導体の電位差が大きくなると、機器の破損・異常動作を起こすことがある。

日本の低圧配電線路で一般に用いられている。

[編集] IT

どの電源配線も接地されていないもの。1本の電源配線に異常が起きただけでは重大事故にならない。

  • 制御用など、特に信頼性の要求される電源
  • 人体に直接接する医療用器具の電源
  • 水中の照明電熱用の電源

[編集] 機能接地(電子機器・空中線)

信号用グランド (Signal Ground)
電子回路を動作させる上での基準となる電位のこと。回路を安定に動作させるためには、信号用グランドのインピーダンスが十分に低くなるように設計する必要がある。
シールドケース・シールドケーブル・ノイズフィルタ
コンピュータ・通信機器などのIT機器において、電磁環境両立性 (Electro-Magnetic Compatibility) を考慮して、外来のノイズに強く、外部へノイズを放射しないために使用される。
電気防食用電極
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アンテナ用接地
大地の表面が等電位面であることを利用して、接地型アンテナではアンテナの構成要素の一部として大地を利用する。たとえば 1/4 波長のバーチカル・アンテナでは、給電線の一方を大地に垂直な 1/4 波長の導線に接続し、もう一方を大地に接続(接地)すると、地上に垂直に立てた 1/4 波長の導線が、大地が鏡であるかのように反射して、1/2 波長の垂直ダイポール・アンテナであるかのように動作する。これは大地表面が等電位面であるからである。実際には、接地抵抗を十分に低くできない場合、大地を等電位面として使用する接地型アンテナの能率は落ちる。
大きな導体の板などで等電位面を形成できれば、給電線の片方を大地ではなく大きな導体の板に接続しても、接地型アンテナとして動作する。たとえばグラウンド・プレーン・アンテナでは、ラジアルが等電位面を形成する。このアンテナは、給電線の片方を大地ではなくラジアルに接続接続しているが、接地型アンテナと同じように働く。
等電位面として大地を利用した接地型アンテナの地上高は 0 m であるが、ラジアルなど人工的に作った等電位面を利用した接地型アンテナは、タワーや建物などを利用して、地上から高い場所に設置することができる。このため、大地を利用したアンテナに比べ見通し距離が伸び、直接波での通信距離を伸ばすことができる。
本当の大地を使った接地は、接続線の長さが波長に比べて十分短い必要があるため、概ね10MHz以下の周波数のアンテナに適用するのが現実的である。それ以上の周波数では、ラジアルもしくは、移動局 であれば移動体の金属ボディを大地とみなすことができ、その代用として働く。
カウンターポイズ(counterpoise)
凍結地上や氷上など直流的に接地するのが難しい場合に、地上より離して設けた電線と大地との間にコンデンサを形成し交流的に接地するものであり、直流や商用交流の電撃防止の目的では使えない。その波長においてコンデンサのリアクタンスが無視できる値であれば、ダイポールアンテナの片極として使うことができる。
筐体接地 (Frame Ground、Chassis Ground)
フレーム接地のこと。単純に「アース」と呼ばれる場合もある。一般的には筐体を大地に接続することを指す。しかし、俗に筐体内部の回路を筐体に接続することを指すこともあるので、混同しないように注意が必要である。
自動車においても性能の向上を目的としたチューニングのひとつとして、接地線を取り付けたり、取り替えたりするアーシングがある。
電力保安用接地
漏電した場合における利用者の感電の防止、地絡事故時の保護装置の確実な動作などのために使用される。

[編集] 雷保護接地

  • 避雷器 : サージなどの異常な高電圧印加時に低抵抗になり機器の保護を行う。
  • 避雷針 : 建物の内部を保護するため、避雷針に落雷させ、雷撃による電流を直に大地に流す。

[編集] 静電気防止接地

  • 液体気体・粉体危険物の輸送用配管 : 静電気火花による引火の防止。
  • 導電マット・リストストラップ : 静電気に弱い電子機器や電子部品を取り扱う時に、人体や取り扱い用の器具の静電気を逃がす。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年9月7日 (月) 10:28 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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