銃の部品

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ここでは、銃の部品と各部の名称について解説する。

目次

[編集] 例:アサルトライフル

下図はアメリカ軍で使用されていたM16A1アサルトライフルであり、一般例として例示する。設計者やメーカー、軍などにより設計思想が異なるため、その点に留意が必要である。なお解説文中、「右手」「左手」とある箇所は、左利きの場合は適宜逆に読み替える必要がある。

M16アサルトライフル(右側面)

(1) 「後部照準調整つまみ」

弾道はゆるやかな弧を描くため、射程距離に応じて後部照準を上げ下げするためのつまみ。古い銃や簡素な銃には付いていないものも多い。AK-47など(以下、AK系)では、丸い部品をスライドさせることにより照準の角度を変えるという、簡素な機構になっている。

(2)の右側の、銃口側の長い部品「ハンドガード(被筒)」

フォアハンド、フォアグリップとも。構える際、通常左手で保持するための部品。銃身の熱を遮断する働きもある。図の銃では複合樹脂製であるが、銃によっては木製のものもある。また、この部品の下部に(あるいは取り外したり専用のものに付け替えたりなどして)グリップを付けたり、グレネードランチャーを取り付ける場合もある。なお、この部分に垂直に取り付けられたグリップをバーティカル・フォアグリップと呼ぶことがある。狭義で「フォアグリップ」という場合、バーティカル・フォアグリップを指すことが多い。

(3) 「消炎器(フラッシュサプレッサー)」

発射の際に銃口から噴き出る発射炎が、射手の視界を遮らないように、多方向(2, 4, 6, 8方向が多い)に発射炎を拡散させる。また、形状の違いでマズルブレーキ(制退器)としても作用するものもある。

詳細は「フラッシュサプレッサー」を参照

(4) 「排莢口または排莢孔(エジェクション・ポート)」

空薬莢を排出する箇所。図では防塵蓋(ダストカバー)が閉まった状態になっている。機構によっては、防塵蓋のないものがある。これを開くと遊底(ボルト)が見え、コッキングレバーを引いて遊底をスライドさせると薬室(チャンバー)や、銃によっては排莢子(エキストラクター)が見える。ブルパップ方式のアサルトライフルでは、左利きの銃手の頬の位置に排莢口があたるため、排莢方向を逆にすることができる機能を備えているものが多い。

(5) 「弾倉(マガジン)」

弾薬を装填する。図のものは湾曲箱形で、5.56mm NATO弾を30発装填できる。通常は送り板(マガジンフォロア)を底部のバネが押し上げる構造になっている。他に、ドラム型マガジンなどの多弾数マガジンがある。また、機関銃にはベルト給弾式のものが多い。実戦部隊では、ビニールテープなどで二つの弾倉を連結し、最初の弾倉が空になった際すぐに給弾できるようにしている工夫が見られる。また、特殊部隊では弾倉が空にならないうちに次の弾倉に交換する、いわゆるタクティカルリロードを行うことが多い。SIG SG550系の弾倉は強化プラスチック製で、残弾数が外見から確認できるようになっている。また、連結用のツメが付いており、弾倉を横方向に簡単に連結させることができる。

詳細は「弾倉」を参照

(6) 「マガジンリリースボタン(弾倉取り出しボタン)」

弾倉を交換する際、取り出しのためにここを押す。図の銃ではボタン式であるが、AK系はレバー式になっている。

(7)の下部 「ピストルグリップ(銃把、握把)」

右手で握り、引き金を人差し指で引く。図の銃では滑り止めのために刻み加工(チェッカリング)してある。旧式の銃では木製、近年の銃では複合樹脂。M14のようなバトルライフルや、M24狙撃銃のようなボルトアクションライフルではグリップがなく、握る箇所が窪みになっているものもある。この場合は単にグリップと言う。日本語では同じく銃把(じゅうは)と呼ぶ。

(8) 「ボルトフォワードアシスト」

この部品はM16A1以降の独特の特徴である。ごみなどの原因により遊底(ボルト)がきちんと前進閉鎖しなかった場合は引き金を引くことができないが、他の銃ではボルトとコッキングレバーが一体なので、レバーを押し込むことでボルトを強制閉鎖できる。M16系統ではボルトとコッキングレバーが別で引くことしか出来ないため、この部品でボルトを強制的に押し込む(ベトナム戦争において初期のものにこの機構が無く、閉鎖不良が多発したことによる改良)。

(9) 「銃床(ストック)」

肩に当て、照準を安定させるための部品。銃により材質が異なる(複合樹脂製、木製)。また、特殊部隊空挺部隊用、戦車航空機ヘリコプター乗員の自衛用火器は、収納の際や射撃しない際にコンパクトにするために、折曲式・折畳式・伸縮式となっているものが多い。

詳細は「銃床」を参照

(10) 「コッキングレバー(棹桿)」

ボルトを後退させ、銃内部のハンマー(撃鉄)を起こし(コッキング)弾丸を薬室に送り込む動作を行う際に引く。また不発やジャム(動作不良)の時に強制排莢して次弾を送り込む際に使うこともある。図の銃では射撃中に顔の方に後退しないよう、留め金(ラッチ)が付いている。また、位置も機関部側部(AK-47系やHK MP5系など)、機関部上部(64式7.62mm小銃HK G36系など)のように、設計により位置や動作は異なる。

M16アサルトライフル(左側面)

(11)「照星(フロントサイト)」

銃身の上に付けられた照準器。単に棒状の部品が付いている簡素なものや、上下動調整可能なものがある。

(12) 「照門(リアサイト)」

前部照準器と同じ水準にある。単に板状の部品を曲げて穴を開けたり窪みを付けたりしただけの簡素なものから、上下左右に調整可能なものがある。

(12)の左側 「キャリングハンドル(提げ手)」

銃を持ち運ぶ際に取っ手として使用する。提げ手が別に付いている銃もある(FN FALミニミ軽機関銃など)。この銃の場合は、後部照準の保護も兼ねており、またスコープを付ける際の基部ともなる。近年ではオプション取り付け用のレール「ピカティニー・レール」が取り付けられることが多い。

(13) 「安全装置(セイフティー)」

セレクターレバーともいう。安全=SAFE、単射=SEMI、連射=AUTO が標準的な組み合わせだが、3点バースト(1回引き金を引くと3発連続で発射するもの)を採り入れたものがある。特に興奮しすぎた新兵はすぐに連射で弾を撃ち尽くしてしまうため、M16A2以降では連射を廃止して3点バーストにしている。H&K社の製品では弾の形のピクトグラムで表示してある。自衛隊ではカタカナで表示してあり、安全=ア、単射=タ、連射=レ、3点バースト=3となっている。通常、安全→単射→(あれば)3点バースト→連射 の順であるが、AK系とそれを参考にしたガリルは安全→連射→単射となっている(いちばん上が安全位置)。また、AK系のセイフティーは安全位置でコッキングレバーが前後する開口部のカバーを兼ねており、機関部の半分を占めるほどレバーが大きい。

M16の引き金、シアー、撃針の動作
(14) 「引き金(トリガー)」

発射の際に引く部品。弓状の独立部品になっているものがほとんど。まれに、単射と連射で別々の引き金を持っているものもある。引き金の動きは、シアーと呼ばれるカム状の部品を介して、撃針を叩くハンマーの固定を解放する。ガス圧動作式では、発射後のガスが銃身の上のガスチューブ経由でシアーを元の位置に戻す(右図)。引き金とシアーの組み合わせの設計が悪いと、引き金を引くために必要な力が大きくなり、照準がぶれて命中精度に影響を与える。

(14)の下 「トリガーガード(用心金)」

不慮に引き金を引いてしまわないように、引き金のまわりを囲むための安全部品。射撃をしない際や、射撃しない意志を明確に示す際には、ここに人差し指をまっすぐかける。なお、厳冬地で厚手の手袋をしている場合に引き金が引けないのを防止するために、片方のピンを抜くことで開放することができるものや、最初から可倒式になっている銃もある(例:SIG SG550系など)。

(15) 「負い紐(スリング)」

昔のものは革製だったため、負い革ともいう。行軍、登攀の際など、肩に掛ける時に使用する。特殊部隊では3点支持スリングという伸縮自在のものを用い、建物屋上から降下してからの射撃、銃床なしでの射撃の際に、照準の安定に役立てることもある。

(16) 「ボルトリリースレバー」

弾倉の最後の弾を撃ち終わったあと、ボルトが後退したままになる銃に付いている。この仕組みにより、弾倉を交換したあとコッキングレバーを引かなくても、リリースレバーを押し込むだけで次弾が薬室に送り込まれるため、より素早い射撃再開が可能となる。AK系など、この機能がない銃では、弾倉を交換したあとはコッキングレバーを引いて弾丸を送り込まなければならない。また、ヘッケラー&コッホ社製のMP5や派生形は、マガジン交換の際コッキングレバーを予め固定位置に移動させなければならない。そのため、弾倉の項で挙げたタクティカルリロードが重要なテクニックとなる。

(17) 「着剣金具(バヨネット・アダプター)」

銃剣を着ける(着剣)時に、銃剣のリングを銃口にはめ込んだあと、この金具に銃剣尾部の金具を合わせて固定する。近年では着剣戦闘自体が少なくなってきているが、銃剣は他の用途もあり、敵に対する心理的効果も高いため、まだまだ標準で配備されている軍隊がほとんどである。ブルパップ方式はその全長から着剣戦闘に向かないか、着剣戦闘自体を考慮していない場合がある。

(18) 「銃身(バレル)」

撃発により推進された弾丸が通る銃口までの経路。散弾銃以外のほとんどの銃には旋条(ライフリング)が切られている。同じ弾薬でも、銃身の長さにより銃口初速が変わってくるが、これは弾丸の運動エネルギーや命中精度に密接に関わってくる。先端付近にクリップ式二脚(バイポッド)を後付けできるものや、二脚が標準装備されているものもある。

詳細は「銃身」を参照

[編集] 例:散弾銃

ポット形のマガジンから3発ぐらい発射するタイプの銃。

[編集] 例:拳銃

(例A) コルトM1911A1
(例B) SIG P220
(例C) Tauras 669

上の二つは自動拳銃(オートマチック・ピストル)、下のものはリボルバー式拳銃である。自動拳銃は装弾数が多いが、部品数も多く機構が複雑で作動不良となることも少なくない。リボルバーは少数(概ね5〜6発)しか装填できないが、構造がシンプルであるために動作は確実である。

写真(例A)は、1911年にアメリカ軍により制式化された自動拳銃、コルト・ガバメントM1911A1。陸上自衛隊などでも使用された。写真のものは一度装填動作(コッキング)がなされ、撃鉄(ハンマー)が撃発可能状態にあり、安全装置がかかっている状態。ただし弾丸が装填されているかは確認できない。

写真(例B)は、SIG社により開発され、陸上自衛隊がM1911A1の代わりにミネベア 9mm自動拳銃として採用されたSIG P220。ハンマーは倒れた状態だが、ダブルアクション方式のため(弾丸が装填されていれば)トリガーを引くだけで発射が可能な状態。

写真(例C)は、ブラジル・Tauras社のリボルバー、Tauras 669。弾倉の隙間に薬莢が見えないので弾丸が装填されていない安全な状態。

(1) 「銃口(マズル)」

ここから機関部までがバレル(銃身)であり、自動拳銃ではスライド内部に隠れているものが多い。銃身の後部はチャンバー(薬室)になっている。 フラッシュハイダーを取り付ける例はないが、コンペンセイターやマズルブレーキを取り付ける例はある。特殊用途の拳銃では、減音器(サイレンサー)を取り付けるためのねじが切ってある。

(2) 「照星(フロントサイト)」

単純な板状のものが多い。近年の拳銃では、夜間や薄暮の射撃のために、蓄光材が埋め込まれていたり、一面が白く塗装されていたりするものがある。

(3) 「排莢口(エジェクションポート)」

写真とは反対の面に有り、発射後の空薬莢が弾き出される。射撃後の安全確認の際はスライドを引き、薬室に残弾がないかどうかをここから覗き込みさらに指を入れて確かめる。

(4) 「遊底(スライド)」

自動小銃や機関銃のボルトと違い、自動拳銃では単独の部品になっているものは少なく、発射時の反動(リコイル)でこの部分全体が後退する。その後退力がチャンバーから空薬莢を引き抜いて弾き出し、ハンマーを起こし、内部にあるリコイルスプリングの力でスライドが前進する動きで弾倉から次弾が引き抜かれてチャンバー(薬室)に装填される。初弾装填(コッキング)は手でスライドを引く事で行う。

(5) 「照門(リアサイト)」

凹形の単純な構造をしているものが多い。着弾位置を微調整できるよう上下左右に可動する構造を持ったものもある。前部照準同様、窪みの両側に蓄光材を埋め込んだり塗料を塗っているものがある。

(6) 「撃鉄(ハンマー)」

自動拳銃では撃針を介して、リボルバーでは直接弾丸の雷管を叩くための部品。ハンマーを左手親指で押さえながら右手で引き金を引き、ゆっくりと撃鉄を倒すことでも安全となる。

撃鉄が完全に起こされている状態と、引き金を引いた直後の状態の中間として、「ハーフ・コック」モードを持った銃もある。これはあくまで、撃鉄を起こしている途中で指が滑って暴発しないようにするための安全策であり、安全装置の代わりと考えることは難しい。

シングルアクション式のリボルバーでは、撃鉄を起こすことで輪胴が回り、次弾の発射位置にすることができる。ダブルアクション式では、強めの力で引き金を引くことで、その力により輪胴が回りつつ撃鉄が起き、次弾を続けざまに発射することができる。ただし、引き金を引くためにより強い力が必要となるために、照準がぶれやすい欠点がある。

(7) 安全装置(セイフティー)」

大まかに3通りがある。

(7-1)「レバー式」
(A)の銃が該当する。この銃の場合は、レバーを押し上げると安全、下げると発射可となる。上げた状態では引き金を引くことができず、遊底を動かすこともできない。
(7-2) 「デコッキング式」
(B)の銃が該当する。写真のレバーを押し下げると、撃針を固定したまま撃鉄を元の状態に戻すことができる。
(7-3)「安全装置なし」

たいていのリボルバー。また、自動拳銃トカレフTT-33と、その中国・北朝鮮製コピー品。自動拳銃で安全装置がないというのは大変危険であり、取り扱いも厄介である。

(8) 「グリップ・セイフティー」

特にガバメント系の特徴で、銃把を握る形でここを押し込まなければ、引き金を引くことができない。特に酷使した拳銃など、落とした弾みで暴発することがあるので、それを防ぐための安全装置の一つ。この機構を持たない拳銃も多い。

(9) 「銃把(グリップ)」

自動拳銃では弾倉が入る位置となるため、設計上の意匠はあまり凝らすことができない。リボルバーにはそういった制約がないため、形状を大幅に変えたり、部品をまるごと交換して握りやすい形状に変更したりすることができる。

(10) 「ランヤードリング(吊り紐取り付け金具)」

警察機関・法執行機関では、紛失及び、犯人・被疑者に銃を奪われないために必ずランヤード(吊り紐)が取り付けられる。特殊部隊では、なんらかのアクシデントで拳銃を落としてしまった際でもすぐに回収できるように、カールコード式のランヤードを付けているところが多い。

(11) 「弾倉(マガジン)」

自動拳銃では、装填した際はグリップ内部に完全に隠れる(ただし多装弾弾倉はグリップ下部より突き出す)。リボルバーはレンコン状のシリンダー(回転式弾倉、輪胴)になっている。

(12) 「マガジンキャッチ」

自動拳銃では弾倉を外すための部品。(A)ではボタン式、(B)ではレバー式になっている。リボルバーではシリンダーラッチと呼び、このレバーを右親指で押し込みながら、シリンダーを左手で横に倒す(スイングアウト)方式が多い。この場合、シリンダーの先に付いている棒状の部品(エジェクターロッド)を押し込むと、空薬莢が出てくる。シリンダーの前方下部にヒンジが付いている中折れ式拳銃もあり、この場合は中折れ動作をした時にばねの力で自動的に空薬莢をはね上げて排出するものがある。

(13) 「引き金(トリガー)」

この部品を引くことで、起こした状態のハンマーを留めている部品が外れ、ハンマーが(自動拳銃では撃針を介して)弾丸の雷管を叩き、弾丸が発射される。ダブルアクション式では、ハンマーが倒れていても、トリガーを引くだけでハンマーが途中まで起きてから倒れる。

(14) 「トリガーガード(用心金)」

落とした際など、引き金が不用意に引かれないようにするための部品。たいていの場合、フレーム(枠)と一体になっている。撃たない場合、あるいは撃つ意志がないことを明確に示すためには、ここに右手人差し指をかける。

(15) 「スライドストップ(ストッパー)」

自動拳銃で、全段撃ち尽くすとこの部品が跳ね上がり、スライドを止める。弾倉を入れ換えた際にこのレバーを押し下げると次弾が薬室に装填されるため、コッキングの必要がない。

(16) 「テイクダウンレバー(分解用レバー)」

(B)の拳銃に特徴的なレバー。清掃などスライドを取り外す時に使用する。(A)の拳銃ではスライドストップを引き抜くことで分解できる。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月5日 (木) 01:21 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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