政見放送

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政見放送(せいけんほうそう)とは日本選挙における立候補者の政見演説放送(テレビ・ラジオ番組)。

目次

[編集] 概説

国政選挙(衆議院選挙参議院選挙)や都道府県知事選挙が開催される時に公職選挙法に基づいて行われる。 1968年参議院議員であった青島幸男が当時の佐藤栄作内閣総理大臣に提案した事から開始された。

選挙運動という法律に基づく番組の性格上、多くが公共放送である日本放送協会(NHK)から放送される。放送局は、候補者などにより録画・録音された内容を一切編集してはならずそのまま放送しなければならないが、候補者の発言やその他放送内容について責任を問われない。そのため、特定の相手への非難・誹謗中傷や放送禁止用語とされる発言もストレートに流れることがある 放送の前後には「この放送は公職選挙法に基づいて、候補者の経歴と政見をそのままお伝えします(しました)」(参議院選挙区・都道府県知事の場合)「この放送は公職選挙法に基づいて、候補者届出政党の政見をそのままお伝えします(しました)」(衆議院議員総選挙・参議院比例代表の場合)というアナウンスが流れる。

国政選挙では大きく比例代表選挙と選挙区選挙に分けられるが、衆院比例代表選挙に関してはNHK(衆院北関東ブロック及び東京ブロックでは民放で)でブロックごとに放送され、参院比例代表選挙に関してはNHKのみで全国同一内容で放送される。また衆院小選挙区選挙及び参院選挙区選挙については都道府県ごとに放送される。なお、NHKの国際放送では放送されない。

参議院選挙の選挙区候補者は各候補者の個人演説だが、衆議院選挙では1996年小選挙区制ができてからは、小選挙区候補者については政党単位でのプロモーションビデオのような内容となった。参議院選挙および衆議院比例代表区の政見放送は、指定されたスタジオでの収録しかできず、様式は固定されている。しかし、衆議院小選挙区の政党候補は政党が自由に内容を自作できるようになった。それと同時に衆院選では無所属、および政党要件を満たしていない政治団体の小選挙区候補は政見放送そのものに出ることができなくなった。衆院選の無所属候補が政見放送に出ないのは要件を満たさないため法律上出られないからである。だが、このことはあまり知られておらず、政見放送を怠ったと見られてしまう無所属やその他の政治団体候補者もいる。また、政見放送の自作が認められた政党候補とは極めて大きな格差が生まれている。なお、衆院選における諸派・無所属候補及び全ての選挙で政見放送の収録に来なかった候補者についてはプロフィールのみを簡単に紹介する経歴放送が流される(参議院選挙区選挙・都道府県知事選挙では経歴と政見演説を組み合わせて放送するか、経歴放送のみを行う場合=特にNHK=もある)。

また聴覚障害者のために衆議院の比例代表選挙及び参議院比例代表選挙では手話通訳が、衆議院の選挙区選挙については手話通訳と字幕スーパーインポーズの挿入もできるようになっている。

一般的には選挙公示の翌々日から投票日の前々日までに放送される。しかし、最近は民放地上波テレビ局キー局準キー局では、編成の都合上、早朝や深夜の放送終了前しか放送できなくなってきている現状である。このことや、局にスポンサー料が入らないことを配慮してか、民放(特に広域局)には放送させないことが多い。

NHKの場合も以前はゴールデンタイムの19-20時台、及び21時台後半-22時台にも行われたが、定時放送の視聴者確保の観点から現在はゴールデン枠に政見放送は行っていない。日曜日には政見放送が行われないことが多い。

なお、比例代表選挙の政見放送は衆院の比例北関東ブロック及び東京ブロックを除いてNHKのみでしか行われないが、選挙期間中には主要な政党・政治団体のコマーシャルがスポット扱いで頻繁に放送されているので、事実上政見放送の代わりととってもよい。

都道府県知事の選挙候補者のそれについても参議院選挙の選挙区候補者と同じように各候補者の個人演説となっており、収録場所、様式も参議院選挙の選挙区候補者の場合と同じ。

また、関東山梨県除く)、東海静岡県を除く)、近畿のいわゆる「広域放送圏」に相当する地域では、国会議員選挙はその地域の総合テレビジョン、都道府県知事選挙の場合は当該地区の基幹放送局(東京・放送センター名古屋大阪の各局)と当該都府県のNHK各局、及び独立UHF放送局で放送される[1]。放送局と放送時間については、放送局のある都道府県の選挙管理委員会と放送局との間で協議し、各放送局で政見放送の放送時間が重ならないことを第一条件に、放送局の判断で放送時間が決定される[2]

また、政見放送のスケジュールは公職選挙法に基づいて決定しているため必ず指定された日時でないと放送することが出来ない(振り替え放送できない)ので、NHKの場合、総合テレビラジオ第1で政見放送中に突発的な事件や地震などがあった場合は教育テレビFMでニュース放送が振り替えられる。

テレビの政見放送では、地上デジタル放送の放送開始以降もアナログ放送・地上デジタル放送ともに同じ放送条件とする為に、4:3の画面サイズ(最近はハイビジョンカメラでの撮影が多い)での放送となっている放送局が多い。例えば、NHKの場合アスペクト比4:3・走査線方式1125iで放送され、地上デジタル放送では左右に灰色のサイドパネルが入り、右上に表示しているロゴマークの透かしも自粛している。また、アナログ放送では2008年7月24日から実施している地上デジタル放送切り替え推進の為の地上波アナログ放送終了告知マーク表示を自粛する[3]。なお民放では、アスペクト比16:9・走査線方式1125iの完全ハイビジョン放送を実施している場合もある。

泡沫候補の政見放送及び選挙公報は非常に個性的なものが多く、愛好する好事家も多い。

[編集] 政見放送の回数・時間

[編集] 衆議院小選挙区

1回当たり9分 各都道府県ごとの候補者届出政党の候補者の数に応じて回数決定 各政党は自主作成か放送局におけるスタジオにおける局録画による選択して放送する

  • 届出候補者1-2人 NHKテレビ1回 NHKラジオ1回 民放2回
  • 届出候補者3-5人 NHKテレビ2回 NHKラジオ1回 民放3回
  • 届出候補者6-8人 NHKテレビ4回 NHKラジオ2回 民放6回
  • 届出候補者9-11人 NHKテレビ6回 NHKラジオ3回 民放9回
  • 届出候補者12人以上 NHKテレビ8回 NHKラジオ4回 民放12回

民放のテレビ・ラジオの別、及び放送会社は各都道府県選挙管理委員会が事業者と協議して決定

[編集] 衆議院比例区

1回当たり9分 各ブロックごとの衆議院名簿届出政党等の名簿登載者の数に応じて回数決定 北関東・東京ブロック以外は全てNHKが放送、関東地方では、放送区域の中に複数のブロックが存在し、多数回放送しなければならないことから、北関東・東京ブロックでは、一部民放が放送している。これに対し、南関東ブロックは山梨県があるため(山梨県はキー局の放送区域でないため)、NHKのみで放送している。

各政党等は、局録画によって、単独方式(1人が話す方式)、対話方式(2人で対話する方式)、複数方式(名簿登載者と司会により進行)の中から1つ選ぶか組み合わせて実施する。

  • 登載候補者1-9人 テレビ2回 ラジオ1回
  • 登載候補者10-18人 テレビ4回 ラジオ2回
  • 登載候補者19-27人 テレビ6回 ラジオ3回
  • 登載候補者28人以上 テレビ8回 ラジオ4回

北関東、東京ブロック

  • 登載候補者1-9人 NHKテレビ1回 NHKラジオ1回 民放1回
  • 登載候補者10-18人 NHKテレビ2回 NHKラジオ2回 民放2回
  • 登載候補者19-27人 NHKテレビ3回 NHKラジオ3回 民放3回
  • 登載候補者28人以上 NHKテレビ4回 NHKラジオ4回 民放4回

民放のテレビ・ラジオの別、及び放送会社は中央選挙管理会が事業者と協議して決定

[編集] 参議院選挙区

候補者1人当たり経歴30秒、政見5分30秒。NHKテレビ2回、NHKラジオ2回、民放4回で民放のテレビ・ラジオの別、及び放送会社は各都道府県選挙管理委員会が事業者と協議して決定 局録画形式

[編集] 参議院比例区

1回当たり17分 NHKのみで全国放映 各参議院名簿届出政党等の名簿登載者の数に応じて実施

各政党等は、局録画によって、単独方式(1人が話す方式)、対話方式(2人で対話する方式)、複数方式(名簿登載者と司会により進行)の中から1つ選ぶか組み合わせて実施する。複数種類の政見を制作することもできる。各政党等の判断で手話通訳者によって手話通訳させることが可能 NHKの場合、テレビでは朝と夜の回でそれぞれ1セット、ラジオで1セットとなっている。

  • 登載候補者1-8人 テレビ2回 ラジオ1回
  • 登載候補者9-16人 テレビ4回 ラジオ2回
  • 登載候補者17-24人 テレビ6回 ラジオ3回
  • 登載候補者25人以上 テレビ8回 ラジオ4回

[編集] 都道府県知事選挙

候補者1人当たり経歴30秒、政見5分30秒。NHKテレビ2回、NHKラジオ2回、民放4回(合計8回)で民放のテレビ・ラジオの別、及び放送会社は各都道府県選挙管理委員会が事業者と協議して決定 局録画形式。

[編集] 政見放送が法定どおりに放送できなかった過去の事例

[編集] 災害などの臨時ニュース

政見放送は、公職選挙法により、映像内へのテロップの挿入や中断しての臨時ニュースなどが放送できない。しかし大規模災害時や、災害が予想される場合は、この限りではなくなる事例がある。NHKの八波全中による編成条件として、「震度5強以上の観測」「東海地震の警戒宣言が発令」「津波警報が発表」「災害対策基本法第57条に基づく都道府県知事や市町村長からの要請」など、J-ALERT相当の緊急を要する場合、政見放送と臨時ニュースが重なることがある。

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  • 1993年7月12日 - 北海道南西沖地震が起きた22時過ぎ、総合テレビでは衆議院選挙の政見放送が行われていた(この当時はゴールデンタイムに政見放送が組まれたことが多かった)。その最中に緊急警報放送の信号が発生。一旦全波共通で地震速報を入れた。
  • 2000年6月16日 - 香淳皇后(当時の皇太后)逝去のニュースが伝わった時間(17時ごろ)、総合テレビでは衆議院選挙の選挙区政見放送が行われていたためニュースが放送できず、教育テレビで振り替えて放送された。
  • 2005年9月6日 - 「台風14号災害」この前日5日から総合テレビでは台風関係のニュースを伝えており、この日も4:30からのおはよう日本から集中的に報道していた。しかし6:25-6:50、7:30-8:00、8:30-9:45のそれぞれの時間帯で第44回衆院選の選挙区政見放送があり、政見放送が行われる地域では教育テレビの番組を変更して台風情報を伝えた。
  • 2007年7月16日新潟県中越沖地震」が起きた日の夜、総合テレビで参議院選挙の比例区政見放送が行われていた時間帯に京都府沖を震源とする地震が発生したが、テロップ等は一切入らず、政見放送終了後に特別番組を編成して情報を伝えた。翌日以降の余震発生時はL型画面にしてテロップを入れた。

いずれの場合も公職選挙法により、映像内へのテロップの挿入や中断しての臨時ニュースなどが放送できないため、原則として政見放送中の場合は代替策が講じられる(政見放送を行う際の冒頭にもある「提出されたものをそのまま放送します」という文章は、映像などを編集することが禁止されているため、テロップなどの挿入も「映像の編集」にあたる)。 一方で、2007年10月からテレビでの運用が始まっている緊急地震速報は、放送局の人間の手を介さずそのまま放送されてしまうため、政見放送の途中で速報が流れてしまう場合がある。

  • 2009年8月25日 - 18時37分に発表された千葉県東方沖を震源とする緊急地震速報(実際にはシステムの不具合に起因する誤報)が、静岡局・甲府局以外の全国のNHK総合テレビで各地域毎に放映中だった第45回衆院選の政見放送に重なったため、各選挙管理委員会は「音声が聞こえにくいなどの影響があった」として、侵蝕された1政党の政見放送を、同28日中に再放送した。[4]

[編集] 人為ミス等

  • 2009年8月30日第45回衆議院議員総選挙と同時執行された茨城県知事選挙に於いて、8月21日8月28日にNHK総合(関東ローカル)で放映された経歴・政見放送中、長塚智広候補を「ながつか智広」とすべきところ「ながつか智弘」と誤ってテロップに表記したため、同28日22時50分からの衆議院議員比例東京ブロック(一部)の経歴・政見放送の末尾で内藤啓史チーフアナウンサーが登場し、お詫びと訂正を行った。
  • 2009年8月24日 - 第45回衆院選衆議院小選挙区選出議員選挙政見放送(東京都選挙区)を放送中の、NHKラジオ第1放送が19時58分より26秒間無音となった。放送終了後に気象警報を挿入する準備中に担当者が機器の操作を誤ったもので、東京都選挙管理委員会は当該放送事故に係る欠損の程度が軽微で、再放送の必要は無いとした[5]

[編集] 憲法改正案の広報のための放送

日本国憲法の改正手続に関する法律第106条に基づき、憲法改正の国民投票の際、国民投票広報協議会と賛成・反対の政党等(一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより国民投票広報協議会に届け出たものをいう。)が憲法改正案の広報のための放送をテレビとラジオによりNHKまたは民放によって放送されることとなっている。国民投票広報協議会が行う放送は、憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとされ、政党等は、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見を無料で放送することができる。その際、憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の時間数及び同等の時間帯を与える等同等の利便を提供しなければならず、政党等は、当該放送の一部を、その指名する団体に行わせることができる。

[編集] NHKにおける地域特例

NHKと民放はそれぞれの放送局がある地域の分の政見放送を流すことになっているが、NHKについては地元以外の政見放送を流すことがある。これは、昔総合テレビジョンの放送が県域となっていなかったことの名残である。

[編集] 脚注

  1. ^ 関東地方のNHKは茨城県のデジタル以外はUHF県域放送を現在行っていない。また東京都内の政見放送は2007年都知事選までは東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)のアンテナ普及率が低いと判断してか政見放送が放送されなかったが、規程を改正したので2007年の参院選以後は放送可能となった。但し放送は通常の番組開始前の早朝である。
  2. ^ 月刊カンテレ批評 2005年9月号
  3. ^ アナログ停波に向けてのアナログロゴ、スポット、番組等について - NHK 2008年7月24日
  4. ^ 政見放送:緊急地震速報誤報で再放送 - 毎日jp 2009年8月26日
  5. ^ 日本放送協会 理事会議事録 平成21年8月25日開催分

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月18日 (水) 08:40 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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