教科書採択

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教科書採択(きょうかしょさいたく)は、小学校中学校高等学校中等教育学校特別支援学校において、学校授業で使用する教科用図書教科書)を選定することである。

目次

[編集] 概要

現行制度では、学校教育法第21条等により、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校では「文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教育用図書を使用しなければならない」[1]としている。教科書検定制度のもとで、同じ教科・科目でも複数社・複数種類の教科書が発行されているため、その中から1種類の教科書を選定する必要が生じる。

なお、大学などの高等教育機関に対しては教科書に関する規定はなく、授業で使用する教科書・使用教材の有無や内容については各学校・教員の裁量の範囲に属している。

[編集] 義務教育

公立の小学校中学校中等教育学校前期課程、特別支援学校(初等部・中等部)といった義務教育諸学校の場合、学校設置者の教育委員会に教科書採択権があるとされる。その根拠法令は、主に地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地方教育行政法)第23条6号および教科書の発行に関する臨時措置法第7条第1項とされる[2][3]。なお、国立・私立の義務教育諸学校については、行政解釈により学校に採択権があると解されている。

教科書の採択区域は義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(教科書無償措置法)第12条により、都道府県教育委員会が「市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域に、教科用図書採択地区を設定しなければならない」とされている。実際には、市・郡を単位として採択区域が定められている場合もあるが、地理的条件や文化圏経済圏などが同一の地域をひとまとめにして、複数の市や郡からなる採択区域が定められている場合もある[4]。また政令指定都市では、市内をいくつかの採択地区に分けて地区ごとに採択をおこなっている場合もある[5]

都道府県教育委員会は、検定済教科書の中から各教科・分野ごとにそれぞれ1種類ずつ、都道府県立学校で使用する教科書を採択する。このほか都道府県教育委員会は、市区町村教育委員会への採択のアドバイスをおこなう。都道府県教育委員会では、市区町村教育委員会へのアドバイスの目的で、学識経験者や教育委員会関係者・教職員などからなる教科用図書選定審議会を設置することができる。

市区町村教育委員会はその設置する学校について、各教科・分野ごとにそれぞれ教科書を採択する。市区町村教育委員会の教科書採択の際には、都道府県教育委員会からのアドバイスや、各社の教科書についての現場の教員からの感想・意見なども参考にする。

現場の教師には、現行の制度上では直接の採択権があるというわけではない。その一方で、教育委員会に対して教科書に関する意見を述べることのできるような仕組みが整えられている場合もある。具体的には、所属学校を通じての意見文書提出や、教科書展示会で各社教科書の見本本を展示して会場に意見投書箱を設置するなどの方法がとられている。

義務教育諸学校では現行では4年ごとに採択がおこなわれる。一度採択された教科書は4年間同じ種類のものを使用することとなる。

[編集] 高等学校

高等学校における教科書採択では、義務教育諸学校と異なり、広域採択制に類するシステムはない。各学校ごとに教科書を採択している。また各年度ごとに採択がおこなわれる。

高等学校での法令上の教科書採択権者の定めは明記されていないが、文部科学省の解釈によると公立学校の場合は所管教育委員会に採択権があるとしている。

[編集] 歴史

明治時代中期までの義務教育の教科書は、認可制の時代を経て検定制となっていた。検定制の時代は道府県単位での採択がおこなわれていた。当時の政府・文部省が教科書国定化を企図していたことに加えて、1902年教科書疑獄事件が発覚したことなどが背景となり、1903年から1945年までは教科書が国定化された。国定教科書の時代は、文部省が発行する国定教科書1種類以外には選択肢がないために、教科書採択の余地はなかった。

第二次世界大戦終戦後の改革を機に国定教科書制度は廃止され、1949年に教科書検定制度へと転換した。1962年までは各学校に教科書の採択権があり、各学校の教師が各教科書を調査研究・比較した上で使用教科書を選択していた。

しかし1963年教科書無償制度の実現により、教科書無償措置法の規定にしたがって、教科書採択の権限は教育委員会へと移ることになった。その一方で、現場の教師が教科書採択の権限を持つべきだという考え方も根強くある。例えば1996年12月16日に発表された行政改革委員会の「規制緩和の推進に関する意見(第2次)」では、教科書採択への改善意見について、将来的には学校単位での採択をおこなえるようにすること・採択区域を縮小すること・採択方法を改善することなどが提案されている。  

[編集] 脚注

  1. ^ 第21条は小学校での規定で、他校種については第40条・第51条・第51条の9・第76条でこの規定を準用するという内容が記載されている。
  2. ^ 文部科学省「教科書制度の概要」http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/gaiyou/04060901/007.htm
  3. ^ もっとも、学説の中には、これらの条文は事務手続きについて定めたものにすぎないとし、「教育委員会の採択権」を主張する法的根拠はないとする意見もみられる。
  4. ^ 例えば滋賀県では、草津市守山市など6市でひとつの採択区(滋賀県第2採択区)を構成している。また三重県では、津市など2市2郡でひとつの採択区(三重県中勢採択区)を構成している。(2005年時点)
  5. ^ 例えば横浜市では、18行政区各区ごとに採択をおこなっている。また大阪市では、市内を8採択地区に分けて採択をおこなっている。(2005年時点)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2007年8月26日 (日) 10:02 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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