文字譜

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文字譜(もじふ)とは、音楽の旋律を、文字(漢字、アルファベットなど)や数字、記号などで表記する記譜法、およびその方法によって記述された楽譜のこと。

[編集] 概要

近代に入って西洋の五線譜が普及する以前は、世界各地の音楽文化では、それぞれ独自の方式の文字譜が広く使われていた。同一の国や地域でも、伝統音楽の世界では、楽器の種類や音楽のジャンルの違いに応じて、別の方式の文字譜が併行して使われることも少なくなかった。

文字譜と五線譜とでは、そもそも発想が違う。前者は「デジタル時計」のようだが、後者は「アナログ時計」のようである。

文字譜には、五線譜にはない長所も多い。まず五線譜を書くためには「五線紙」が必要であるが、文字譜なら普通の紙なりワープロソフトだけで間に合う。また文字譜ならば、それぞれの文字の読音を並べるだけで、相手に旋律を伝えることができる。例えば、音高を表すアルファベットと、音長を表す数字を組み合わせたABC記譜法は、ABCと洋数字(と若干の記号)だけで複雑な旋律を完全に表記できる。そのため、電子メールで楽譜をやりとりしたり、ネット上からダウンロードして自分のパソコンのソフトで鳴らすには、たいへん便利である。

ただ文字譜は、本質的にモノフォニーの楽曲を記すのに適した記譜法である。近代西洋音楽のような和音ポリフォニーを多用する楽曲の記譜法としては、五線譜のほうが適している。そのため現代の世界では、中国など一部の地域を除いて、文字譜より五線譜のほうがポピュラーになっている。

現代の日本でも五線譜が普及しているが、モノフォニーを奏でる和楽器の楽譜には、各種の文字譜が今も伝われている。大正琴ハーモニカ、(中国の)二胡の楽譜では、今も数字譜がよく使われている。沖縄の三線の楽譜は、今も工工尺(東洋諸国で広く使われた工尺譜の発展型)で表記される。またパソコンと密接に結びついたABC記譜法は、欧米の民俗音楽(例えばアイリッシュなど)の厖大なデータがこの方式でネット上で公開されているため、日本でもネットユーザーのあいだでそれなりに利用されている。

最終更新 2008年11月4日 (火) 11:31 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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