新司法試験
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新司法試験(しんしほうしけん)は、日本における法曹資格付与のための試験の1つであり、平成14年法律第138号による改正後の司法試験法に基づいて行われる資格試験。平成14年法律第138号附則6条2項にて、同法による改正後の司法試験法の規定による司法試験を新司法試験と定義しており、本項でもその用法に従う。
新司法試験は平成18年度から開始され、平成18年から平成23年までの制度移行期(移行期間)においては新司法試験と従来の制度による司法試験(旧司法試験)とが併存している。本項では、移行期間における新司法試験についての説明を中心に行う。旧司法試験については、旧司法試験の項を参照。なお、司法試験の移行期間においては、原則として新司法試験か旧司法試験のどちらか一方を選択して受けなければならない。
新司法試験に合格した者は、司法修習を行い(最高裁判所により司法修習生に採用されることが必要)、さらに司法修習の最後にある司法修習生考試(いわゆる二回試験)を通過することで法曹(裁判官(判事補)、検察官(検事)、弁護士)になることができる。
目次 |
新司法試験の受験資格
移行期間においては、新司法試験を受験するためには、法科大学院課程を修了することが必須条件である。すなわち法科大学院を修了した者は、その修了日後の5年度内に3回の範囲内で新司法試験を受験することができる。移行期間終了後は旧司法試験が廃止され、法科大学院を修了していない者は予備試験を受験して新司法試験の受験資格を得ることになる。
3回の受験制限規定においては、法科大学院修了前2年間の旧司法試験の受験についてもカウント対象となる。
新司法試験の制度の概要
新司法試験は、短答式による筆記試験(短答式試験)及び論文式による筆記試験(論文式試験)から構成される。旧司法試験とは異なり口述試験は廃止されている。
短答式試験
短答式試験は、法曹となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定するために行われる試験であり、5月中旬に行われる試験の初日に行われる(平成18年度は5月19日(金)、平成19年度は5月15日(火))。
旧司法試験とは異なり、絶対的評価(各科目とも満点の40%以上が必要で、総合で満点の約65.7%以上が必要(2008年))により短答式試験の合否が決せられる。
後述の通り論文式試験は短答式試験の翌日以降に行われることから、短答式試験の合否は論文式試験開始の時点では明らかにならない。そのため、新司法試験の受験者は全員論文式試験も受験するが、短答式試験に不合格の者については論文式試験の採点はされない。
マークシートを用いて行われる試験である点、試験中の参照物は認められない点は旧司法試験とは変わりがない。
- 科目 合計350点
- 公法系科目(憲法及び行政法)90分 100点 40問程度
- 民事系科目(民法、商法[1]及び民事訴訟法)150分 150点 75問程度
- 刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法) 90分 100点 40問ないし50問程度
論文式試験
論文式試験は、法曹となろうとする者に必要な専門的学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定するために行われる試験である。日程は、5月下旬の3日間(短答式試験の翌日・3日後・4日後)である(平成18年度は5月20日(土)、22日(月)、23日(火)。平成19年度は5月16日(水)、18日(金)、19日(土))。
2日目:選択科目(3時間、2問、計100点満点)公法系科目(4時間、2問、計200点満点)
3日目:民事系科目第1問(2時間、100点満点) 民事系科目第2問(4時間、200点満点)
4日目:刑事系科目(4時間、2問、計200点満点)
の時間割で、文章にて解答する形式で行われる。
なお、2010年の司法試験は科目の順番が変わり、2日目に民事系科目、3日目に選択科目と刑事系科目、4日目に公法系科目が実施されることになる。
選択科目は、
の8科目から1科目を選択する[2]。
法律上の論点を含む比較的長めの事例(何ページかにわたる資料が付いている場合もある。)が与えられ、それに対する法的判断を問われるものが中心である。
参照物として、「新司法試験用法文」とよばれる最小限の条文のみが記載された小型六法が貸与される。
論文式試験においても最低必要点が設定されており、1科目でも満点の25%に満たない場合には不合格となる。
- 問題の難易度は、まだ確かな傾向が定まっていないため評価が難しい。
合格判定
短答式試験の合格者の中から論文式試験のみで不合格となった者を除外した上で、短答式試験の成績と論文式試験の成績を総合評価して合格者を決定する。
短答式試験と論文式試験の比重は1:8(2009年の試験から実施。2006年から2008年は1:4)とし、判定に当たっては論文式の素点に1.75倍したものに短答式の素点の2分の1を加算して判定する。
合格発表以降
合格発表は、ここ最近は9月第2木曜日になされる。合格者は、司法修習生に採用された後、11月下旬より約10か月間の実務修習を受ける(平成18年度(新60期)のみ、1か月程度の導入研修(実務修習前集合修習)が行われた)。このうち8か月間は、民事裁判修習、刑事裁判修習、検察修習、弁護修習にあてられる。残りの2か月間は、選択型実務修習として、司法修習生各人の希望を踏まえ、総合的な法曹実務を修習することとなる。その後、2か月間、最高裁判所付属の司法研修所(埼玉県和光市)で集合研修を受ける(新司法試験では合格者が多いため、修習生によっては選択修習と集合修習の順序が逆になる)。そして、裁判所法67条1項の国家試験(司法修習生考試)を受け、これに合格すれば法曹となる資格を得る。
試験結果
受験者数
2006年(平成18年)に行われた第1回の新司法試験の出願者数は2137人、出願者のうち大学院を修了して受験資格を有した者が2125人で、1日目の受験者数は2091人であった。2007年は出願者数5401人、受験者数4607人、2008年は出願者数7842人、受験者数6261人、2009年は出願者数9564人、受験者数7392人となっている。
なお、平成18年新司法試験受験回数調(平成18年9月26日付け法務省大臣官房人事課作成)によれば、平成18年新司法試験においての受験回数別内訳(旧司法試験受験を含む)は、1回目が1669名、2回目が402名、3回目が20名で合格者は1回目が748名、2回目が247名、3回目が14名。少なくとも6名の者が受験回数制限により司法試験本試験の受験資格を喪失したことが推定される。
2007年(平成19年)の新司法試験の出願者数は5401名、受験資格を得た者は5280名であり、合格者は1851名であった。既修・未修の別は、出願者既修2885名、未修2516名に対し合格者は既修1216名、未修635名であった。受験回数別内訳(旧司法試験受験を含む)は、1回目が4061名、2回目が1197名、3回目が143名であり、合格者は1回目が1250名、2回目が525名、3回目が76名であった。
合格者数
2006年に行われた第1回の新司法試験では、有受験資格者2125人中、合格者は1009人だった。合格率は48.35%となり、3%程度の合格率であった旧司法試験よりも数字上は大幅に競争が緩和された。また、2007年(平成19年)新司法試験の合格者数1851名であった(出願者数比合格率34.27%、有受験資格者数比合格率35.06%、受験者数比合格率40.18%)となった。2008年に実施された第3回新司法試験は合格者数2065名(出願者数比合格率26.33%、受験者数比合格率32.98%)、2009年に実施された第4回新司法試験は合格者数2043名(出願者数比合格率20.99%、受験者数比合格率27.64%)となっている。
2007年6月22日に司法試験委員会は合格者数の目安として、2008年は2100~2500人、2009年は2500~2900人、2010年は2900~3000人とすることを発表した。しかし、2009年の合格者数はこの目安を大きく下回った。
合格者の内訳をみると、新卒の既修者についてはおおむね5割前後の合格率を各年とも維持しているが、新卒未修者の合格者は2割強、既卒者の合格率は2割弱となっており、回が進むに連れて相対的に合格率の低い既卒者の受験者全体に占める割合が増加していることが全体の合格率の低迷の一因にもなっている。
合格者平均年齢はおおむね28歳後半となっており、男女比はおおむね3:1で推移している。
司法試験予備試験
旧司法試験の廃止に伴って、2011年以降に実施される予定の試験。法科大学院を修了せず新司法試験を受験するには予備試験の受験が必要。受験制限は無く、旧司法試験と同じく短答・論文・口述の3種を受験する。合格すると新司法試験の受験資格を得られる。法科大学院修了者と同じく、3回の不合格もしくは5年間で受験資格は失われる。
科目は短答式が憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教育科目の8科目、論文式が憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教育科目、法律実務基礎科目の9科目、口述が法律実務基礎科目。
公明党などからは「バイパスを設けるのは法科大学院を設置した意味がなくなる」と廃止の声も上がっている。
新司法試験におけるトラブル
- 2007年において某大学法科大学院の専任教授であった行政法担当の司法試験考査委員が、同校法科大学院の学生らを相手に試験対策の講義やメールの配信を行い、試験の公平性を疑わせるような事態を生じさせ、後に考査委員を解任されることとなった。この事態を受けて、作問を担当する考査委員については実務家委員を中心とし、作問を担当する考査委員は自己が勤務する法科大学院において3年生及び修了生に対し指導することが禁止され、試験終了後に採点のみを担当する考査委員を改めて追加で任命することにするなどの措置が講じられることとなった。
- 2009年5月に実施した新司法試験の広島会場(広島国際大学国際教育センター)で、試験が定刻より1分早く終了するトラブルがあった。受験生が、試験監督官に詰め寄る事態となった。監督官がストップウォッチを見誤ったことが原因と見られ、司法試験委員会は、受験者69人について、3点を加算する救済措置を取り、うち1人が追加合格になった。[3][4][5]
脚注
- ^ 商法については、商法典中第2編第10章保険及び第3編海商については出題範囲外
- ^ カッコ内は2004年(平成16年)8月2日付司法試験委員会答申(平成18年から実施される司法試験における論文式による筆記試験の科目(専門的な法律の分野に関する科目)の選定について)の答申の説明で付されたもの
- ^ 司法試験:1分早く終了? 受験生と試験監督が押し問答 毎日新聞 2009年6月4日
- ^ 1分早く終了、3点加算…新司法試験会場で時間ミス 読売新聞 2009年6月4日
- ^ 新司法試験、1分早く終了 広島会場の69人 産経新聞 2009年6月4日
外部リンク
最終更新 2009年11月3日 (火) 10:50 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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