新幹線800系電車

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JR九州800系新幹線電車
新幹線800系電車
新幹線800系電車
編成 6両編成(全車電動車
起動加速度 2.51 km/h/s[1]
営業最高速度 260 km/h
設計最高速度 285 km/h
編成定員 392名(U001 - U006編成)
384名(U007 - U009編成)[1]
(全席普通席)
編成長 154.7 m[2]
全長 27,350 mm(先頭車)
25,000 mm(中間車)
全幅 3,380 mm[1]
車体高 3,650 mm[1]
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000V 60Hz
架空電車線方式
主電動機 かご形三相誘導電動機MT500K (275kW) [2]
編成出力 275kW×4基×6両=6,600kW
制御装置 VVVFインバータ制御IGBT素子
駆動装置 WN平行カルダン駆動方式
台車 軸梁支持方式
WDT205K[2]
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ
保安装置 KS-ATC
製造メーカー 日立製作所
備考
第45回(2005年
ローレル賞受賞車両

カテゴリ / テンプレート

新幹線800系電車(しんかんせん800けいでんしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の新幹線車両である。九州新幹線の初代車両として2004年平成16年)に登場した。

目次

[編集] 概要

JR九州は1987年昭和62年)の発足以来新幹線車両の開発技術のノウハウをまったく持っていなかったため、同社初となる新幹線車両を製作するにあたり、高い新幹線開発技術を持つ東海旅客鉄道(JR東海)および西日本旅客鉄道(JR西日本)から車両技術や車両保守などの技術供与を受けた。このことによって開発時間の短縮とコストの低減を図ろうとしている。先頭形状や内装表面、座席、機器配置などは変更されているものの基本的な構造は700系と変わらず、本来であれば700系(の何千番台)を名乗るところであるが、JR九州初の新幹線車両であることから「800系」という独自の形式名が付けられた[3]

日立製作所(ただし台車川崎重工業製)により2004年3月の開業を前に6両編成5本30両(編成番号・U001 - U005)が導入されたが、新幹線車両の全般検査サイクルが約2年であり、それを控えて予備編成を用意する必要性が生じたことから、2005年(平成17年)夏にさらに1本 (U006) が増備された。

エクステリアおよびインテリアデザインは水戸岡鋭治とドーンデザイン研究所が、車内放送の音楽は向谷実が手がけた。

2005年に鉄道友の会ローレル賞・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞を受賞した。

[編集] 構造

JR西日本所有の「ひかりレールスター」用車両の700系E編成を基本に開発・製造されているため、モータ制御等の制御装置についてはほぼ700系と共通である。ただし、35‰(パーミル)の急勾配に対応するため、全車両電動車 (M) とされている。その結果主電動機の定格出力は700系と変わらないものの、起動加速度は2.5km/h/s[4]に強化されている。最高速度については、500系や700系より若干遅い260km/hで運行されるが、営業運転における設計最高速度は285km/hとなっている。

[編集] 概観

U005編成先頭車両

空力的な理由から「カモノハシ」のようなものとなった700系の先頭形状は採用せず、100系を想起させるようなシャープな形状である。これは700系の先頭形状のコンペで提出されながら不採用となり、その案を設計した日立製作所で保存されていたものに少しアレンジを加えて復活させたものである[5]。断面変化率は700系の量産車と同じになるよう調整されているため、空力性能は700系とほとんど変わらない[5]。先頭形状を700系のままにせず新たに設計し直したのは、JR九州側、特に社長の石原進の「JR九州初の新幹線車両であるため、独自の顔を持たせたい」という意向による。また、JR九州側からの制約は、最前部のノーズポイントを上げることと[6]、運転席前面ガラスの角度をある程度つけることであった[6]

[編集] 車体

700系と同じく、中空押出型材を用いたアルミダブルスキン構造となっている。700系と平行して800系を製造することによって製造コストの抑制が図られている[7]。ただし、重量が大きい主変圧器搭載のMp車にパンタグラフが搭載されていることから、各車の輪重バランスを均一化するためにMp車の屋根は軽量なシングルスキン構造となっている[8]

[編集] 塗装

1号車ロゴ

白地に金色とコーポレートカラーである赤色のラインが入る。そして、屋根は赤色塗装であるが、これはパンタグラフの摺り板の粉で生じる汚れを目立ちにくくするために設定されたものである。

各車両の客用ドア横には赤色の大きな文字で号車番号が表記されているが、これは新八代駅で「リレーつばめ」から乗り換える際に、短い時間で乗車車両を探し出せるように配慮されたものである。なお787系電車においても「リレーつばめ」対応改修工事実施時に同じ配慮がなされ、金色の同字体を採用している。

[編集] 台車・ブレーキ装置

ブレーキ装置については、700系と同様に回生ブレーキを装備するほか、緊急制動時の滑走対策のために先頭車の台車にセラジェットも装備されている。また、急勾配対策として抑速ブレーキの機能が追加されている。

乗り心地向上のため、全車両にセミアクティブサスペンションが搭載されている。

定速装置が装備されているが、営業運行中は使用しない[9]

[編集] 集電装置

騒音・軽量化対策としては、700系のような大型の碍子カバーやパンタグラフカバーは装備せずに、東日本旅客鉄道(JR東日本)が開発しE2系1000番台で採用された低騒音碍子付きのシングルアーム式パンタグラフ(PS207K形[8])を装備している。この結果、700系に採用されているシングルアームパンタグラフ(TPS301形・パンタカバーなどを含む)と比較して約650kgもの軽量化に成功している[8]

[編集] 内装

3号車座席

全車両普通車のモノクラス編成であり、座席は横に4席並び、2列+2列配置となっている。日本の「和」を基本コンセプトとする独自の意匠が施されている。木材にはすべて不燃処置が施されている。

[編集] U001 - U006編成(0番台)

妻面にクスノキ座席西陣織のモケット、日よけに木製のブラインドを採用。なお、座席の基部も木製とされたが、これは座席の重量を大幅に軽量化することにより前述の3両1ユニット化によって増えた軸重を軽減するという目的もある。座席は京都府京田辺市住江工業製である。号車によって腰掛木材と表皮材料の色の組み合わせが異なっている。

号車 木の色 織物色
1・4号車 桜色 緑青
2・6号車 柿渋色 瑠璃
3・5号車 楠色 古代漆

[10]

1, 5号車の新八代駅方には、車椅子スペースバリアフリー対応トイレが設けられている。

出入り台の壁は柿渋色、客用ドアは古代漆色という伝統色、手すりや握り棒は熊本産のサクラ材が使用されている。

デッキと客室を仕切るドア上部に設置されている車内案内表示器には車両案内、停車駅案内、ニュース(西日本新聞ニュース)が表示される。

トイレはサクラ材の手すりで温かさを、洗面室には八代イグサ縄のれんで伝統の技を演出した。

[編集] U007 - U009編成(1000,2000番台)

2009年夏から登場する新800系(U007 - U009編成)は、乗り心地改良のため、従来よりも座面を35mm深く、着席時の背もたれの角度が7度から8度に変更されている[11]。新たに荷台下面と窓枠下の小テーブル(かまち)も木製となったほか、電話室の暖簾に久留米絣が採用されている[12]

号車によって腰掛木材と表皮材料の色の組み合わせが異なっている。

号車 座席織物 妻壁(前) 妻壁(後)
1号車 赤の唐松模様の西陣織 クスと博多織
2号車 ワインレッドの革張り 金箔と柄入り金箔 ハードメープル
3号車 カーマインのツイード 金箔とハードメープル
4号車 アイビー柄のコブラン織 金箔とハードメープル
5号車 オレンジ系のツイード ハードメープル 金箔と柄入り金箔
6号車 赤のアイビー柄の西陣織 クスと博多織

[12]

すべての腰掛から車内案内表示器の視認性を高めるため、背板の高さを25mm、腰掛座面を15mm、合わせて床面から40mm低くし、さらに車内の天井にも車内案内表示器が設置されている。

[編集] 形式および車種

本系列に属する各形式名とその車種は以下の通り。

電動車3両を1ユニット (MC+Mp+M2) とする構成で700系の4両1ユニットから1ユニットあたりの車両数は1両減らされている。そのため、運転室後部に機器室を設置しそこに減らした車両分の機器を搭載している。このため500系と同様に運転室後部の客用ドアは設置されていない。

開業初期から所属している編成(U001 - U006編成)は0番台を、2009年以降に増備される編成のうち、U007, U009編成は1000番台を[13]、U008編成は2000番台を名乗る[13]。検測機能を搭載できることから区別されている(#検測機能を参照)。車体番号のハイフン以下一桁の数字は0番台からの連番である。例えば、U007編成821形の場合は、821-1007となる。

  • 821形 (MwC)
    普通席を備える制御電動車。U編成1号車として使用。鹿児島向き運転台、便所、洗面所、車椅子対応設備を備え、主変換装置、静止形変換装置、電動空気圧縮機、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員46名。
  • 822形 (MC)
    普通席を備える制御電動車。U編成6号車として使用。博多向き運転台、電話室を備え、主変換装置、補助電源装置、電動空気圧縮機、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員56名。
  • 826形 (Mp, Mpw)
    普通席を備える中間電動車。
    • 0, 1000, 2000番台 (Mp)
    U編成2号車として使用。電話室を備え、主変圧器、静止形変換装置、補助電動空気圧縮機、集電装置、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員80名。
    • 100番台 (Mpw)
    U編成5号車として使用。便所、洗面所、車椅子対応設備を備え、主変圧器、補助電動空気圧縮機、集電装置、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員66名。
    • 1100, 2100番台 (Mpw)
    U編成5号車として使用。便所、洗面所、車椅子対応設備、多目的室、車販準備室を備え、主変圧器、補助電動空気圧縮機、集電装置、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員58名。
  • 827形 (M2, M2w)
    普通席を備える中間電動車。
    • 0, 1000, 2000番台 (M2w)
    U編成3号車として使用。便所、洗面所を備え、主変換装置2台、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員72名。
    • 100, 1100, 2100番台 (M2)
    U編成4号車として使用。乗務員室、自動販売機を備え、主変換装置2台、セミアクティブサスペンションなどを搭載する。定員72名。
鹿児島中央方 U編成 新八代・博多方
編成番号 1号車
821形 (MwC)
46名
2号車
826形 (Mp)
80名
3号車
827形 (M2w)
72名
4号車
827形 (M2)
72名
5号車
826形 (Mpw)
66,58名
6号車
822形 (MC)
56名
U001 1K 1K 1K 101K 101K 101K
U002 2 2 2 102 102 102
U003 3 3 3 103 103 103
U004 4 4 4 104 104 104
U005 5 5 5 105 105 105
U006 6 6 6 106 106 106
U007 1007 1007 1007 1107 1107 1107
U008 2008 2008 2008 2108 2108 2108
U009 1009 1009 1009 1109 1109 1109

[編集] 運用

2004年3月13日九州新幹線新八代駅 - 鹿児島中央駅間開業と同時に「つばめ」の愛称で運用を開始した。

2009年(平成21年)3月ダイヤ改正時点では35往復運転されており、うち1往復が新八代駅 - 鹿児島中央駅間ノンストップの速達タイプとなっている。また早朝と深夜に車両基地からの出入区のため川内駅新水俣駅発着の列車(全席自由席で運転)も一部設定されている。

新八代駅発着の全列車は鹿児島本線特急「リレーつばめ」と接続を行っており、同列車とは相互で同一ホーム上での乗り換えが可能である。

2009年8月22日の「つばめ42号」より、新800系(1000番台・U007編成)の運用が開始となった。[14][15]

[編集] 検測機能

U001編成は線路および架線検測機能を持っており、車両番号の末尾に「K」の文字が加えられている。また、U007,U009編成(1000番台)には軌道の検測を可能とする装置を、U008編成(2000番台)には電力、信号、通信の検測を可能とする装置が搭載可能である[13]

ただし、他の検査専用車両のように検査機器を常時設置しているわけではなく、検査実施時に機器を搭載するスタイルを採っている。外観上の違いはパンタグラフ付近に計測用のカメラと投光器が装着されている点で、それ以外には他編成との違いはない。

[編集] ラッピングトレイン

2004年12月16日から2005年3月31日にかけて「日韓友好年2005」を記念し、パク・ヨンハをデザインしたラッピングトレイン(U004編成)が運行された。

2009年7月18日から8月31日にかけて、JR九州の企画「ポケモンスタンプラリー2009夏」[16]にあわせてポケモンラッピングトレイン(U004編成)が運行されるなど、ラッピングトレインの対象車両としても使われている。

[編集] 今後の動向

N700系S1編成(岡山駅 - 相生駅、2009年4月8日)

JR九州では九州新幹線全線開業後に、現行の800系を九州新幹線内を走る列車のみに運用を限定し、それと同時に運行開始が予定されている山陽新幹線直通列車は、N700系をベースにしたN700系7000,8000番台をJR西日本と共同開発するとしている。2008年(平成20年)2月27日付のJR西日本のプレスリリース[17]によると、車体塗装については白地に窓下に藍色と金色のラインを施したものとし、JR西日本とJR九州で合わせて29本が製造される予定である。内装については、グリーン車はN700系、普通車指定席は700系7000番台のサルーンシートをベースにした座席としている。テーブルや手すりなどには木材を採用するなど和のイメージのインテリアとなっている[18][19][20]

なお、新型車両を投入する理由としては、山陽新幹線「ひかりレールスター」に使用されている700系では、脊振山地を通過する博多駅 - 新鳥栖駅間と新八代駅以南の急勾配に対応できないためである。

2008年12月17日のJR九州発表[21]によると、九州新幹線全線開業に向けて、新800系3編成が投入され、現行6編成と合わせて9編成となるが、この新800系で増備は打ち切りとなり以後はN700系に移行する。新800系は、外観は鉄道車両で世界初となる立体的で曲面をもったライトカバーを採用。車内は金箔久留米絣を使用しより和風を強調したインテリア、車内案内表示器は中央にも増設するほか、座席数を減らして多目的室を設置する。2009年夏のダイヤ改正より運転を開始する予定である[22]

新800系の第1編成であるU007編成は山口県の日立製作所から海上輸送され、2009年6月21日に川内港に到着。3日後の24日に3両が川内新幹線車両センターに陸送された[23]

九州新幹線全線開業後、800系は主として九州新幹線内で使用する計画だが、既存の800系については新800系と同様に、山陽新幹線博多駅 - 博多総合車両所分岐点間を走行する必要があるため、博多駅から広島方面へ乗り入れしなくても、博多乗入れに必要となる機器搭載の改造工事を実施する予定である[24]

[編集] 脚注

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  1. ^ 『鉄道ファン2009年10月号』 交友社、2009年、P.77。
  2. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、P.126。ISBN 9784779605345
  3. ^ 因みに800番台の形式番号は、国鉄時代は貨物用新幹線車両の形式に予定されていたものである(新幹線による貨物輸送も参照のこと)。
  4. ^ 700系は2.0km/h/sである。
  5. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、pp.99 - 100。ISBN 9784779605345
  6. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、P.100。ISBN 9784779605345
  7. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、P.98。ISBN 9784779605345
  8. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、P.99。ISBN 9784779605345
  9. ^ レールファン音楽館、TrainSimulator九州新幹線開発者による
  10. ^ 『鉄道ジャーナル 2003年11月号』 交友社、2003年、P.10。
  11. ^ 編集長敬白: 800系1000番代新幹線デビュー。
  12. ^ 『鉄道ジャーナル2009年3月号』 鉄道ジャーナル社、2009年、P.132。
  13. ^ 『鉄道ファン2009年10月号』 交友社、2009年、P.76。
  14. ^ 新幹線車両「新800系」完成(JR九州プレスリリース)
  15. ^ 新800系,8月22日に営業運転を開始 (railf.jp)
  16. ^ ポケモンスタンプラリー2009夏
  17. ^ 山陽・九州新幹線直通用車両のデザインなどについて
  18. ^ 山陽・九州新幹線直通用車両のインテリアデザインなどについて(JR西日本ニュース 2008年7月23日付)
  19. ^ 山陽・九州新幹線直通用車両のインテリアデザイン等について(JR九州ニュースリリース 2008年7月23日付)
  20. ^ 2008年2月28日大分合同新聞朝刊4面および交友社『鉄道ファン』鉄道ニュース(2008年7月24日付に掲載)
  21. ^懐かしくて新しいインターナショナルな新800系の誕生」 JR九州ニュースリリース 2008年12月17日
  22. ^九州新幹線に「新800系」=世界初の金箔の壁など」(2008年12月17日 時事ドットコム)
  23. ^ [[1]]. railf.jp. (2009-06-24). http://railf.jp/news/2009/06/26/151000.html 2009-07-04 閲覧。 
  24. ^ 九州新幹線全線開業に向けて800系を増備(2008年12月18日 鉄道ファン)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年11月15日 (日) 15:33 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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