新幹線N700系電車

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JR東海/JR西日本N700系新幹線電車
ファイル:JRC-TEC-N700.jpg
半径2500mの曲線を走行するN700系(0番台)
(2007年9月27日、新横浜駅 - 小田原駅間にて撮影)
編成 16両(14M2T、Z・N編成)
8両(全電動車、S編成)
起動加速度 2.6 km/h/s
営業最高速度 270(曲線通過+15 km/h) km/h(東海道区間)
300 km/h(山陽区間)
編成定員 Z・N編成 - 計1,323名(200名)
S編成 - 計546名(24名)
()内はグリーン車
最大寸法
(長・幅・高)
25,000*1 ×3,360 ×3,600*2mm
*1先頭車は27,350mm
*2先頭車の大部分は3,500mm
編成質量 700t(Z・N編成)
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000V 60Hz
主電動機 かご形三相誘導電動機
TMT9,TMT10(Z編成)
WMT207,WMT208(N編成)
WMT207,WMT208,WMT209(S編成)
編成出力 305kW×56 = 17,080kW (Z・N編成)
305kW×32 = 9,760kW (S編成)
歯車比 2.79
制御装置 VVVFインバータ制御IGBT素子
駆動装置 TD平行カルダン駆動方式(Z・N編成)
WN平行カルダン駆動方式(S編成)
台車 円筒ゴムばね併用軸箱支持方式 (車体傾斜装置搭載、Z・N編成)
軸梁支持方式WDT208(S編成)
ブレーキ方式 回生併用電気指令式空気ブレーキ
(応荷重装置付き)
保安装置 ATC-1ATC-NS
KS-ATC(S編成のみ)
製造メーカー 日立製作所日本車輌製造川崎重工業近畿車輛
備考
第51回(2008年
ブルーリボン賞受賞車両

新幹線N700系電車(しんかんせんN700けいでんしゃ)とは、東海道・山陽新幹線の第五世代の車両、および九州新幹線の第二世代の車両。

300系500系を置き換える次期主力車種として、2007年7月1日ダイヤ改正から営業運転を開始した。同年10月1日には財団法人日本産業デザイン振興会の2007年度グッドデザイン賞金賞(商品デザイン部門)、2008年には鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。

目次

[編集] 概要

700系を土台に、さらなる高速性と快適性・環境性能向上の両立を目指し、東海旅客鉄道(JR東海)・西日本旅客鉄道(JR西日本)によって共同開発された。

[編集] 名称

開発当初は「700N」と称し「N700系」は通称だったが、2004年5月28日に「N700系」が正式な形式称号に決定した、と発表された。数字の前に表記される「N」はnewnextなどの意味を込めた、と説明されている。

各車両の形式番号は700系ではグリーン車が710番台、普通車が720番台であるのに対し、本系列はグリーン車が770番台、普通車が780番台となり、九州新幹線直通用のみのグリーン・普通合造車は760番台(766形)となっている[1]詳細は#形式および車種を参照

編成記号はJR東海所有車が「Z」、JR西日本所属車は16両編成が「N」、九州新幹線直通用の8両編成が「S」で、車両番号はZ編成が0番台、N編成が3000番台、S編成が7000番台、JR九州所有予定の8両編成は8000番台に区分されている[2]

[編集] 沿革

[編集] 開発

[編集] 背景

日本国有鉄道(国鉄)の分割・民営化以降、新幹線でもサービスの向上が図られ、JR西日本は最高速度300km/hで運行できる500系を開発した。しかし、東海道区間では線形が悪く、最高速度は270km/hに抑えられることから過剰な性能であったこと、当時の「のぞみ」運用本数の関係などから、500系は9編成(144両)が落成した時点で製造終了となった。

その後、JR西日本は汎用性を重視してJR東海と共同開発した700系を導入した。同系列は山陽区間での最高速度こそ285km/hにとどまったが、最高速度220km/hの0系と230km/hの100系の置き換え用として多くの編成が製造され、新幹線の高速化に大きな成果を挙げた。

しかしJR西日本は航空路線との競合から500系と同等の最高速度300km/hの高速性能を、JR東海は品川駅開業とそれに伴う東海道新幹線の列車本数増加やデジタルATC (ATC-NS) の導入に伴い、より高い加減速性能を持つ新車両を求めるようになった。その両社の要求を具現化するべく共同開発されたのが本系列である。

[編集] N700系の登場

500系と700系では東海道新幹線で最高速度270km/hを出せる区間は全体の約3分の1程度であった。本系列では車体傾斜システムの搭載(S編成については後述)により、これまで255km/hの制限がかかっていた半径2,500mの曲線区間(60か所)でも270km/hで走行できるようになり、東海道新幹線の約3分の2以上の区間で270km/hで走行できるようになった。

車体傾斜システムの導入と加減速性能の向上により、東京駅 - 新大阪駅間では従来の500系・700系の「のぞみ」と比べて運行時間は最大5分短縮され、最速列車の所要時間は2時間25分(2007年7月1日ダイヤ改正時の「のぞみ1・163・52号」)となった。

新幹線では停車駅が1駅増えるごとに所要時間はおよそ5分間延びるといわれているが、ダイヤ改正から本系列で運転されている「のぞみ100号」の場合、停車駅に新横浜駅が追加されたにもかかわらず、所要時間は4分短縮された(2時間30分→2時間26分)。本系列の高加速度・車体傾斜システム・新ATCといった最新技術のもたらした大きな成果といえる。

2005年3月4日に日本車輌製造日立製作所川崎重工業により先行試作車(Z0編成)が完成。同月10日未明に浜松駅 - 静岡駅間で初めて本線を走行し、7月16日には三島駅 - 浜松駅間での日中走行も実施した。同月24日には初めて東京駅 - 新大阪駅間を走行し、29日には山陽新幹線に乗り入れて博多駅まで走行、そして9月7日には速度向上試験で320km/hを記録した。この先行試作車による2年間の実験走行を経て、量産車(Z1編成以降とN編成)を投入することとなった。

2006年12月7日、日本車輌製造豊川製作所で量産車となる構体が報道関係者に公開された。この構体は「Z1編成」のもので、翌2007年3月より搬入が開始された。これにより、100系以来続いていた「量産先行試作車の*0編成→*1編成への改番・量産化改造および営業運転への導入」という東海道・山陽新幹線での慣例を破ることとなった。なお、Z0編成はそれまで各種技術試験を行ってきた300系の量産先行試作車「J1」編成が廃車されたのと、車掌室やコンセントの位置、喫煙ルームの設置箇所や数量が量産車と異なり営業運転に支障をきたすため量産化改造は見送られ、J1編成の後継となる試験車として運用されることになった。ただし、完全な試験専用編成ではなく、都合により営業運転に運用されることも考慮されている。その際、該当列車は完全禁煙の扱いとなる。

同年5月23日には報道関係者約300人向けの試乗会が実施された。使用されたのはZ2編成で、同年7月1日の営業運転開始までにJR東海が準備する5本の編成のうちの一つだった。東京駅 - 博多駅間を約5時間半で走行し、途中名古屋駅京都駅・新大阪駅・岡山駅広島駅に停車した。東京駅を11時46分に出発し、掛川駅通過直前に「只今車体傾斜を行っています」という車内アナウンスが流れ、名古屋駅到着まで幾度か同様の放送が流れたが、ほとんどの添乗者が車体の傾きを体感しなかった。同乗したJR東海の担当者は、カーブに入る手前の緩和曲線を含めて線形を読み、走り込みを続ける中で傾けるタイミングを調節したと語った。その後、同年6月16日・17日・24日に公募による一般向けの試乗会も開催された。

営業運転開始後の2007年8月21日 - 9月11日までの間、JR西日本所有のN1編成が10両に短縮され、新下関駅 - 新山口駅間を試験走行した。具体的には1, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 16(16両編成時の号車番号)号車が連結され、外周幌の取り外しによる乗り心地の変化などがテストされた。9月12日以降は16両に戻されて通常運行に使用されている[3]

2009年11月16日の深夜には、Z0編成を使用した330km/hでの走行が米原 - 京都間の下り線を利用して実施され、332km/hを記録した。これはJR東海が外国に向けて新幹線を売り込むために行ったものであり、アメリカ合衆国イギリスなど6カ国の大使館員が同乗した。

なおこの332km/hの速度は、東海道新幹線区間における営業編成用車両の最高記録である(従来の記録は1991年に300系車両が同じ区間で出した325.7km/h)。

[編集] 営業運転開始

2007年7月1日のダイヤ改正までに6編成96両(Z編成5本〈Z1 - Z5〉〉・N編成1本〈N1〉)が落成して営業運転を開始した。この時点では品川駅 - 博多駅間下り1本・東京駅 - 博多駅間2.5往復(下り2本・上り3本)・東京駅 - 新大阪駅間1往復に充当された[4]

営業開始当日、JR東海では品川駅(「のぞみ99号」6:00発)・新大阪駅(「のぞみ100号」6:00発)・名古屋駅(「のぞみ100号」6:50発)、JR西日本では博多駅(「のぞみ26号」12:28発)・広島駅(「のぞみ26号」13:30発)・岡山駅(「のぞみ26号」14:06発)でそれぞれ出発式を行い、列車の出発を見送った。また東京駅(「のぞみ1号」6:00発)では花束の贈呈と発進時の警笛吹鳴のみだった。なお、新大阪発の営業初列車となる「のぞみ100号」のグリーン券は発売開始後即完売となる人気ぶりだった。

[編集] 形式および車種

本系列に属する各形式名とその車種は以下の通り。

奇数形式と偶数形式2両ずつ、計4両(TC+M2+M'+M1もしくはM1+M2+M'+M1〈Z・N編成〉/MC+M1+M'+M2〈S編成〉)で1ユニットを構成する。全車両にセミアクティブサスペンションが搭載されている。M'車に主変換装置、M1,M2車に主変換装置を2台ずつ搭載している。16両編成の場合、1,4ユニットは電動車が3両、2,3ユニットは電動車が4両となっているが、主変圧器をユニットの電動車数によって区別することによって、主変換装置と電動機の共通化を図った[2]

ユニット構成表
  ←博多   東京→
  1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 10号車 11号車 12号車 13号車 14号車 15号車 16号車
Z・N編成 783形
(Tc)
787形
(M2)
786形
(M'w)
785形
(M1)
785形
(M1w)
786形
(M')
787形
(M2k)
775形
(M1s)
776形
(M1sw)
777形
(M2s)
786形
(M'h)
785形
(M1)
785形
(M1w)
786形
(Mp)
787形
(M2w)
784形
(T'c)
1ユニット 2ユニット 3ユニット 4ユニット
S編成 781形
(Mc)
788形
(M1)
786形
(M')
787形
(M2)
787形
(M2w)
766形
(M's)
788形
(M1h)
782形
(M'c)
4 - 8号車は2列+2列シート
1ユニット 2ユニット


番台としては、Z0編成が9000番台、Z編成が0番台、N編成が3000番台、S編成が7000番台、JR九州所有予定の8両編成が8000番台を名乗る。

  • 766形(M'hS)
    グリーン席普通席を備える中間電動車。S編成6号車として使用。車掌室を備え、主変圧器などを搭載する。定員60名(グリーン席24名・普通席36名)。
  • 775形(M1S)
    グリーン席を備える中間電動車。Z・N編成8号車として使用。車掌室を備え、主変換装置などを搭載する。定員68名。
  • 776形(M1Sw)
    グリーン席を備える中間電動車。Z・N編成9号車として使用。便所、洗面所を備え、主変換装置などを搭載する。定員64名。
  • 777形(M2S)
    グリーン席を備える中間電動車。Z・N編成10号車として使用。喫煙ルームなどを備え、主変換装置を搭載する。定員68名。
  • 781形(MC)
    普通席を備える制御電動車。S編成1号車として使用。博多向き運転台、便所、洗面所を備える。定員60名。
  • 782形(M'C)
    普通車を備える制御電動車。S編成8号車として使用。東京向き運転台を備える。定員65名。
  • 783形(TC)
    普通席を備える制御付随車。Z・N編成1号車として使用。博多向き運転台、便所、洗面所を備える。定員65名。シートピッチは1,023mm。
  • 784形(T'C)
    普通席を備える制御付随車。Z・N編成16号車として使用。東京向き運転台を備える。定員75名。シートピッチは1,023mm。
  • 785形(M1,M1w)
    普通席を備える中間電動車。
    • 0,3000,9000番台(M1)
    Z・N編成4号車として使用。主変換装置を搭載する。定員100名。
    • 300,3300,9300番台(M1w)
    Z・N編成5号車として使用。便所、洗面所を備え、主変換装置、集電装置を搭載する。定員90名。
    • 500,3500,9500番台(M1w)
    Z・N編成13号車として使用。便所、洗面所を備え、主変換装置を搭載する。定員90名。
    • 600,3600,9600番台(M1)
    Z・N編成12号車として使用。集電装置、主変換装置を搭載する。定員100名。
  • 786形(M',M'w,M'h)
    普通席を備える中間電動車。主変圧器を搭載する。
    • 0,3000,9000番台(M')
    Z・N編成6号車として使用。定員100名。
    • 7000番台(M')
    S編成3号車として使用。便所、洗面所、喫煙ルームなどを備える。定員80名。
    • 200,3200,9200番台(M')
    Z・N編成14号車として使用。定員100名。
    • 500,3500,9500番台(M'w)
    Z・N編成3号車として使用。便所、洗面所、喫煙ルームなどを備える。定員85名。
    • 700,3700,9700番台(M'h)
    Z・N編成11号車として使用。便所、洗面所、車椅子対応設備を備える。定員63名。
  • 787形(M2,M2K,M2w)
    普通席を備える中間電動車。主変圧器を搭載する。
    • 0,3000,7000,9000番台(M2)
    Z・N編成2号車、S編成4号車として使用。定員100名(Z・N編成)80名(S編成)
    • 400,3400,9400番台(M2K)
    Z・N編成7号車として使用。便所、洗面所、喫煙ルームなどを備える。定員75名。
    • 500,3500,7500,9500番台(M2w)
    Z・N編成15号車、S編成5号車として使用。便所、洗面所、喫煙ルーム(Z・N編成)、パウダールーム(S編成)を備える。定員80名(Z・N編成)72名(S編成)
  • 788形(M1)
    普通席を備える中間電動車。
    • 7000番台
    S編成2号車として使用。定員100名。
    • 7700番台
    S編成7号車として使用。便所、洗面所、喫煙ルーム、車椅子対応設備、多目的室などを備える。定員38名。

[編集] 構造・性能

ここでは東海道・山陽新幹線用の16両編成(Z編成・N編成)について述べる。山陽・九州新幹線直通用の8両編成(S編成)については#山陽・九州新幹線(鹿児島ルート)直通用を参照のこと。

前述の要求に基づき、まず「従来の300系や700系との各号車別定員の共通化を図る」ことを前提に開発が開始された。

[編集] 車両外観

N700系先頭車ノーズ(2007年7月22日、東京駅)
先頭車両天井の段差

車体は、700系と同じくアルミニウム合金製の中空押出型材によるダブルスキン構造を採用している。700系では、屋根構体、客室部の側構体のみであったが、N700系では使用範囲を広げ、車端部の側構体や妻構体、台車上部の気密床にも使用している[5]

先頭部は700系のエアロストリーム型を遺伝的アルゴリズムにより改良した「エアロ・ダブルウィング」という形状で、長さ10.7m(700系は9.2m)である。先頭形状の長さを抑えつつ、微気圧波形状のピークを分けることで最大値を抑え、騒音の抑制と先頭車の定員確保に一役買っている。先頭車の定員を300系、700系と一致させるため、両先頭車両の乗務員扉と運転席よりの客用扉が車体の絞り込み部分と干渉してしまう。また、騒音対策と製作・保守費用低減を両立するため、は両先頭車の運転室側にある乗務員用と客用のみプラグドア、その他はすべて通常の引き戸が採用されている。またその引き戸の構造も、たとえば0系から700系、800系(500系は全車プラグドアのため例外)に至るまでは外周にふちとビス留めがついていたが、本系列は平滑化のためにふちがなくなり、またビス留めも戸袋側のみで済んでいる。

ワイパーの形状も空力上の観点から、高速走行時の騒音発生の低減を図ったものとなっている。運転室部分の窓は車体の絞り込み部分に掛かる為、700系よりも前面窓の開口部面積が特に左右方向に対して小さくなっており、前方視界は狭くなっている。

先頭車両の高さは、3,500mmの部分と3,600mmの部分がある。そのため、先頭車両編成中央寄りの客用扉付近には段差がある。中間車両高さは3,600mmとなっている。この段差は前頭部分の形状と合わせた微気圧波軽減と空気抵抗軽減等を目的とした空力上の処理である。

[編集] 塗装

N700系のロゴ(2006年7月23日、JR東海浜松工場)

車体塗装は700系16両編成と同じく、窓下に太帯(上側)と細帯(下側)が並んでいるが、先頭部分のラインが斜めに切り込まれる部分の角度が、若干小さくなっている。また700系とは異なる、「N700」のロゴの中に車輌のシルエットが入った独自のロゴタイプを車体側面に掲げている。

なお、本系列では700系にあったようなJR東海・JR西日本それぞれの所属車両の外観での差異[6]はほとんどなく、形式番号の前に貼り付けられたJRマークの色や車両番号の番台区分および編成番号のアルファベットの違いのみで、車両を細かく見ないと所属会社を見分けにくい。

[編集] 台車

N700系の台車カバー(2006年7月23日、JR東海浜松工場)

台車は300系以来の実績があるボルスタレス台車である。本系列(S編成を除く)はJR西日本所有の700系とは異なり、JR東海所有のZ編成と同じ円筒ゴムばね併用の軸箱支持方式を採用した。

700系では、先頭車両進行方向側の台車にのみ空気抵抗軽減用のカバーがついていたが、本系列からは、台車部分の転動音、空力音を低減するためにすべての台車に台車カバーが採用された[7]。先行試作車(Z0編成)では、試験の途中でカバーの形状が変更されており、変更後のものが量産車にも採用された。先頭車両の台車カバーも、700系のそれより空気の流れを考慮した3次元的な造形となっている。軽量化とリサイクル性の面から、炭素繊維(CFRP)が採用されている[7]

駆動方式は、JR東海所有の700系C19編成以降のグリーン車で実績があるTD平行カルダン駆動方式が本格採用された。JR西日本所有の700系はグリーン車を含めすべてWN平行カルダン駆動方式であったが、本系列(S編成を除く)はJR東海所有のZ編成とすべて共通である。従来は高速運転時の耐久性の点から、WN平行カルダン駆動方式が採用されてきたが、TDカルダンに用いられるたわみ板の耐久性が向上したことから、保守が容易で騒音の少ない本方式が採用されることになった。

300km/hでの走行に対応するため、700系から歯車比が変更されている[5]

[編集] 車体傾斜装置・セミアクティブサスペンション

N700系用の空気ばねのカットモデル

従来は255km/hに減速する必要のあった東海道区間の半径2,500mの曲線を最高速度のまま走行できるようにするため、新幹線車両で初めて空気バネによる車体傾斜装置(最大傾斜角1度)を採用し、さらに700系では一部の車両のみに搭載されていたセミアクティブサスペンションを性能向上(700系:4モード選択切替制御→本系列:無段階制御)の上、全車両に搭載することで乗り心地の改善を図っている。

車体傾斜機能は大半が半径4000m以上のカーブである山陽区間では使用しないが、完全に機能を停止するのではなく車体を水平に保つ制御(0度制御または水平制御)に活用し、乗り心地を向上させている。

[編集] 全周幌

N700系の全周ホロ(2007年5月21日、新大阪駅)

新たに開発した高性能のセミアクティブ制振制御装置を全車両に設置することで振動を極力抑えるとともに、車両間に今回ジャバラ社と開発した「全周幌」を新幹線の営業車両として初めて採用[8]し、車両の連結面間を伸縮性のゴム素材で下部を除いてほぼ完全に覆ってしまうことで車体側面の空気抵抗と車両内外の騒音の軽減を達成し、結果的に省エネルギーにも寄与することとなった。

これに類似したものとして国鉄時代にモハ20系(151系)キハ81系で採用された「外幌」があったが、当時の「こだま」の最高運転速度であった110km/h程度では効果を発揮せず、メンテナンス難の理由で早期に撤去された。

[編集] 集電装置

N700系のパンタグラフ(2006年7月23日、JR東海浜松工場)
パンタグラフとパンタカバー

パンタグラフ(TPS303形[9])も0系以来の基礎中の基礎ともいえる部分の設計から抜本的に見直すことで小型・軽量化が図られた。基本的にはシングルアーム形であるが、従来の700系等に見られるタイプより下枠(関節部分より下側)のアームが極端に短くなり、その関節部と下枠部分も流線型のカバーで完全に覆われた新開発のパンタグラフを採用している。これによって従来のシングルアームパンタグラフよりも風切り音の軽減と、架線への追随性の一層の向上を果たしている。

パンタグラフは、碍子で車体に固定されている。この碍子の本数を700系の4本から3本に減少させ、さらにケーブルヘッド用の碍子を共有させることで、パンタグラフ周りの占有スペースの減少とパンタグラフの軽量化、騒音源の減少となっている[5]

パンタグラフカバーと遮音板の形状は700系とほぼ同一で、碍子カバーの両側に大型の遮蔽板を設けている。この碍子カバーと遮蔽板はアルミニウムハニカムパネル、CFRPカーボンファイバー)パネルを使用することで軽量化を実現している[5]

また試作車両(Z0編成)には800系U001編成と同様にカメラセンサ・投光器で構成される架線の検測装置が設置され、車体傾斜時の架線との接触状況などの確認が行われた後に取り外された。

[編集] 行先表示器

N700系のLED式側面行先表示装置の表示内容(2007年7月7日、「のぞみ52号」博多駅)

JR東海の営業用新幹線車両では初めてフルカラー発光ダイオード(LED)式行先表示器HIDランプによる標識灯が採用された[10]。行先表示器は全車両に設置され[11]、表示内容は列車名・行先・指定席自由席の種別を日本語、英語の順に表示し、日本語で列車名・行先表示とともに、始発駅では停車駅をスクロール表示させ、途中駅では次の停車駅を表示する。座席区分表示器も700系までの液晶からLEDに変更され[12]、「指定席」は緑色、「自由席」は白色表示となっている[13]

細かい外観のポイントとして、Z0編成では客用ドア横の号車番号表記と禁煙ピクトグラムが横に並んでいたのに対し、量産車では縦並びとされた(300系は、登場当初は縦並びであった)。また、500系まで乗務員用扉横の握り棒は金属の手すりを埋め込む構造だったが、700系からは走行中の空気抵抗を低減するため、カバーを設置し走行中は自動的にせり上がる構造となった。本系列も同様であるが、700系では5km/hでカバーされるが、本系列では70km/hとなっている。これはホームを出線するまで、最後尾車両の乗務員が手すりを握って安全確認をできるようにするためである(700系の5km/hでは早すぎる)。

[編集] 標識灯

尾灯(点灯中)と前照灯(消灯中)

前照灯尾灯は300系以前と同様、遠方では同じ場所の電球のように見えても、前照灯と尾灯は分離されている構造である。前照灯は東海道・山陽新幹線系統の車輌としては初めての採用となるHID灯を採用しており、これにより700系より標識灯の開口部が縮小されたものの、充分な光度を得る事を実現している。従来の車両では前照灯と尾灯が横並びになればそのほとんどは内側が前照灯、外側が尾灯で、縦並びになれば500系を除いて上側が前照灯、下側が尾灯という配置が一般的だった。本系列では前照灯は左右それぞれ2基が横並びになり、丸い前照灯の周りを覆い尽くす格好で発光ダイオードの尾灯が配置される過去に前例のない構造となった。なおZ0編成の走行試験時に、前頭部の連結器カバーの下部に補助前照灯(HID灯)を試験的に装備し、しばらくの間試験走行に供された事があるが、後に撤去され原型に復元されている。

[編集] 車両性能

N700系と500系との比較

起動加速度は新幹線車両として最高の、通勤形電車並みの2.6km/h/s[14]で、およそ3分で270km/hまで加速する動力性能を持つ。営業運転での最高速度は500系と同じ300km/hとされた。これを達成するために主電動機の出力を向上(275kW〈700系〉→305kW)し、電動車 (M) と付随車 (T)の構成(MT比)も変更(12:4〈700系〉→14:2)した。これにより編成出力は17,080kWとなり、700系と比べて約30%向上した。

ブレーキはMT比の見直しにより、300系や700系で使用されていたT車の渦電流ブレーキが廃止され、常用ブレーキでは14両のM車の回生ブレーキで制動力を得るようにした。自動列車制御装置(ATC)の老朽置き換えに伴い設置されたデジタルATC (ATC-NS) 車上装置が搭載され、制動距離と閉塞間隔の最適化が行われる。なお先行試作車(Z0編成)では、落成前の計画では700系に引き続いて渦電流ブレーキが採用される予定だったが、重量増を避ける意味合いもあり、取りやめになった。

走行時のエネルギー消費も曲線での余分な加減速を不要とすることなどで、東海道区間で700系と比較して1割低減することを当初の目標としていたが、先行試作車による走行試験の結果、270km/h走行時の利用客1人当たりの消費エネルギーが13.23kWh[15]となり、19%削減(改善)という当初の目標値を上回る省エネ効果が得られたことが確認された。全周ホロなどの空力改善の積み重ねもこれに寄与している。なお、山陽区間では9%の削減に成功した[16]

[編集] 車内設備

[編集] 空間と窓

車体傾斜装置の採用で全幅は700系に比べて20mm狭くなったが、強度を確保しながら車体壁を薄くするなどした結果、同系列と同等の車内空間を確保している。反面、軽量化しつつ十分な強度を確保するため、窓の面積は700系の約60%に縮小された(普通車で天地520mm×幅500mm、窓框〈かまち〉高さ780mm)。このため、車内からの眺望が若干犠牲となっており、通路側の座席(特に普通車のC席)から外の景色を見ることは難しい。

普通車の窓には特殊なポリカーボネート樹脂を採用している。従来の複層ガラスの表面に特殊ポリカーボネート樹脂製シートを貼り合わせたコンポジットタイプと比較して、飛び石などに強く、耐久性に優れ軽量であるとともに、部材使用量を約半分に抑え、単位面積当たりの質量を約3割軽量化することに成功した。また、車体側の窓開口部にガラスが入り込むような形状とすることで車体とガラス表面との段差を極力小さくするようにしている[17]

[編集] 座席

シートピッチは100系以降の標準である、普通車1,040mm、グリーン車1,160mmである。ただし、1号車(783形)と16号車(784形)は先頭形状との兼ね合いで1,023mmとなっている。

300系以降の座席は編成重量削減のため座席クッションのスプリングを廃止しポリウレタンを重ねる構造だったが、座り心地の点で評判が芳しくないため、本系列では金属製のSばねを加えた複合ばね構造に改良された。

普通車座席の背もたれは高機能な新型のポリエステルクッションである。従来のウレタンに比べて同じ体積で約20%軽く、透湿性にも優れ蒸れにくい。通勤電車用の座席に比べ着座時のフィット感に配慮されている。弾力性が長持ちするとともに耐久性に優れるほか、ポリエステル素材のため完全循環型システムでリサイクルできる。

このほかの素材ではクラレグループ製のマジックテープと「セプトン コンパウンド」も使われている。マジックテープは従来からのヘッドレストカバー・座席表皮端末固定用に加え、座席表皮の浮き止めやクッションパッドにも新たに採用された。また、スイミングゴーグルのバンド部やとび縄の縄部分にも使われている「セプトン コンパウンド」は座席の肘掛に採用された。これまでのポリカーボネート製より肘掛が柔らかくなったことで触り心地を向上し、硬いものが接触した時に発生する不快音の低減を実現した。

普通車は座席幅を700系から10mm拡大して440mmとし[18]、グリーン席には新たに開発された「シンクロナイズド・コンフォートシート」が採用された。これはリクライニングすると座面後部が沈む構造で、座り心地が改善されており日本航空国内線のクラスJに近いものといえ、具体的には、ヘッドレストとレッグレストが装備されていない以外はほぼ同等の仕様となっている。座席幅も475mmから480mmに拡大され、このほかLEDを採用し輝度を高めた読書灯(後述)や足元を暖める機能(レッグウォーマー)も新たに導入された。

テーブルはA4サイズのノートパソコンが置けるサイズに拡大され、量産車ではグリーン車の全座席と普通車の窓側(A・E席)・最前部・最後部の座席にはコンセントが設けられた。その結果、1編成の定員(1,323人)の約6割に当たる個数が用意されたことになる。

座席番号表示と、テーブル背面の車内設備案内などの文字やピクトグラムは、従来のものより大きくなり、見やすくなっている。

100系以降700系までは所有会社によって座席の色や形状などの仕様が異なっていたが、本系列ではすべて統一されている。

[編集] その他設備

フルカラー・2段表示が可能な車内案内表示器(模擬表示例・JR東海浜松工場にて)

2009年春のダイヤ改正から無線LANによるインターネットサービスが利用できるようになった[19]。ただし当面は東京 - 新大阪間での利用となる。また、このサービスは、プロバイダと契約をしなければならない。

トイレはすべて洋式に統一されるとともに、11号車に新幹線車両では初めてオストメイト対応トイレが設置された。また一部のトイレにはおむつ交換台、11号車の多目的室にはベビーチェアも設置されている。

車内は全席禁煙とし、強制排煙装置やJR東海の小牧研究施設が開発した光触媒脱臭装置を備えた喫煙ルームを3・7・10・15号車のデッキ部分に計6か所設けている。喫煙コーナーに近い座席では喫煙を希望する乗客の希望を優先して指定席券が発行される。駅自動放送でも本系列で運転される列車は全席禁煙である旨と喫煙ルームが何号車に設置されているかがアナウンスされる。

車内チャイムは在来車と同様、Z編成は『AMBITIOUS JAPAN!』、N編成は『いい日旅立ち・西へ』を使用している。

号車・座席番号・テーブル裏の車内設備案内表示などの文字フォントは従来より級数が上げられ、見やすくなっている。とくに号車番号表記のフォントは大幅に級数が上げられた。先行試作車(Z0編成)でも700系までの従来車より大型であったが、量産車ではさらに大型化された。

車内案内表示器は新幹線では初めてフルカラー・2段表示が可能になり、新聞社から配信されるニュース広告や「のぞみ」、「ひかり」で駅を通過する際の「ただいま●●駅を通過。」などの従来からのものに加えて、駅停車時のドア開閉方向なども表示されるようになっている。実際の表示に使用されている色は、白、橙色、黄緑、水色、赤の5色。但し、企業等のCMでは、深青や薄紫色など、フルカラーを存分に生かした表示がなされる。

車内照明には松下電工(現在のパナソニック電工)製や東芝ライテック製のLED照明器具も採用された。このLED照明器具は白熱灯に比べ消費電力が少なく振動に強い[20][21]

1編成あたりの納入台数

  • 松下電工製
    • グリーン車への通路部にフットライト26台
    • 運転席にスポットライト12台と補助ライト2台
  • 東芝ライテック製
    • グリーン車に読書灯200台と側補助灯100台
    • 喫煙ルームなどに直線補助灯45台と円筒スポット灯43台

運転室及び車掌室には乗務員連絡用のPHS端末が搭載されており、車掌が客室内にいても乗務員間の連絡ができる。また、このPHS端末から直接車内放送を行うこともできる。

[編集] セキュリティ対策

鉄道車両では初めて、すべての乗降口と運転室出入口に防犯カメラを設置し、乗務員室のモニター上で監視できるシステムが備えられた。これは乗降口に備え付けられている非常用ドアコックがいたずらで操作され、その安全確認のためしばしば遅延をきたしていることや、電話室や喫煙ルームなど個室部分の増加とともにそれらの空間を悪用される恐れがあるため、防犯カメラによる抑止効果を図るためである。

さらにテロ痴漢迷惑行為防止の面からも効果が期待されているが、2005年のロンドン同時爆破事件などの経験から防犯カメラにテロ抑止効果はあまりないとする意見がある。また、その運用や記録の保存体制についても公表されておらず、プライバシーの侵害を懸念する意見もある。これについてJR東海会長の葛西敬之は営業運転の開始前に「(監視カメラ作動中の断りがあり、隠し撮りとはならないため)合法であり、問題はない」と述べている。その後、防犯カメラはJR東日本の新幹線にも波及した。

一方、ドアコックのいたずら対策として走行中にドアコックの蓋を自動的に施錠して開けられないようにすることとし、今後新造するN700系は製造時に対応、すでに就役したN700系と既存の700系は2009年度末までに順次全般検査入場時に改修を行う。

[編集] 運用

[編集] 2009年3月14日改正

種別 列車名 運転区間 備考
のぞみ 1・3・4・7・8・11・13 - 15・18・19・22・
23・26 - 28・30 - 32・34・35・38 - 40・
42・43・48・49・51 - 53・56・58号
東京駅 - 博多駅 55号は12月14日以降N700系で運転
10号は12月15日以降N700系で運転
5・50号は12月24日以降N700系で運転
9・44号は2010年1月22日以降N700系で運転
6・29号は2010年3月1日以降N700系で運転
95 - 98号 名古屋駅 - 博多駅
99号 品川駅 - 博多駅
101・103・105・107 - 115・117 - 126・
128・130 - 132・136・138・140号
東京駅 - 広島駅
102・133号 東京駅 - 姫路駅
104・106・127・135号 東京駅 - 岡山駅
200・202・204・205・207・211・212・214・
215・225・227・228・235・241・242・244・
247・248・250・252・254・255・263・267・
269・392・407号
東京駅 - 新大阪駅 392号は臨時列車で主に火 - 金,日曜日に運転
407号は臨時列車で主に火 - 金曜日に運転
219・232号は11月24日以降N700系で運転
224号は12月15日以降N700系で運転
ひかり 490・491号 名古屋駅 - 広島駅
493号 新横浜駅 - 広島駅
500・502・533号 東京駅 - 名古屋駅 531号は12月14日以降N700系で運転
529号 東京駅 - 新大阪駅 臨時列車で主に日曜日の運転
こだま 706号 浜松駅 - 東京駅
809号 東京駅 - 三島駅

[編集] 運用の変遷

[編集] 2007年7月1日 - 2008年3月14日

N700系の増備に伴い、700系や500系で運転されていた「のぞみ」を順次置き換えていった。

[編集] 2008年3月15日 - 2009年3月13日

東広島駅にてN700系「のぞみ」の通過待ちをする0系「こだま」

東京 - 博多間の「のぞみ」の毎時1本がN700系で運行される。

定期列車としては初めて「ひかり」2本(393号・433号)に充当されるなど、上下合計で43本の「のぞみ」・「ひかり」が本系列で運転されるようになった。また小倉駅 - 博多駅間の「こだま」2往復(751号・754号・759号・772号)にも間合い運用として充当されるようになった。

さらに同年5月27日からは「のぞみ」での運用が2本(102号・127号)、7月1日より2本(120号・139号)、7月28日より2本(87号・122号)、7月29日より2本(62号・129号)、8月19日より1本(25号)、8月20日より1本(2号)、10月1日より1本(77号)、10月2日より3本(21号・56号・68号)、10月15日より1本(41号)、10月16日より1本(18号)、11月21日より4本(106号・117号・140号・155号)、11月28日より2本(107号・144号)、12月26日より2本(109号・148号)、2009年1月2日より2本(67号・96号)、2月5日より2本(69号・98号)、2月23日より2本(136号・153号)追加された。

また、2008年10月1日より「ひかり」での運用が1本(400号)が新たに追加。また、300系の代走として、「こだま」627号と「こだま」680号に2008年6月から2009年3月の一部の日に充当された。

[編集] 2009年3月14日 -

上下合計88本の「のぞみ」「ひかり」「こだま」がN700系で運転される。特に、東京 - 広島間と東京 - 博多間の「のぞみ」の1本ずつの毎時2本がN700系で運行される。

さらに、同年4月28日からは「のぞみ」での運用が4本(205号・214号・227号・252号)、7月1日より2本(228号・235号)、8月7日より4本(211号・212号・247号・254号)、10月1日より2本(242号・255号)、10月2日より3本(215号・250号・263号)追加された。今後、11月10日より2本(28号・51号)、11月24日より2本(219号・232号)、12月14日より1本(55号)、12月15日より2本(10号・224号)、12月24日より2本(5号・50号)、2010年1月22日より2本(9号・44号)、3月1日より2本(6号・29号)追加される予定。

また、2009年10月2日より「ひかり」での運用が新たに1本(502号)追加された。今後、12月14日より1本(531号)追加される予定。

過密ダイヤの影響で、これまで高速化による所要時間短縮の恩恵は早朝・深夜の列車にしか得られていなかったが、この改正で全日においてN700系専用のダイヤが組まれ、若干ではあるもののデータイムにもその恩恵がもたらされることとなった。本系列による東京駅 - 博多駅間直通「のぞみ」は、日中でも東京駅 - 新大阪駅間を4駅停車しながら従来の3駅停車「のぞみ」の一部と同等の2時間33分で結び、日中「のぞみ」の標準到達時間を延ばすことなく品川駅と新横浜駅の両駅に全列車を停車させることができた[22]

N700系運用本数
ダイヤ改正 のぞみ ひかり こだま 所属編成 備考
2007年7月1日 8 0 0 Z1 - Z5
N1
N700系デビュー
2008年3月15日 41 2 4 Z1 - Z16
N1 - N8
2009年3月14日 81 5 2 Z1 - Z32
N1 - N9

2009年度末までに東京駅 - 博多駅間運転の定期「のぞみ」すべてを含む110本以上、2011年度末までにすべての東海道・山陽直通の「のぞみ」が本系列で運転される予定である[23][24]。これにより、共通運用していた500系は編成を16両から8両に短縮して「こだま」に、700系は順次「ひかり」・「こだま」にそれぞれ転用され、300系・100系を逐次置き換えて行くことになる。

[編集] 今後の動向

[編集] 東海道・山陽新幹線用

山陽新幹線区間を走行するN700系Z28編成(岡山駅 - 相生駅、2009年4月8日)

2006年5月26日のJR東海・JR西日本両社の発表では、投入計画は以下の通りとされた。

  • 2007年度 : 23編成(東海15・西日本8)
  • 2008年度 : 17編成(東海16・西日本1)
  • 2009年度 : 14編成(東海11・西日本3)
  • 計 : 54編成(東海42・西日本12)

費用はJR東海が約2千億円、JR西日本が約600億円であり、2009年度には東海道・山陽新幹線直通のすべての「のぞみ」を本系列に置き換える計画だった。その後、営業運転開始後の好調と増備によるさらなる地球環境への貢献を図るため、従来の計画を前倒しするとともに2009年度以降にも追加投入され、合計で1,500両以上が製造されることとなった。これにより、2011年度末には定期列車の「のぞみ」がすべて本系列で運行される予定である。[25]

  • 2007年度 : 24編成(東海16 (+1) ・西日本8)
  • 2008年度 : 17編成(東海16・西日本1 = 増減なし)
  • 2009年度 : 21編成(東海16 (+5) ・西日本5 (+2))
  • 2010年度 : 18編成(東海16・西日本2)
  • 2011年度 : 16編成(東海のみ) 
  • 計 : 96編成(東海80・西日本16〈半カッコ内は当初計画からの増加〉)

追加投入の費用はJR東海が約1,800億円、JR西日本が約200億円で、総額はJR東海が約3,800億円、JR西日本が約800億円となる。

[編集] 山陽・九州新幹線(鹿児島ルート)直通用

N700系S1編成(岡山駅 - 相生駅、2009年4月8日)

2011年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業時に運行開始予定の山陽新幹線・九州新幹線直通列車「さくら[26]に充当するため、本系列をベースにした新形車両をJR西日本とJR九州で共同で開発しており、8両編成でJR西日本が19編成、JR九州が10編成の合計29編成(232両)を製造する予定である[27]。これは、従来の山陽新幹線用の車両では博多駅 - 新鳥栖駅間と新八代駅以南の急勾配区間(最大35‰)を走行できないためで、新形車両では全車両電動車となる。なお、一部報道[28]によれば「ひかりレールスター」に充当されている700系7000番台は、九州新幹線全線開業後は山陽新幹線の「こだま」に転用される予定とされている。またJR九州側も2010年以降は新幹線の新造車両を800系からN700系に移行する。 2008年10月には、JR西日本所属の量産先行車両としてN700系7000番台[29]となる1編成8両が博多総合車両所に搬入された[30]

JR西日本所属車の編成記号は「S」とされた[31](JR九州所属分の編成番号は未定)。2008年10月24日に博多駅 - 新山口駅間で公式試運転が実施され、11月以降は山陽新幹線内での走行試験が実施されている[31]。その後は姫路駅 - 博多駅間の往復が主であるが、新大阪駅に入線する場合もある[32]

以下、この項目では、N700系Z・N編成とS編成との相違点を主に述べていく。Z・N編成との共通項目については、前述の各項目も参照のこと。

車両構造
Z・N編成と同じアルミニウム合金製ダブルスキン構造を採用している[33]。更なる騒音低減のために、車体天井中央部にある特高圧引通線の覆いを車体屋根中央部の型材と一体化構造とし、引通線自体は型材内を貫通する構造としている[33]
4 - 5号車間には特高圧引き通しケーブルヘッドが装備されている。そのケーブルヘッドの傾斜角が騒音との兼ね合いで5度となっている(Z・N編成のものとは形状が違う)。そのため、全集幌とケーブルが接近してしまうので、絶縁の関係上、4 - 5号車間の全集幌の天井部分が撤去されている[33]
塗装
S1編成ロゴ
ボディカラーには、陶磁器の青磁を連想させる白藍色を使用し、紺藍色と金色の側面ラインが1本ある[33]
両先頭車両と奇数号車の側面には、ロゴマークが貼り付けられている。これは、JR西日本とJR九州が相互協力して山陽・九州新幹線の乗り入れを実現することを、手を携えて交わるような曲線で表現している[33]
性能
九州区間での35‰勾配の上りでのユニットカット起動時に、通常の車両性能では起動が不可能になってしまう[33]。そのため、勾配起動時のみ引張り力を増加させる(九州区間のみで使用可[33])ことで、勾配起動を可能としている[33]
最高速度はZ・N編成と同じく300km/hで、九州新幹線内は260km/hとなる予定だが、九州新幹線内の速度引き上げも検討されている[31]
電源・制御装置
4両で1ユニットを構成する(MC+M1+M'+M2)。M'車に主変換装置、M1,M2車に主変換装置を2台ずつ搭載している[33]。各車両の形式については#形式および車種を参照のこと。
鹿児島中央方 N700系S編成表 新大阪方
編成 1号車
781形(MC)
2号車
788形(M1)
3号車
786形(M')
4号車
787形(M2)
5号車
787形(M2w)
6号車
766形(M'hS)
7号車
788形(M1h)
8号車
782形(M'C)
S1 普通車
7001
60名
普通車
7001
100名
普通車
7001
80名
普通車
7001
80名
普通車
7501
72名
普通・グリーン車
7001
60名
普通車
7701
38名
普通車
7001
56名
1ユニット 2ユニット
全電動車となったことで、両先頭車が電動制御車となった。そのため、ATCノイズ対策として先頭台車用主電動機にシールドカバーとジッパーチューブの取り付けが行われている[33]
台車
既に800系を基準としたJR九州の検修設備の関係で500系、700系E・B編成、800系の台車をベースに軸梁式軸箱支持方式WDT208台車を搭載し、駆動方式も従来通りWN平行カルダン駆動方式を採用する。
特徴として、
  • 全号車へのセミアクティブダンパーの採用[33]
    • セミアクティブダンパーの制御はZ・N編成のものと同じく比例電磁式リリーフ弁による無段階制御のものを採用し、減衰力を無段階で制御できるようになっている[33]。また、トンネルと明かり区間での線路データマップを元にそれぞれの区間で最適な制御パラメータを選択する機能をもつ[33]
  • 車軸軸受けの直径を130mmに拡大[33]
    • 軸受け性能を向上させるために車軸外径を拡大した[33]。また、軸受けの荷重分布を最適化するために軸箱体の形状を変更した[33]
  • 九州区間での走行を考慮した火山灰対策[33]
    • WN駆動部の塵除けを水除けに変更することで、火山灰が多い九州区間での防塵性能を強化している[33]
があげられる。
東海道区間へ乗入れないため車体傾斜装置は未搭載であり、準備工事に留めている。
内装・設備
編成は、グリーン車(6号車の半室で定員24名)・普通車指定席(4 - 8号車で計282名)・自由席(1 - 3号車で計240名)からなり、車内はいずれも木目調のデザインが用いられて落ち着きのある内装となっている[31]。喫煙ルームの設置や6号車の半室グリーン車化による定員の減少を最小限に抑えるべく、室内機器は室内機器配置の最適化がおこなわれた[33]
普通車自由席は、ホワイトベージュを基調とした布目柄とし、仕切り壁と荷棚先端部は若桜調の木目化粧シート張りとなっている[33]
普通車指定席は、自由席と同じくホワイトベージュを基調とした布目柄とし、仕切り壁と荷棚先端部は朱桜調の木目化粧シート張りとなっている[33]
グリーン車は、普通車と同じくホワイトベージュを基調とした布目調とし、仕切り壁と荷棚先端部は古代桜調の木目化粧シート張りとなっている[33]。通路部の絨毯には紫紺色と金茶色の花唐草紋様柄を取り入れている[31]
7号車は、車椅子対応座席を備えており便洗設備も広めの設計である[31]。3・7号車には喫煙ルームを備える[31]。5号車には女性専用トイレとパウダールームを備える[31]
座席
座席比較[33]
項目 普通車自由席 普通車指定席 グリーン席
シートピッチ 1,040 mm 1,040 mm 1,160 mm
シート幅[34] 430 mm(D・E席)
440 mm(A・C席)
460 mm(B席)
460 mm 475 mm
シート配列 2列+3列 2列+2列 2列+2列
付帯設備 背面テーブル 背面テーブル
ドリンクホルダー
背面テーブル
インアームテーブル
レッグレスト
LED読書灯
オーディオ設備
座席はグリーン車と普通車指定席は通路を挟んで左右各2列、自由席は2列+3列の配置である[31]。普通車のシートピッチは1,040mmに統一されているため、両先頭車の座席列数がZ・N編成と比べて1列ずつ減少している。
普通車自由席は、Z・N編成普通席をベースとしている[33]。モケットの基本色は、3列側を「縹色」、2列側を「茜色」とし、表面の柄は市松模様を主体としている[33]
普通車指定席は、モケットの色は濃菜種色をベースとし、遠山紋をアレンジした紋様を採用した[33]。背面テーブルなどに木目調の木材を採用[33]。座席中央の肘掛が可動化されている[33]。座席の寸法は700系「ひかりレールスター」の指定席「サルーンシート」と同様肘掛の幅も大きく取られており、グリーン席並みの基本寸法を有している。
グリーン席は、Z・N編成グリーン席で新たに搭載されたシンクロリクライニング機構にエアシリンダー駆動によるレッグレストを新たに搭載[33]。モケットには濃紫紺色の花唐草模様の平織生地を採用し、テーブルなどに木目調の木材を使用している[33]


[編集] その他

深夜に搬送されるN700系車両(2007年10月24日、浜松市西区内にて撮影)
  • 2008年4月現在、日本通運CMで右の写真に見られるような本系列の搬送シーンが放映されている。
  • 2009年にZ0編成が、N700系として最初の全般検査浜松工場で実施、8月に出場している。その際、車体の号車表示や身障者表示等がZ1編成以降の量産車と同一の大きいものに改めた他、車体表記、グリーン車のマークが縮小される等、車体外装のピクトグラムを量産車と揃える変更が行われた。しかし、量産車で設置されている喫煙ルームの新設などの改造は行われていない。出場試運転後の8月5日に再び浜松工場に戻っている。[35]


[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 車両番号はグリーン車が「777-30」、普通車が「785-3505」、グリーン・普通合造車が「766-7001」など。
  2. ^ 国内新幹線向け 車両システムと電気品(東芝レポート)
  3. ^ N700系N1編成/10両編成試運転
  4. ^ 平成19年春ダイヤ改正について : JR西日本プレスリリース 2006年12月22日
  5. ^ 営・業・に・役・立・つ鉄道講座【特 集】N700系新幹線について
  6. ^ 独自ロゴの有無や車両・編成番号の書体の違い・ジャッキアップ用穴の有無など。本系列ではN編成の車両番号・編成番号表記の書体もZ編成に合わせている。
  7. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、p.58。ISBN 9784779605345
  8. ^ 試作電車や試験車両での採用例は過去に1000形952・953形などがある。
  9. ^ 『鉄道のテクノロジーVol.1 新幹線』 三栄書房、2009年、p.38。ISBN 9784779605345
  10. ^ 在来線車両では313系2次増備車で先に導入されている。
  11. ^ 700系までの車両は東京方先頭車に行先表示器は設置されていなかった。
  12. ^ JR西日本所属車では、700系(B編成・7000番台E編成)ですでにLED化されている。
  13. ^ 行先表示器の指定席/自由席表示の色も同じである。
  14. ^ 最高起動加速度は500系が1.92km/h/s、700系が2.0km/h/s、800系が2.5km/h/sである。
  15. ^ 700系が270km/h走行時14.7kWh、100系の220km/h走行時が13.9kWh。
  16. ^ のぞみN700系デビュー JR岡山駅で出発式 最新技術と省エネ装備 - 岡山日日新聞、2007年7月2日
  17. ^ 『鉄道ファン2005年8月号』 交友社、2005年、p.87。
  18. ^ 肘掛部分を除いた幅。ただし3人掛け中央のB席は従来車両と同じ460mmである。
  19. ^ N700系でインターネット接続サービス開始!(無線LAN) - JR東海ニュースリリース
  20. ^ 次世代新幹線車両・N700系(量産車)に、車両用LED照明器具を納入 : 松下電工2007年7月4日付ニュースリリース
  21. ^ 「N700系新幹線」にLED照明を納入~読書灯・側補助灯などが次世代新幹線に大規模採用~ : 東芝ライテック2007年7月20日付プレスリリース
  22. ^ ただし、上りの30号・34号は2時間36分運転である。
  23. ^ 平成20年3月ダイヤ改正について : JR東海ニュースリリース 2007年12月20日付
  24. ^ 平成20年春ダイヤ改正について : JR西日本ニュース 2007年12月20日付
  25. ^ N700系の投入計画について : JR西日本ニュース 2007年9月26日付け
  26. ^ 新幹線の列車名決定! : JR九州公式サイト
  27. ^ 山陽新幹線と九州新幹線の相互直通運転の実施について : JR西日本ニュース 2007年10月17日付。
  28. ^ ひかりレールスター廃止へ 九州新幹線全線開業に合わせ : 産経新聞2008年8月14日
  29. ^ JR九州所属車の番台は東芝公式ホームページの「東芝レビュー64巻9号(2009年9月号)」では「8000番台」と記述されているが、JR九州からの公式発表はまだない。[1]
  30. ^ 月刊「鉄道ファン」鉄道ニュース(2008年10月4日付)。
  31. ^ 「JR西日本 N700系7000番台(山陽・九州新幹線直通用車両量産先行車)」、『鉄道ダイヤ情報』、交通新聞社、2008年12月。
  32. ^ N700系7000番台S1編成,試運転で新大阪へ(railf.jp)
  33. ^ 「山陽・九州直通用新幹線電車(量産先行車)車両概要」、『鉄道ジャーナル』、鉄道ジャーナル社、2009年1月。
  34. ^ 肘掛部分の幅を除いた寸法。
  35. ^ 「RailMagazine」2009年10月号の記事より

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最終更新 2009年11月20日 (金) 13:44 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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