族議員

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[編集] 族議員の定義

族議員(ぞくぎいん)とは、国会議員の中で、特定の省庁についての政策知識や人脈に明るく、かつ業界や団体への利益誘導を行っている政治家を指して言うケースが多い。定義が曖昧な上、明確な身分的所属もないため、個々人を特定して正確に分類することは困難である。

今日では旧来型政治家の象徴として使われることが多く、そう呼ばれることを快く思わない国会議員がほとんどである。専門とする分野についての知識と見識に長けていることや、出身、家業をもって族議員と分類することはない。

[編集] 概要

今日日本で用いられる組織的・体系的な集団が台頭したのは1970年代からとされる。これは自民党による長期支配が定着し、政府提出法案の国会提出前に党政務調査会内の関係部会が法案の事前審査を行なうことが政府・自民党におけるルールとして確立されたことによって、党政務調査会の各部会構成員である自民党議員の政治的な調整機能が急速に拡大したためである。

族議員の一部は集票または政治資金の獲得を目的としたロビイストであるとされることもあり[1]、その極端な例を元に特定の省庁や業界の権益を巡る癒着体質として、しばしば問題視されている。これは法案の事前審査の結果を直接左右することのできる「族議員」、関係省庁の局長クラスなどの中堅幹部、関連業界の三者の強固な結束により、三者のいずれかが反対する法案を国会で成立することが困難となったためである。

官僚や業界が反対する政策について、政府が族議員を味方につけることができた場合には改革推進の原動力となってきた。例えば、国鉄改革においては、中曽根康弘首相と連携した運輸族の働きが国鉄民営化の推進力となったことが確認されている。

一方で、政府や与党幹部が推し進める政策に反対する国会議員の事を恣意的に「族議員」として扱う事例も見られる。例えば郵政国会当時、郵政民営化法案に反対した国会議員は無差別かつ否定的に「族議員」と呼称され非難された。

また、報道や政争では否定的に扱われている族議員だが、専門とする分野についての知識と見識に長けているので一貫性を持って安定した政策立案・遂行を進めていくというメリットが存在する。また対立型の政治では無視されがちとなる政治的弱者に対する政策的な配慮の発揮も可能となっている。


[編集] 族議員の出自

族議員はその分野を所管する省庁の大臣政務次官などの経験者、所管官庁のキャリア官僚事務次官審議官など)の出身議員が多く、各省庁に対応する形で設置された政務調査会の部会に属する、関係省庁の官職を経験することを通じて政策立案の決定権を握る。

なお、族議員は自民党議員に限定されたイメージを持たれているが、55年体制下の旧・社会党や現在の民主党も含め野党議員内にも同様の族議員の存在が指摘されている。

族議員の名称は自民党の政策部会の名称や調査会の名称や国会委員会の名称から冠されている。

[編集] 族議員の分類

主な族議員として、建設族・道路族(国土交通省)、農林族(農林水産省)、郵政族(総務省)、文教族(文部科学省)、厚生族・社労族(厚生労働省)、国防族/防衛族(防衛省)、商工族(経済産業省)などがあげられる。

[編集] 定義の難しさ

特定の業界、団体への利益誘導を行う政治家を全て族議員と呼ぶわけではない。また、国民全体の利益よりも業界や団体の利益を優先していることをもって族議員と断定することもできない。 例えば、障害者の自己負担金の減額や雇用義務強化を訴えることは国民全体の経済的な利益には必ずしも合致せず、国民に大きな不利益をもたらすことであるが、障害者団体への利益誘導を図っている構図ではあっても、それらを指して族議員と呼ぶことはない。

[編集] 脚注

  1. ^ 田勢康弘「豊かな国の貧しい政治」

[編集] 参考文献

  • 湯浅博『国会「議員族」―自民党「政調」と霞ヶ関』教育社.1986年.ISBN 4315503800
  • 猪口孝岩井奉信『「族議員」の研究―自民党政権を牛耳る主役たち』日本経済新聞社.1987年.ISBN 4532094402
  • 建林正彦『議員行動の政治経済学―自民党支配の制度分析』有斐閣. 2004年. ISBN 4641076898
  • 大嶽秀夫『自由主義的改革の時代―1980年代前期の日本政治』中央公論社.1994年.ISBN 4120023427
  • 日本経済新聞政治部『ドキュメント族議員』社会思想社.1994年. ISBN 4390115286
  • 金子仁洋『地方再興―官と族議員は地方の敵にまわるか』マネジメント社.2007年.ISBN 4837804438
  • 村川一郎『自民党の政策決定システム』教育社.1989年.ISBN 4315509019
  • 村川一郎『日本国「政府」の研究―現代政治における政党の地位』ぎょうせい.1994年.ISBN 4324040095
  • 村川一郎『政策決定過程―日本国の形式的政府と実質的政府』信山社出版.2000年.ISBN 4797252200

[編集] 関連項目

最終更新 2009年8月2日 (日) 05:28 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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