日本在来馬

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御崎馬

日本在来馬は、日本の在来馬、すなわち、洋種馬等の外来の馬種とほとんど交雑することなく残ってきた日本固有の、及び、その馬種の総称である。

略して単に在来馬と言うことも多く、また、和種馬在来和種(馬)とも呼ばれる。また、その馬種を日本在来種日本在来馬種、その馬を日本在来種馬と言うこともある。

現存のものは8種に分かれるが、その多くは個体数がたいへん少なく、絶滅が危ぶまれている。(日本)在来家畜の一つ。

目次

[編集] 歴史的経緯

日本在来馬の原郷は、モンゴル高原であるとされる。現存する東アジア在来馬について、血液蛋白を指標とする遺伝学的解析を行った野沢謙によれば、日本在来馬の起源は、古墳時代に家畜馬として、モンゴルから朝鮮半島を経由して九州に導入された体高(肩までの高さ)130cm程の蒙古系馬にあるという。

明治以降、特に日清日露戦争の後に、日本の馬匹改良は、国策としての軍馬増強に主眼が置かれ、馬格の大きい洋種馬との交配による大型化が行われた。まず明治34年(1901年)の「馬匹去勢法」によって、種牡馬及び将来の種牡馬候補以外の牡馬は全て去勢することが定められ、ついで日露戦争後の内閣馬政局の設置(明治39年(1906年))、さらには昭和14年(1939年)の「種馬統制法」によって、これがさらに強化徹底された。この大規模な「改良」の結果、多くの地方では短期間の内に純粋な在来馬が消滅するに至った。

しかしそのかたわら、離島や岬の先端など、主として交通が不便な一部地域には、外国産馬(洋種馬)の血がほとんど入らず、かつての姿をよくとどめる馬群が、細々とではあるが残された。そのような馬群8種を、日本馬事協会が「日本在来馬」として認定し、現在まで保護にあたっている。これらのほかにも農耕馬が使われている地域は存在するが、いずれもある程度洋種馬と混雑しており、純血種に近いものはこの8種のみであると考えられる。

8つの馬種は品種であり、遺伝子的には地域個体群程度の差しかないが、それぞれに特徴があり、体形が異なる。

[編集] 在来8種

馬 種 地 域 体 高
(肩までの高さ)
頭数(注) 備 考
北海道和種
(俗称:道産子
北海道 125-135cm 1,468
木曽馬 長野県木曽地域木曽郡開田村)、
岐阜県飛騨地方
125-135cm 148 長野県天然記念物
御崎馬 宮崎県都井岬串間市 100-120cm 122 国天然記念物
対州馬 長崎県対馬対馬市 125-135cm 27
野間馬 愛媛県今治市野間 110-120cm 84 今治市天然記念物
トカラ馬 鹿児島県トカラ列島鹿児島郡十島村 100-120cm 96 鹿児島県天然記念物
宮古馬 沖縄県宮古島宮古島市 110-120cm 25 沖縄県天然記念物
与那国馬 沖縄県与那国島八重山郡与那国町 110-120cm 90 与那国町天然記念物
注:頭数は、2006年現在の保存地域内での飼養頭数[1]

このほか、純血種が絶滅してしまっている在来馬として、南部馬・三春駒・三河馬・能登馬・土佐馬・日向馬・薩摩馬・甲斐駒・ウシウマ種子島)などがある。また、寒立馬は南部馬と外来馬の交配種とされる。

[編集] 特徴

宮古馬
与那国馬

日本在来馬は、前述のようにすべて小型馬・中型馬であり、ポニーに分類され、これはモンゴルの他、中国や朝鮮半島でも最も一般的であった蒙古馬系に属する。

競馬等で親しまれているサラブレッドなどの近代軽種馬と比べた場合の特徴として、全体としてずんぐりした体形、具体的には、やや大きめの頭部、太短くて扇形の首つき、丸々とした胴まわり、体格のわりに長めの背、太くて短めの肢、豊かなたてがみや尾毛、などが挙げられる。顔面や四肢の白微はなく、背中に鰻線(まんせん、背筋に現れる色の濃い線)をもつものが多い。ただし、各馬種ごとにも体形には違いが見られる。

日本在来馬は体質強健で、よく粗飼に耐える。消化器官が発達しており、そのため、野草のみでも育成できると言われる。体は丈夫で、寒冷地でも年間放牧が可能であるとされる。平均的に骨やが堅く、骨折などの事故はあまり起きない。この「蹄が堅い」という在来馬の特長から、日本では雪国で馬にはかせる藁沓(わらぐつ)を除いて、蹄鉄が発達しなかった。

さらに、特徴的な歩様(歩き方)として、日本在来馬は「側対歩」、すなわち、前後の肢を片側ずつ左右交互に動かす変則速歩で歩く。この歩様は上下動が少ないため駄載に適し、特に険しい山道での運搬には向いている。体格のわりに力強く、特に後ろ脚が発達していることもあり、日本在来馬は傾斜地の歩行をあまり苦としない。 また、比較的温和な性格のため、ハミをかませる必要もなく、容易に扱うことができたとされる。このことが原因の一つとなって、日本では明治に至るまで、去勢術が定着しなかった。

一方、平坦地のスピードにおいては、日本在来馬は、スピード競争のために品種改良が重ねられたサラブレッドに遠く及ばない。全馬種のなかで最も高速で走るサラブレッドが平坦地で時速60km 以上のスピードで走れるのに対して、木曽馬は時速40km程度である。

[編集] 保護

現存の日本在来馬の中には、木曽馬のように、純血種としては一度絶滅したものを、戻し交配によって復活させたものもある。

8品種がそれぞれ文化財として指定を受け、日本馬事協会および各地保存会によって、頭数の維持・増加が図られているが、総数としては、1996年から減少の一途をたどっている。2002年現在、8品種で2,400頭ほどだが、その過半(約1,800頭)は北海道和種に占められており、他の7品種は合わせても600頭ほどにしかならない。

貴重な純血種として在来馬をただ保存するだけではなく、積極的な活用策の構築が望まれる。

現在、御崎馬が、国の天然記念物に指定されているほか、木曽馬が長野県の天然記念物、野間馬が今治市の天然記念物、トカラ馬が鹿児島県の天然記念物、宮古馬が沖縄県の天然記念物、与那国馬が与那国町の天然記念物にそれぞれ指定されている。

[編集] 脚注

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  1. ^ 日本在来馬の飼養状況(pdf) - 社団法人日本馬事協会

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月30日 (月) 11:10 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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