日本語における外国語の誤用
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日本語における外国語の誤用とは、外来語・和製英語・洋語における外国語の誤った用例である。
なお、本ページ名に「外国語」を用いたのは、外来語として定着していない言葉も多々あり、主として欧米語の誤用を取り扱うこととしたい。
目次 |
[編集] 主な用例
[編集] まったく違う意味で使われている言葉
- スマート【smart】
- 英語では、「体形が整っている様」という意味はない。「体形が整っている様」には、スリム【slim】、スレンダー【slender】が使われる。
- 英語の【smart】は以下の2つの意味で用いられる。
- 賢い、頭が切れるといった意。「インテリジェント」と同義語。
- 服装・体裁が洗練されている様。
- ボディチェック【body check】
- 日本語では空港などでの身体検査の意味で用いられるが、英語ではアイスホッケーなどの「体当たり」を意味する。正式には【body search】や【pat-down】、【frisk】など。金属探知棒での検査は【wanding】、手荷物検査なども含めた広義では【security check】とするのが正しい。
- ワークショップ【workshop】、【work shop】
- 日本語では「体験型の講座」の他に「作業着店」という意味でも使われるが、英語では「作業着店」という意味はない。「作業着店」は【working ware shop】等である。
- 英語の【workshop】は、元々は作業場・工房の意味で、そこから体験型の講座を指すようになった。
- ワッフルアイロン【waffle iron】
- 日本語では「ヘアーアイロンの一種」で使われるが、英語では「ワッフルを焼くための調理道具」という意味になってしまう。
- スパッツ【spats】
- 日本語ではタイツに似た下着またはボトムスの意味で使われる事が多いが、英語では靴の上に装着し足の甲から足首を保護する覆いを指す。前者のような衣類は英語ではレギンス【leggings】と呼ばれ、近年では日本でもその呼び名が浸透しつつある。
[編集] 表記に誤りがある言葉
- 英語では"W"の文字の語源は「double u」(二重のu)とされるが、英語の"W"の文字に「ダブル」の意味はない。ダブルは【double】と表記する。
[編集] 用法に誤りがある言葉
- シュート
- ショット
- よく「シュートを放つ」「ショットする」というが、英語では【shoot】は動詞、【shot】は名詞である。日本語の表現では、「シュートする」「ショットを放つ」の方が英語本来の意味に近い。また、【shot】は【shoot】の過去分詞形としても用いられる。
- 「しつこくつけまわす人」【stalker】という意味での用法は正しい。2000年に日本でストーカー行為等の規制等に関する法律が施行されたことから、「ストーカー行為」という用法が広まってきた。しかし、「行為」という語は動作を表す名詞に続くのが普通であり、その意味ではストーキング行為、あるいは単にストーキングと表現するのが適切である。
- フィール
- 日本語では「気分」や「感覚」という意味で用いられるが(特に自動車関連で用いられることが多い)、英語の【feel】は動詞での用法が主であり、名詞として用いられる場合も「感触」等の意味である。英語では「気分」や「感覚」の意味では、フィーリング【feeling】が用いられる。
- セミダブル(Small double)
- セミ(semi)とは半分を意味する言葉で、ダブル(double)とは2つを意味する言葉なのでセミダブルとは『2つの半分』と言う意味 になってしまうため、この言葉の使い方は、英語圏では使われない。シングルとダブルの間のサイズは、スモールダブル(small double)と呼ぶ。
[編集] 都合の良い(悪い)意味に誤用された言葉
- 日本語では「苦情」の意味で用いられるが、英語の【claim】は「要求」、「請求」、「申請」、「主張」という意味で苦情に限って用いられない。英語では、【complaint】が「苦情」の意味である。
- 日本語では「繊細」、「素直」と言った中立的な意味で用いられるが、英語では【sensitive】が一般的である。英語の【naive】は、「世間知らず」、「お人よし」、「馬鹿正直」といった否定的な意味で用いられる。もっとも、英語の【naive】にも「純朴な」という意味があるため、かならずしも否定的なニュアンスで用いられるとは限らない。因みに、元はフランス語で(naïve)、英語にとっても外来語である。
- 日本語ではいわゆる「萌え」の意味で使われるが、元々の英語の【fetishism】は「物神崇拝」、「異常性欲」「変態性欲」の意味である。日本語でも、略さないフェティシズムは英語と同様の意味で用いられるので、略語と本来の英単語とで意味が変わっている。
- 英語の【rival】は敵対・対抗意識を抱いている競争相手の意味であり、日本語のように「ライバル関係にある友人」の意味は無い。英語では、ライバル関係にあっても、「良きライバル」というような表現はまずしない。
- 日本語では「人員整理」「解雇」の意味でしか用いられないが、元々の英語の【restructuring】は、企業の事業や組織などの「再構築」という意味であり、人員整理のみを意味するわけではない。
- 日本語では「再挑戦」、「雪辱」という意味でも使用されるが、英語の【revenge】は「復讐」、「報復」という意味のみで、「再挑戦」、「雪辱」という意味はない。英語で「再挑戦」の意味があるのは【return match】か、【rematch】。 この言葉は、プロ野球パリーグ西武ライオンズの投手、松坂大輔が1999年の新語・流行語大賞を受賞した言葉であるが、K-1リベンジが最初とされる。
[編集] 本来の意味が忘れられてしまった言葉
- もとフランス語でパンツ(ズボン)全体を意味する言葉であるが、1970年代に流行した、いわゆるブーツカット(ベルボトム)タイプの裾が広がったパンツのことをそう呼んでいるうちに、意味が狭まってしまったものと考えられる。
- 「ミシン」は【machine】が転訛したもの。元々機械全体を指したが、日本に輸入する段階で「ソーイングマシン」(縫製機)だけを指す言葉として定着してしまった。
[編集] 和製外来語
和製英語は、英語が逆輸入したわずかな例外を除き、「英語としては」間違いである。
その他の和製外来語も同様である。
- モーニングコール(wake-up call)(ホテルで客を起こすための)目覚ましコール。
[編集] その他の主な例
- イヤー・オブ・ザ・コーチ (coach of the year) ※逆である。高校野球の指導者に対して贈られていた賞である。2006年「育成功労賞」に改名。
- カスタム (custom) ※本来の"custom"はオーダーメイドなどの意味。
- カンニング (cheating) ※本来の"cunning"はずる賢いなどの意味。
- コンプレックス (complex) ※本来は複合体、合成物、大型アパートや団地などの意味であり、そこから派生した精神分析の用語として「強い感情やこだわりをもつ内容で、ふだんは意識下に抑圧されているもの、つまり心的複合体または感情複合」という意味である。日本語での一般の用法としては「劣等感」という意味が通例であるが、本来的には劣等感コンプレックスは各種の心的複合体のひとつにすぎないし、また厳密な意味では劣等感と同義語ではない。
- サイダー (soda pop) ※"cider"はイギリス英語圏ではリンゴ酒(シードル)、アメリカやカナダ英語では精製・熱加工していないリンゴのジュースをさす。
- 歌手やスポーツ選手などの「サイン」 (autograph) ※名詞の"sign"は「看板」などの意味。クレジットカードを使用する際の「署名」のことはsignatureという。
- サークル(大学などの)(club)
- シール (sticker) ※粘着剤付きで装飾用の紙などの小片、例えば「ビックリマンシール」のたぐいは "sticker"だが、日本語の「ステッカー」と異なり、かなり小型のものも含まれ、大きさの区別は無い(日本語では小型のものをシール、大型の物をステッカーといって区別している)。付箋や荷札は "label"。本来の "seal"は印章、および印章によって行われたことから封印の意味。英語圏でも「シール」と言って差し支えないのは封緘紙ぐらいか。
- ジャンパー (Windbreaker, jacket) ※英国では "jumper" といえばセーターやトレーナーになる。
- ショートケーキ ([strawberry] cake) ※米国で言う"shortcake"は、スポンジの代わりに菓子パンの一種であるビスケット(biscuit)を使ったケーキ。"short"は(食感が)さくさくしている、という意味。
- シルバー ※老人を意味するのは日本独自。なお、白髪はwhiteであってsilverとは言わない。シルバーシートは priority seat といい、老人に限らず「優先席」を意味する。
- シンプル (simple) ※文字通り「単純」という意味なので、あまり肯定的なニュアンスは含まない。人間に対して使う場合は思慮のない愚か者という侮蔑的な表現となる。
- スイッチバック駅の一部 ※本来の"switchback"は、ジグザグの意味で勾配上に設置されるスイッチバック駅は語義どおりの使い方だが、遠軽駅、十和田南駅のように、一方側が行き止まりで単に方向転換をする駅をスイッチバック駅と称すのは誤用に近い。
- スキー (skiing) ※"ski"は「スキーをする」という意味の動詞、または「片方のスキー板」という意味の名詞。スポーツとしての名称は"skiing"。
- スケルトン (translucent) ※原意は「骨格」。生物の骨格の意味でも比喩的な意味でも使う。デザインでは外装に透明素材を使い骨格(内部構造)が見えるものの意味で使う。日本では「透ける」という語感から、透明素材を使うこと自体を意味することがあるが、誤り。
- スチュワーデス (flight attendant) ※女性のみに限定されるため、現在ではあまり使われない。
- 本の「スピン」 (ribbon, tassel)
- ストレート(テニス)(down the line) ※上から見たボールの軌跡が直線で、サイドラインに平行なボールを指すことがあるが、直線でさえあれば平行でなくてもストレートである。
- スペル (spelling) ※「綴り」という名詞では"spelling"となる。"spell"は動詞では「綴る」で、名詞では「呪文」などの意味を持つ。
- スリッパ (scuffs, mules) ※slippersは上履きなど(紐がなくかかとが低い)
- ダイエット ※本来の"diet"は腎臓病などを含む食餌(事)療法の意。英語でも痩身のための食事療法の意味には使うが、食事療法以外の手段には使わない。
- タイム・フライズ・ライク・アン・アロー (Time flies.) ※日本語の慣用句「光陰矢のごとし」と英語の慣用句"Time flies."とが混ざったもので、"Time flies like an arrow."という慣用句は元々存在しない。
- ダイヤ (schedule) ※"diagram"は運行予定を表す線図だが、運行予定そのものには使わない。
- ダウト (false) ※"doubt"は怪しい、疑わしいという意味だが、カミングダウトのダウトのような嘘とか偽という意味(トゥルー(真実、true)の対義語)はない。
- タックル (tackle) ※tackleは専らフットボール用語であり、格闘技用語としては使われない。レスリングなどの格闘技で相手の足に組み付いて倒す技術は「テイクダウン (takedown)」または「レッグダイブ (leg dive)」と呼ばれる。
- タレント ※本来の"talent"は「才能」「才能のある人」の意味。芸能人という意味では、誤用とは言い切れない。
- チャーリーズ・エンジェル (Charlie's Angels) ※複数形が正しい。尚、日本語には単数形と複数形の区別が無いため、英語の文法的数の変化を言い出したらあらゆる可算名詞が誤用扱いされるおそれがある。
- チョーキング (bending) ※"choking"は「首を絞めること」の意味。ギターの弦を押し曲げて音の高さを変える演奏法の意味には使わない。
- デノミ(デノミネーション) (redenomination) ※本来は単に通貨の呼称単位そのものの意味。日本語のようにインフレで通貨の価値が下落して額面数字を小さくするために呼称単位を変更(100円⇒1新円)する意味で使うときは接頭辞の「re-」をつけた言葉になる。
- テンション (hyper) ※"tension"は緊張や不安を意味する。日本語のような興奮した状態を示す英語は"hyper"など。
- トーナメント (knock out system) ※本来の"tournament"は、1箇所に集まって行う競技会という意味。日本語ではノックアウトシステムの競技会にほぼ限定されて使用。
- ドメスティック・バイオレンス (spousal abuse) ※本来家庭内の暴力全般を意味するが、日本語としては専ら配偶者による暴力のみを意味するように変化した。これは、「家庭内暴力」という日本語として通りのよい言葉との使い分けが意識された結果である可能性がある。
- トランプ (playing cards) ※本来の"trump"は「切り札」を指す。
- ドリブル(バレーボール)(double contact) ※ボールに2回連続で触れること。
- ハイウェイ (highway) ※高速道路も含むが、主要道一般を指す。高速道路は"express way"。
- バーゲン (sale) ※"bargain"は元々は「掘り出し物」の意味で、「催し物」を意味することは無い。
- ハンバーグ (hamburger [steak]) ※ハンバーガー(hamburger)は本来、挽肉料理のハンバーグのことを指し、それを用いたサンドイッチもその名で呼ばれる。後者のみに限定するのは日本での用法。単にハンバーグと言うと、その語源となったドイツの都市ハンブルク(Hamburg)と解される。
- ファイト (fight) ※英語では戦う・喧嘩するの意味で、「がんばる」や「闘志」の意味では使わない(ボクサーに対して試合中かける"Fight!"は「戦え」という命令形)。日本で運動部がランニングのとき「ファイト!」と掛け声をかけるが、英語なら"Keep go go go"や"Keep running"になる。試合などで子供にそのような掛け声をかければ「喧嘩しろ!」となり、暴力行為を示唆していると見られる。韓国では、使用法は日本と同じだが、「パイティン」のほうが普通(韓国では外来語の発音が韓国語の発音に準じているためである)である。
- フライングスタート、フライング (premature start, breakaway) ※本来の"flying start"は助走を付けて行うスタートのことを指す。
- フラッシュライト (flashlight) ※本来は懐中電灯の意だが、日本語ではSurefire等、特殊部隊が用いる敵の目を眩ます小型ライトの意味で用いられる。
- フレンチキス(French kiss) ※本来はディープキスを意味するが、日本ではライトキスを指す場合がある。
- ウェブページ全般を意味する「ホームページ」 (webpage) ※"homepage"は、ウェブブラウザのホームボタンを押した時に表示されるウェブページを指す。
- 体型を意味する「プロポーション」「スタイル」 (figure) ※"proportion"は比率、"style"は様式や文体の意味が強い。
- マイカー (private car) ※"my car" は単に「私の車」で、自家用車の意味はない。
- マイホーム (one's own home, one's own house) ※家は"house"、家庭は"home"と表現するが、両者は明確には区別されていない。
- マーシャルアーツ (martial arts) ※本来の"martial arts"は武道、武術、格闘技を指す普通名詞。劇画作家梶原一騎が、自身の作品、「四角いジャングル」にて、“米軍の格闘術”あるいは“アメリカンスタイルの空手”として捏造したのが発端。“米軍の格闘術”という誤訳は、現在でも格闘ゲームなどのサブカルチャーにて強く信じられている。
- マニア (enthusiasm, enthusiast) ※本来の"mania"は熱狂、熱狂の対象あるいは躁病を意味し、熱狂している人を示す場合には"maniac"を用いる。ただし日本語のマニアに比べ強い執着を伴う批判的イメージがあるため注意。
- マンション (米・カナダapartment house, 英・flat,(日本でいうアパート)condominium) ※本来の"mansion"は豪邸の意味。
- ムーディ (nice) ※"moody"は移り気なの意味。
- メーカー (manufacturer) 製造業者の意で広く用いられている「メーカー」は、英語ではmanufacturer(マニュファクチャラー)が相当。makerは合成語として用いられるのが一般的でautomaker、watchmaker、drugmakerなど製造業者だけでなくpolicymakerなどでも使用される。
- モラル・ハザード (対応語なし) ※"moral hazard"は保険システムの整備が危機感を減少させてむしろリスクを上昇させてしまう現象のこと。日本語の「モラル・ハザード」が倫理意識の喪失という意味を持ってしまっているのとは異なる。
- リニューアル (remodeling, update) ※日本語では新装開店を意味するが、英語本来の意味は契約更改、免許や購読の更新。ウェブページの更新は"update"。したがって「ホームページをリニューアルする」は三重の誤用で、名詞の"renewal"を動詞として使っている。
- リフォーム (renovation) ※日本語では住宅の改装工事や服の仕立て直しなどを意味するが、本来の英語では政治などの制度改革をする、または犯罪者などを矯正するという意味。改装工事は"renovate"や"remodel"、服の仕立て直しという意味では"alter"が正しい。
- リンス (hair conditioner) ※英語では単に「すすぐ」という意味で、コンディショナーを意味する名詞としては使われない。
- レパートリー (repertory) ※音楽家の演奏可能な曲目を意味する場合は、フランス語起源の"repertoire"(レパトワ)を用いる。
- ローラースケート (roller skates) ※一足では複数形となる。ローラースケートで滑ることは"roller skating"。
- ワンマン (dictatorial) ※「統括者が組織内で独裁的に物事を動かす」という意味での「ワンマン」。運転手が運転の他、運賃収受を行う公共交通の運行形態である「ワンマン運転」"one-man operation" から転じて成立。"one-man operation," "one-man car" は性別を特定する語句のため、現代の米英では用いられなくなりつつある単語であるが、過去のバス会社の合理化事例の紹介など、歴史的文脈では登場する。
[編集] 厳密には日本語における誤用とは言えないもの
[編集] 原語では希か廃れた用法
- カメラマン (= 写真家) (photographer) ※本来の "cameraman" はスチル写真の写真家を意味したが、映画の登場後、英語では映画(およびテレビ撮影)のカメラマンを意味するように変化した。
- サービス (free of charge, on the house) ※英語のserviceに無料の意味はないといわれるが、英語でも(無料の)奉仕、親切という意味があるので、誤用とは言い切れない。
- ジャスト (exactly) ※"just 1000yen"(ジャスト1000円)は、英語では「1000円丁度」の意味にも「1000円しか無い」の意味にもなるが、日本語では「1000円丁度」の意味しか無い。因みに「12時ジャスト開始」は、"start at 12 noon sharp"。
- スリップする (車が) (skid) ※英語でも"slip"が使われることがある。
- ツーショット (two-shot) ※本来はアメリカ映画業界の業界用語で、映画以外には用いられない。英語を母国語とする一般の人に"two-shot"と言うと「二人が銃で撃たれた」などの誤解をされる可能性がある。
- 工具のドライバー (screw driver) ※カクテルも同じ綴り。尚、プラスドライバー、マイナスドライバーはそれぞれ"phillips"(アメリカで発明されたものをフィリップス社が買い取り特許を取得した このフ社はカセットテープで知られるオランダの同名企業とは異なる)、"flat head"の方が一般的で、"plus driver" "minus driver"は稀にしか用いられない。
- バイク (motorcycle) ※イギリスではバイク(bike)と言うと、「発動機を搭載した二輪車(オートバイ)」の意味と「自転車(bicycle)」の意味の両方で使用されている。ただし、日本語の意味は前者に従っているが、アメリカでは後者の意味が一般的。
- ポスト (mailbox, postbox) ※"post"はイギリスでは「郵便物」を意味するが、アメリカでは単に「柱」の意味になる。
- マネージャー (caretaker) ※本来の"manager"は「経営者」、「(野球の)監督」。ただし、英語でも学校のクラブ活動などの「マネージャー」に"manager"が用いられることがある。
- ヨット (sailboat) ※"yacht"は普通、個人所有の豪華クルーザーか、遊行船一般を意味する。日本語のヨットの意味では紛らわしいためあまり用いられない。
- ライフライン (lifeline) ※日本語では「生活線」または「生命線」と表現され、主に電気・ガス・水道等の公共公益設備など、都市機能を維持し現代人が日常生活を送る上で必須の諸設備を指す。阪神・淡路大震災以降、よく使われるようになった。和製英語のように誤解されがちだが、れっきとした英語圏からの用法である。
- X'mas (Xmas) ※Xはギリシア語でキリストを表すΧΡΙΣΤΟΣ(Christos)の略なので、もともとは省略を意味するアポストロフィをつけていたが、英語ではその後、アポストロフィを付けない形が広まった。[1]
[編集] 日本語の外で生まれた誤用
- クリスタル (shiny) ※本来は、結晶という意味だが、きらきらしたものという意味で使われている。英語での誤用が日本語の意味にも入っている。
- バーチャル (virtual) ※本来の意味は「仮想の」ではなく「実質的な、事実上の」である(「実質的な」は言外に「本当はそうではないが」という意味も含む)。これはIBMがreal memoryに対して実質的に記憶装置 (memory) と同じ働きをするvirtual memoryを日本語訳する際、仮想記憶と訳してしまったところに始まる。その働き・効果に目を向ければ実質的であるのに、仕掛け・装置の方に(強調して)目を向けてしまったために「仮想」となってしまった。しかし、「抽象化された」(abstracted)と言う意味を含むこともある。訳語の表面的な意味が強調されて誤用された例と言える。
- ハッカー (cracker) ※"hacker"は海外のマスメディアでも「コンピュータないしネットワーク犯罪者」の意で用いられているので誤用とは言い切れないが、本来はコンピュータないしプログラミングに精通した人、達人の意であった。もちろん「悪い」ハッカーはクラッカーであると言える。格別プログラミング能力を持たず、出来合いのセキュリティ侵害プログラムを利用するだけの者はスクリプトキディ(script kiddy)と呼ばれる最下級のクラッカーである。英語圏由来の誤用が、日本語においても都合の悪い意味に解釈されている。
- リクルート(finding job by new graduates) ※本来はグループに加わることで「軍隊への入隊」を意味してはいなかったが、後になって誤用され、「軍隊の新兵募集」の意味が定着してしまった。それが、日本では民間企業の新卒就職に関わる言葉となっている。英語の"recruit"を比喩的な響きとして、「民間企業の新規就業」の意味に用いたためである。
[編集] 商標に由来するもの
商標は企業が自由につけるものであり、正しい・間違っているを論じるべきものではない。ただし、それを他社製品について使うようになれば、「外国語の誤用」とはまた別の誤用と言える(商標の普通名称化)。
- ブロマイド(picture, photo) ※浅草のマルベル堂がスターのブロマイド写真(臭化銀 = シルバーブロマイド を使った写真)を商品名「プロマイド」で売り出したのが始まり。本来の"bromide"は臭化物で、英語では退屈な人、陳腐な言葉という意味が派生している[2]。
- セロテープ(Pressure sensitive tape)ニチバンにおけるセロハンテープの商標。アメリカでは3M社の「Scotch tape」。イギリスでは同様に商標名であるsellotapeという言い方が一般的であり、sellotapeで通じる。
[編集] 文法数の違い
日本語には文法数の区別がないため、英語など数の区別がある言語からの借用では、単数形か複数形かいずれか片方だけが借用され、実際の個数に関わらずその語形だけが使われる。これも、本来の数の区別からは「誤用」と言えるが、日本語の文法から来る制約であり、ここまでで述べたような語義の問題とは性質が異なる。
借用される語形は原則として単数形だが、
- 原語で複数形を使うことが多い語
- 複数形が不規則変化する語
- 単数形が短かすぎる語
などで、複数形が借用される傾向がある。
シューズ (shoes)、ショーツ (shorts)、スラックス (slacks)、ソックス (socks)、タイツ (tights)、トランクス (trunks)、パンツ (pants)、パンプス (pumps)、ブーツ (boots) など、2つ1組とみなされて英語では単数形を使うケースがほとんどない場合は、日本語でも複数形を借用することが多い。しかし、同様の単語でも、サングラス (sunglasses)、サンダル (sandals)、ストッキング (stockings)、ブリーフ (briefs)、ブルマ (bloomers)、ミュール (mules) など、単数形の借用も多い。
ロマ (ロマ語 Roma、単数形 Rom) のような民族名も、複数形を使うことがある。
単位名は、英語では複数形で使うことがほとんどだが、日本語では単数形になることが多い。しかし、フィート (feet、単数形 foot) は複数形を借用し、ペニー・ペンス (penny、複数形 pence) は両方使う。
複数形を借用した語には他に、インディーズ (indie(s))、グッズ (good(s))、ダイス (dice、単数形 die)、タコス (スペイン語 taco(s))、データ (data、単数形 datum)、ニーズ (need(s))、マギ (ラテン語 magi、単数形 magus)などがある。
原語で -t(複数形は-ts)で終わる語の中には、シャツ (shirt(s))、スポーツ (sport(s))、フルーツ (fruit(s))、バケツ (bucket(s)) など、「ツ」で終わる語がかなりある。しかしこれらは、複数形を借用したのか、単数形の-tを「ツ」に音写しているのかを、カナ表記から判断することは難しい。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月22日 (日) 19:38 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【日本語における外国語の誤用】変更履歴

