早期警戒管制機

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フライト準備中の米空軍のE-3 Sentry airborne warning and control system (AWACS) 1997年11月3日

早期警戒管制機(そうきけいかいかんせいき、airborne warning and control system, AWACS)とは、軍用航空機の1種であり、自ら飛行することで一定空域内の敵性・友軍の航空機といった空中目標をレーダーにより探知・分析し友軍への航空管制指揮を行う機種である。空中警戒管制システム空中警戒管制機とも呼ばれる。「AWACS」は「エーワックス」のように読まれることが多い。

目次

[編集] 機能

  • 索敵
  • 情報整理と分析
    • 敵性・非敵性の判断と脅威度・優先度の判断
  • 情報共有
    • 近隣の友軍航空機や地上・海上部隊への報告など
  • 攻撃を含む指揮管制

[編集] 機体の特徴

[編集] 機上レーダー

広範囲を索敵して空中目標の性状情報をある程度得るための、遠距離まで届き高分解能で情報を得られるレーダーは必然的に大型となり、航空機に搭載するには、主に空力特性を考慮して円盤状のレドームを持っている。

円盤型
大きな円盤は機体上部背面に背負うように搭載され、ロトドームと呼ばれるもので覆われたカバー内部に長い棒状のアンテナが前後方向に2種、又はIFFも加えれば3種程度のアンテナが取り付けられ、これら全体が10秒程で1回転することで垂直尾翼の陰などを除くほぼ全周方向をレーダー覆域としている。
また、従来からの回転式のものに加えて、固定式のものも21世紀からは登場している。固定式のものはAESA(アクティブ式のフェーズドアレイレーダー)による横長の3面をレーダーアレイを円盤内に三角形に配置して、物理的な回転速度に縛られることなく冗長性を持って任務を行うようになっている。

[編集] 機体と自衛装備

軍用機の中でも大きな搭載容量と比較的低速で長時間の飛行が求められるために、巡航性能の高い民間旅客機の機体をベースにアンテナを含む多数の電子装置と操作卓、発電能力強化などの改造が行われるものが多い[1]。空中にあって航空作戦のかなめとなる早期警戒管制機は、軍事的な高価値目標であるため、長射程赤外線誘導ミサイルからの自衛用にフレアを、電波誘導ミサイルに対しては電子妨害装置を装備することが不可欠となっている。敵機の接近といった事態に対しては、本機の逃避とともに友軍戦闘機による迎撃によって対処される。

[編集] 高価格

電子装置のために軍用機の中でも最も高価なものとなり、例えば日本で4機購入したE-767では1機で500億円以上になった。1機では数時間しか任務空域に留まれないため、戦争での大規模な攻性の航空戦や防衛任務では数機以上保有しないと空白域が生じてしまう。必要な機数を揃えるにも軍事予算の適正な配分から考えると許容できない国の方が多く、このためもあり、軍事超大国以外の先進国では完全な能力を有した早期警戒管制機ではなく、より廉価な"AEW&C"機の購入を検討する傾向がある。

[編集] 類似の軍用航空機

[編集] AEW機

早期警戒管制機(AWACS)に似た軍用航空機に早期警戒機(AEW)と呼ばれる機種がある。この航空機は"AWACS"機と同様に全周方向を索敵できるレーダーを備えるが、"AWACS"機のような管制機能は基本的に機体内に持たずに、捉えた敵や味方のレーダー情報は地上や海上、又は他の航空機といった味方に通報する機能を持つものである。名称のように早期警戒に特化した「空飛ぶレーダーサイト」である。"AWACS"機は管制システムとその操作員や判断を下す士官が機上で必要なために、"AWACS"機のほうが大型となるが、"AEW"機の機上で限定的ながら管制を行うことは不可能ではなく、そういった場合には両者の違いはあいまいとなる。

[編集] AEW&C機

日本語では「早期警戒管制機」や「空中早期警戒管制機」と"AWACS"機の日本語訳と同じ名称で呼ばれることもある"AEW&C"機は、"AWACS"機と"AEW"機の中間的な存在であり、"AEW"機に限定的な指揮管制能力を与えたものといえる。"AEW&C"機は"AEW"機と同様に"AWACS"機よりは比較的小型の機体である。

例えば"AWACS"機であるE-767やE-3B/Cには16-17名分の操作員・戦術指揮士官が搭乗するが、E-737では操作員席が6-10席である[2]

"AEW&C"機は比較的新たな分類の軍用機でもあるため、従来の"AEW"機が小型の円盤型レドームを備えていたのに対してバランスビーム型と呼ばれる棒状の機外レーダーを背負うものが多く見受けられ、これとは別にコンフォーマル型によるレーダーアンテナも開発がかなり進んでいる。

バランスビーム型(平均台型)

バランスビーム型は、"AWACS"機の円盤型固定式の三角形配置だったAESAのレーダーアレイ部を、左右方向にだけ向けた2面にすることでやや薄い棒状にして空気抵抗を減らしたものといえる。前後方向に追加のアンテナを持つことで死角をなくす工夫が行われるものもある。

コンフォーマル型

機体表面にコンフォーマル・アレイ・アンテナを備えることで空力特性を損なわずに必要な方向にアンテナ・アレイを固定して持つことが出来る。

[編集] 地上目標用の警戒管制機

早期警戒管制機(AWACS)は空中目標に対する探知と管制を行うが、米国軍では走行車輌のような地上目標に対してレーダーでの探知を行い、友軍を誘導する、E-8 J-STARS(Joint Surface Target Attack Radar System ジョイントスターズ)という軍用航空機も存在する。

[編集] 各国のAWACS一覧

高性能だが大型で高価な軍用機であるため、開発、配備する国は限られている。そこで、AWACSより性能が劣る代わりに価格も安い、AEW&Cと呼ばれる機体も開発されている(ただし、AWACSとの定義の違いに関してはあいまいである)。

アメリカ合衆国

ソビエト連邦 / ロシア ロシア

中国

[編集] 注記

  1. ^ "AEW&C"機では改造する前のベース機体として大きな民間旅客機ではなく小型のリージョナルジェットやビジネスジェットを使用するものも多い。
  2. ^ 767型や737型のように比較的機体容積に余裕のあるものは、操作員用の休憩空間を含むベッド、ギャレー、トイレが充実できるため、操作卓数以上の交代用操作員の搭乗も可能になっている。

[編集] 出典

* 石川潤一著 『アジア・太平洋の早期警戒管制機』、「軍事研究2009年4月号」、(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年10月10日 (土) 18:32 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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