暫定2車線

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暫定2車線(ざんてい2しゃせん)もしくは完成2車線は、道路を2車線で供用すること、およびその区間の道路の形態。車線を4車線とする場合に比べて、限られた期間や費用で建設できるため、供用時に交通量があまり見込まれない道路において採用されることが多い。

暫定2車線で供用されている高速道路の一例(帯広広尾自動車道

目次

[編集] 概要

日本では2003年の改正まで、道路構造令では高速道路は4車線以上とされていたが、交通量の少ない地域にも早期に高速道路網を整備するため、2車線のみを暫定的に開通させたものが暫定2車線である[1]。高速道路の場合は最高速度が50-80km/h制限される。また、将来的な4車線への拡幅を前提とした設計のため用地費はそれほど縮減できず、通常の2車線の道路と比べるとコストが割高となる。そのため、4車線の拡幅を前提としない方式として建設費をさらに圧縮する目的で考えられたのが完成2車線である。また、トラックなどの低速車を追い越しするため、付加追越車線が設置されることがある。交通量が少ないなどの理由で4車線化されていない区間が、有料道路の無料開放などによる交通量の急激な増加によって渋滞や事故が頻発してしまう問題が見られる。

このように、高速道路で追い越しが常時できない2車線で運用されることは世界的にも珍しい[2]

なお類似の例として6車線で計画された区間で片側を暫定4車線として供用する場合があり、大鳴門橋取付部が半断面区間となっている神戸淡路鳴門自動車道淡路島南IC-鳴門北ICで採用されている。3車線分の空間に4車線を設けているため車線幅が狭く、高速道路ながら70km/h制限となっている。淡路IC-津名一宮IC新名神高速道路も6車線で計画され、暫定4車線で供用しているが、こちらは両側暫定方式(6車線化の際に追越車線となる部分および中央分離帯盛土または暫定緑化)である。

[編集] 形態

[編集] 片側暫定方式

ポストコーン(参考)

通常の暫定2車線はこの形式である。4車線の片側(下り線または上り線)を建設して、完成後は片側1車線対面通行として供用する。4車線へ拡幅する場合は、改めて片側(上り線または下り線)を建設する[3][4]

対面通行となっている区間では構造上、中央分離帯を設けることができないため、その代替として中央線にセンターポール(ガイドポスト)が設置されている(センターポールの設置すらせず、黄色の中央線だけという区間も一般国道バイパスの一部に存在しており(国道1号藤枝バイパス新4号国道の一部区間など)、かつての高速自動車国道にも見られ、最初期にははみ出し追い越しも禁止されていなかった[5][6]。しかし、車両の対向車線への逸脱は防止できないため、対向車相互の正面衝突事故が発生する危険性が高く、重大な死亡事故も発生している。また設計時の想定と逆の方向にも車を走らせることになるほか、4車線化後は暫定2車線時よりも高速度で走行できるようになるため、構造上予期しえなかった事故(ガードレールの「金属片問題」、更埴JCTランプでの事故等)が発生してしまう事もあり、現在これらの問題に対する早急な改善が望まれている。

追越車線が無く路肩幅員も狭いため、「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の規制を受ける。そのため、ICPASA付近などに追越車線を設けていることも多い[7]

以上のような問題点はあるものの、トンネル高架橋をあらかじめ4車線分作っておく必要がなく、用地取得も必ずしもあらかじめ4車線分確保しておく必要がないので[8]、はじめから4車線で供用する場合に比べて工期や工費の削減効果が期待でき、将来的に4車線にする場合でも既存区間の大規模な改修工事を余儀なくされることは少ないため[9]、地方を中心に大半の暫定2車線の高速道路で用いられている。

4車線移行の過度期には、一期線・二期線それぞれを片側ずつ供用しながら一期線の改修を実施するが、拡幅対象区間の一部または全線で二期線での対面通行を実施した区間も存在する[10]

[編集] 両側暫定方式

両側暫定方式の一例(道央自動車道国縫-八雲

4車線にしたときの上下線の路肩と走行車線となる部分を建設し、上下線の追越車線および中央分離帯となる部分を盛土などで残す(時には暫定緑化してしまう)方式。未施工部分が大きな自然の中央分離帯・緩衝帯となるため、制限速度を片側暫定より高い80km/hに設定している区間が多い。安全性が高く整備効果の発現率も高い反面、用地取得と土工部分が全幅にわたるため、工費削減効果が少ない[8]。また橋梁やトンネルは、両側暫定方式では工費も工期もほとんど削減できないため片側暫定方式とすることが多く、制限速度など走行条件の変化が頻繁に発生する問題がある。

一般道路では、高速道路とは異なる理由から多用される。4車線以上の道路を計画しているが、当面はまとまった区間を開通する予定がなく、一部区間のみ用地の買収が終了したような場合、当該区間の歩道と両側車線のみを暫定開通させるのである。これは、一般道路では沿道の土地建物へのアクセスを確保する必要があるためである。このような例は、現道がない場所に新規に建設する広幅員の道路や、ニュータウンなど開発区域内で先行して用地を確保する場合にみられる。

[編集] 完成6車線・暫定4車線

例としては、

が挙げられる。また特殊な例として、東京湾アクアラインが挙げられる。東京湾アクアラインはトンネル、橋梁とも完成4車線を思わせる片側2車線構造だが、トンネルの地上取り付け部(人工島を含む)はトンネル3本分の空間が確保してあり、将来はもう1本のトンネルを掘って2車線×3本の6車線を整備できる「完成6車線・暫定4車線」の道路である。しかし、これでは中央のトンネルが対面通行になってしまうため片側3車線の道路として供用するのは無理があるが、実際にどのような運用とするかは未定である。

[編集] 欠点

橋・トンネル・高架橋などはあらかじめ6車線分作っておく必要があり、暫定4車線ではあまりコスト削減は期待できないものである。もしも、4車線の規格で高速本線を建設した場合、トンネルの掘りなおし、高架・橋の大改修工事、ガードレールの付け直しや舗装、暫定緑化された盛土の排除が必要になり、はじめから6車線で供用開始するよりも余計に費用がかかるためである[12]

[編集] 中央暫定方式

まず4車線にしたときに追越車線にあたる部分を建設して、完成後は片側1車線で供用する。4車線に拡幅するときは、走行車線に当たる部分を建設する。採用例は少ない。

橋の上で2車線を4車線に拡幅しても橋脚が1本で済み、また必ずしも対面通行にしなくても良いという特徴がある。一方、両側暫定方式の場合と同様、トンネルでは片側暫定方式に切り替えなければならない。

供用中の区間として能越自動車道穴水道路がこの方式を採用しており、現在建設中の西九州自動車道佐世保道路の一部区間でこの方式が採られる予定である[13]

[編集] 完成2車線

高規格幹線道路において、片側1車線ながら正規の中央分離帯を設置し、車線幅や路側帯を道路構造令における第1種第1級のものと同等とした形態。ほとんどの暫定2車線区間を上回る80km/hでの走行が可能であり、安全性にも優れる。必要に応じて登坂車線や追越車線を付加し、通過車両の流れが円滑になるよう設計される。国土交通省道路局によれば、4車線構造に比べ、3-4のコスト縮減、2-3割の工期短縮できるとされる[14]

しかし、暫定2車線区間と比べ車線が増設しづらく、交通量が増えた場合の改築費用も割高となる。そのため将来にわたって交通量が少ないと予測される路線で採用される。現在、中村宿毛道路などがこの方法で建設中で、この方式で新規事業化される路線も出てきている。

[編集] 主な暫定2車線区間

[編集] 高速自動車国道

[編集] 一般国道の自動車専用道路

[編集] 注釈

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  1. ^ この方式をめぐって韓国の湖南高速道路で「特定地域に対する冷遇ではないか」と槍玉にあがったケースがある。湖南高速道路#車線数をめぐる論争参照
  2. ^ 同様の方式としてはスウェーデンで採用されている2+1車線がある。韓国では4車線を前提とした2車線高速道路と呼ばれている。1978年末時点では総延長1,224.6km中、湖南高速道路嶺東高速道路東海高速道路邱馬高速道路の752.8kmで(4車線は京釜高速道路京仁高速道路蔚山高速道路の461.8kmである) あったが、2010年現在では88オリンピック高速道路の潭陽IC-高霊JCTのみである。(現在、拡張、路線付け替え工事中)韓国道路公社、韓国道路公社20周年史、p131、1989年
  3. ^ しかし、湖南高速道路(当時)で1983年から1989年にわたって行われた懐徳JCT-古西JCTの拡幅工事では、開通の時点で4車線分の用地が確保してあったが、線形不良によって新たに4車線道路を作った区間がある。(韓国道路公社20年史、1989、韓国道路公社)これは南海高速道路河東IC-昆陽ICなどでも見られる
  4. ^ 開通当初に対面通行で供用された側は「一期線(I期線)」、拡幅に伴い新たに建設された側は「二期線(II期線)」と呼ばれる。下り線と上り線のどちらが一期線であるは道路による。
  5. ^ 中央自動車道八王子-河口湖の開通当初(1970年頃)においては、追い越しのため対向車線へ移ったものの、対向車両と正面衝突する交通事故が多発した
  6. ^ 韓国の高速国道において、かつて暫定2車線であった区間にはセンターポールが設置されたことがなく(韓国道路公社20年史)、現在暫定2車線区間である88オリンピック高速道路の潭陽IC-高霊JCTにはセンターポールがない。
  7. ^ 4車線化すると暫定2車線用のランプは利用できないため、将来の4車線化の際にランプの造り直しなどの手間をなくすためでもある。ただし、建設費用や立地条件等から、前後区間も2車線のままとしている個所も存在する。
  8. ^ ただし、片側暫定方式でも将来の4車線化を想定し、一期線建設の時点で用地を4車線分取得した区間も数多く存在する。
  9. ^ 例えば、トンネルは暫定2車線用トンネルの隣にもう2車線分掘るだけでよく、暫定2車線用トンネルも下り線(または上り線)のトンネルとして利用できるため、線形改良等の事情がなければトンネルを掘りなおす必要はない。
  10. ^ 山形自動車道笹谷IC-関沢IC間や長崎自動車道嬉野IC-東そのぎIC間など。
  11. ^ 亀山連絡路・大津連絡路は完成4車線である。
  12. ^ この問題に関しては、片側3車線の道路を新たに建設し、既存の4車線道路をもう片側に転用して7車線とすることで対処している箇所も存在する(東名高速道路日本坂トンネルなど)。
  13. ^ 穴水道路--能越自動車道[1]
  14. ^ 道路構造令の一部を改正する政令について

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月24日 (火) 03:31 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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