棋風
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棋風(きふう)とは、将棋におけるその人の指し方の特徴、あるいは、囲碁におけるその人の打ち方の特徴のことである。
[編集] 代表的な将棋棋士の棋風
- 大山康晴
- 若い頃は相居飛車も指したが、居飛車対振り飛車対抗形を得意としている。振り飛車が表芸であるが、裏芸の振り飛車退治は非常に勝率が高い。独特の感性の受けに特徴がある。守りながら敵玉の距離を計るのが上手く、仕留めるときは一気に決めることが多い。囲いで守るよりも序盤は陣形全体のバランスで守り、中盤から徐々に駒を玉側に寄せていくのは独特の感性であり、囲いで守る代表の穴熊を苦にしなかった。特に金の使い方に定評がある。羽生善治は大山の棋風について、深く読んで最善手を追求することをせず、大らかに指す棋風であると評している。
- 升田幸三
- 大駒、特に角の使い方に独特の感性を持つ。大山康晴が全盛期を迎える頃からは、「新手一生」を座右の銘として掲げ、数々の新手を生み出して対抗した。
- 羽生善治
- 居飛車、振り飛車、相振り飛車のいずれも指しこなすオールラウンドプレーヤー。終盤で相手を惑わせる手や気づきにくい妙手を放つことから、「羽生マジック」と呼ばれる。盤面全体を使い、押さえ込みや気づきにくい活用を行うのが特に上手く、馬を作って押さえ込んだり、柔軟で曲線的な手を得意としているが、殆どの戦法で高い勝率を誇るため、得手不得手があまり無いように見える。
- 中原誠
- 振り飛車も指すが、全盛期時代は居飛車が多かった。攻防のバランスが取れた棋風であり、指されてみれば自然に見える、格調が高い指し回しで圧倒的な強さを誇ったことから、「自然流」と呼ばれる。桂馬の使い方がうまく、「中原の右桂」と言われる。入玉にも独特の感性を持つ。盤面全体を支配する独特の感性があり、また手を作ることが上手いため、「中原流」と呼ばれる多くの戦法(将棋大賞の升田幸三賞を受賞)はそれらを前提としているため、中原以外に使いこなせる者が少ない。
- 谷川浩司
- 終盤において、早い段階で寄せの手順を読み、芸術的とも言える最速の寄せで魅せることから、「光速の寄せ」「光速流」と言われる。また、指し手に迷うとき、駒が前に行く手を優先することから「谷川前進流」とも呼ばれる。
- 米長邦雄
- 中央の厚みを活かす戦い方が多い。終盤で劣勢のとき、紛れを作って逆転することから、「泥沼流」と呼ばれる。そのキャラクターから「さわやか流」と呼ばれることもあるが、棋風との関連は不明である。独特の感覚を持っており、たとえば、香車の上に玉を置く「米長玉」で升田幸三賞を受賞している。
- 佐藤康光
- 危険な手順でも成算があると思えば踏み込んでいく特徴があり、曲線的な指し回しよりも直線的な指し手が多い。かつては居飛車を主に指し、相手の得意戦法を真っ向から受けて立つ棋風であったが、タイトル戦への登場が頻繁になった頃から振り飛車も頻繁に採用するようになり、また、数々の新手も編み出すようになった(2006年度の将棋大賞で、最優秀棋士賞と升田幸三賞を同時受賞)。なお、深く鋭い読みに定評があることから「緻密流」と呼ばれるが、先崎学は「‘緻密’ではなく‘野蛮’」と評している。
- 森内俊之
- 「鉄板」と呼ばれる強靭な受けに定評がある。矢倉戦を好む居飛車党であるが、中飛車、四間飛車などの振り飛車戦法も時々採用する。
- 加藤一二三
- 生粋の居飛車党で、良いと思った戦法を指し続けることが多い。たとえば、「加藤棒銀」と呼ばれるほど、棒銀にこだわりを持つことで有名である。序盤の研究も深く、「加藤流」の名がついたものが多い。先攻しながらも一気にいかずに柔軟に攻めを続けたり、受けつつ力を溜めて一気に攻撃に行くなど、斬り合いに強い。
- 南芳一
- 対局している姿、棋風ともに「地蔵流」と呼ばれてはいるが、敵陣を一気に攻め潰す将棋も多い。
- 渡辺明
- 居飛車党。穴熊囲いの採用率が多いところが「現代的」と言われていて、居飛車対振り飛車の対抗形だけでなく、矢倉戦でも玉を穴熊に囲うことが多い。また、素朴な指し手が多いのも、ある意味特徴的と言える。
- 内藤國雄
- 指し手のバリエーションが豊富で、「自在流」と呼ばれる。横歩取りの後手番で角を3三に上がり、飛車・角が高く舞う「空中戦法」で、升田幸三賞を受賞。
- 丸山忠久
- 居飛車党で、角換わり腰掛け銀などの激しい戦形を得意とするが、攻撃的な手よりも渋い手の方が目立つ。終盤で勝勢になっても一気に勝負を決めに行かずに、真綿で相手の首を絞めるような(友達をなくしそうな)指し回しをすることから、「激辛流」と呼ばれる。
- 藤井猛
- 振り飛車の天敵であった居飛車穴熊や左美濃を、序盤から一気に撃退しに行く革新的な四間飛車戦法「藤井システム」の創始者として有名(升田幸三賞を受賞)。対急戦にも研究が深く、対棒銀などでも決定打を出している。また、大駒を切って、金銀で露骨に相手玉に迫る「ガジガジ流」でも恐れられている。なお、居飛車の矢倉も指すことがあり、特に、2008年頃から指すことが増えて話題となった。
なお、将棋棋士の棋風を表す「○○流」という言葉には、原田泰夫が命名したものが多い。
[編集] 代表的な囲碁棋士の棋風
囲碁の棋風は、大まかに実利派・模様派に分けられる。前者は先に地を稼いて相手模様の荒らしに賭けるタイプ、後者は中央の雄大な模様のスケールで勝負する。近年は地に辛いスタイルが世界的に主流になりつつあるといわれる。
- 趙治勲
- 低く構えて地を先に稼ぎ、後から相手の模様に侵入して荒らすタイプ。ギリギリまで最善を求める、妥協のない打ち方をする。普通とうてい入れないと見られるような地模様に打ち込んで荒らしてしまったり、攻めの対象にはならないような強い壁を攻撃し、もぎ取ってしまうことも。
- 山下敬吾
- 攻撃的で読みが鋭く、実戦的なスタイル。かつては五ノ五や初手天元など意表を突く布石を試みたが、近年はオーソドックスな布石を打つ。また地に辛くなりつつあるともいわれる。
- 張栩
- 実利を好むタイプだが、部分の読みの速さ、正確さに支えられた戦闘力にも定評がある。早い時点から正確に形勢を見切る能力に長けているといわれる。コウに強いことでも有名。
- 高尾紳路
- 現代にあっては珍しく厚みを重視する棋風。手厚い打ち方から繰り出される重厚な攻めに定評がある。
- 河野臨
- 冷静な打ち方で、ヨセで勝負をつけることが多かったが、近年戦闘力を身につけて力強さを増したといわれる。また布石の研究にも熱心で、序盤に工夫が多い。
- 依田紀基
- スケールの大きな棋風で、大胆なフリカワリや捨て石を見せることも多い。また時に白番天元など、人を驚かせる布石を見せることがある。
- 小林光一
- 実利派であるが、部分の味や含みを残さず「決め打ち」をしてしまうことで有名。勝負に徹した打ち方と評されることが多い。
- 武宮正樹
- 相手に実利を与えて中央に巨大な模様を張る、「宇宙流」といわれる独特のスタイル。アマチュアに人気がある他、世界の囲碁界に与えた影響も絶大である。
[編集] 関連項目
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