森銑三

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森 銑三(もり せんぞう、明治28年(1895年9月11日 - 昭和60年(1985年3月7日)は在野の歴史学者書誌学者

高等教育を受けられず、独学で文学に勤しむ。図書館臨時職員、代用教員、雑誌編集など様々な職に就きながら精力的に執筆活動を続ける。人物伝や典籍など多くの著作がある。

尋常ならざる碩学の人で、文豪永井荷風は「森さんこそ、真の学者である」と評している。なお荷風は他者を信用せず、滅多に誉めることのないことで有名であった。荷風が認めていた文学者は森鴎外と幸田露伴のみで、夏目漱石すら評価していなかった。

森銑三は人格的にも華美を嫌う、清廉、誠実の人であった。

現在でも、歴史小説家にとって森の残した膨大な著作は小説を書く上で必須の資料となっている。

しかし、大げさな表現を用い、出典や参考文献を示さず、独善的な史観を語る一部の歴史小説家には、森は批判的であったといわれる。

晩年は井原西鶴の研究に注力、徹底したデータ考証から西鶴自身の作品は唯一『好色一代男』のみであり、他は監修であると唱えたが、未だ学会では正式には認められていない。 しかし、近年に至り、井原西鶴の作品について彼の主張を裏付ける研究成果が現れ始めている。

関係著作に、『西鶴本叢考』 (東京美術)、『西鶴一家言』(河出書房新社)、『西鶴三十年』(勉誠社)、『一代男新考』(冨山房)がある。大半が『著作集続編 第4巻 西鶴論集』(中央公論社)に所収している。

目次

[編集] 略歴

  • 1895年、愛知県刈谷市に生まれる。
  • 1910年、刈谷高等小学校卒業後、叔父を頼って上京。工手学校に入るもすぐに体調を崩し帰郷。文学に目覚める。
  • 1915年、刈谷市の図書館に雇われ、村上忠順旧蔵書の整理、古版本古写本などの分類目録を作る仕事に携わる。その後、隣接する刈谷小学校の代用教員として教壇に立つ。
  • 1918年、東京の雑誌社からの誘いを受けて上京し、雑誌記者となり『帝国民』の編集をなすが、すぐのちに高崎市南小学校の代用教員となる。ここで気の合った同僚と童話雑誌『小さな星』を刊行するも問題となり解雇される。
  • 1920年、刈谷に戻り、市立名古屋図書館に勤めるうち、知人の紹介で地元紙『新愛知』に『偉人暦』という記事を一年間連載。
  • 1925年、31歳のとき、上野にある文部省図書館講習所(現在は筑波大学図書館情報専門学群)に入学する。一年後同所を卒業、歴史学者辻善之助の紹介を受けて東京帝国大学史料編纂所の図書係となる。ここで松岡於菟から指導を受ける。40歳を記念して『近世文芸史研究』を出版。また『子供の科学』、『赤い鳥』に執筆し、『おらんだ正月』を上梓する。在職13年で編纂所を退職。
  • 1939年、名古屋市立図書館長阪谷俊作と知りあい蓬左文庫目白徳川邸)主任となる。在任する傍ら『渡辺崋山』、『佐藤信淵』を発表。学会の物議を醸す。1942年、蓬左文庫を辞して執筆業に勤しむ。
  • 1943年、50歳の時、随筆集『月夜車』を出版。
  • しばらく、上野図書館に日参し執筆を続けるが、太平洋戦争が始まり、自宅に留まるようになる。
  • 1945年、自宅が空襲に見舞われ膨大な研究資料を焼失。
  • 1947年、反町茂雄と偶然再会し、古書肆弘文荘に勤務することとなり、反町が所有する湘南藤沢鵠沼海岸に転居、終生互いに支えた。仕事の傍ら、精力的に執筆再開。
  • その間、1950年より15年間は早稲田大学の書誌学 講師として教壇に立ち後進の育成にあたった。
  • 1970年-72年『森銑三著作集』全13巻を中央公論社から刊行。読売文学賞を受賞。
  • また終生にわたり『随筆百花苑』(中央公論社)、『日本随筆大成』(吉川弘文館)や『人物逸話辞典』、『随筆辞典5 解題編』(東京堂出版)など多数の編著・編纂を行っている。
  • 1985年、脳軟化症のため死去。愛知県刈谷市森家墓地に眠る。後に弟子により神奈川県藤沢市鵠沼神明 万福寺に夫妻の墓が建てられ、分骨された。
  • 1992年-95年、中央公論社から『森銑三著作集 続編』全17巻を刊行。

[編集] 主要な著書

[編集] 単行本

  • 『近世文芸史研究』(弘文荘, 1934年) 処女作、反町茂雄の元で刊行。
  • 『おらんだ正月』(冨山房, 1938年)
角川文庫、新版が冨山房百科文庫 1978年、岩波文庫、2003年
  • 『大雅』(アトリエ社, 1939年)
  • 宮本武蔵言行録』(三省堂, 1940年)
  • 『伝記文学 初雁』(三省堂, 1941年) 講談社学術文庫、1989年
  • 『書物と江戸文化』 (大東名著選・大東出版社, 1941年) 
  • 渡辺崋山』(創元選書, 1941年、新版1961年) 中公文庫、1978年,88年
  • 『新橋の狸先生 私の近世畸人伝』(二見書房, 1942年)  
※新版が小出昌洋編・解説で岩波文庫、1999年
  • 佐藤信淵 疑問の人物』(今日の問題社, 1942年)
  • 塙保己一』 (三国書房, 1942年)
  • 『近世高士伝』(黄河書院, 1942年)
  • 『典籍叢話』 (全国書房, 1942年)
  • 『江戸時代の人々』 (大東出版社,1942年)
  • 『近世の画家』 (大東名著選・大東出版社,1942年)
  • 『古酒新酒』 (柴田宵曲と共著、成史書院,1942年) ※柴田は終生の友人
  • 宮本武蔵の生涯』 (三国書房、1942年)  やまと文庫11・三樹書房、1989年
  • 『月夜車』 (七丈書院,1943年)  
  • 『書物と人物』 (熊谷書房, 1943年)
  • 『学芸史上の人々』 (二見書房, 1943年)
※復刻版が紀田順一郎監修・解説で日本人物誌選集13、クレス出版、2008年
  • 『近世人物叢談』 (大道書房, 1943年)
  • 松本奎堂 天誅組の総裁』 (電通出版部, 1943年) 中公文庫 1978年
  • 『古書新説』 (七丈書院, 1944年)
  • 『書物』 (柴田宵曲と共著、白揚社, 1944年)
中村真一郎解説で岩波文庫1997年、ワイド版岩波文庫、2001年
  • 『星取棹 我が国の笑話』(積善館, 1946年) 筑摩叢書、1989年
  • 『日本人の笑』(柴田等と共著、積善館, 1946年) 講談社学術文庫、1990年
  • 中納言の笛』(青雲書院, 1948年)
  • 西鶴研究 第1-10集』(古典文庫, 1948-1957年)私家版
  • 『古い雑誌から』 (文芸春秋新社、1955年)
  • 『西鶴と西鶴本』(民族教養新書・元々社、1955年)
  • 『近世の人物伝記走馬燈』(青蛙房、1956年)
  • 井原西鶴』(人物叢書・吉川弘文館、1958年、新装版1985年) 
  • 『近世人物夜話』(東京美術、1968年) 講談社学術文庫、1989年
  • 『明治人物夜話』(東京美術、1969年) 小出昌洋編・解説で岩波文庫、2001年
※2冊とも講談社文庫で再刊された、1973年。
  • 『明治東京逸聞史』 (平凡社東洋文庫全2巻, 1969年、ワイド版2004年)
  • 『西鶴本叢考』(東京美術、1971年)
  • 黄表紙解題』(中央公論社、1972年)   
  • 『西鶴一家言』(河出書房新社、1975年)
  • 『思ひ出すことども』(中央公論社、1975年 中公文庫、1990年)
  • 『西鶴三十年』(勉誠社,1977年)
  • 『一代男新考』(冨山房,1978年)
  • 『読書日記』(出版科学総合研究所  1981年) 戦前に掲載された公開日誌
  • 『明治写真鏡』 (日本古書通信社 1982年) ※文庫版・限定500部
  • 『瑠璃の壷  森銑三童話集』 (三樹書房 1982年) 大著
  • 『明治人物閑話』(中央公論社、1982年 中公文庫、1988年 新版2007年)
  • 斎藤月岑日記鈔』 (汲古書院、1983年)
  • 『瓢箪から駒 近世人物百話』 (弥生書房 1983年)
  • 『武玉川選釈』 (弥生書房, 1984年)
  • 『新版月夜車』 (弥生書房, 1984年)
    〔没後刊行〕
  • 『史伝閑歩』 (中央公論社、1985年、中公文庫、1989年)
  • 『木菟 随筆集』 (六興出版, 1986年)
  • 『砧  随筆集』 (六興出版, 1986年)
  • 『人物くさぐさ』 (小澤書店, 1988年)
  • 『びいどろ障子』 (小澤書店, 1988年)
  • 『書物の周囲』 (研文社 1988年)  ※「書物」の新編単行本
  • 『物いふ小箱』 (筑摩書房、1988年、新編が講談社文芸文庫 ,2005年)
  • 『十六桜  小泉八雲怪談集』  森銑三、萩原恭平訳 (研文社 ,1990年)
  • 徳川家康』 (森銑三紀念文庫:個人社, 1991年)
  • 『森銑三遺珠』 全2巻 (研文社 1996年)
  • 『偉人暦』上下巻 (中公文庫、1996年) ※以下各.小出昌洋編・解説
  • 『偉人暦 続編』上下巻 (中公文庫、1997年)
  • 『古人往来』(中公文庫、2007年) 
  • 『風俗往来』(中公文庫、2008年) 
  • 『落葉籠』 上下巻 (中公文庫 2009年5-6月)   

[編集] 著作集

中村幸彦等の編集、1971年度読売文学賞受賞(研究・翻訳部門) 
  • 『森銑三著作集』 全12巻別巻1 (中央公論社、1970-72年) 
※初版は函入、普及版と新装愛蔵版がカバー装で刊行。
  • 『森銑三著作集 続編』 全16巻別巻1 (中央公論社、1992-95年) 
小出昌洋等の編集のカバー装で、正編以降の著書、未収録の著作等を集大成。

[編集] 校訂書

※各戦前の校訂で、岩波文庫 <度々復刊>

[編集] 編著

  • 『人物逸話辞典』 上下巻 東京堂出版
  • 『明治人物逸話辞典』 上下巻 東京堂出版 
  • 『大正人物逸話辞典』 東京堂出版
  • 『随筆辞典第5巻 解題編』 東京堂出版  
  • 『続・日本随筆大成』全12巻 吉川弘文館

[編集] 伝記資料

  • 勝尾金弥『森銑三と児童文学』(大日本図書、1987年)
  • 柳田守『森銑三 書を読む野武士』(リブロポート、1994年)
  • 森田誠吾『明治人ものがたり』(岩波新書、1998年)
  • 雑誌『ももんが』昭和61年4月號「森銑三氏追悼特輯」(乙骨書店、1986年)
  • 『森銑三生誕百年 没後十年記念展』(藤沢市辻堂市民図書館、1995年)
  • ビデオ『学問と情熱8 森銑三』 紀田順一郎監修 (紀伊國屋書店、1998年)
※ナレータ野際陽子、のちDVDが廉価再版された。   

最終更新 2009年10月10日 (土) 18:20 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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