欧州理事会議長

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欧州連合
欧州理事会議長
任期 6か月(輪番制)
初代 リアム・コスグレイブ
創設 1975年

欧州理事会議長(おうしゅうりじかいぎちょう)とは、欧州理事会の議長を務める欧州連合の役職。欧州連合の対外的な代表を務めることもある。2009年12月1日に発効するリスボン条約によって、この役職には首相などの国内での役職を持たない人物が常任される。この制度のもとでの欧州理事会議長の任期は2年半で、1度に限り再任が可能となっている。初代の常任議長にはベルギーヘルマン・ファン・ロンパウが任命された。

リスボン条約発効以前においてこの役職は「当期の議長」(英語: President-in-Office)と呼ばれ、加盟国の政府首脳が持ち回りで6か月ずつ務めてきたが、その重要性は低いとされている[1]

目次

[編集] 歴史

欧州理事会が最初に開かれたのは1961年のことで、当時は非公式の首脳会談であったが、1974年に公式の会合とされた。議長の制度は欧州連合理事会の議長国のそれに従うもので、欧州連合理事会の議長を務める加盟国が議長となった。欧州理事会は各国の政府首脳欧州委員会委員長で構成されることから、議長国の首脳が議長を務めることになる。「当期の議長」という役職はおおよそそのように決められており、また欧州連合理事会の議長の任期が6か月で輪番制であることも同様に取り入れられている[2][3]

「欧州の将来に関するコンベンション」によって起草された欧州憲法条約では欧州理事会議長について、欧州連合理事会議長国が務めるという制度を改めることが定められていた[4]。憲法条約は批准期間中に国民投票で拒否されたが、議長の役職を含めた欧州理事会に対する変更は2009年に発効が目指されているリスボン条約に継承されている[5]

[編集] 輪番制における議長

輪番制が採られているなかで招集される欧州理事会の議長は、当期の欧州連合理事会の議長国の首脳が務める。欧州連合理事会議長国の任期は6か月間で、連続3期の議長国は共通の計画を3者で協力して取り組んでいることから、欧州理事会議長もその任期は6か月である。会合における議題は議長国によって定められ、そのため議長国が自国の利益に有利な議題を掲げることで立場が濫用されかねない。また議長国が議論の場に、自国から多くの協議参加者を出席させることもありえる[6][7][3]

輪番制のもとでの議長の役職とは欧州理事会の長というものではなく、単に同等であるほかの加盟国首脳の中における首席 (primus inter pares) というものでしかない。議長は専ら理事会会合の準備や議事進行を務めるというもので、それ以上の独自の権限を持たない。しかし欧州理事会や欧州連合の外部に対する代表を務めることがあり、欧州理事会の会合の後や任期の期首・期末に欧州議会で報告することが求められている[6][7]

[編集] 常任議長

設置が提唱されている常任の欧州理事会議長は任期が2年半(1再選可)とされている。2009年に発効することが目標となっているリスボン条約に常任議長を創設する事が盛り込まれている。その選任と解任にあたっては欧州理事会における特定多数決で決定される。欧州委員会委員長とは異なり、欧州議会の承認を要しない。この制度における欧州理事会議長は「欧州連合の大統領」(EU大統領)とたとえられる[8]。リスボン条約が将来的に発効され常任議長が設置された場合、従来の制度とは異なり、加盟国で首脳やその他役職に就いていない者が常任議長となる。

議長の職務は欧州理事会の役割に関する業務の調整や会合の招集など、概して管理的なものである。また議長は外交・安全保障政策上級代表とともに欧州連合の外交政策の代表を務めるほか、 欧州連合の諸機関内において理事会を代表して、会合後に欧州議会に対して報告を行う。しかしながら、とくに外交政策においてはその役割が欧州委員会委員長や外交・安全保障政策上級代表と重なるところが多く、議長にどれだけの影響力があるかについては曖昧にされている。さらには、議長はその職責を十分に果たしえる人格や手腕が求められている。議長は自らの主務庁を持っていないため、欧州連合各国の首脳の間でただ会合を招集するだけの役職にされかねない。

初代議長はこの役職の概念が不透明であることから、将来における常任議長の意義を示すことが求められている。議長は条約に定められている通り、単に会合の議事進行を務め、欧州理事会の機能と政策の円滑な運営を確保するだけの旗頭としてその管理的な役割を一貫して務めものとする考え方がある。この考え方は、欧州理事会議長の職は、最盛期を過ぎた指導者がその職歴の「あがり」として惹きつけるものであり、また機構内で権限を持たせるよりかは雑務的な職を与えておくという考え方によるものである。しかし別の考え方では、議長は欧州連合内で精力的に活動し、対外関係で発言することを求めるものがある。この考え方によって議長職は事実上の「欧州連合の大統領」であると囃し立てられ、先の考え方とは異なり世界の舞台でその存在が軽視されず、欧州連合の代弁者として見られるようになるとしている。

[編集] 権限集中の可能性

常任議長は加盟国の首相など、国内の役職には就いていないが、欧州連合の役職との兼務が制限されていない。例えば欧州議会議員や、(欧州理事会に出席することとされている)欧州委員会委員長との兼職もありえる。このため欧州理事会がそれぞれ独立している機関と、権限の面でひとりの議長の地位のもとにおかれる可能性がある。

役職が統合されないとしたとき、二頭体制によって2つの機関でコアビタシオンや内紛が起こることがありえる。大統領首相がいるフランスの政権構造になぞらえて欧州理事会議長と欧州委員会委員長を見ると、議長はほかの役職について直接選任や解任したり、欧州議会を解散したりするなどの権限を持っていない。このため欧州理事会議長は威信があっても権限を持たない一方で、欧州委員会委員長には権限があっても威信に欠けるという構図が描かれる[9]。欧州理事会議長が後述するように、民主的な負託を受けてその立場を強くしていったら、この問題は大きくなっていくことになる[10]

[編集] 民主的負託

欧州議会議員や国内議会議員に対する自らの説明責任を欠如させるような形をとって、各国の指導者が主要な問題で議長を矢面に立たせるのではないかという疑念が投げかけられている。これは輪番制のもとでの議長は自国の負託を受けていた人物だったが、常任議長は欧州理事会の負託を受けて選任されることになるためである[10]

議長に民主的な負託を与えるために直接選挙で選出することがたびたび求められ、これによって欧州理事会における議長職の強化を図り、欧州連合における民主的正統性に答えようとする動きがあった。ところが実際にこれが行われると欧州議会の民主的負託や欧州委員会に対する潜在的な負託と対立することになりかねない。欧州理事会議長に負託すると、欧州連合の運営体制が議会制的な性格よりも大統領制的な性格を強めることにもなる[10]

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ Ben Hall, New post of EU chief tempts Blair フィナンシャル・タイムズ 2007年7月12日 (英語)
  2. ^ Christine Stark, Evolution of the European Council: The implications of a permanent seat dragoman.org (英語、PDF形式)
  3. ^ Peter van Grinsven (2009年 9月). “The European Council under Construction” (PDF). Discussion Papers in Diplomacy (88). ISSN 1569-2981. 2007年12月19日 閲覧。(英語)
  4. ^ SCADPlus: The Institutions of the Union: European Council EUポータルサイト"EUROPA" (英語)
  5. ^ Q&A: The Lisbon Treaty BBCニュース・オンライン 2007年12月13日 (英語)
  6. ^ How does the EU work "EUROPA" (英語ほか21言語)
  7. ^ European Council "EUROPA" (英語ほか10言語)
  8. ^ 日本語のメディアの報道でも「EU大統領」と呼んでいる場合がある。初代EU大統領・外相、19日の臨時首脳会議で選出(ロイター通信 2009年11月12日)ほか
  9. ^ Simon Hix , Gérard Roland, Why the Franco-German Plan would Institutionalise 'Cohabitation' for Europe Foreign Policy Centre (英語)
  10. ^ Jo Leinen, A President of Europe is not Utopian, it’s practical politics Europe's World (英語)

最終更新 2009年11月27日 (金) 23:54 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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