欧州連合基本権憲章

欧州連合基本権憲章の最新ニュースをまとめて検索!

欧州連合基本権憲章(おうしゅうれんごうきほんけんけんしょう)は2000年12月に欧州議会欧州連合理事会欧州委員会の3者によって公布された人権に関する規定文書。

目次

[編集] 経緯

欧州司法裁判所1996年欧州連合(EU)の全加盟国欧州人権条約に調印しているにもかかわらず、欧州共同体(EC)の基本諸条約の定めではECは欧州人権条約の適用を受けないという決定を下した[1]

この決定を受けてケルン欧州理事会1999年6月3-4日)において、欧州連合基本権憲章の起草をコンベンション(協議会)に委ねた。コンベンションは1999年12月に総会を開き、2000年10月2日に草案を採択、直後の10月13-14日のビアリッツ欧州理事会で全会一致で承認され、草案を欧州議会と欧州委員会に送付した。

欧州議会は2000年11月14日に草案に同意、欧州委員会も同年12月6日にこれに続いた。2000年12月7日、ニースにおいてEUの機構を代表して欧州議会議長、欧州連合理事会議長、欧州委員会委員長による署名を経て、欧州連合基本権憲章が公布された。したがってこれらEUの3機関は欧州連合基本権憲章がEUにおける人権の基本的原則を示す正当な文書であるとした。

[編集] 地位

目下のところ欧州連合基本権憲章は条約や憲法あるいは法律上の文書ではなく、EUの最重要3機関によって「厳粛に公布された (solemn proclamation) 」という曖昧な位置づけがなされているものである。その文章は世界人権宣言や欧州人権条約と大部分で調和したものであり、それゆえこれらにおいて既に規定されている権利を3機関によって確認されたものと見る向きがある。その一方で権利に関する解釈が広く取られており、たとえば善良な行政に対する権利(第41条)、労働者の社会権(第27条以下)、生命倫理(第3条2項)などが挙げられる。しかし欧州連合基本権憲章の拘束力、あるいは効力に関しては以下のようなことが想定されるにとどまる。

  • 公布した機関および欧州司法裁判所などの機関は、「厳粛に宣言」しているために、欧州連合基本権憲章に違背することはない。
  • 不文法EC法、判例は欧州連合基本権憲章と調和し、それゆえ対立することはあまりない。

欧州連合基本権憲章はEC法の地位になく、そのため憲章に反するという理由では紛争は起こりえない。

[編集] 欧州憲法条約

欧州憲法条約2004年10月に調印されたものの、フランスオランダでの国民投票で拒否されたことを受けて批准が断念されたが、その第2部において欧州連合基本権憲章に関する規定が盛り込まれていた。この意図はEUが欧州人権憲章の適用を受けることを可能にするものであり、これにより欧州司法裁判所が欧州連合基本権憲章を根拠とした判示を可能にすることであった。

欧州連合基本権憲章は、法的強制力を有することとなった場合、EUの権限が憲章の規定を超越しえず、EUの機構を拘束することになるが、これはあくまでEU機構に限定され、加盟国の権限を制限するものではない。

[編集] リスボン条約

2007年6月、リスボン条約が起草され、そこで欧州連合基本権憲章が反映されており、これによって憲章は法的拘束力を得ることになる。リスボン条約では拒否された欧州憲法条約の規定部分と同質化する目的で、欧州連合基本条約に若干の修正が加えられることになる。

[編集] 特徴的な規定

欧州連合基本権憲章は尊厳、自由、平等、連帯、市民権、司法の6つの章からなる。また前文の第2、第3、第4段目はカレル・ヴァサクが提唱した人権の3つの世代を反映したものである。

  • (Article 3) Prohibition of reproductive cloning of human beings
  • (Article 53) 'Nothing in this Charter shall be interpreted as restricting or adversely affecting human rights and fundamental freedoms as recognised, in their respective fields of application, by Union law and international law and by international agreements to which the Union, the Community or all the Member States are party, including the European Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms, and by the Member States' constitutions.'

(日本語訳)

  • (第3条)クローン技術による人間の製造の禁止
  • (第53条)この憲章にあるいかなる条項は、それぞれの分野において、欧州連合の法令や国際法のほか、人権と基本的自由の保護のための条約をはじめとする欧州連合、欧州共同体、またはすべての加盟国が一体的に批准する国際協定、各加盟国における憲法で認められる人権ならびに基本的自由にたいして制限を加え、または違背した作用をもたらすような解釈をされてはならない。

[編集] 脚注

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月30日 (月) 15:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【欧州連合基本権憲章】変更履歴

ご利用上の注意