水中翼船
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水中翼船(すいちゅうよくせん)または、ハイドロフォイル(Hydrofoil) とは、推進時に発生する水の抵抗を減らす目的のため、船腹より下に「水中翼」(すいちゅうよく)と呼ばれる構造物を持った船。
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[編集] 概要
いわゆる排水型と呼ばれる、喫水線以下の船体が水中に沈み込む方式の船は、速度に関係なく浮力を得ることができるが、水による大きな抗力から逃れることはできない。また抗力は速度の二乗倍で増加し、プロペラ(スクリュー)推進の場合は機関の出力を大きくしても40ノットあたりで頭打ちとなる。また、全長に対し全幅を極端に狭くする必要もあり、船の最大の利点でもある積載性をも殺ぐ結果となる。そこで、さらなる高速化を求めた結果、水との接触面を極端に少なくでき、抵抗を揚力に結びつける効果の高い水中翼船が開発された。
低速で水上を航行する際には船体を水面下に浸けて航行するが、高速航行をする際には、仰角のつけられた水中翼から得られる揚力で海面上に船体を持ち上げ、水中翼のみが水中に浸っている形になる。
水中翼船には構造や推進方式が様々あり、構造上の分類では、高速航行時に水中翼の一部が水面上に出る半没型水中翼船と、水中翼の全てが水面下にある全没型水中翼船とに大まかに分けられる。この他に、日立造船の「スーパージェット」等に見られる全没双胴型水中翼船(ハイブリッド式)などがある。推進方式では主としてプロペラによるものと、ウォータージェット推進式によるものがある。
全没型水中翼船の代表的なものにアメリカ・ボーイング社(日本では川崎重工業の子会社・川重ジェイ・ピイ・エスがライセンスを取得)の「ジェットフォイル」がある。
全没型は半没型と比較して安定性に劣るとされている。これは半没型に設けられている水中翼には大きな上反角が付けられ、横揺れに対する復元力が確保されていることによる。但し、近年ではコンピュータによる水中翼の能動的な制御技術が確立されたことにより、全没型でも安定性を確保できるようになっている。
全没型の安定性が確保されると、後述のような半没型のデメリットが浮き彫りになったこともあり、敢えて半没型を選択するユーザーが少なくなり、現在では全没型が主流となっている。
[編集] 人力水中翼船
人力でのスクリュー駆動による水中翼船は、オール等による手漕ぎ船よりも速い事が明らかになった事から[1]、競技等の目的で人力水中翼船が製作される様になった。
[編集] 日本国内の水中翼船
日本では1960年代に商業用半没型水中翼船が相次いで登場している。新明和工業の小型船(約15人乗)、三菱造船下関の小型・中型船(80人乗)、日立造船神奈川の小型~大型船(130人乗)がそれである。
とりわけ、シュプラマル社のライセンス契約により水中翼船を建造していた日立造船神奈川は、型式PT20(70人乗)やPT50(130人乗)を中心に50隻ほどの水中翼船を生産し、これらは瀬戸内海を中心に運航された。代表的な運航会社として、瀬戸内海汽船、石崎汽船、阪急汽船、名鉄海上観光船等がある。また東海汽船による東京湾横断航路でも使われていたため首都圏でも見ることができた。
しかし、低燃費で高速航行が可能な反面、水面波の影響を受け乗り心地が悪い上に維持コストが高く、水中翼の接触を防ぐ専用の接岸施設のない港に入港することができない等の欠点があり、次第に他の高速船やジェットフォイルにシェアを奪われていった。
1999年5月9日、石崎汽船の松山~尾道航路の最終運航を以って、半没型水中翼船は国内定期航路から姿を消した。この航路で1997年12月まで活躍した「金星」(1966年日立神奈川製、PT20)が、広島県呉市で2005年(平成17年)に開館した海事博物館(大和ミュージアム)に屋外展示保存されている。
その後日本国内ではジェットフォイルが多く利用されている。これは、高速軍用艇向けに開発された技術を民間移転したもので、折りたたみ式の水中翼を持つ水中翼船の一種であり、コンピュータによる姿勢制御装置を持ち、耐荒天性能や乗り心地を改善している。
海上自衛隊は1993年から95年にかけて、全没型水中翼式の1号型ミサイル艇(PG)3隻を建造した。これもジェットフォイルをベースとしたイタリア海軍のスパルヴィエロ級ミサイル艇をタイプシップとしたものである。
[編集] 主なメーカー
[編集] 航行航路・保有会社
- 佐渡汽船
- 「ぎんが」(BJ15)・「つばさ」(KJ01)・「すいせい」(KJ10)(川崎)
- 東海汽船
- 「セブンアイランド愛」(BJ17)・「セブンアイランド虹」(BJ19)・「セブンアイランド夢」(BJ20)(川崎)
- 隠岐汽船
- 「レインボー」(三菱)・「レインボー2」(三菱)
- JR九州高速船
- 「ビートル」(KJ05)・「ビートル2」(KJ08)・「ビートル3」(KJ03)・「ジェビ2」(KJ14)(川崎)
- 九州郵船
- 「ヴィーナス」(KJ09)・「ヴィーナス2」(BJ26)(川崎)
- 九州商船
- 「ぺがさす」(KJ04)・「ぺがさす2」(KJ07)(川崎)
- 鹿児島商船(いわさきコーポレーション)
- 「トッピー1」(KJ02)・「トッピー2」(KJ12)・「トッピー3」(KJ13)・「トッピー7」(BJ11)(川崎)
- コスモライン(市丸グループ)
- 「ロケット」(KJ15)・「ロケット2」(BJ23)・「ロケット3」(KJ06)(川崎)
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- スポーツとしての船の競争(パワーボートレース)では、使用を禁じられている。これは、水中翼(ハイドロフォイル)が船の高速化および安定化に極めて有効なものであるがゆえに、結果として水中翼の有無や設計がレース結果を決めてしまう可能性があるためである。
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月6日 (金) 00:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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