水循環

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水循環のモデル図

水循環(みずじゅんかん、water cycle)とは、太陽エネルギーを主因として引き起こされる、地球における継続的なの循環のこと。固相液相気相間で相互に状態を変化させながら、蒸発・降水・地表流・土壌への浸透などを経て、水は地球上を絶えず循環している。

水循環は水文学的循環(hydrologic cycle)と呼ばれることもある。

目次


[編集] 水循環

[編集] 水循環のプロセス

蒸発
湧水

水循環の主要な流れは、蒸発 - 凝結 - の形成 - 降水 - 地表流 - である。太陽エネルギー重力により、このサイクルが止めどなく繰り返される。

蒸発
蒸発とは、地表部の水蒸気へと変化する現象のこと。蒸発の主となるエネルギー源は太陽放射である。植物における蒸発は蒸散という。両者は密接に関係しているため、合わせて蒸発散と呼ぶこともある。大気中に含まれる水の90%は蒸発によるもので、残りの10%は蒸散によるものである。
凝結
凝結とは、空気中の水蒸気が雲やを形成しながら液体へと相転移することを指す。
移流
移流とは、そのを問わず、大気中を水が移動する現象のことを指す。移流によって、海上で蒸発した水は陸地まで移動する。
降水
降水とは、雨雲となった水が降り注ぐことである。降水現象は雨として生じることが最も多いが、あられみぞれ(ひょう)などの状態で降り注ぐこともある。
地表流
地表流とは、高低差にしたがって地表を流れる水のことである。などもこの地表流に該当する。地表を流れながら、水は地中浸透し、空気中に蒸発し、湖沼や他のリザーバー(後述)に貯えられ、そして農工業に利用される。
昇華
昇華とは、液体を経由せず、固体 - 気体間で状態変化する現象である。氷河では固体から気体への昇華が起こっている。また、気体から直接固体となる現象(氷霧など)も含む。
浸透涵養
水循環における浸透とは、水が地中にしみ込む現象のこと。浸透速度はその土壌が既に含んでいる水分の量、ならびに浸透能に左右される。地下水帯水層へ水が供給される現象は、涵養と言う。
融雪
雪解けに伴い、地表流が発生する。
地下流
地下流とは、地下の帯水層における地下水の流れのこと。地下流となった水は湧水などのかたちで再び地表に戻るほか、最終的には海に浸出する。地下流の流速は遅いため、大規模な帯水層の地下水にあっては、何千年にもわたって滞留することもある。

[編集] リザーバー

各リザーバーにおける水量(目安)
[1]
貯水空間 貯水量 (× 106 km3 全体に占める割合(%)
海洋 1370 97.25
氷河など 29 2.05
地下水 9.5 0.68
湖沼 0.125 0.01
土壌 0.065 0.005
大気 0.013 0.001
河川 0.0017 0.0001
生物圏 0.0006 0.00004

水文学におけるリザーバーとは、水循環の過程で水が存在する各空間を表す言葉である。水の最大のリザーバーはであり、地球上の水の約97%が存在する。次に大きなリザーバーは氷冠や氷河で、約2%の水が存在する。また、生物の体内に存在する水の割合が最も小さい。

[編集] 質量保存の法則

平均的な水の移動量
[2]
流動量 年平均(× 10 km3/年)
陸地への降水量 107
陸地からの蒸発量 71
地表流量
ならびに地下水となる水量
36
海洋への降水量 398
海洋からの蒸発量 434

水循環における水の総量もしくは総重量、ならびに各リザーバーにおける水量は基本的には一定である。これはつまり、単位時間中に各リザーバーに流入する水量と、流出する水量が等しいことを意味する。

右の表は陸地と海洋における水の入出量を表したものである。例えば、年107×103 km3 の水が降雨として地表に降り注ぐとき、陸地から蒸発した水量71×103 km3 と、地表流や浸透して地下水となる水量36×103 km3 の合計は等しい。

[編集] 滞留時間

各リザーバーにおける水の平均滞留時間
[3]
リザーバー 滞留時間
海洋 3,200 年
氷河 20~100 年
季節的な雪 2~6ヶ月
土壌中 1~2ヶ月
浅層地下水 100~200年
深層地下水 10,000年
湖沼 50~100年
河川 2~6ヶ月
大気 9日

水循環における滞留時間とは、水一分子が各リザーバーに滞留する平均時間のことである。

地下水は10,000年以上地下に留まっていることがあり、特にその期間が長い物は化石水と呼ばれる。水が土壌中にある期間はごく短い。これは、土壌が薄く広がっていて、容易に大気中に蒸発したり、河川などに流れでたり、地下水となったりするためである。蒸発して水蒸気となった水はおよそ9日ほどで凝結し、降雨などの形をとって再び地表に降り注ぐ。

水文学において、各リザーバーにおける水の滞留時間を推定する方法は概して2つある。広く用いられている方法は質量保存の法則に基づくもので、各リザーバーの容量がおよそ一定であると仮定したうえで、その推定容量を各リザーバーにおける流出入量で割って滞留時間を算出する。概念的には、全く水が流出しない状況下で、各リザーバーの容量を空の状態から満たすのに必要な時間を計算したものと考えればよい。

もう一つの方法は放射性同位元素ラジオアイソトープ)を用いるもので、同位体水文学の領域である。地下水の滞留時間計算においては、この方法が採られることが多くなってきている。

[編集] 気候調節

地球上の蒸発の86%は海洋で起こるが、その際気化熱によって温度を下げる。水循環の効果がなければ、地表の温度は摂氏67度まで上昇するとNASAは予測している[4]

太陽エネルギーの多くは赤道付近(熱帯)の海水温を上昇させる。蒸発した水分は風によって運ばれ、主に熱帯収束帯で凝結し雨となって降り注ぐ。この際、熱を放出する。さらにこの熱が蒸発を引き起こすという具合で、大気循環が起こっている。

[編集] 生物の関与

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[編集] 水循環の変化

ここ一世紀以上にわたって、水循環の周期は加速している。つまり、蒸発量と降水量がともに増えているのである[5]。これは気温の上昇が蒸発を促進することに起因するもので、地球温暖化の影響として予想されていた。

氷河の後退も水循環の変化の一例である。降水による氷河への水の供給量が融解や昇華による減少量に追いつかなくなってきている。

水循環に影響を及ぼす人間の活動としては、

などが挙げられる。

[編集] 生物地球化学的循環

水循環は生物地球化学的循環の一つであるが、生態系における他の物質循環には炭素循環窒素循環などがある。

水が地球表面を流れるにつれ、土壌鉱物水溶性物質などをともに運ぶ。陸地から流れ来る地表流によって海には絶え間なく塩分(塩イオン)が注ぎ込まれているが、水が海から蒸発する際、塩分はそのまま海水中に残る。このため、一般的に海水の塩分濃度は上昇する傾向にある。

ヒトの体液塩分濃度は約0.9%に保たれているが、これは進化の過程で、脊椎動物が陸生化した当時の海水濃度にその浸透圧調整能を固定化したためである。その後海水濃度は上昇し、現在は約3.5%である。

[編集] 脚注

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  1. ^ http://www.physicalgeography.net/fundamentals/8b.html
  2. ^ http://www.planetguide.net/book/chapter_2/water_cycle.html
  3. ^ http://www.physicalgeography.net/fundamentals/8b.html
  4. ^ http://science.hq.nasa.gov/oceans/system/water.html
  5. ^ http://www.eurekalert.org/pub_releases/2006-03/usgs-cod031506.php

(英語)

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年9月8日 (火) 15:25 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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