水文地形学

水文地形学の最新ニュースをまとめて検索!

水文地形学(すいもんちけいがく)とは、水循環と地形変化の相互作用を明らかにする学問である。水文地形学の基礎となっているのは、地形学水文学である。

目次

[編集] 歴史

初めて、「水文地形学」を論文において定義したのは、Scheidegger (1973)である。彼は、水文地形学とは、水のいろいろな作用によって地形が変化するメカニズムの解明であると定義した。しかし、その当時は、水文地形学という言葉に対して批判的な意見が多かった。その後、様々な研究がなされていく中で、島野(1977)は、水文地形学の概念規定として、水文循環プロセスと地形変化プロセスの相互関係を解明すると発表している。また、奥西(1991)は、それまでに共同研究者とともに取り組んできた研究結果をもとにして、水文地形学とは、水文地形学的相互作用によってひとつのシステムを形作っている、水文地形システムを研究することであると概念定義した。

[編集] 研究対象

水循環と地形変化の相互作用が研究対象とされている。例としては、次のようなものがある。

  • の形成や発達
  • 山地斜面における風化帯および土層の分布

[編集] 地下水と地形変化

崩壊
崩壊とは、豪雨時に水が地中にしみ込んで引き起こす大規模な地形プロセスであるが、災害という側面を持つ一方で、山地地形を形成する重要なプロセスであるともいえる。また、崩壊によって地下水が流動する「場」も変化するので、崩壊は流域の水文特性を支配しているという特徴も持つ。
地すべり
地すべりとは、雪解けや豪雨の後などに地下水面が上昇することによって発生する地形プロセスである。
土壌クリープ
土壌クリープとは、土塊が徐々に下方に移動していく地形プロセスである。基本的には、氷河地域の周りにおいて、主要な地形プロセスとされているが、湿潤温帯地域でも重要であると言える。土壌クリープは、地下水の挙動と深い関係があると考えられており、水文地形学的研究対象として、重要である。
パイピング
地下から水が噴き上げる形で流出するなど水が地表に表れるとき、周辺の土砂を排出し地形変化を起こすことである。パイピングは水循環と密接に関わっており、また、地下侵食作用で崩壊を引き起こし、生産された土砂は浮遊砂として流化するなど、重要な現象であるため、水文地理学の課題として注目されている。

[編集] 水文地形

カルスト地域
溶食作用という侵食様式によって地形が形成されている。これは、地下水における水循環と炭酸塩岩類の化学的溶食作用という水文地形学的な関わりを持つ。つまり、カルスト地形は、水循環と密接なかかわりを持っていると言える。
熱帯半乾燥地域
熱帯半乾燥地域とは、熱帯で可能蒸発散量が降水量をはるかに超え、明瞭な乾季を有する地域のことである。この地域では、昔から土壌侵食が問題とされており、降雨、地表流、植生土壌の影響を受けているため、水文地形学的側面があるとされている。現在見られる地形の形成過程において、未だ明らかになっていないことがまだあるので、今後水文地形学的に検討されることが必要である。

[編集] 森林・水・土壌の相互作用

3者の間には、密接な関係があり、基本的には、「水循環→森林の成立→土壌の形成」という構造とされている。しかし、水循環が森林土壌にもたらす影響のほかに、森林土壌・水にもたらす影響、土壌が水・森林にもたらす影響もしっかりとあることにより、この3者間には、相互作用があると言える。よって、この3者間の関わりが水文地形学における重要な問題である。

[編集] 参考・引用文献

  • 水文地形学-山地の水循環と地形変化の相互作用- 恩田裕一・奥西一夫・飯田智之・辻村真貴 編
  • 森林・水・土の保全-湿潤変動帯の水文地形学- 塚本良則 著

最終更新 2009年7月24日 (金) 09:03 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【水文地形学】変更履歴

ご利用上の注意

もっと調べる!