波動砲
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波動砲(はどうほう)は『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに登場する架空の兵器。正式名称は艦首波動砲[1]。宇宙戦艦ヤマトの艦載兵器。併せて、その派生兵器についても本項で記述する。
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[編集] 概要
外宇宙航行機関である波動エンジンの出力を利用する、艦載砲というより艦自体を巨大砲身とするため、宇宙艦の軸線に沿って艦首に発射口を配置するレイアウト以外はありえず、照準も艦自体の姿勢制御をもって行う[2]。艦首方向から眺めた波動砲の発射口の奥は通常はレンズシャッター状のシールドで閉鎖されていて砲本体は見えない[3]。
波動エンジンで生み出される全エネルギーをそのまま使用し、小宇宙一つ分に匹敵するエネルギーを溜め込んで一気に一方方向へ押し出す[4]。
ヤマトの兵装の内で波動エンジン(メインエンジン)が作動していなければ使用できない唯一の兵器である。
威力は、初期段階でオーストラリア大陸と同程度の大きさの、木星の浮遊大陸を一撃で消滅させるほど破壊力がある。その後ヤマトが改装された際に更に強化された。
イスカンダル遠征時には、エネルギー充填率120%での発射のみである。ワープとの連続使用は可能であるが、バラノドン迎撃のためワープ直後に使用時には、船体が損傷している。
[編集] 発射スキーム
波動エンジン再始動に備え、艦内すべての機能を停止してスターターのエネルギーを確保しつつ、波動エンジンを非常弁全閉鎖状態で運転、発生したエンジン内の高圧縮タキオン粒子を直結したエネルギー伝導管で艦首波動砲まで導き、エネルギー充填シリンダー内の薬室(タキオン圧力調整室)に強制注入する。薬室内圧が限界に達するタイミングでシリンダー底板のセーフティロックボルトが解除されて発射準備が完了。
射撃手である戦闘班長の「ターゲットスコープ、オープン」の号令で、戦闘班長の座席にターゲットスコープと呼称される照準機と発射制御用のトリガーがセットされ、艦の操船が戦闘班長に委譲される[5]。ターゲットスコープには「電影クロスゲージ」と呼ばれる目標固定用目盛が備わっており、射撃手は明度を調整した後に目標を固定、目標物までの距離と方角を読み上げる。
発射時には、強烈な閃光と衝撃を発生するため、「総員、対ショック・対閃光防御」と号令をかける[6]。それに合わせて、第一艦橋など窓のある部屋にいる乗員は眼を保護する対閃光ゴーグルを装着[7]、ショックに備えた防御姿勢をとる[8]。
波動砲の発射口に光の粒子が集まって徐々に輝度を増すと同時に動作音のテンポが上がる。照準を終えた射撃手が「発射10秒前」号令をかけ発射までの10カウントを数え上げ「発射」の号令と同時にトリガーを引くと、連動したストライカーボルトが後方から前方の底板を押し出す形でにシリンダー内へ突入、一気に前方に押し出された高圧縮タキオン粒子はバーストセクションで解放され、タキオンバースト波動流となって艦首に大きく開いた発射口から前方へ噴射される[9]。発射の際の反動でシリンダー底板が後方へ飛び出し、ストライカーボルトは押し返されて発射前の位置へ復帰する[10]。
光速を超えるタキオン粒子を発射する波動砲の反動を吸収するための重力アンカー装置が存在する[11]。
[編集] 劇中での描写
最初の使用は試射を兼ね、木星でのガミラス帝国浮遊大陸前線基地との交戦時。10万kmの距離から発射されたタキオンバースト波動流は目標周辺の時空間を翻弄し、ガミラスの基地のみならず、オーストラリア大陸程の大きさを持っていた浮遊大陸そのものも完全に粉砕してしまうという想像を超えた破壊力を示したため、ヤマト技師長真田志郎は「許されないことをしてしまったのではないのか」と漏らしたほどである。その後の冥王星での戦いで、同じ真田が波動砲の準備を打診するが、今度は艦長沖田が太陽系の共有財産である冥王星や原住生物への配慮から使用を許さなかった。[12][13]
劇中では、上述の木星の浮遊大陸前線基地(第5話)、オリオン座のα星のコロナ(劇中はこう呼んでいるが、正確にはコロナではなくプロミネンスである)を粉砕し脱出(第12話)、対バラノドン攻撃(第17話)、バラン星の人工太陽(第20話)、ガミラス星の海底の強酸性火山脈(第24話)に対しての使用のみであり、艦艇及び対艦隊戦での使用は劇中の画面には登場しない。[14]
艦艇に対する使用は、ヤマトに対して発射されたデスラー砲が初となる。
対ガミラス戦役時の波動砲は、デスラー砲を含めて、後に収束型と呼ばれるようになるが、対白色彗星帝国戦役のテレザート守備艦隊に対するヤマトの波動砲は、敵艦隊全てを飲み込む程に照射範囲が広がっている。
[編集] デスラー砲
ガミラス軍はデスラー砲と呼称する同様の艦載兵器を保有している。詳細はデスラー砲を参照[15]。
[編集] 防御方法
波動砲やデスラー砲の直接防御方法として、空間磁力メッキ[16]が存在する。真田志郎がガミラス冥王星基地の反射衛星砲をヒントに密かに開発しており、ヤマトの地球帰還直前に受けたデスラー砲による攻撃に対し使用。跳ね返された自らのデスラー砲でデスラー艦は撃沈された。
『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』に登場する自動惑星ゴルバも防御幕を発生させる防御方法が取られている。
『宇宙戦艦ヤマトIII』の劇中において、ガルマン・ガミラス帝国東部方面総司令ガイデル提督の移動要塞がヤマトを捕獲した際の要塞の内部に空間磁力メッキと同様の効果を持つ装甲が施されていた。これは反射衛星テクノロジーの流用と思われる。
またボラー連邦の機動要塞は、デスラー砲の斉射に完全な防御力をみせていた。
[編集] 波動砲戦
波動砲を装備した艦による艦隊が編成できるようになると、敵の艦隊や本体の進撃に対して等間隔列で艦を配し、一斉に波動砲を発射し敵艦隊を撃破する波動砲戦という戦術が考案され、地球防衛艦隊の特徴的な戦術となる。対白色彗星帝国戦役や対ディンギル帝国戦役などで使用された[17]。
[編集] 対ガミラス戦役後
ヤマト以外に波動エンジン及び波動砲を搭載する艦船が複数登場し、波動砲にもバリエーションが生まれている。
[編集] 拡散波動砲
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』・『宇宙戦艦ヤマト2』で地球防衛艦隊の旗艦アンドロメダに2門装備され、他の地球防衛艦隊の主力戦艦にも1門装備されている。各艦には波動エネルギー増幅装置を装備し、ヤマト波動砲を上回るエネルギー量がある。無駄に高エネルギーで効果範囲の狭い波動砲の運用上の欠点を比較的低威力広範囲型に改良したものである。榴散弾のように、ある程度の距離を進んだ後エネルギー流が四方に飛び散り、飛散範囲内にあるものをことごとく焼夷する。ヤマトの波動砲よりも広範囲の敵に対して有効だが、その分単位面積当たりの破壊力は低下する。オーバーチャージされた飛散性タキオンエネルギーを収束型タキオンエネルギービームの薄い膜で覆ったようなエネルギー弾で、外部ビーム幕が減衰すると内包された飛散性エネルギーが炸裂することにより拡散する。このため、ある程度の拡散点の精密調整も可能となっている[要出典]。
巡洋艦やパトロール艦も拡散波動砲を装備し、戦艦とともに白色彗星への波動砲戦に参加している。護衛艦にも装備されているとされるが、資料により大型衝撃砲との表記もある。
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』では、アンドロメダが単艦でバルゼー艦隊に先制射撃をかけ、大戦艦・駆逐艦等を多数撃沈している。
[編集] 新波動砲
『ヤマトよ永遠に』で登場した、ヤマトの改良型波動砲。主機関波動エンジンのパワーアップによって射程距離・威力等が強化されたものと思われるが劇中では具体的描写や説明はなされなかった。ただ波動砲発射後にヤマトが連続ワープを行って二重銀河から離脱しており、波動砲とワープ航法の連続使用も可能になっている。 ヤマト自体も何度か改修された結果、エネルギー充填率100%以下での波動砲発射例が確認されている。また波動カートリッジ弾、波動爆雷という派生兵器も開発されている。
[編集] 拡大波動砲
『宇宙戦艦ヤマト 完結編』で、地球艦隊の戦艦・巡洋艦に装備されている波動砲[18]。拡大と呼ばれるが、劇中の描写を見る限りは直線的な軌跡となっており、ヤマトの波動砲との違いは不明である。 エネルギーチャージタイムはかなり短縮されている。
- 戦闘衛星
- 『宇宙戦艦ヤマト2』でヤマトを妨害する為に使用された、地球防衛軍所属防衛用戦闘衛星。武装はタキオン粒子砲であるがヤマトの背後が地球だったためか波動カートリッジ弾にも満たない低威力の砲撃しか出来ず、ヤマトに破壊された。
[編集] その後の作品群
[編集] 『宇宙戦艦ヤマト 復活編』
『宇宙戦艦ヤマト 完結編』より19年後、アクエリアス氷塊から再び宇宙へ飛び出したヤマトに搭載されている波動砲は、従来の波動砲及び波動エンジン機関と一線を画するものである。その結果、波動砲は従来の拡散・集束波動砲以外に次に述べる2種類を含めた4種類まで増えることになる。
- 六連波動砲
- 旧ヤマトの波動エンジン機関に新たに増設されたリボルバー式の六連波動エンジンと新型スーパーチャージャーによって発射が可能になった新兵器。最大の特徴は名にあるとおり、6連射式の波動砲であること。その結果、波動砲は従来の一撃必殺の最終兵器+広範囲攻撃兵器といった面を持ち合わせるようになった。さらに、高度な演算装置と組み合わせることによりデスラー戦法やワープ回避機能のある戦闘艦のワープアウト候補地点を予測し、そこに照準を合わせることが可能。
- トランジッション波動砲
- 上記の六連波動砲と同様、大改造によって途方もなく出力アップしたヤマトに搭載された最強最終兵器。このトランジッション波動砲は従来のタキオン粒子による直接破壊だけではなく、その膨大なエネルギーによって異次元空間に通じる穴(ブラックホールの様なもの)を空けることが出来るようになっている(OVA『ヤマト わが心の不滅の艦-宇宙戦艦ヤマト胎動篇-』より)。
[編集] 『YAMATO2520』
『宇宙戦艦ヤマト 完結編』より317年後を舞台とする『YAMATO2520』の世界では、波動砲もしくは波動砲に匹敵する兵器がほとんどの戦闘艦に標準装備され、さらに拡散・集束モードでの打ち分け発射が可能となっている。また、従来の波動砲の欠点である著しい機動力の低下が完全に改善されており、巡航速度での空間移動中にも何の制約なしに発射することも出来るようになっている。これは単純に波動エンジンの小型化+出力アップがなされたことに加え、戦闘艦が改良波動エンジン、もしくはそれに匹敵するエンジンの複合式であることが大きな要因となっている。
今作では、発射されるタキオン粒子自体にも改良が加えられている。それはタキオン粒子をプラズマ状態に加工して発射することである。これによって宇宙空間でのタキオン粒子の余分な拡散を心配せずに高密度のエネルギー体の生成が可能になった。
なかでも特殊なのは本作のメイン艦である18代宇宙戦艦ヤマト(本編ではコスモアドベンチャー型スーパー宇宙戦艦YAMATO)に搭載されている波動砲。改良波動エンジン2基を補助エンジン、敵の技術であるモノポールエンジンをメインエンジンとして搭載した結果、従来の集束・拡散型プラズマ波動砲に加え、超波動砲<モノポール砲>・ツインノヴァ波動砲といった新兵器が使用可能(制作会社倒産までに発表されたOVA3作品中ではモノポール・ツインノヴァ波動砲は未使用)。
ヤマトではないものの、作中セイレーン連邦軍の軍艦が明確に「モノポール砲」という名称の艦首砲を発射、ビーム条が惑星表面を直撃している。その際、ある程度の規模の爆発が発生したのみで、惑星そのものへの大規模な被害は確認されていない。これは両軍が求める遺跡を抱えた惑星での発射であったため、威力を大幅に抑えて用いられたものと思われる。
対閃光・対ショック姿勢は今作の波動砲発射には必要ない。
[編集] 余談
コンピュータゲームの中には、「波動砲」の名称を持ち、『宇宙戦艦ヤマト』と似た描写で発射される兵器が登場するものがある。
- R-TYPEシリーズ - シューティングゲーム。通常の攻撃をするためのボタンを一定時間押したままにし(通称、溜め撃ちと言われる)、その後放すことで「波動砲」が発射される。
- 鋼鉄の咆哮シリーズ - 軍艦を操作するアクションゲーム。入手した部品で自艦を設計できるという特徴があり、部品のひとつに「波動砲」が存在する。大きさ・重さのため装備できる艦は限られるが、ゲーム中最大級の攻撃力を持つ。
- ファイナルファンタジーシリーズ、サガシリーズ - ロールプレイングゲーム。プレイヤーキャラクターやボスキャラクターの攻撃方法として「波動砲」が登場する。特に、『ファイナルファンタジーV』に登場する「ソル カノン」は、波動砲発射までに「対ショック対閃光防御オン」など『ヤマト』の発射シークエンスを模した演出がある。
- スタートレック (マイコンゲーム)(シャープMZ-80用) - 正典のスタートレックにおける表記は「フェーザー」だが、なぜか「ハドウホウ」(カタカナ表示であった)と出るようプログラムが書かれていた。
- スタークラフト - リアルタイムストラテジー。地球人であるTeran種族の最強航空兵器であるBehemoth Battlecruiserの特殊攻撃として「YAMATO GUN」という攻撃があり、これは「波動砲」との表記はないにせよ、明らかにそれを意識している。満タン時のエネルギーの60%~75%を一気に消費し、発射時間も3秒程度かかるが、非常に長い射程・大ダメージを誇る。
[編集] 脚注
- ^ 宝島社「銀河鉄道999 PERFECT BOOK」では、タキオン波動収束砲
- ^ 旋回砲塔に載せたり、地上の固定砲台として建造された例は、デスラー砲を含めて登場しない。
- ^ 発射の際には開放されるはずであるがシリーズを通じて具体的な描写は見られない。
- ^ ヤマト艦長沖田十三の台詞より。
- ^ 『宇宙戦艦ヤマト完結編』劇中では艦長席にも独自のターゲットスコープが配備されており、艦長権限のみで使用する事も可能。
- ^ 初回使用時は艦長沖田十三が号令している。
- ^ なお、潜水モードでは第一艦橋の窓にシャッターが下りるため、対閃光ゴーグルは不要となる。
- ^ 木星で初めて波動砲を使用した場面では、発射とほぼ同時に射撃手の古代進が前屈みになる。ガミラス星において発射の場面では、乗員がシートに深く座り身構えている描写がある。『宇宙戦艦ヤマト2』では、シートベルトを締め直すなどの描写がある。
- ^ 『宇宙戦艦ヤマト完結編』劇中ではボルト・ヘッド・プライマーによって発射口を閉鎖し噴射されるべき波動流を内部へ逆流させ自爆させた。
- ^ 第5話の劇中描写から。
- ^ 『宇宙戦艦ヤマト2』の劇中より
- ^ これらの作劇例は、ガミラス星本土決戦の結果も合わせ、波動砲が遊星爆弾と同様に、作品の製作された1970年代前半における核兵器に関する世相を仮託された最終兵器として描写されていることを意味する[要出典])。
- ^ その後も、対ゴーランド戦や対プレアデス戦、対グロデーズ戦などで、目標の背後に位置する惑星(それぞれ、テレザート、イスカンダル、偽装地球)を巻き込んでしまうため、波動砲の使用を躊躇するシーンがたびたび見られた。強力であるが故に、かえって使用を制限されるという葛藤や、いかにして波動砲を使用可能な状態に持ち込むかといった戦術上の駆け引きは、ヤマトシリーズの主要な見せ場の一つともなった。
- ^ 本来は第2話でガミラス帝国の巨大司令船を撃破させるシーンも脚本では存在していたが没となってしまった。
- ^ 劇中でヤマトに向かって発射されたデスラー砲のエネルギー束を、真田志郎が、敵の波動砲と分析している。松本零士の漫画『宇宙戦艦ヤマト』ではデスラー砲という名称ではなく、波動砲と呼称している。また資料によっては波動砲と同原理と紹介される。
- ^ 松本零士の漫画『宇宙戦艦ヤマト』では、空間メッキ防護膜。
- ^ 波動砲を最終兵器としてぎりぎりまで使用を自重する作劇は最早なされておらず、むしろ発射シーンを単なる見せ場の一つとしているようにうかがわれる。
- ^ 聞き方によっては爆雷波動砲とも聞こえる。
[編集] 関連項目
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