浅倉久志
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浅倉 久志(あさくら ひさし、本名:大谷善次、1930年3月29日 - )は日本の翻訳家。SF作品の翻訳で著名であり、特にカート・ヴォネガットやフィリップ・K・ディック作品を多く翻訳している。また、やはり翻訳家の伊藤典夫と共に、R・A・ラファティ、コードウェイナー・スミス、ジェイムズ・ティプトリー・Jr.といった異色の実力派作家を日本に紹介した。
日本の代表的な海外SF翻訳家の一人であり、近年はほとんど翻訳を行わない伊藤とは対象的に、コンスタントに名作を翻訳し続けており、「大浅倉」と呼ばれることもある。なお、エッセイ集によると日本から外に出たことはないという。日本SF作家クラブ会員。
目次 |
[編集] 経歴
大阪府出身。大阪外事専門学校(現大阪外国語大学)卒業後、浜松市の織物会社に就職し、1959年に結婚。1960年に当時高校生だった伊藤典夫と知りあう。大学進学で上京した伊藤の紹介により、1962年フレデリック・ポール「蟻か人か」の翻訳でデビュー。数年後に退職し、以後翻訳を専業にしている。
翻訳業では出版社ごとに名義を変えるという慣例があったため、深谷節、沢ゆり子、牟礼一郎、大谷圭二といった多くの別名がある。本項目の浅倉名義はSF作家アーサー・C・クラークが由来である。東京創元社の「ファファード&グレイ・マウザー」シリーズの翻訳は大谷名義であったが、後の復刊時には浅倉名義となっている。
個人的な好みとしてはユーモア物を愛好し、ユーモアSFのアンソロジー「世界ユーモアSF傑作選」「グラックの卵」なども編集している。2007年度版『SFが読みたい!』におけるインタビューでは、「もっとも好きな作家は、ハリイ・ハリスン」「もっとも気に入っている自分の翻訳作品は、ハリスンの『宇宙兵ブルース』」と「意外な」回答をしているが、「ユーモア物好き」と考えればもっともな回答である。
また、「ニューヨーカー」全盛期のアメリカで人気を博した、ロバート・ベンチリーなどの「生真面目な文体で馬鹿馬鹿しい話が展開する、洗練されたエッセイまたはフィクション」を「ユーモア・スケッチ」と名づけ、「ミステリマガジン」に自らセレクトした作品を長年にわたって翻訳掲載した(多数の作品を翻訳したため、うっかり同一作品を2回掲載してしまったことがある)。その成果は「ユーモア・スケッチ傑作展」全3巻として刊行された。
他にも、ドナルド・オグデン・ステュアートの長編ユーモア・スケッチ『ハドック夫妻のパリ見学』(ハヤカワ文庫)や、リチャード・ホイトのオフ・ビートなミステリ作品なども翻訳している。
2006年に初のエッセイ集『ぼくがカンガルーに出会ったころ』が出版された。
[編集] 主訳書
- 『アンドロメダ病原体』 マイクル・クライトン 早川書房、1970年
- 『黒い天使たち』 ブルース・J.フリードマン 早川書房、1972年
- 『ターミナル・マン』 マイクル・クライトン 早川書房、1972年
- 『SFに何ができるか』 ジュディス・メリル 晶文社、1972年
- 『殺意の惑星』 ハリイ・ハリスン 早川書房、1974年
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック 早川書房、1977年 のち文庫
- 『スラン』 A・E・ヴァン・ヴォクト ハヤカワ文庫、1977年
- 『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』 カート・ヴォネガット 早川書房、1977年
- 『タイタンの妖女』 カート・ヴォネガット ハヤカワ文庫、1977年
- 『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』 フィリップ・K・ディック 早川書房、1978年 のち文庫
- 『ユービック』 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫、1978年
- 『世界の中心で愛を叫んだけもの』 ハーラン・エリスン 伊藤典夫共訳 ハヤカワ文庫、1979年
- 『大いなる惑星』 ジャック・ヴァンス ハヤカワ文庫、1980年
- 『高い城の男』 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫、1984年
- 『チャンピオンたちの朝食』 カート・ヴォネガット 早川書房、1984年 のち文庫
- 『ヴァーミリオン・サンズ』 J・G・バラード ハヤカワ文庫、1986年
- 『クローム襲撃』 ウィリアム・ギブスン 早川書房、1987年
- 『たったひとつの冴えたやりかた』 ジェイムズ・ティプトリー・Jr. 早川書房、1987年
- 『青ひげ』 カート・ヴォネガット 早川書房、1989年 のち文庫
- 『模造記憶』 フィリップ・K・ディック 新潮文庫、1989年
- 『タウ・ゼロ』 ポール・アンダースン 東京創元社、1992年
- 『あいどる』 ウィリアム・ギブスン 角川書店、1997年 のち文庫
- 『フューチャーマチック』 ウィリアム・ギブスン 角川書店、2000年
- ジュディス・メリル編『年刊SF傑作選5-7』東京創元社(大谷圭二名義)
- 『バビロンの塔』『ゼロで割る』『顔の美醜について-ドキュメンタリー』(『あなたの人生の物語』(テッド・チャン 早川書房、2003年)に掲載)
- 『スキャナー・ダークリー』 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫、2005年
- 『パターン・レコグニション』 ウィリアム・ギブスン 角川書店、2007年
- 『スプーク・カントリー』 ウィリアム・ギブスン 早川書房、2008年
[編集] 編訳書
- 『救命艇の叛乱 SF世界短編傑作選』 文化出版局、1975年
- 『世界ユーモアSF傑作選』(1)(2) 講談社文庫、1980年
- 『ユ-モア・スケッチ傑作展』(1)~(3) 早川書房、1978年 - 1983年 → 再構成されて『エンサイクロペディア国の恋』『忘れられたバッハ』(ハヤカワ文庫、1991年)として再刊。
- 『すべてはイブからはじまった ユ-モア・スケッチブック』 早川書房、1991年
- 『グラックの卵』 国書刊行会、2007年
- (伊藤典夫と共編)SFマガジン・ベスト1『冷たい方程式』 ハヤカワ文庫、1980年
- (伊藤典夫と共編)SFマガジン・ベスト2『空は船でいっぱい』 ハヤカワ文庫、1980年
- 『ふしぎの国のレストラン 15のSFアラカルト』 徳間書店、1982年
- ロジャー・プライス『ドルードルしよう』 早川書房、1984年
- (伊藤典夫と共編)宇宙SFコレクション1『スペースマン』 新潮文庫、1985年
- (伊藤典夫と共編)宇宙SFコレクション2『スターシップ』 新潮文庫、1985年
- (伊藤典夫と共編)時間SFコレクション『タイム・トラベラー』 新潮文庫、1987年
- フィリップ・K・ディック『悪夢機械』 新潮文庫、1987年
- フィリップ・K・ディック『模造記憶』 新潮文庫、1989年(共訳)
- フィリップ・K・ディック『永久戦争』 新潮文庫、1993年
- R・A・ラファティ『どろぼう熊の惑星』 ハヤカワ文庫、1993年
[編集] 参考文献
- 浅倉久志『ぼくがカンガルーに出会ったころ』国書刊行会、2006年、ISBN 4336047766
最終更新 2009年5月5日 (火) 11:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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