消費税法

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消費税法
日本国政府国章(準)
通称・略称 消費税法
法令番号 昭和63年法律第108号
効力 現行法
種類 租税法
主な内容 租税法律主義に基づき消費税について定めた法律
関連法令 日本国憲法行政不服審査法行政事件訴訟法国税通則法国税徴収法国税犯則取締法所得税法法人税法地方税法、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
条文リンク 総務省・法令データ提供システム
  

消費税法しょうひぜいほう, 昭和63年12月30日法律第108号)は、広義の消費税に関する法体系の一部を構成する法律。資産の譲渡等に対する税金について定められている。

目次

[編集] 日本の消費税の概要

[編集] 基本的な仕組み

製造業者卸売業者小売業者資産等が移転するにつれて、負担が次々に転嫁され、最終的には消費者が負担することになる。そのため課税の累積を排除するため、納税義務者はその売上げに係る消費税ではなく、差額に係る消費税を納税することになっている。

  • (売上げ-仕入れ)*税率

この仕入税額控除において、日本は、ヨーロッパ諸国のようにインヴォイス(伝票)方式をとっておらず、3万円未満の取引については、帳簿の保存で事足りることとされている。

[編集] 課税の対象・課税・非課税・免税

全ての取引は、課税対象取引と課税対象外取引とに分類される。

  • 課税の対象は、1)国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等、2)外国貨物の保税地域からの引き取りである。
    • 課税取引は、1)課税資産の譲渡等、2)課税貨物の引き取りである。
      • 5%課税は、消費税といえば一般にコレを指す。食料品や自動車などの販売が該当する。
      • 免税(0%課税)は、外国で消費されるものには課税されないように、輸出等を免税取引としている。
    • 非課税取引は、1)土地の売買や利子の受け取りなど消費になじまないもの、2)医療、介護サービス、助産、教育など政策的な理由によるものである。
  • 不課税(課税対象外)取引。代表的なものは、給与、家財道具の売却、受取配当金等である。

不課税と非課税の区別は、課税売上割合の算定計算において重要な意味を持つ。

[編集] 納税義務者

  • 国内取引:事業者
  • 輸入取引:外国貨物を保税地域から引き取る者(事業者か否かを問わない)

[編集] 特例措置

  • 事業者免税点制度 
    当期が消費税の課税事業者であるかどうかは、本人が選択する場合を除き、前前期(基準期間)の課税売上高が1,000万円超であるかどうかによる。この免税点の上限は、平成15年度の税制改正前は、3,000万円とされていたが、課税ベース拡大といわゆる益税(消費者の払った税金が事業者の手元にのこってしまうこと)解消のため引き下げられた。
    簡易課税制度 
    消費税におけるいわゆる原則課税は、売上に係る消費税額と仕入に係る消費税額の差額を納税する仕組みとなっているが、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり予め届出書を提出している中小事業者は、その業種に応じて、売上の何パーセントが仕入れであるかという法定のみなし仕入率を適用して仕入れに係る税額を計算する制度。この制度についても益税解消などの観点から、上限が2億円から引き下げられた。
    限界控除制度 
    1997年3月31日まで設けられていた制度で課税売上高が当時の免税点の3,000万円を超えてはいるが6,000万円未満(2001年からは5,000万円未満)である中小事業者については、税額が0から一挙に3%に増加することを防ぐためのいわば激変緩和措置として税額から一定公式により算定される限界控除税額をマイナスするという制度である。この制度も益税を招くことから廃止された。
    中間納付制度 
    消費税は消費者からの預かり金的な性質を持っているが、これを預かってから納税するまでの運用益が事業者にとどまることに対する批判から、前課税期間の確定消費税額等により1月、3月又は6月ごとに中間申告・納税が必要とされている。

[編集] 日本での導入に際して

日本では、1989年4月1日に、既存のいわゆる贅沢(ぜいたく)品に対して個別に課税する物品税等を廃止し、これに代わって消費税法(昭和63年12月30日法律第108号)により一般消費税が導入され、土地や住宅家賃などの非課税資産やサービスを除き、幅広い資産の譲渡又は役務の提供が課税対象となっている。 竹下登政権時である1989年の導入当初の消費税の税率は3%であったが、1997年の橋本龍太郎政権時に4%に引き上げられた。また、消費税率の引き上げに併せて地方消費税(消費税の25%)が導入され、(国税の)消費税分の4%に地方消費税分である1%(0.04×0.25=0.01)を合計して「消費税等」の税率が5%となった。この「消費税等」とは、税法上、(国税の)消費税と地方消費税の総称である。消費税導入の審議において、参議院では、野党が審議を阻止する為、牛歩戦術を取った。

1989年、参議院で野党が過半数となった時、12月11日に消費税廃止法案が参議院で可決されている(衆議院では廃案)。

[編集] 総額表示化

2004年4月1日より、値札に消費税額を含めた総額表示(税込表示、内税)を行うことが義務づけられた。また、2007年4月1日から始まる課税期間からは、企業内部の帳簿等においても総額表示が義務付けられている。

[編集] 総額表示への移行に際して

従来は、一部の商品や小売店を除き、商品価格は税別価格で表示され、支払い時に消費税分の5%を加算する方法が主流であり、この際に1円未満の端数が発生することも多い。 総額表示化以前、1円未満の端数は切り捨てされることが多かったが、まとめ買いするとその分も加算して計算されることになっていた。 (例:10円の商品ひとつは端数分を切り捨てると10.50円→10円だが、それを10個購入すると、105.00円→105円となる)

そのため、総額表示に移行するときにこれまでどおり端数切り捨てを行う店舗が多く、端数分の表記をめぐって混乱が起きた。

総額表示への対応方法としては、大きく

  • 従来同様、税別価格合計に、支払い時に5%を加算。
  • 完全に内税へ移行。

の二つに分かれ、売り場での個々の商品価格の表示方法は

  1. 端数分を切り上げて表示し、レジにて加算分を値引く(10円の商品は"11円"と表示、レジにて10円に値引き)。
    ※従来どおりの税別価格合計に、支払い時に5%を加算し、1円未満の端数は切り捨てる方式。税別(本体)価格が併記してあることもある。
  2. 端数分を切り捨てて表示し、差分は店舗側が負担する(10円の商品は"10円"と表示、それを2個以上買った場合でも1個あたり10円)。
    ※内税へ移行する際に行われた。
  3. 端数分は四捨五入、差分はほぼ相殺される(10円の商品は10.50円→"11円"と表示、87円の商品は91.35円→"91円"と表示)。
    ※内税へ移行する際に行われた。
  4. 端数分を切り捨てて表示し、レジにて差分を加算する(10円の商品は"10円"と表示、それを2個買った場合は1円を加算)。
  5. 端数を小数点以下2桁で表示、差分は小数点以下なので切り捨て(10円の商品は"10.50円"と表示、87円の商品は"91.35円"と表示)。

というパターンに分化された。

が端数の処理方法を決めなかったため、このように各店舗で端数の処理が統一されず、消費者の混乱を招く結果となっている。

実際には、上記(1)-(3)が多く行われているが、パソコン・家電製品などの販売店やガソリンスタンド、一部のスーパーマーケットディスカウントストアでは総額表示が義務づけられてもなお、税別価格(本体価格)を意図的に大きく表示し、税込価格が目立たないよう表示するケースが多い。この紛らわしい価格表示により、消費者からの苦情も絶えない。

[編集] 総額表示に対する批判

なお、内税表示をすること自体への批判に対しては、酒税たばこ税のような他の間接税も内税表示であり消費税の内税表示のみを批判することはおかしいとの反論もある。また、基本的に従来の方式は事業者の益税を生み出すものであり、総額表示へ移行することで、この益税を抹消させ、課税の負担の公平を図る意味もある。

[編集] 問題点

[編集] インヴォイスに関する議論

付加価値税には、流通の中間段階で業者がどれだけ付加価値税を受け渡したかを証明するインヴォイスの導入を望む意見もある。かつて中曽根内閣時に検討された売上税では、インヴォイス方式が導入されていた。

付加価値税には、流通の中間段階で業者がどれだけ付加価値税を受け渡したかを証明するインヴォイスの導入が原理的には正確性を持つ。これがないと納税義務者が租税回避行為を行うことが容易になる。日本の消費税はインヴォイスが導入されていないので、導入した場合と比較して付加価値税の徴税の正確さが劣っている可能性が高い。なお、インヴォイスが導入されると法人税印紙税の捕捉も容易になる。

しかし、インヴォイス方式はその正確性の代償として計算経済性が劣っており、それを導入するには議論の余地も多い。

[編集] 住宅の貸付けにかかる議論

住宅の譲渡は課税だが、住宅の貸付けは非課税である。例えばアパートのオーナーは最初にアパートを建設する際に建設会社に消費税込みの対価を支払うが、家賃には消費税を含めることは出来ない。その結果、住宅の貸付けという非課税品目に消費税分だけ価格が転嫁され、非課税の筈なのに課税された場合と同じ家賃を賃借人が払うことが発生している。

また非課税売上対応仕入のため、輸出免税等と異なり、建設にかかる消費税差額部分の還付を受ける事もできない。

諸外国では、住宅の譲渡も非課税である。

[編集] 簡易課税制度にかかる議論

消費税を導入するに当たって自民党は、その有力な票田である農家や自営業者の反対に配慮し、法定みなし仕入率を高めに設定することにより、その反発を抑えようとした。これが益税を生み出し、消費税全体に対する国民の不信感を増加させた。ドイツなどではこの法定みなし仕入率は損税が発生するように設定されている(簡易課税制度においては、帳簿等の保存が軽減されており、この浮いた経費と損税が相殺されるように調整されている)。不当な利益を得る者がいないという点において、消費税に対する信頼感を醸成させている。

日本の法定みなし仕入率

  • 90% - 卸売業
  • 80% - 小売業
  • 70% - 農林水産業、鉱工業、建設業、水道光熱業、製造業
  • 60% - 金融保険業、飲食店業、外注加工業、その他
  • 50% - 不動産業、運輸通信業、サービス業

[編集] 二重課税の問題

石油製品には二重課税の問題が指摘されている。軽油には軽油引取税(32.1円/l)、ガソリンにはガソリン税(53.8円/l)がかかり、さらに加えて石油税(2.04円/l)、原油関税(0.17円/l)がかけられるが、それらを含めた販売価格に対して消費税がかかり、税金に税金をかけるという状況にある。2004年7月21日の石油連盟発表資料(PDF)では、本体価格に対する消費税が5700億円、石油諸税にかかる消費税が1800億円としている。

  • なお軽油は軽油本体に消費税がかかるだけであり、軽油引取税に消費税は課税されていない。これはいわゆる軽油引取税は軽油を車道走行用目的で購入する際に課税されるもので、スタンドが計量して徴収する間接税であり、軽油を構成する原価にはならない為である。
  • 一方ガソリンにおけるガソリン税、ガソリン・軽油における石油税、関税はそれらを構成する原価となるため、それを含めた金額に消費税が課税される。

[編集] その他の議論

また、日本では、食料品、衣類なども課税対象となっている。この点、低所得・低資産の家計に配慮する観点から軽減税率を導入すべきとの考え方がある。標準税率が10%台後半が多い諸外国では食料品等については軽減税率又は非課税が導入されている例が多い。他方、飲食サービス(レストランでの食事等)といわゆる持ち帰りとの区別をどのようにするかという問題がある。アメリカの吉野家などでも軽減税率の適用を受けるため、店内をマクドナルド方式にしているという奇妙な事態も発生している。飲食サービスも軽減する場合、高額所得者により多くの消費税が軽減されるという問題が生じることとなる。こうした、軽減税率の導入は税の中立性を損なうという問題もあり、議論の余地がある。

財政赤字削減議論において税率引上げの第一の検討対象となっているのは消費税である。この点については「無駄な歳出をまず削減すべき」という点には、一般的にコンセンサスがあり、政府・与党においても歳出削減策から検討が進められている。また「増税はまず法人税相続税など、負担能力のあるところからやるべき」という立場からは批判が強いとされている。

[編集] 税収の推移

財務省の統計を参照(単位:100万円)

  • 平成9年度 9,304,697
  • 平成10年度 10,174,383
  • 平成11年度 10,447,079
  • 平成12年度 9,822,141
  • 平成13年度 9,767,070
  • 平成14年度 9,811,538
  • 平成15年度 9,712,817
  • 平成16年度 9,974,306
  • 平成17年度 10,583,409
  • 平成18年度 10,463,331
  • 平成19年度 10,271,861

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月18日 (日) 14:58 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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